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電気自動車(EV)の税金はいくら?ガソリン車との税額の違いや優遇制度も要チェック

By 澤田 真里奈

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2022.12.23

電気自動車はガソリン車に比べて税金面で優遇されていますが、実際どの程度の税額になるのでしょうか。この記事では、電気自動車の税金や補助制度について紹介します。電気自動車の購入を検討している場合は、参考にしてみてください。

電気自動車にかかる税金は2種類

電気自動車には、自動車税と自動車重量税が発生します。この2つの税金はガソリン車も課税対象ですが、電気自動車の方が負担が軽減されやすい仕組みとなっています。

まずは電気自動車にかかる税金について、詳しく見ていきましょう。

自動車税

自動車税とは、4月1日時点で所有している車に対し課せられる税金です。毎年5月中に支払うのが原則となっています。

自動車税は車の排気量や用途によって税額が決まり、排気量の少ないエコな車ほど課税額が低いです。電気自動車は排気量ゼロのため、もっとも低い税額が適用されます。

具体的には、2019年(令和元年)10月1日以降に新車新規登録した場合、年額25,000円です。さらに、グリーン化特例という制度が適用されれば、初年度は年額6,500円まで減額されます。

出典:令和4(2022)年度自動車税(種別割)税率早見表

自動車重量税

自動車重量税は、車検などの際に自動車の重量に応じて支払う税金です。納税のタイミングは、初回は自動車の新規登録から3年後となり、その後は2年ごとの車検に伴い納めます。

税額は車両重量によって変わり、0.5トンごとに増額されます。新車新規登録時における自動車重量税の一覧は、以下のとおりです。


3年自家用

2年自家用

0.5トン以下

1万2,300円

8,200円

1.0トン以下

2万4,600円

1万6,400円

1.5トン以下

3万6,900円

2万4,600円

2.0トン以下

4万9,200円

3万2,800円

2.5トン以下

6万1,500円

4万1,000円

3.0トン以下

7万3,800円

4万9,200円

出典:令和3年度税制改正に伴う自動車重量税の税額の基本的な考え方(乗用車の場合)その1

なお、電気自動車を含む次世代自動車は、一定の条件を満たせば自動車重量税が減免されます。

【補足】環境性能割は非課税

電気自動車には課税されませんが、3輪以上の小型自動車・普通自動車を取得した場合、環境性能割といった税金がかかります。環境性能割は、2019年(令和元年)9月末で廃止された自動車取得税に代わる役割の制度です。

環境性能割は、燃費性能に応じて税額が決まります。燃費の良い車ほど税負担が軽減されるため、電気自動車やPHEV(プラグインハイブリッド自動車)は非課税なのです。

電気自動車の税制優遇・補助金制度

電気自動車には、複数の税制優遇措置があります。国は税負担を軽くすることで、次世代自動車の普及を推進しています。

ここではグリーン化特例やエコカー減税など、電気自動車に適用される税制優遇・補助金制度を見ていきましょう。

グリーン化特例

グリーン化特例は、車の排気量や燃費性能が優れた車が受けられる自動車税の軽減制度です。新車新規登録した翌年度のみ、自動車税が約75%軽減されます。2021年(令和3年)4月1日~2023年3月31日に新車新規登録を行った、次世代自動車が対象です。

例として2021年(令和3年)に登録した電気自動車なら、2022年度(令和4年度)の自動車税は6,500円になります。2023年度以降は、通常通り2万5,000円に戻ります。

出典:自動車関係税制について(エコカー減税、グリーン化特例等)

エコカー減税

エコカー減税は、車検の際に支払う自動車重量税を軽減する制度です。電気自動車とPHEV の場合、2021年(令和3年)5月から2023年4月30日までに新規取得した車が対象です。

制度が適用されると、車の取得時と初回継続車検時の自動車重量税が、それぞれ100%減税されます。つまり自動車重量税がかかるのは、車両を購入した5年後にある2回目の車検時からです。

