
YouTube企業アカウントの運用は、集客や売上アップの手段として有効です。しかしYouTubeでの企業アカウント運営には注意点やリスクもあります。
YouTubeの企業アカウント運用を開始する前には、注意すべき点をしっかりと確認しておきましょう。
本記事ではYouTube企業アカウント運用の注意点を開設時・動画投稿時・トラブル防止のシチュエーションごとに解説します。
またYouTube企業アカウント運用のメリット・デメリットや、成功事例も紹介するため、参考にしてみてください。
YouTubeで企業アカウントを運用する企業が増えている

SNSの利用者が年々増加していることもあり、マーケティングの一環としてYouTubeでアカウントを運用する企業が増加しています。
国内のYouTube利用率は87.9%で、全ての年代で前年度の調査結果を上回っています。
とくに10代~40代の利用率は90%を超えており、若い世代の利用率が非常に高いです。
またYouTubeは、ほかのSNSと比較して高い利用率を誇ります。そのためYouTubeを活用することによって、より幅広い層のユーザーにアプローチできるでしょう。
YouTubeの企業アカウントを始める・開設するときの注意点

ここでは、YouTubeの企業アカウントを開始する段階で注意することを3つ紹介します。
- 企業として達成したい明確な目標を数値で設定する
- 企画立案者・編集者などのチームを編成し中長期的にチャンネルを運用できる体制を整える
- 結果がでるまで最低でも半年〜1年ほど時間がかかるため短期的な成果を求めない
それぞれ詳しく解説します。
企業として達成したい明確な目標を数値で設定する
企業アカウントの運用を開始する前に、明確な数値目標を設定しましょう。
たとえばYouTube企業アカウント運用の目的・ゴールの例は以下のとおりです。
- 投稿する動画の再生回数を増やして広告収入を狙う
- 自社ブランドの認知拡大を目指す
- 自社製品の売上アップを目指す など
目的・ゴールによって、以下のような項目の目標数値を設定します。
- 動画の再生回数
- 関連動画からの流入数
- 動画の総再生時間
- クリック数やクリック率 など
運用するアカウントのコンセプトが定まっていなければ、視聴回数は伸びません。
そのため運用の目的・ターゲット・投稿頻度・コンテンツの内容などを具体的に決定しておくことが重要です。
企画立案者・編集者などのチームを編成し中長期的にチャンネルを運用できる体制を整える
中長期的にYouTube企業アカウントを運用できる体制を整え、専門のチームを編成しましょう。
一つの動画を制作して投稿するまでにはたくさんの工程があり、多くの時間を要します。
そのため一人でやるよりもチームで役割を分担して取り組むことが重要です。
YouTubeに動画を投稿するまでには以下のような作業が必要です。
- 企画の決定
- 出演者や依頼する動画制作会社などを決定
- 動画の構成案の作成、修正
- 動画の撮影
- 音声の吹込み
- 動画の編集
- 動画の投稿準備
上記のような作業をこなすためには、ディレクター・カメラマン・編集者・出演者など多くの人材が必要です。
結果がでるまで最低でも半年〜1年ほど時間がかかるため短期的な成果を求めない
YouTube企業アカウント運用の成果はすぐには現れないことを理解しましょう。
短期的な結果を求めず、少なくとも半年~1年程度は根気よく動画の投稿を継続する必要があります。
そのため最初のうちはできるだけ多くの動画を制作して投稿しましょう。とはいえ、質の高い動画を投稿しなければ視聴者の心はつかめません。
また動画を公開したあとも分析し、改善すべき点があれば随時修正しながらチャンネルを運営することが大切です。
YouTubeの企業アカウントにて動画を投稿するときの注意点

