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「NFT」って?これから始める人向けに仕組みや注目される理由について解説!

By 松田 聡子

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公開日 2022.01.28
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2021年(令和3年)以降、「NFT」という言葉を目にするようになりました。NFTを採用する企業も増え、将来的に誰もが利用するといわれています。その一方でNFTとはどのようなものか、馴染みのない人も多いのではないでしょうか。本記事では、NFTの基礎知識と活用法について解説します。

NFTとは?

NFT(Non-Fungible Token)とは、「改ざんできない証明書が付いたデジタルデータ」のことです。
ノンファンジブル(Non-Fungible)とは「代替できない」という意味で、トークン(Token)とは交換対象を限定した引換券のようなイメージです。
NFTはブロックチェーン上に発行されることにより、デジタルデータでありながら固有の価値が担保されます。
このNFTの技術はデジタルアートだけでなく、ゲームや不動産などさまざまな分野で活用が見込まれています。

ブロックチェーンとは?

NFTの基幹となるブロックチェーンとは、仮想通貨の仕組みを支える技術のことです。ブロックチェーンは取引を記録するデータベースの一種のようなもので、以下のような特徴を持っています。

  • データの改ざんができない
  • システムダウンが起きない
  • 取引の記録を消せない

そのため、きわめて安全にデータを記録できる技術であるといえます。

仮想通貨とNFTの違い

同じトークンでも、仮想通貨は代替可能なFT(Fungible Token)の一種です。
仮想通貨の価値は法定通貨と同様に、誰が持っても変わりません。自分の持っている1万円札と、他人の持つ1万円札の価値は同じです。
一方、日付と座席番号が入ったコンサートチケットなどには、同じものは存在しません。ブロックチェーン上のトークンで1万円札にあたるものが仮想通貨、コンサートチケットのようなものがNFTと考えられます。

NFT化できるコンテンツ

NFTと関連付けられるコンテンツには、さまざまな種類があります。現在、主に以下のようなコンテンツがNFT化されています。

  • デジタルアート
  • 音楽
  • ゲームのキャラクター・アイテム
  • 漫画
  • トレーディングカード
  • 会員権

NFTの仕組み

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NFTは、デジタルコンテンツに現物と同じような価値をもたらすものです。なぜ、そのようなことが可能なのか、NFTの仕組みを解説します。

ブロックチェーンにより唯一性が証明される

NFTはブロックチェーン上で構築されているため、デジタルデータに対して「オリジナルである」という証明を付与できます。
NFTは、デジタルデータに対する鑑定書のような役割を持つというわけです。たとえデータであっても現物の絵画や彫刻などと同じように、オリジナルとコピーは別物であるという概念が生じます。NFTに紐づけられたデジタルデータは、複製や改ざんができない一点ものということです。

自由な取引が可能

NFTの所有者は、仮想通貨と同様に自由な取引が可能です。NFTの所有者の変動はブロックチェーン上で記録され、購入者の権利はNFTによって証明されるためです。ブロックチェーン上には権利の移転の履歴が残り、偽造や改ざんはできません。NFTには、登記のような役割もあるというわけです。

付加機能をデータに持たせられる

NFTは、さまざまな付加機能をデータにプログラムできます。この仕組みは「コンテンツが流通する際に、取引代金の一部をオリジナルの作者に支払う」などの機能の付与に利用されています。
現物の絵画などには、転売時に作者に利益が還元される仕組みはありません。しかし、NFTに紐づいたデジタルコンテンツであれば、これまでになかった収益性の組み込みが可能です。

共通規格が用いられる

現在、この機能の実現のためにNFTの多くは、イーサリアムというブロックチェーン上で発行されています。イーサリアムは共通の規格が用いられているため、その規格に準じるマーケットであれば自由に取引ができます。

誰でも作成可能

NFTのコンテンツは特定の企業やアーティストだけでなく、誰でも作ることができます。実際に子どもの描いた絵が、NFTで高額取引された事例も話題になりました。誰でも自作のコンテンツを作成して、販売できます。

NFTが注目される理由

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NFTの高額取引の話題が増えましたが、なぜ注目されるのでしょうか。その理由を解説します。

