
「100億宣言」は、中小企業が「売上高100億円」の目標を掲げ、その実現に向けた取り組みの実施を宣言する制度です。実施した中小企業にはさまざまなメリットがあります。
そこでこの記事では、「100億宣言」とは何か、実施によるメリットや申請方法などについて解説します。
※記事内容は、令和7年8月6日時点の情報です。最新の情報は、必ず公式HPをご確認ください。
「100億宣言」とは
「100億宣言」は、中小企業が飛躍的成長を遂げるために、「売上高100億円」という野心的な目標を目指し、実現に向けた取り組みを行うことを宣言する制度です。
宣言を行うと、その内容は「100億企業成長ポータル」に掲載されます。
参照:100億企業成長ポータル(宣言企業一覧)
※100億宣言を行った福岡県の企業一覧は「地域で検索」から確認可能。
なお、売上100億円達成までの期間の⽬安は厳密に定めていませんが、おおよそ10年以内を⽬安としています。
参照:100億宣⾔ よくあるご質問
掲載ページ:100億企業成長ポータル
売上高100億円を達成した中小企業の事例紹介
中小機構が運営する「J-Net21」では、売上高100億円を達成した中小企業の事例記事を掲載しています。
飛躍的な成長を遂げた中小企業が成長の過程で直面した課題をどう乗り越えてきたのか紹介する内容となっていますので、本記事の内容とあわせてご参照ください。
参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 J-Net21 売上高100億円への軌跡
「100億宣言」実施のメリット
中小企業が「100億宣言」を行った場合、多くのメリットがあります。ここでは、そのメリットについて解説します。
補助金の申請・加点要件を満たす
「100億宣言」を行うことで、以下の補助金の申請要件を満たす、あるいは加点対象となる場合があります。
<中小企業成長加速化補助金>
本補助金は、飛躍的成長を目指す中小企業の設備投資を支援する制度で、最大5億円の補助を行います。
申請要件として、以下の項目を定めており、宣言の実施によってこのうちひとつを満たすこととなります。
- 「100億宣言」の実施
- 投資額1億円以上
- 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画の策定
ただし、補助金の公募申請時までに、申請企業の100億宣言が「100億企業成長ポータル」サイト上で公表されていることが必要です。
参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 中小企業成長加速化補助金のご案内
<事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)>
「100億宣言」を実施した企業は、本補助金の買い手支援類型において「100億企業特例」が適用され、補助上限額が最大2,000万円に引き上げられます。
ただし、成長加速化補助金と同様に、補助金の公募申請時に、申請企業の100億宣言が「100億企業成長ポータル」サイト上で公表されていることが必要です。
参照:事業承継・M&A補助金公式HP 12次公募専門家活用
中小企業経営強化税制の拡充対象となる
令和7年夏以降、「100億宣言」を実施した企業は、中小企業経営強化税制の拡充対象となる予定です。
中小企業経営強化税制では、対象設備の取得等にかかる費用について、即時償却または税額控除といった優遇措置を選択的に受けることができます。
さらに、100億企業の創出を促進するための拡充措置として、売上高100億円超の達成に向けたロードマップ作成等を要件に、工場のラインや店舗等の生産性向上に係る設備導入に伴う建物を対象設備に追加します。
建物を新増設した際、その年度末の雇用者給与支給総額が前年度末と比較して増加した場合、以下の特別償却または税額控除を適用します。
・2.5%以上増加した場合:特別償却15%または税額控除1%
・5.0%以上増加した場合:特別償却25%または税額控除2%
経営強化税制の適用には、あらかじめ「経営力向上計画」の認定を受ける必要があるため、税制措置を検討している場合は早めの準備が必要です。
参照:経済産業省 令和7年度(2025年度)経済産業関係 税制改正について
掲載ページ:経済産業省 令和7年度税制改正について
経営者ネットワークへの参加が可能となる
「100億宣言」を行った企業は、同じ目標を持つ企業経営者のネットワークに参加できます。
地域や業種を越えた経営者同士の交流を通じて、成長戦略のヒントや課題解決の糸口を見つける機会になります。
また、今後、100億企業創出に関するシンポジウムや交流会の開催を予定しています。
参照:100億企業成長ポータル 「100億企業創出シンポジウム」開催のお知らせ
宣言の公式ロゴマークの使用が可能となる
「100億宣言」を行うと、専用の公式ロゴマークを使用できるようになります。
自社ホームページや名刺、会社案内等にロゴを掲載することで、社内外に対して成長意欲を強くアピールできます。
ロゴマークの使用には規約がありますので、使用前に必ずご確認ください。
参照:ロゴマーク使用規約
掲載ページ:100億企業成長ポータル
申請者
「100億宣言」の申請ができるのは、以下のいずれかの要件に該当する中小企業で、現在の売上高が10億円以上100億円未満の企業です。
・中小企業基本法に基づく中小企業者
・租税特別措置法に基づく中小企業者
・中小企業等経営強化法に基づく中小企業者
・特定事業者に該当する企業
また、企業グループ単位での申請も可能です。その場合、グループ全体の売上高が10億円以上100億円未満であることが条件となります。
参照:100億企業成長ポータル
申請期間
令和7年5⽉8⽇から随時、申請を受け付けています。
申請の締切日の設定はありませんが、補助金や税制の申請タイミングに留意する必要があるため、余裕を持って宣言・申請するとよいでしょう。
参照:100億企業成長ポータル
申請方法
宣言掲載の申請は、補助金申請システム「jGrants」にて受け付けます。
jGrants を利用するには、「GビズID」の取得が必要です。「GビズID」の取得には2週間程度要することがあるので、申請の際はご注意ください。
なお、「宣言」には、以下の内容を記載します。
- 企業概要(足下の売上高、従業員数等)
- 売上高100億円実現の目標と課題(売上高成長目標、期間、プロセス等)
- 売上高100億円実現に向けた具体的措置(生産体制増強、海外展開、M&A等)
- 実施体制
- 経営者のコミットメント(経営者自らのメッセージ)
また、申請に際し、事務局において申請企業の足下の売上高を確認するため、直近3年分の決算書類(該当部分の写し)を添付する必要があります。
企業グループによる申請の場合は、各企業の直近3年分の決算書類(該当部分の写し)を添付するものとしてください。
特段の事情により、宣言を行った企業が宣言内容の重要な事項に関して変更を行う場合は、宣言を行った企業が変更理由書と変更した宣言内容を事務局に提出します。
事務局は、当該理由書の内容が適当なものであって、変更された宣言の記載が制度趣旨に適合すると認めた場合に限り、当該企業の宣言を変更します。
参照:100億企業成長ポータル
まとめ
この記事では、「100億宣言」とは何か、実施によるメリットや申請方法などについて解説しました。
宣言の実施により、補助金の拡充や税制優遇、経営者ネットワークへの参加といったメリットを受けることができます。
今後、大幅な売上拡大を目指している場合は、ぜひ、「100億宣言」の実施をご検討ください。
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株式会社Stayway 代表取締役CEO 公認会計士
東京大学経済学部卒業 / 公認会計士及び経営革新等支援機関デロイト トウシュ トーマツ出身。東京及びシアトルにおいて、IPO支援に従事したのち、香港本社のPEファンド・経営コンサルティングファームに勤務。「中小企業や地域のポテンシャルを開放」するため、2017年株式会社Staywayを創業。
※本記事の監修者です。