インタビュー

プロを目指した野球の世界から旅の記録アプリ「Packer(パッカー)」で起業!|Calm world 勝井嵐史さん

By 山本佳世

|
2022.04.18
calm world

コロナ禍で制約を受けつつも、旅行を徐々に再開したい。そんな旅好きな人にぴったりの旅の記録・マッピングアプリ「Packer(パッカー)」を開発したのが、今回ご紹介する株式会社Calm worldの勝井嵐史さん。複数の写真を時系列順にアプリに投稿することで、自分の記録にもなり、新しい旅の楽しみ方を発見することもできます。
アプリ開発や起業に影響を及ぼしたのは、勝井さんがこれまで得た経験の数々。一つひとつを無駄にせず、確実に自分の糧にする姿勢には目を見張るものがありました。

calm world

■プロフィール
株式会社Calm world 代表取締役
勝井嵐史(かついあらし)さん

1997年生まれ、宮崎県出身。高校卒業後、大学進学を機に福岡市に移住。大学在学中に海外旅行にハマり、世界一周や東南アジア周遊を経験。大学4年生の時に傘のシェアリングサービス「アイカサ」の運営会社にてアルバイトを始め、そのまま新卒入社。2021年5月に株式会社Calm worldを創業。

旅の記録・マッピングアプリ「Packer(パッカー)」

――開発された旅の記録・マッピングアプリ「Packer」について教えてください。

勝井:最大の特徴は、複数の写真と場所、エピソード(想い出)といった旅の情報を時系列順に1つのまとまり(旅)として記録することができ、それを他のユーザーも閲覧できること。なおかつ行き方や日程、金額(交通費や宿泊費)などの情報を残すこともできます。マップ上から情報を閲覧できるので、位置や距離のイメージを掴めやすいのも特徴です。

calm world

▲Packer

――他の人が辿った旅のルートを見られるというのも面白いですね。

勝井:そうなんです。しかも旅行ガイド本やネットでは出てこないような、ディープでリアルな情報が分かるのも魅力だと思っています。
去年(2021年)僕は四国一周に行ったのですが、同じく四国を巡っている投稿をされている方がいました。僕とは全く違うところに行かれていて、すごく興味深かったんですよね。違う視点から旅を見ることで、新しい気づきが生まれるのではないかと思っています。

――「Packer」の他にはどんな事業を展開しているのですか?

勝井:旅行や観光に関連した地方のプロモーションや、メディア発信も行っています。旅をテーマに、人にフォーカスした記事を書いているウェブ媒体を作っていて、アメリカ横断した人、旅行系の企業の社長さんなど、いろんな人に話を伺って自分で記事にまとめています。

野球から起業への道へ

――やはり、昔から旅が好きだったからこのサービスを始めようと?

勝井:それも影響していますね。大学時代に世界一周の船旅に参加したり、バックパッカーで東南アジアを1ヶ月ほど周遊したり。ただ本格的に海外旅行に行き出したのは大学に入ってからで、それまではずっと野球一筋。5歳から野球を始め、「野球で日本一になりたい」という夢を抱いて福岡の大学に進学しました。

calm world

――野球一筋!野球からなぜ旅行にシフトされたのでしょうか?

勝井:宮崎から福岡という都会に出てきたことの衝撃、野球"部"という組織に属し続けることへの疑問や不安などから、野球ではない別のことをやってみるのもいいなと思うようになって。幼い頃から父親には「海外に行きなさい」とも言われ続けていたので、実行するのは今なのかもしれないとも思うようになり。これまで野球一筋だった自分が、それ以外の選択肢を思いついた時点でプロ(日本一)になる道からは遠のいたと感じたので、2年生の時にキッパリと辞めました。

――大学卒業後はどうされていたのですか?

勝井:傘のシェアリングサービス「アイカサ」を運営する会社に就職したのですが、実は大学4年生の時からそこでアルバイトをしていたんです。当時は傘立てを設置してもらうための飛び込み営業をしていました。3ヶ月後には福岡エリアの責任者に就任しました。そうしてそのまま「アイカサ」に就職しました。

――それからなぜ起業することにしたのですか?

勝井:「アイカサ」には入社して1年ほど在籍していました。独立しようと思ったのにはいくつか理由があるのですが、一つは周りの環境から得た刺激です。
「アイカサ」の代表は僕が入社した頃は25~26歳くらいで、他のメンバーも同じくらいかそれより下の人ばかり。若くても新しいビジネスにチャレンジできることが分かったことが大きかったですね。
それと、コロナ禍になったこと。海外に全然行けなくなって、コロナが流行り出した当初は「海外は危ない」といった報道を目にすることもありました。でも実際は海外全てが危ない訳ではありませんよね。好きな旅行や海外の魅力を正しく発信したいと思った時に、思いついたのが今のサービス。「まだ若いしやってみようかな」という勢いで会社を辞めて、実現に向けて起業することにしました。

calm world

▲アイカサ時代のイベントの様子

――起業する際に困ったことがあり、誰かに相談したことは?

勝井:法人の銀行口座開設といった、起業に必要な事務的な手続きが全く分からなかったので、「Fukuoka Growth Next(以下、FGN)」に行って相談をしました。西日本シティ銀行の方にお話を聞ける機会があり、ついでに融資の相談にまで応じてくださって。必要なものや手続きの仕方など手取り足取り教えていただき、本当にありがたかったです。

――FGNを活用されたということですが、他に福岡で起業するメリットを感じることはありますか?