なお、中古車であっても燃費基準を達成した車種であれば、エコカー減税の対象となります。

CEV補助金

CEV補助金は電気自動車などのエコカー取得や、充電設備の導入費用を補助する制度です。

CEV補助金はエコカーと充電設備で別々の予算があり、補助対象も異なります。それぞれの内容について紹介します。

出典:令和4年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」、「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」

クリーンエネルギー自動車導入促進補助金

補助対象となるのは、2022年(令和4年)11月8日~2023年2月17日に新車新規登録された以下の自動車です。

  • EV(電気自動車)

  • PHEV(プラグインハイブリッド自動車)

  • FCV(燃料電池自動車)

  • 超小型モビリティ

車両によって、補助上限額は以下のようになります。

EV

上限65万円(※軽電気自動車は上限45万円)

PHEV

上限45万円

FCV

上限230万円

超小型モビリティ

定額25万円(個人)、定額35万円(サービスユース)

なお、給電機能がある車両などは上限額が上乗せされます。

クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金

充電設備のようなエコカーの普及に欠かせないインフラ整備についても、補助金が用意されています。以下の工事費や整備費の一部に対し、補助金が出ます。

  • V2H充放電設備

  • 外部給電器

  • 水素ステーション

個人に関係するのは、V2H充放電設備と外部給電器です。それぞれの補助上限額は、以下のとおりです。


設備費

工事費

V2H充放電設備

上限75万円(補助率1/2)

上限40万円※個人(補助率10/10)

上限95万円※法人(補助率10/10)

外部給電器

上限50万円(補助率1/3)

地方自治体の補助金

地方自治体によっては、独自に補助金制度を設けています。

例えば、福岡市では「福岡市次世代自動車の普及促進(電気自動車等)補助金」があります。電気自動車やPHEVなどの購入費用に対する助成金です。車両タイプによって、以下の金額が補助されます。

EV

上限10万円

PHEV

上限5万円

FCV

上限60万円

出典:令和4年度福岡市次世代自動車の普及促進(電気自動車等)補助金

居住区の自治体で、電気自動車に関する補助金や助成制度があるか調べてみましょう。

今後導入されるかもしれない税金「走行距離課税」

まだ本格的な決定はされていませんが、現在「走行距離課税」といった新しい税金の導入が検討されています。

走行距離課税は今ある自動車税に変わる税金で、車の走行距離によって課税するものです。

従来の自動車税は排気量で税額が決まるため、電気自動車は税金がかかりません。しかし、走行距離課税になると、排気量に関わらず走行距離で税額が決まります。つまり、電気自動車でも税金負担が増えることが考えられるでしょう。

走行距離課税はまだ検討段階のため、今後どうなるか情報を随時チェックしていくのがおすすめです。

電気自動車・ガソリン車の維持コストを比較

電気自動車を所有する際に気になるのが「ガソリン車に比べてコストはどうなるのか」ということでしょう。

ガソリン車でかかる費用が電気自動車だと発生しない場合もあり、維持費は比較的抑えやすくなっています。車の維持費としてかかる5つのコストについて、ガソリン車と比べてみましょう。

燃料代

電気自動車は燃費が良いことで知られています。加えてガソリンよりも安い電気を燃料とするため、燃料代の負担が減ります。

国産車で人気の電気自動車「日産リーフ」をもとに、燃料代を考えてみましょう。

日産リーフの電費は5.1km/kWh~7.5km/kWhと公開されているため、ここでは間をとって6.0km/kWhとします。電力単価は全国家庭電気製品公正取引協議会を参考に、31円/kWhで考えます。

10,000kmを走行するために必要な電力は1666,66kWhとなるため、年間の電気料金は約51,666円です。

夜間の電気代が安くなるプランを利用して家で充電すれば、さらに安くなることが見込めます。

車検代

ガソリン車に比べると、電気自動車の車検は費用が抑えやすくなっています。

ガソリン車と電気自動車は構造が異なるため、車検でのチェック項目が変わってきます。電気自動車では以下の交換部品や検査項目が少なくなり、結果的に車検費用が抑えられるのです。

  • エンジンオイル

  • オイルエレメント

  • スパーグプラグ

  • エアフィルター

ただし、電気自動車の電動モーターが壊れると、高額な交換費用が必要になることもあるため注意しましょう。

税金

電気自動車の以下のような税金については、優遇制度があります。

  • 自動車税:グリーン化特例あり(6,500円~2万5,000円)

