法人登記変更の手続き方法を分かりやすく解説!必要書類や申請の流れについて学ぼう
会社を設立して事業を行っていると、さまざまな変更が発生します。その中で法人の登記事項に関わる変更には、登記変更の手続きが必要です。
この記事ではどんな場合に法人の登記変更が必要になるか、また手続きの際に必要な書類や申請の方法について解説します。
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法人登記の変更が必要なケースとは?

始めに、法人の登記変更手続きが必要になる具体的なケースを見ていきます。
登記事項に変更が生じたときには手続きが必要
法人登記とは、取引上で重要な会社に関する情報を法務局に登録し、一般に開示する制度です。会社の概要を公表することで、第三者の取引の安全を図ることを目的としています。
登記事項の変更が登記に反映されないと、登記の情報を信じた第三者に不利益が及ぶ可能性があります。そのため登記に変更が生じた際は、手続きを行って登記の内容を最新状態に保たなければなりません。
法人の登記に記載されている事項
法人の登記には次のような事項が記載されています。
- 商号(会社名)
- 本店及び支店の所在場所
- 設立年月日
- 事業目的
- 資本金の額
- 発行可能株式総数
- 発行済株式総数並びにその種類及び数
- 取締役の氏名
- 代表取締役の氏名及び住所
商号変更
会社は社名をいつでも変更できますが、その場合には商号変更登記を行わなければなりません。
ただし、オフィスビルなどで同一の住所に同一の商号の会社がすでに存在する場合は、その商号は使えません。使用可能だとしても、同一の地域に同じ商号の会社があれば、不都合が生じる可能性は少なくないでしょう。商号変更をする場合、必ず事前に商号調査を行うことをおすすめします。
また、支店のある会社が商号変更をした場合は、支店の所在地においても変更の登記をする必要があります。
事業目的の変更
会社が新規事業に参入したり、既存の事業から撤退したりする場合には、事業目的の変更登記をする必要があります。事業目的は、第三者にとって会社の実態や事業内容を知る重要な情報です。
まずは株主総会の特別決議を行って会社の事業目的を変更します。その後、目的変更登記を行います。
役員の変更
代表取締役などの役員に変更があった場合、役員変更の登記を行います。取締役や監査役などの役員には任期があるため、役員変更の登記はどの会社でも必要となる手続きです。
任期満了後に同じ人が役員を継続する場合でも、一旦退任して再度就任したという形で登記をしなければなりません。
役員変更登記は任期満了だけでなく、次のような場合にも必要です。
- 役員の就任
- 役員の任期途中の辞任
- 役員の死亡
- 役員の解任
有限会社から株式会社への変更
有限会社から株式会社に会社の種類を変更する場合は、株主総会において商号変更にかかる定款変更の決議を行い、登記申請することによって移行します。
変更にあたって必要な登記手続きは以下の通りです。
- 商号変更登記
- 特例有限会社解散の登記
- 株式会社設立の登記
組織変更
組織変更とは、持分会社(合名会社や合資会社など)から株式会社に、あるいは株式会社から持ち分会社に変更することを言います。組織変更ではいくつかの手続きを経て効力が発生し、登記手続きは効力発生後に行います。
会社住所の変更
本店や支店など会社の住所が変わった場合、それぞれ変更の登記が必要です。会社の移転には多くの作業が伴います。変更登記も忘れずに済ませましょう。
本店移転
会社の本店を移転する場合に必要なのが、本店所在地の変更登記です。本店の所在地の変更が法務局の管轄区域を超えて行われる場合は、旧本店所在地を管轄する法務局に本店所在地の変更登記申請を行います。
また、支店のある会社が本店移転をした場合は、支店の所在地においても変更の登記をする必要があります。
支店移転
支店を移転する場合にも、支店移転の登記が必要です。
まずは2週間以内に、本店の所在地において支店移転の登記をします。さらに3週間以内に、支店の所在地において支店移転の登記を行います。
増資による資本金の変更
会社が株式を新たに発行し、発行した株式を引受ける人がお金を払うと、会社の資本金が増加します。このことを増資と言います。資本金や発行済株式の総数は登記事項となっているため、増資には変更登記が必要になります。
発行可能株式総数の変更
「発行可能株式総数」とは、会社が発行できる株式の総数です。株式の発行は発行可能株式総数を超えては行えません。よって、増資によって発行済株式総数が発行可能株式総数を超える場合、あらかじめ発行可能株式総数を増やすことが多いです。
発行可能株式総数は登記事項であるため、変更には登記が必要です。また、発行可能株式総数は定款の記載事項であるため、株主総会の特別決議によって定款を変更します。変更登記の申請は定款の変更後に行います。
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登記変更の手続き費用はどのくらいかかる?