勝井:FGNで出会った方々もそうですけど、福岡の人ってあったかいなと思います。なんでも気さくに教えてくれる方が多く、大企業のトップの方でもコミュニケーションをとってくださるんですよ。
一方でデメリットになると感じることもあります。東京では「テッペンとるぞ!」という競争意識が高い企業が多い感じがしますが、福岡では「自分も周りも幸せにしたい」という優しいスタンスの企業が多いのかなと。時に福岡のスタンスはデメリットになることがあるかもしれません。

――今だからこそやっておいて良かったと思うことはありますか?

勝井:「アイカサ」での社会人経験でしょうか。営業や事務、経理、開発など、1から10まで実践的にやらせてもらえたことが今に生きているなと思います。
それと、野球を続けてきたこと。仕事においていろんなスキルや知識は必要になりますが、一番大事なことは自分が健康でいることだと思うんです。それは肉体だけでなくメンタル面にも言えることで、落ち込んでばかりいたら前に進めません。僕は野球を続けてきた中で食事面に気を配り、先輩後輩の上下関係にも鍛えられて心身共に強くなりました!落ち込むこともないし、風邪もひきません(笑)。野球を続けてきて良かったな~と実感しています。

――これからの展望を教えてください。

勝井:今後、事業として展開したいのはアプリだけではありません。当社では「世界中の人たちと視野を広げる」というビジョンを掲げていて、ここで言う"視野"には価値観や選択肢という意味を含んでいます。それらをどうやって広げるかというと、いろんな場所に行っていろんなものを見て、いろんな人に出会うこと。そうすることで人は幸せになれると思うんです。
僕はバックパッカーとして東南アジアに行った時に、いろんな国の生活水準を見たことで日本の豊かさを思い知ったと言いますか、恵まれていることを改めて実感しました。例えば接客マナーひとつとっても、日本はすごくきっちりしていますが東南アジアでは緩いんですよね。でもマナーが緩くても現地の人は何も不自由していないし、むしろ楽しそうなんですよ。極論を言えば、日本で生きづらさを感じている人は東南アジアに行ったら幸せになれるかもしれません。固定概念にとらわれずに、価値観や選択肢を増やすための手段の一つとして「Packer」を活用してもらいたいと思っています。
現在は基本的にアプリに注力していますが、ビジョンを実現するためには観光PRもそうですし、日本や世界のまだ知られざる地域の魅力発信にもチャレンジしたいなと思っています。

calm world

――最後に、起業を考えている人へのメッセージをお願いします。

勝井:やりたいことがあれば、まずトライしてみたらいいと思います。スタートアップというと資金調達といったどこか億劫なイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、行政による創業支援などを活用すれば費用は抑えられるはず。僕も福岡市の創業支援や補助にだいぶお世話になりました。特に福岡市はスタートアップにチャレンジしやすい環境にあるので、とりあえずやってみるべきだと思います。

野球、海外旅行、「アイカサ」でのアルバイトなど、多彩な経験の一つひとつが勝井さんの今に生きていることが分かったインタビュー。順調に事業を進めているように見受けられますが、勝井さんは「まだアプリの結果が出ていないので、今はそれに向けて全力で取り組んでいるところ」と言います。「Packerのおかげで旅行を楽しめた」「旅に出たくなった」という人が世界中に増えることを目指し、若干24歳の勝井さんの挑戦はまだ始まったばかりです。

株式会社Calm worldについて

■会社概要
会社名:株式会社Calm world
URL:https://packer.jp
マガジン:https://packer.jp/magazine
所在地:福岡県福岡市中央区大名2-6-11 FGN内
設立:2021年5月
代表:勝井嵐史

■事業内容
旅の記録・マッピングアプリ【Packer】の運営
オウンドメディアの運営
観光PR

■問い合わせ先
Mail:info@packer.jp

お知らせ

Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。

▷福岡市と北九州市には創業期のお客さまをサポートする専門拠点『NCB創業応援サロン』を設置していますので、こちらにもお気軽にお越しください。

[NCB創業応援サロン福岡]
福岡市中央区天神2-5-28 大名支店ビル7階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
[NCB創業応援サロン北九州]
北九州市小倉北区鍛冶町1-5-1 西日本FH北九州ビル5階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-055-817

◎コワーキング施設「The Company DAIMYO」誕生!

西日本シティ銀行・大名支店ビルの5階、6階にコワーキング施設「The Company DAIMYO」が2022年5月10日(火)にオープン。
現在、オープニングキャンペーンにつき、入会事務手数料が無料!(2022年7月末までのお申込み)
↓↓詳細はこちらをご確認ください。
https://thecompany.jp/multi-location/daimyo/

タグ
  • packer

Writer

おすすめの記事

続きを読む >

求人

2022.07.21

【求人】リフォーム・住宅メンテナンス業の株式会社海辺、次なるステージを目指すべく人材を募集中!【PR】

コロナ禍やウクライナ情勢、円安によって物価高騰が続く今。その影響を受け、マンションやビルなどの不動産価格も上昇しています。そこでますますニーズが高まっているのが、元々ある資産に手を加えることで価値を高めるリフォームや修繕工事です。今回ご紹介する総合住宅リフォーム会社の株式会社海辺は、およそ40年前からそのニーズに着目し、現在では内装だけでなく外装やサイン工事までワンストップで手がけています。そんな同社では次のステージを目指すべく、新しい仲間を募集中!そこで業務内容や仕事の魅力、今後の展望について、35歳の若さで社長を務める海邉義一さんにお話を伺いました。

続きを読む >

お役立ち

2022.06.16

インボイス制度とは。注目の導入理由から免税事業者への影響までわかりやすく説明

軽減税率の導入に伴って、2023年(令和5年)10月よりインボイス制度が導入されます。消費税の課税事業者に限らず、免税事業者にも影響があるとされているのです。この記事では、インボイス制度の概要や導入に至った理由、その基礎となる消費税の知識と事業者への影響などについて解説します。