  • 自動車重量税:エコカー減税あり(最長5年間は非課税)

  • 環境性能割:非課税

電気自動車がこのような優遇を受けられるのは、燃費が良く環境に優しい車であるためです。ガソリン車の場合は単純に税額が増えるため、経済的負担は大きくなるでしょう。

保険

自動車の任意保険は、保障内容や等級によって保険料が変わります。したがって、ガソリン車や電気自動車という分類において、そこまで大きな違いは生まれません。

ただし、保険会社によっては、電気自動車向けのEV割引を設けています。従来の保険料から一定額が割引されるため、電気自動車ならではのお得な制度を活用できます。

電気自動車のメリット

電気自動車の普及は進んでいますが、実際どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、電気自動車を所有するメリットを3つ紹介します。

維持費が安い

電気自動車には、多くの優遇措置があります。グリーン化特例やエコカー減税により税金が軽減し、車両取得時も補助金のチャンスがあります。

ガソリン車に比べて燃料効率も良く、毎月のランニングコストにも違いが出るでしょう。

走行音が静か

自動車の走行音には、エンジンの仕組みが関係しています。ガソリン車は燃料と空気が着火し、その爆発で得られたエネルギーがタイヤの動力となります。爆発と燃焼により、ガソリン車ならではのエンジン音が出来上がるのです。

その一方で、電気自動車の動力は電気モーターの回転です。電気モーターの仕組み上大きな音を発しないため、走行音が静かになっています。

非常用電源になる

対応している車種と設備があれば、電気自動車側から電気を供給できます。災害時などに停電した場合、一時的に車の電力を使って賄うことが可能です。

実際に2019年(令和元年)の台風15号の際、停電があった千葉県内の地域で電気自動車から給電が行われました。自動車メーカー各社が地域を巡回し、個人宅や老人ホームなどへ給電したのです。

電気自動車のデメリット

メリットの多い電気自動車ですが、もちろんデメリットも存在します。所有してから後悔しないために、デメリットを考慮したうえで購入を検討するのがおすすめです。

ここでは電気自動車のデメリットを3つ紹介します。

燃料充電に時間がかかる

ガソリン車だと5分前後で給油できるのに対し、電気自動車は平均して数時間の充電時間がかかります。出力電流にもよりますが、6~14時間が充電時間の目安です。

とはいえ、自宅の充電設備を利用する場合は、大きな弊害にはならないでしょう。仮に6時間の充電時間がかかるとしても、就寝中に充電は完了します。ガソリンスタンドのようにわざわざ給油に行くわけではないため、帰宅後の習慣として慣れるでしょう。

なお、サービスエリアやカーディーラーにある急速充電設備の場合は約30分で完了します。

充電設備が必要になる

電気自動車には、専用の充電設備が必要です。充電スタンドの設置が徐々に進んでいるものの、近くに充電スタンドがない地域もまだ多くあります。電気自動車の充電時間や充電スタンドの利便性を考えると、自宅に充電設備を設置するのがおすすめです。

戸建てに住んでいる場合は充電設備を設置しやすいですが、賃貸住宅などの場合は大家や管理会社への相談が必須です。自分の住んでいる環境によっては、電気自動車の充電がネックとなる可能性があるでしょう。

車両価格が高い

ガソリン車に比べ、電気自動車の価格は高めです。例として、比較的低価格帯である国産車の価格を見てみましょう。

  • 日産リーフ:約370万~約480万円

  • 日産サクラ(軽):約230万円~

ガソリン車の場合100万円台からの車種もあるため、電気自動車は割高感が否めません。

とはいえ、CEV補助金を使えば購入費の負担を軽減できます。初期費用だけでなく、長期的なコストを見て決めることも大切です。

まとめ

電気自動車は自動車税と自動車重量税が掛かりますが、さまざまな優遇措置が用意されています。グリーン化特例やエコカー減税によって税金を軽減し、CEV補助金により購入初期費用を抑えることが可能です。

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