法人の登記手続きには、その種類ごとに登録免許税がかかり、現金や収入印紙などで納めなくてはなりません。
変更登記申請にかかる費用
登記の種類ごとの登録免許税の金額は以下の通りです。
登記内容 | 登録免許税 |
資本金の増加の登記 | 増加した資本金の額の0.7% (3万円未満の場合は1件につき3万円) |
持分会社から株式会社への組織変更の登記 | 資本金の額の0.15% ただし、組織変更以前の資本金の額を超える額については0.7% (3万円未満の場合は1件につき3万円) |
支店の設置登記 | 支店1カ所につき6万円 |
本店または支店の移転の登記 | 本店または支店1カ所につき3万円 |
役員の変更の登記 | 1件につき3万円 (資本金の額が1億円以下の場合は1件につき1万円) |
商号の変更の登記 | 1件につき3万円 |
事業目的の変更の登記 | 1件につき3万円 |
支店における登記 | 1件につき9,000円 (登記が「取締役又は代表取締役若しくは監査役等に関する事項の変更」に該当するもののみであり、資本金の額が1億円以下の場合は1件につき6,000円) |
出典:国税庁「登録免許税の税額表」より筆者作成
なお、司法書士に登記の代行を依頼する場合は、別途司法書士への報酬が発生します。
登録免許税の納付方法
登録免許税を支払う方法には次の3つがあります。
現金で納付
登録免許税は現金での納付が原則です。金融機関または税務署の窓口で、登記の種類ごとに定められた額を納付し、その領収書を登記等の申請書に貼り付けて法務局の窓口に提出します。
収入印紙で納付
税額が3万円以下の場合には印紙納付ができます。金融機関などで登記の種類ごとに定められた額の収入印紙を購入し、「登録免許税納付用台紙」に貼り付けて登記申請書とともに法務局の窓口に提出します。
インターネットバンキング・ATMで納付
登記申請をオンラインで行う場合は、インターネットバンキングなどを利用して登録免許税を電子納付できます。
また、オンライン申請でも、登録免許税を現金または収入印紙で納付できます。その場合は、領収書または収入印紙を貼付した台紙を法務局の窓口に提出、もしくは郵送します。
登記変更の際に必要となる書類

ここでは、登記申請時に必要な書類を登記の種類ごとに解説します。
商号(会社名)変更
商号変更登記に必要な書類は以下の通りです。
- 商号変更登記申請書
- 商号変更による定款の変更を決議した株主総会議事録
- 株主リスト
事業目的の変更
- 事業目的変更登記申請書
- 事業目的変更による定款の変更を決議した株主総会議事録
- 株主リスト
役員の変更
役員の変更に関する手続きは、手続き内容によって必要書類が異なります。
住所移転・氏名変更
婚姻などによる役員の氏名変更、代表取締役の住所変更の申請に必要な書類は「株式会社役員変更登記申請書」のみで、添付書類は特に必要ありません。
婚姻によって氏名が変わった役員が登記上に旧姓の記録を希望する場合は、戸籍謄本などの旧姓を証明できる書類を添付します。
任期満了による役員の変更
株式会社の役員の任期満了や役員の辞任・就任に伴う変更登記申請に必要な書類は以下の通りです。
- 役員変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 定款
取締役会設置会社においては「取締役会議事録」が必要になります。
また、取締役会を設置していない会社で互選により代表取締役を選び、役員全員が再任する場合には「互選書」が必要になります。
役員の辞任・死亡により新たな役員が就任した場合
株式会社の役員の辞任や、死亡により新たな役員が就任した場合の変更登記申請に必要な書類は以下の通りです。
- 役員変更登記申請書
- 辞任届(辞任の場合)
- 死亡届(死亡の場合)
- 臨時株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書(新たに就任する役員の実印を押印)
- 新たに就任する役員の印鑑証明書
- 新たに就任する役員の本人確認書類
有限会社から株式会社への変更
有限会社から株式会社への組織変更(商号変更)には、以下の書類が必要になります。
- 特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記申請書
- 定款
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書(新たな役員が就任する場合のみ提出。役員の実印を押印)
- 新たに就任する役員の印鑑証明書
- 辞任届(辞任する役員がいる場合のみ提出)
- 印鑑届書
会社住所の変更
本店の移転、支店の移転の変更登記に必要な書類を解説します。
本店所在地の変更
本店所在地の変更に必要な書類は、以下の通りです。
- 本店移転登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録(取締役会のない会社は取締役決定書)