デジタルデータの固有の価値が証明できるため

NFTによってオリジナルのデジタルデータの価値が認識され、所有したい人が増えました。現物の絵画であれば、オリジナルとコピーの価値の違いは誰にでもわかります。しかし、デジタルアートは簡単にコピーできるため、オリジナルとコピーの識別は困難でした。NFTはデジタルアートの鑑定書の役割を果たし、オリジナルの価値を対外的に証明できるようになったのです。

仮想通貨市場が活発になり、さらなる投資先を求める人がいたため

2020年(令和2年)から2021年(令和3年)にかけて、仮想通貨の取引が活発になりました。仮想通貨の高騰により、資産価値を持つデジタルデータへの投資の可能性を探る投資家が現れたのです。その結果、仮想通貨と同じブロックチェーン技術をベースとするNFTの高額取引が行われるようになりました。

あらゆる分野のデジタル化が期待できるため

NFTによって、あらゆる分野のデジタル化が進むと期待されています。
NFTの代替不可能という特徴は、デジタルデータ以外の価値の証明にも利用できるからです。
たとえば、不動産の所有権の証明をブロックチェーンの利用で簡略化する利用法などが考えられます。デジタルデータに限らず、権利のような無形の資産の価値の証明にも応用できるというわけです。NFTによるさまざまな分野のデジタル化は、これからの生活に大きな変化をもたらすでしょう。

デジタルコンテンツの収益化が紹介されるようになったため

NFTのデジタルアートの高額取引事例がメディアなどで取り上げられ、アーティストが今までになかった収益機会を求めるようになりました。価値があると認められたNFTのデジタルコンテンツは、高額で取引されます。また、NFTのマーケットで転売された際にも、作者に取引代金の一部が還元される仕組みも作れます。現物のアート作品にはない収益化の仕組みが、アーティストの注目を集めました。

NFTでの収益方法

ここでは、NFTでの収益を得る方法をご紹介します。
(※記載するのはあくまで紹介であり収益を保証するものではありません)

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NFTをマーケットプレイス(プラットフォーム)で売買して売却益を得る

NFTの投資方法の1つにNFTをマーケットプレイスで購入して、購入価格より高値で売却する方法があります。NFTの唯一無二の価値に魅力を感じる人は多く、値上がりするケースは少なくありません。一般的にNFTの取引では法定通貨は用いられず、仮想通貨が使用されます。そのため、仮想通貨の価格変動によって値上がり益が得られる場合もあります。

NFTを購入する方法

NFTのデジタル資産を購入する方法は次のとおりです。

  1. NFTのデジタルコンテンツが流通しているマーケットプレイスに、アカウントを作成
  2. 仮想通貨の口座がない場合、取引所に口座開設
  3. ウォレットを作成し、仮想通貨を入金
  4. マーケットプレイスでNFTのコンテンツを購入

ウォレットとは、仮想通貨を管理するツールです。NFTのマーケットプレイスで仮想通貨を使用するには、ウォレットが必要となります。
仮想通貨の取引所で購入した仮想通貨をウォレットに入金し、ウォレットからNFTの代金を支払います。

自分のコンテンツをマーケットプレイスに出品する

2つ目の方法は、自分でNFTをマーケットプレイスに出品して販売する方法です。自作のデジタルアートや音楽をNFTに紐づけて出品し、買い手が付けば売却益を手にできます。また、第三者に依頼して作成されたコンテンツを、マーケットプレイスで販売できます。

NFTを販売する方法

自分でNFTを出品し、販売する方法は以下のとおりです。

  1. 出品するデジタルコンテンツを用意
  2. マーケットプレイスでコンテンツの情報や取引条件を入力
  3. NFTとデジタルコンテンツを紐づけて、マーケットプレイスにアップロード
  4. 作品が売れるとマーケットプレイスの取引履歴に記録され、ウォレットに代金が入金される

NFT関連の仮想通貨に投資する

NFTに関連する仮想通貨はNFTの高騰に連動して、価格が上昇傾向にあります。これらの銘柄を取得し、値上がり益を狙うのも手軽にNFTに投資するやり方といえます。

NFTのリスクや課題

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NFTは多くの可能性を秘めた魅力的な仕組みですが、注意すべき点もあります。今後の普及や発展に向けてのリスクや課題を解説します。

