「飲食店とお客さまの架け橋に」をスローガンに掲げて、オールインワンレジシステム「Mmenu(エムメニュー)」を全国の飲食店に提供する株式会社Mmenu Japan。代表の中島翔さんは、国内外の金融業界を経験した後、独立し2社経営している中、前職の同僚の、ベトナムの知人と意気投合し、2023年にこの会社を立ち上げました。ご自身のユニークなキャリアから起業に至る経緯、サービスの詳細まで伺いました。
■プロフィール
株式会社Mmenu Japan
代表取締役 中島翔さん
福岡市出身。福岡大学に進学し、1年次に1年間オーストリアで野球留学。大学卒業後、銀行、証券会社、暗号資産(仮想通貨)取引所、ベンチャーキャピタルを経て、2020年に福岡へUターン。2社を経営しつつ、さらに2023年2月に株式会社Mmenu Japanを設立。
大学生のときに株を始めて、トレーダーを目指す
――まずはMmenu Japanがどんな会社なのか教えてください。
中島:オールインワンレジシステムMmenuを開発し、日本で展開する会社です。もともと開発チームはベトナムにあり、2022年にサービスの提供を始めて、今では800店舗以上で導入されています。日本法人は2023年2月に設立し、4月にサービスをリリースしました。
――中島さんはIT業界や飲食業界で働いていたのでしょうか?
中島:いえ、私は金融業界の出身です。大学2年生のときにゼミで、証券会社のデモ口座を使って100万円を元手にバーチャルで株式投資を体験することになりました。しかし、デモでは面白くないと思い、自分の資金の100万円を使ってリアルに資産運用を始めました。そしてすぐにFXに変えたら1日で全額を失ってしまって…。アルバイトでお金を貯め直し、本やニュースを見て独学で知識を身につけて、2年生の終わり頃には軌道に乗りました。
――大学生の頃から金融に詳しかったのですね。
中島:それで将来はトレーダーになりたいと思い、まずは福岡銀行に入行して証券アナリストの資格を取得しました。それからあおぞら銀行を経て三菱UFJモルガン・スタンレー証券に転職し、念願のトレーダーに。さらに当時では日本トップクラスであった暗号資産(仮想通貨)取引所のCoincheck、そしてニューヨークのベンチャーキャピタルで働き、2020年33歳のとき心機一転しようと地元の福岡に戻ってきました。それまでやっていたトレーディングや資産運用等の記事執筆や雑誌のコラムを連載するような仕事や、金融に関するグループの運営、不動産投資等などを行い、2社を経営していました。
ベトナムで開発したPOSレジシステムをリーズナブルに提供
――Mmenu Japanを設立された経緯を教えてください。
中島:Japanの前に、まずベトナムの法人を設立しました。私がCoincheckで働いているとき、同じチームにとても優秀なベトナム人のエンジニアがいました。彼がGoogleに転職後に独立しても、連絡を取り合っていました。その中で、飲食店で使えるPOSレジのシステムを作ろうという話になり、2022年にベトナムのハノイでMmenuのベトナム法人が立ち上がり2023年2月に日本法人のMmenu Japanを設立しました。
――Mmenuは具体的にどのようなサービスでしょうか?
中島:Mmenuは、システムが苦手な飲食店の方でも手軽に簡単に利用できるオールインワンのレジシステムです。
お客さまが利用される機能としては、オーダーと決済機能があります。入店したお客さまは自分のスマートフォンでQRコードかMmenuタグを読み込み、表示されたメニューを見て自分でオーダーし、テーブルでキャッシュレス決済まで完結できます。もちろん現金での決済も可能です。一方、飲食店のスタッフにとっては、お客さまからオーダーを受ける手間がなく、その他の接客に集中することができます。
飲食店にとっては、スタッフ・予約・顧客情報・複数店舗の管理、売上や顧客分析、各種レポートの作成までこれ1つでできるので、とても便利です。
――いろいろなレジシステムがある中で、Mmenuの強みはどんなところでしょうか?
