業界・業種の垣根を越えたスタートアップ企業と地場企業の「価値共創」を目的とした、オープンイノベーション型のビジネスコンテスト「西日本FHビジネスコンテスト OPEN INNOVATION HUB 」。2021年秋から第2回目のエントリーと選考が始まり、いよいよ2022年3月11日に最終選考会を迎えます。今回は最終選考に残った10社の皆さんに、応募したビジネスモデルやそのビジネスにかける想いを伺いました。
■提案者プロフィール 株式会社ParaLux CEO/CTO 村田里史さん 1992年山口県生まれ。九州工業大学工学部卒、九州工業大学工学府先端機能システム工学専攻で修士号を取得。2016年に三菱電機株式会社に入社し、3年後にフリーランスとして独立。WEB系の開発を行いながら、複数企業のCTOを経て2019年に福岡県で株式会社ParaLuxを設立した。
アプリでオリジナルの結婚式を ――ビジネスコンテストに提出された事業内容についてお聞かせください。
村田: これから結婚式を挙げようというカップルが、ウエディング(結婚式)をセルフプロデュースできるアプリ「ブラプラ-BRAPLA」です。カップルとフリーランスのウェディングプランナーさん、フォトグラファーさんなどのクリエイターたちをAIでマッチングしてチームをつくります。
「自分たちだけの結婚式を挙げたい」という想いは、どのカップルにもあるかと思います。でも、基本的にカップルは結婚式のプロではないので、自分たちだけでオリジナルの結婚式をつくりあげるのはハードルが高い。「キャンプが好きだからキャンプ場で」「海で出会ったからビーチで」という要望は、一般的なウェディング業者では叶えられません。でも、フリーランスのウェディングプランナーにはそれを実現するためのノウハウやコネクションがある。そこを「ブラプラ-BRAPLA」でつなぐことができます。
村田: 「ブラプラ-BRAPLA」の仕組みは、結婚式を支えるクリエイターや会場のロケーションにとってもメリットがあります。クリエイターとして素晴らしいウェディングを演出できる方でも、SNSを使った集客は苦手というケースが非常に多い。そんなクリエイターさんやロケーションとカップルをおつなぎすることができる。
それに、クリエイターさん同士のマッチングも効果的です。プランナーさんが「こんな結婚式をプロデュースしています」とアピールしているものをフォトグラファーさんが見て、「このウェディングなら、自分の写真でお手伝いできる」とコンタクトを取って、新しいチームが誕生するわけです。
あとはシステム面のメリットとして、「ブラプラ-BRAPLA」では結婚式を行う際の顧客管理や入出金に関するツールも持っています。席次表の作成やスケジュール管理など、フリーランスのウェディングプランナーさんにとって役に立つ機能です。データや書類のデジタル化、それらの一元化が進んでいないクリエイターさんも多いので、喜んでいただいています。
「ブラプラ-BRAPLA」は2021年5月15日にサービスをリリースしまして、すでに結婚式を挙げたカップルもいらっしゃいます。登録しているクリエイターは30人以上です。ウェディング関係のウェブサービスでいうと、掲載数ではナンバー1となっています。
――今回のビジネスプランの構築に至ったきっかけをお聞かせください。
村田: 前職に勤務しているときに、ちょうど年代的に結婚する友人が多く、結婚式に参列する機会が多くありました。友人の結婚式だから楽しいんですが、回数を重ねていくと「式自体は、あまり面白くない」ってことに気づいてしまうんですよね。自分が結婚式をするなら、同じような式はやりたくない。海外ドラマや映画にあるようなオリジナリティのある式をしたいと思いました。でも、日本でそれを実現するにはどうすればいいんだろう?って一生懸命調べて、フリーランスのウェディングプランナーさんという存在を知りました。でも、例えば福岡のプランナーさんをウェブで検索してもほとんど出てこない。SNSで探そうとしても、なかなか必要な情報までたどり着きません。
じゃあ、そういうサービスを自分で作ってしまえばいいじゃないか。これが、起業してParaLuxを立ち上げた直接の動機でした。
従来式から解放し、結婚式の再定義 ――今回のビジネスプランで、どのような社会を実現していきたいですか?
村田: 「結婚式」を従来の枠から解放して、家族やカップルが楽しめるパーティ、イベントという形に再定義したいと思います。
今、日本は若年人口が減少しているので、結婚式のマーケットは縮小しているという見方はできます。ですが、年間結婚する60万組のカップルのなかで、結婚式を挙げる割合はおよそ50%。このおよそ30万組のカップルって、どんどん積みあがっていくんですよ。そういうカップルや家族を取り込んでいきたい。
例えば「授かり婚で結婚式ができなかった」という夫婦がいたとします。彼らが、子どもがある程度大きくなってから改めてオリジナルのパーティをやって仲のいい友人を招いて、みんなでプロのフォトグラファーに写真を撮ってもらう。これは一般の結婚式場では対応してもらうのは難しいかもしれませんが、「ブラプラ-BRAPLA」なら希望通りオリジナルのパーティや写真撮影をすることができるわけです。
それに、実はフリーランスのウェディングプランナーさんにお願いして式をやっていただくほうが、一般的な結婚式よりもコストパフォーマンスが高いんですよ。「オリジナルだと高いのでは」と思う方も多いですが、実際は逆なんです。
――今後ご一緒したい企業があればお聞かせください。またその企業とどのような事業をしていきたいのかもお聞かせください。
村田: 式の会場、ロケーションですね。レストランや庭園、ビーチなど。ウェディングプランナーさんは、やはりロケーション探しに一番苦労するんです。それと、そういうロケーションにパーティ用のフードを提供できるケータリングのサービスをやっている企業さん、業者さんと連携していきたいですね。
それと、金融機関です。結婚は新しい人生のスタートですが、それまでにはなかった大きな出費が始まるタイミングでもあります。子どもさんが生まれれば教育費、家やマンション、自動車を買えばローンが必要になります。そこのサポートを少しでもできるように、ブライダルローンも含めて提携させていただければと思っています。
オリジナルの結婚式を挙げようとすると、一般的なものよりさらに費用がかかるものだと思っていました。一番の思い出もしくは両親への恩返しのためなど、オリジナルなものを望む方も多いのではないでしょうか。「ブラプラ-BRAPLA」の普及によってこれまで手間と考えられていたものが解消されれば、さらに市場も活気づいていくかもしれません。 (文:深水央)
お知らせ 「第2回西日本FHビジネスコンテスト OPEN INNOVATION HUB」最終選考会の様子は3月11日(金)13時より、以下YouTubeよりオンライン配信されます。さらに詳しい株式会社ParaLuxのプレゼンの様子、ぜひご覧ください。
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