デジタルコンテンツの著作権の証明が困難

NFTはデータの唯一性を証明しますが、その出品者が著作権者である証明はできません。NFTは誰でも発行できるため、著作権のないデジタルデータが流通してしまう可能性もあるのです。
たとえば、自分以外の画家の絵画を模倣したデジタルアートをNFTコンテンツとして販売する行為は、著作権侵害にあたります。しかし、模倣された作品がそれほど有名でなければ、購入した人は著作権侵害であるかがわかりません。現状、このような問題を規制する法律がないため、購入者が不利益を被る可能性を知っておいたほうがよいでしょう。

デジタルデータ自体はコピー可能

ブロックチェーン上で発行されるNFTはコピーできませんが、デジタルデータは可能です。また、NFTに紐づくデジタルデータのコピーは、違法ではありません。そのため、NFTを購入しても、そのコンテンツの著作権や所有権を取得したわけではないという説もあります。NFTの法的な位置づけは明確でなく、早急に解決すべき問題と言えそうです。

マネーロンダリングに利用されるリスクも

NFTはマネーロンダリングの規制対象とはなっておらず、マーケットプレイスが不正取引の温床となるリスクがあります。マーケットプレイスでは、NFTの取引を通じて高額な仮想通貨のやり取りが可能です。NFTのマーケットプレイスには誰でも参入できるため、マネーロンダリングなどの不正な資金移動に利用される可能性が否定できません。

手数料が高い

NFTの取引で生じる、ガス代(Gas)という手数料の高騰が問題になっています。ガス代(Gas)は取引量が増えるほど高額になるためです。出品した作品が売れたとしても低価格であれば、ガス代(Gas)の負担で費用倒れになる場合もあります。また、手ごろな値段で購入したコンテンツでも、ガス代(Gas)のために割高な買い物になることもあるというわけです。問題解決として、オフチェーンという仕組みで手数料が発生しないマーケットプレイスも登場しています。

NFTの今後の展望

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NFTの歴史は始まったばかりですが、多くの可能性を秘め、将来性に期待が高まっています。最後にNFTの将来的な見通しについて解説します。

取引市場の拡大

NFTの市場は新たなビジネスチャンスを求めるアーティストや企業や投資家により、一層拡大していくと考えられます。最近では、大企業のマーケットプレイス事業への参画や業務提携などのニュースも耳にします。大資本の参入により、市場拡大はますます加速するでしょう。

コロナ禍でデジタル化が加速し、NFTのニーズが高まる

NFTは、主にデジタルコンテンツマーケットの拡大だけでなく、ほかのビジネス分野での活用が推進されています。その要因の1つとして、コロナ禍による急速なデジタル化があります。デジタル化を進める動きは、コロナ終息後も続くとの予想が主流です。その中で、NFTの代替不可能性を活用した本人確認などの実用化が期待されています。NFTのビジネス分野での展開は、ビジネスの簡素化や効率化に役立つでしょう。

知的財産が豊富な日本に追い風

NFTの市場拡大は、漫画・ゲーム・アニメなどの知的財産に強みを持つ日本にも大きなチャンスがあるといわれています。世界的な資産の流れは、NFTの登場以前にも実物から無形資産へ向かっていました。しかし、日本においては、豊富な知的財産の資産価値をうまく活かしてきたとはいえません。NFTは日本にある優良なコンテンツの、資産としての流動化に貢献するでしょう。

NFT関連の仮想通貨が高騰する可能性

NFTのマーケットプレイスでの取引の拡大は、決済通貨となる仮想通貨の市場にも影響を及ぼすと考えられます。NFTの流通量が増加すれば、仮想通貨の取引量も比例するからです。NFTのマーケットが長期的に拡大していくと、仮想通貨の関連銘柄も価格の上昇が期待できます。

まとめ

歴史の浅いNFTですが、瞬く間に市場を拡大してきました。NFTの広がりは一過性のものではなく、課題の解消により趣味の分野からビジネスまで発展していくと考えられています。

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