- 印鑑届書(管轄外移転の場合)
「取締役決定書」とは、取締役会を設置していない会社(取締役会非設置会社)で取締役が決定したことを証明する書類のことで、取締役会議事録に準じた書式で作成します。
支店移転の場合
支店を移転する場合の登記申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 支店移転登記申請書
- 取締役会議事録(取締役会のない会社は取締役決定書)
- 株主総会議事録(支店が定款に記載され,定款変更が必要なとき)
増資など資本金の変更
株式を新規に発行する増資の場合と、増資に関連して発行可能株式総数を変更する場合の登記に必要な書類を解説します。
増資の場合
募集株式発行(増資)の登記申請に必要な書類は以下の通りです。
- 株式会社変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録(取締役会のない会社は取締役決定書)
- 募集株式の引受けの申込みを証する書面
- 払込みがあったことを証する書面
- 資本金の額の計上に関する証明書
発行可能株式総数の変更
発行可能株式総数の変更の登記申請に必要な書類は以下の通りです。
- 株式会社変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録(取締役会のない会社は取締役決定書)
- 株主リスト
申請方法や流れを解説

最後に、法人の変更登記の申請方法と流れを解説します。
登記必要書類・登記申請書を準備
法人の変更登記にあたっては、最初に会社の内部で株主総会による決議などの手続きを行います。その上で登記申請に向けて必要な書類を準備します。
法務局に申請書を提出
登記申請書や必要な添付書類が揃ったら、会社の本店所在地の管轄法務局に申請書一式を提出します。申請書の提出方法には次の3つがあります。
法務局に直接書面で申請
管轄法務局の窓口に直接、法人の登記に必要な書類を提出する方法です。窓口に持参する以外に郵送も認められています。提出書類に不備があったときには、提出した法務局から連絡があります。その場合、指摘された箇所を補正(訂正)して、指定された期限内に持参または郵送により再提出します。
オンラインで申請
法務局が用意している登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)から、オンラインで登記申請ができます。
この申請方法では、専用ソフトをダウンロードし、そのソフトを使用して申請します。また、オンライン登記には電子署名が必要となるため、電子証明書の取得も必要です。
オンライン申請で不備がある場合には、登記・供託オンライン申請システムの「処理状況表示」画面の「補正」ボタンが表示されます。その場合の補正は、専用ソフト上で行うことができます。
QRコード(二次元バーコード)付き書面申請
「QRコード付き書面申請」とは、あらかじめオンラインで作成した申請書を登記所に送信し、その内容をQRコード付きの申請書として印刷して登記所に提出する申請方法です。
申請書を作成する際は、上述した登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)で申請用ソフトをインストールします。この方法では、電子証明書の取得は必要ありません。印刷した申請書は、管轄法務局へ持参または郵送で提出します。
変更登記の申請期限
会社の登記事項に変更が生じたときは2週間以内に、その変更登記を申請しなければなりません。期限後の申請も受理されますが、その場合は会社の代表者に対し100万円以下の罰金(過料)が科せられる可能性があります。
会社を県外に移転する場合は、移転先の地方銀行に口座を開設しよう
会社を移転する場合、移転の登記が必要になります。もし都道府県外に移転する場合は、移転先の地域の地方銀行に口座を開設しましょう。地方銀行はその地域に支店のネットワークがあり、担当者の顔が見える安心感があります。
福岡県に移転するなら、ワンストップで事業に関するさまざまなサービスが用意されている西日本シティ銀行に口座開設することをおすすめします。
まとめ
法人の登記には、法人の実態を公表することで取引の安全を図るという目的があります。そのため、登記事項に変更があった場合には、速やかに登記の変更手続きを行わなければなりません。決められた期限内に申請を済ませられるように、早めに必要書類を準備しましょう。
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- 登記
Writer
群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー
国内生保に法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。
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