中島:「お店のファンを作る」ことを目指して開発しており、機能面で面白い機能があります。例えば1つは「スタッフエール」で、お客さまが頑張っているスタッフを「投げ銭」で応援できる機能を導入しています。海外でいうチップのようなものです。スタッフのやる気が高まり、お客さまにとってより良い接客が実現し、スタッフエールのシステムに魅力を感じて店で働きたいアルバイトが増えたという話も聞いています。お店・スタッフ・お客さまの三方が幸せになれる機能だと思います。
お客さまがスマートフォンから注文する場合はLINE友だちになるので、お店とお客さまがつながって、やり取りをすることができます。お店にとっては、お客さまが何回来店されているかというような情報が分かるので、「いつもありがとうございます」とお客さまに合わせて丁寧な接客ができます。
また、MmenuではAI機能を搭載し、外国語でメニューの説明を表示できます。メニュー名と料理の写真を入れるだけで、6つの言語で説明文を自動作成する機能があるので、インバウンドのお客さまが来店されたときに重宝されています。
――システムはベトナムで開発されているのでしょうか?
中島:はい、そうです。ベトナムでトップレベルの大学を卒業した優秀なエンジニアが多数働いていて、お客さまの声をフィードバックすると、すぐに反映してくれます。エンジニアが優秀なのに日本に比べて人件費が安いので、日本でサービスを展開するときに価格を抑えられるというメリットもあります。
当社は月額9,500円~で導入いただけますが、同じようなサービスを提供する中堅の企業は月額が4倍以上で、初期費用も数倍かかるようなところもあります。ただし価格については今後見直しする予定にはなっています。
福岡からユニークなレジシステムを全国に広げたい
――現在はどのような状況ですか?
中島:Mmenuはベトナムでリリースして1年間で150店舗以上に導入いただき、3年目の今は800店舗以上に拡大しています。ベトナム法人の社員は50人を超え、そのうちエンジニアが半数以上です。
日本法人では2023年4月にリリースを出して、今は約40店舗弱の導入が終わり、契約ベースでは100店舗ほどに達しました。導入頂いている店舗様のエリアは北海道から沖縄まで広く、特に大阪と東京、福岡が中心になっています。スタッフは6人になりました。
――順調に広がっていますね。福岡市で創業したメリットはありますか?
中島:一般的に福岡の飲食マーケットは入りにくいと言われますが、私が地元出身なので受け入れてもらいやすい気がしています。ある会社のアンケートで全国の人に行きつけの飲食店を聞いた結果、チェーン店が上位に入っていないのが唯一福岡でした。福岡の人は個人の飲食店が好きで、全国的にみてホスピタリティのレベルも高いと感じています。そんな福岡発で、お店を支えてファンを増やすMmenuを広げていけることに大きなやりがいがあります。
――今後の展開について聞かせてください。
中島:まず日本については九州に思い入れが強いこともあり、九州を中心に拡大を図っていきたいと考えています。世界の市場ではタイに法人を設立準備中で、当面は東南アジアに展開していく予定です。日本法人では、ありがたいことに大手飲料メーカーや大手酒販メーカー、海外展開する飲食店のオーナーさんとご縁があり、応援してくれています。他のレジにはない、ドキドキワクワクする演出ができる機能もいくつか開発しているところです。全国の飲食店のお役に立てるように、これからも全力でMmenuを日本国内に広げていきます。
株式会社Mmenu Japanについて
お知らせ
▷Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。
▷福岡市と北九州市には創業期のお客さまをサポートする専門拠点『NCB創業応援サロン』を設置していますので、こちらにもお気軽にお越しください。
[NCB創業応援サロン福岡]
福岡市中央区天神2-5-28 大名支店ビル7階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
[NCB創業応援サロン北九州]
北九州市小倉北区鍛冶町1-5-1 西日本FH北九州ビル5階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-055-817
◎コワーキング施設「The Company DAIMYO」
フリーライター・エディター
福岡市出身。九州大学教育学部を卒業、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人をはじめ数千人を取材。2児の母。