ここではYouTubeの企業アカウントで動画を投稿するときの注意点を2つ紹介します。
- 認知を獲得するためのおもしろさを追求した動画ばかり制作しない
- 商品紹介などの営業動画ばかり制作しない
それぞれ詳しく解説します。
認知を獲得するためのおもしろさを追求した動画ばかり制作しない
ユーモアやインパクトを追及した動画ばかりを制作しないようにしましょう。
アカウント運用の担当者が面白い動画作りに走ってしまうと、個人アカウントのような動画のラインナップになります。
そうすると企業アカウントの当初のコンセプトから逸脱し、目標を達成できなくなってしまうでしょう。
しかし面白い動画を投稿することで多数の視聴者を獲得できます。視聴者が増えたあと、数回に一度は商品紹介などの動画を投稿して売上につなげましょう。
商品紹介などの営業動画ばかり制作しない
商品紹介などの営業要素を全面に押し出した動画ばかりを制作しないようにしましょう。
企業側の主張ばかりの営業動画は、視聴者にとって面白みに欠けたコンテンツです。
YouTubeの視聴者は面白い動画や生活に役立つ動画などを求めているため、営業動画ばかりでは離れていってしまいます。
そのため、視聴者の興味を惹きつけるようなエンターテインメント性の高い動画制作を心がけましょう。
YouTubeの企業アカウントにてトラブルを防ぐための注意点

ここではYouTubeの企業アカウントでのトラブルを防ぐための注意点を3つ紹介します。
トラブルに巻き込まれると企業の信用を損なってしまう可能性があるため、十分に注意しましょう。
- 特定の人物への攻撃やウケを狙いすぎる言動などで炎上する可能性がある
- 知らない間に著作権侵害をしないように事前にルールを確認する
- 誹謗中傷コメントへは法的手段など適切な対応をとる
それぞれ詳しく解説します。
特定の人物への攻撃やウケを狙いすぎる言動などで炎上する可能性がある
SNS運用でもっとも注意すべきことの一つが炎上です。特定の人物への攻撃・批判や、行き過ぎたウケ狙いのような内容を投稿しないように注意しましょう。
YouTubeで投稿した動画が炎上すると、瞬く間にほかのSNSなどに拡散して被害が拡大してしまいます。
とくに動画の内容が、性別・年齢・職業・国籍・宗教などによる差別にあたると批判され、炎上するケースが多いです。
企業のイメージ・信用を大きく損なう炎上を引き起こさないためにも、動画の内容は必ず複数人でチェックしましょう。
知らない間に著作権侵害をしないように事前にルールを確認する
著作権を侵害しないようにルールをしっかりと確認しておきましょう。
YouTubeは著作権侵害やYouTube規約違反の動画がないかを厳しくチェックしています。
過去には以下のような著作権侵害の事例がありました。
- 音源の無断使用
- 本の朗読やマンガのページ公開
- 人物やキャラクターの画像使用 など
著作権侵害やYouTubeの規約に違反した場合の処分は、動画の削除またはアカウントの利用停止です。
処分を受けるとせっかく積み上げてきた企業アカウントの成果が帳消しになってしまうため、注意しましょう。
誹謗中傷コメントへは法的手段など適切な対応をとる
誹謗中傷するようなコメントに対しては適切な対応をとりましょう。場合によっては法的な手段をとることも必要です。
誹謗中傷コメントは見た人を不快にします。さらに悪質なデマや誤った情報がコメント欄に書き込まれて拡散すると、深刻な悪影響を及ぼすかもしれません。
実際にコメント欄のデマが原因で商品の不買行動にまで発展したケースもあります。企業のイメージダウンを避けるためにも適切に対処しましょう。
YouTubeにて企業アカウントを運営するメリット

