
中小企業等が設備投資につかえる補助金のうち、特に注目度の高い補助金に「中小企業新事業進出補助金」(以下、新事業進出補助金)が挙げられます。
令和6年度補正予算で新設された補助金のひとつで、新規事業への挑戦を目指す中小企業等の設備投資を支援する制度です。
そこでこの記事では、今後の公募開始に向けて、「新事業進出補助金」の概要を解説します。
※記事内容は、令和7年4月30日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
中小企業新事業進出補助金とは

出典:中小企業庁 中小企業新事業進出促進事業
新規事業への進出により、 企業の成長・拡大を図る中小企業等の設備投資を支援する制度です。中小企業・小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援する目的で既存基金を活用して令和6年度補正予算に1,500億円を計上して新設された補助金です。
補助対象者
本補助金の補助対象者は、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等です。
中小企業基本法における中小企業の定義は、以下のとおりです。

出典:中小企業庁 中小企業・小規模企業者の定義
※中小企業の定義は、中小企業政策における基本的な政策対象の範囲を定めた「原則」であり、法律や制度によって「中小企業」として扱われている範囲が異なることがあります。
同様に、小規模事業者の定義は、以下のとおりです。

出典:中小企業庁 中小企業・小規模企業者の定義
※「商業」とは、卸売業・小売業を指します。
※商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(小規模事業者支援法)、中小企業信用保険法、小規模企業共済法の3法においては、政令により宿泊業及び娯楽業を営む従業員20人以下の事業者を小規模企業としております。政令の具体的な内容については、以下をご参照ください。
参照:中小企業庁 小規模企業の範囲を弾力化する政令を制定しました
参照:中小企業新事業進出補助金
補助上限額・補助率
補助上限額・補助率は、次のとおりです。

なお、収益納付は不要です。収益納付とは、補助金の交付を受けて行う事業の結果によって収益が生じた場合には、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部に相当する額を国庫に返納する制度です。
補助金によってはこの収益納付を義務付けるものもありますが、新事業進出補助金においては不要となっています。
参照:中小企業新事業進出補助金
基本要件
本補助金の申請時に満たすべき基本要件は、次のとおりです。
中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業(※)への挑戦を行い、
(※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること)
- 付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。
上記のうち、2. 3. が未達の場合、未達成率に応じた補助金の返還が必要となりますのでご注意ください。
ただし、付加価値が増加してないかつ企業全体として営業利益が赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還免除となります。
参照:中小企業新事業進出補助金
補助対象経費
補助対象経費は、次のとおりです。
・建物費
・機械装置、システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウド サービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝、販売促進費
参照:中小企業新事業進出補助金
公募スケジュール
本補助金の公募スケジュールは4月30日時点で以下のようになっています。
公募要領公開:令和7年4月22日(火)
申請受付開始:令和7年6月頃(予定)
公募締め切り:令和7年7月10日(木)18:00まで
令和8年度末までに公募回数 4回程度、採択予定件数 計6,000件程度を予定しています。
なお、申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要となります。現時点で取得未了の方は、あらかじめGビズIDプライムアカウント取得手続きを行ってください。
参照:GビズID

出典:中小企業新事業進出補助金 チラシ
申請を含めた事業全体のスキームは、上図のとおりです。
新規事業の検討や計画策定の後、申請を行います。
その後、交付申請を行って交付決定となった後に、補助額決定となります。
補助事業期間
補助事業期間は、交付決定日から14か月以内となります。
ただし、採択発表日から16か月以内です。
参照:中小企業新事業進出補助金
まとめ
この記事では、新規事業への挑戦を目指す中小企業等の設備投資を支援する「新事業進出補助金」制度について解説しました。
今後、これらの設備投資をご検討される際は、ぜひ本補助金の活用も併せてご検討ください。
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株式会社Stayway 代表取締役CEO 公認会計士
東京大学経済学部卒業 / 公認会計士及び経営革新等支援機関デロイト トウシュ トーマツ出身。東京及びシアトルにおいて、IPO支援に従事したのち、香港本社のPEファンド・経営コンサルティングファームに勤務。「中小企業や地域のポテンシャルを開放」するため、2017年株式会社Staywayを創業。
※本記事の監修者です。