YouTubeで企業アカウントを運営するメリットは以下の3つです。
- 企業やサービスの認知度が上がり潜在顧客へのアプローチが期待できる
- 新卒・中途社員などの採用活動にもつながる
- YouTubeにおける広告収益も見込める
それぞれ詳しく解説します。
企業やサービスの認知度が上がり潜在顧客へのアプローチが期待できる
企業・ブランド・サービスの認知度が上がり、潜在的な顧客にアプローチできることがYouTube企業アカウントのメリットです。
YouTubeに投稿した動画はWeb検索の結果画面にも表示されます。
悩みを解決できる商品・サービスが見つかっていない方に対してアプローチできるため、そのまま購入につながる可能性があります。
また幅広い世代に利用されているYouTubeを活用することによって、新しい層の顧客からも注目されるかもしれません。
新卒・中途社員などの採用活動にもつながる
YouTubeで企業アカウントを運営すると、新卒・中途社員の採用にもつながります。
以下の理由から、YouTubeを活用した採用活動は効率的です。
- 多くの人にアプローチできる
- 志望者に対して多くの情報を届けられる
- 入社後のミスマッチを防げる など
動画をアップしたりライブ配信を行うことで、多くの方に向けて低コストで企業説明ができます。また社内の様子や社員のインタビュー動画を投稿することで、志望者が社内の雰囲気をつかんでイメージしやすいです。
YouTubeにおける広告収益も見込める
企業アカウントの運営によって広告収益も見込めます。
広告収益を得るための最小要件は以下のとおりです。
- 「チャンネル収益化ポリシー」をすべて遵守している
- YouTubeパートナープログラムが利用可能な国、地域に住んでいる
- コミュニティガイドラインの違反警告を受けていない
- 直近12ヶ月の動画総再生時間が4,000時間以上
- チャンネル登録者数が1,000人を超えている
- 広告掲載に必要なAdSenseアカウントを持っている
上記を満たしたアカウントは、広告収益化の申し込みが可能です。
参考:YouTube公式「YouTube パートナー プログラムの概要と利用資格」
YouTubeにて企業アカウントを運営するデメリット

YouTubeでの企業アカウントの運営には以下のようなデメリットもあります。
- 企画や撮影など公開までにかかる時間的な工数が大きい
- 炎上すると企業の信頼やブランド力が下がる危険性がある
- 再生回数や問い合わせ数UPなどの成果を出すためには専門的なスキルが必要
それぞれ詳しく解説します。
企画や撮影など公開までにかかる時間的な工数が大きい
動画の投稿までに長い時間を要することが、YouTube企業アカウントを運営するデメリットの一つです。
企画から撮影・編集などの多くの作業を経て、ようやく1本の動画を投稿できます。
Twitter・Instagramなどの企業アカウント運用と比較しても、YouTubeの動画投稿には手間と時間がかかるでしょう。
また、アカウント運用の成果が出るまでにも時間がかかります。数十本以上の動画を制作・投稿し、根気強く運用しなければなりません。
成果が出るまでに1年以上かかるケースもあります。
炎上すると企業の信頼やブランド力が下がる危険性がある
YouTubeの企業アカウント運営における最大のデメリットは、炎上のリスクです。
炎上すると企業の信頼性が損なわれたり、ブランド力が下がったりする危険性があります。
一度炎上してしまうと、イメージ・信頼を回復することは困難です。炎上を予防するためには社内でYouTube運用のルールを共有して、チェック体制を整えましょう。
また、いざというときに冷静に対応できるように、炎上時の対処マニュアルの作成も必要です。
再生回数や問い合わせ数UPなどの成果を出すためには専門的なスキルが必要
YouTube企業アカウントで再生数・問い合わせ数のアップなどの成果を出すためには、専門的なスキルが必要です。
具体的には以下のような専門的なスキルが求められます。
- 動画の構成
- カメラ操作、撮影
- 動画の編集
- マーケティング知識
- 視聴者の分析 など
社内にスキルを持った人材がいない場合は、動画の制作会社やコンサルタントに依頼することを検討してみましょう。
コストはかかりますが、その分効果も期待できます。
YouTubeの企業アカウントにおける注意点まとめ
YouTubeの企業アカウントで成果を出すには、中長期の明確な目標設定や、工夫を凝らした質の高い動画の投稿などが重要です。
またYouTubeの企業アカウント運用には、開設時・投稿時の注意点やトラブル防止のためのポイントがあります。
成功するためには、本記事で紹介した8つの注意点を意識して、YouTubeの企業アカウントを運用しましょう。
さらに最後に紹介した3企業のYouTubeアカウントの成功例も参考にしてみてください。