「紙による在庫管理を脱却したい」「効率よく求人を募集したい」。そんな日常的な仕事の困りごとをデジタル技術で解決する。いち早くその必要性に着目し、これまでに数々のシステム開発やホームページ制作を手掛けてきたのが、今回ご紹介する北九州市八幡西区にあるシステム制作会社 株式会社ソルトです。在籍するメンバーは、社長を含めて3人という少数精鋭。元々仲の良い同級生だったというみなさんが会社を立ち上げて早16年。そのキッカケや、長らく会社を続けてこられた要因、今後の展望について代表取締役社長の平松稔久さん、取締役の中尾直紀さんにお話を伺いました。
システム開発、広告代理店業、会計コンサルという幅広い業務を展開
――まずは、御社の事業内容について教えてください。
平松:私たちソルトは、ホームページの制作・運営をはじめ、システム開発、広告代理店業、経営コンサルティング業など幅広い事業を展開しています。
――会社を設立されたきっかけは何だったのでしょう?
中尾:会社を設立したのが2006年になります。それまではメンバーの3人とも、フリーランスで別々に活動していました。社長の平松さんは会計や税理関係、私は広告代理業関係、もう一人はエンジニア関係の仕事をしていました。
ある時、3人で集まってお酒を飲む機会があって、その時に「せっかく地元で面白い仕事をしているメンバーが揃ったので、会社でも作ろうか」という話になって「じゃあ作ってみよう」と。今思えば、軽いノリから始まった会社ですね(笑)。
――領域の違う3人が集まった会社だからこそ幅広いお仕事をされているのですね!
平松:会社の方針はお互いの仕事はそのままに、個々の強みや人とのつながりを生かして新しいことにチャレンジすることにしました。それこそ最初は小倉にあるスタートアップの支援施設に入所して、新しいビジネスを考えていたんですよ。そこで開発したのが携帯電話で動画をアップするというシステム。これは北九州市のビジネスコンテストで特別賞を受賞しました。当時はまだYouTubeが流行る前だったのですが、それに先駆けて同じような機能を持つシステムを開発したところ、評価していただけました。
それからしばらくはシステム開発に力を入れていましたが、現在はどちらかというとホームページ制作や経営コンサルティングの仕事をすることが多いですね。事務所も小倉のスタートアップの支援施設を出て、地元の八幡西区に移っています。
地元企業の依頼をメインに、スピード感を持って対応!
――これまでにどのようなホームページ制作やシステム開発をされてこられたのですか?
中尾:地元の歯科医院向けの在庫管理システムや、重機リース会社向けの配車管理システム、飲食店のホームページ制作や、行政関連のパンフレットの制作など、ジャンルも内容もさまざまですね。地元の中小企業向けの案件が大半を占めていて、「今困っていることをデジタルで早く解決したい」というお困りごとに応えることが多いです。
ちなみにシステム開発に関しては、求人サイトやクチコミサイトのように、これまでに世間で流行ってきたサービスはひと通り作ってきましたよ。ただ大々的に広げてこなかったので、どんどん他のサービスが有名になっていくという(笑)。当社のエンジニアがデジタルに関する知識が深く、流行にも敏感なのでそうした画期的なサービスをどこよりも早く開発することができたのかなと思います。
▲制作物事例
――そのような画期的なサービスをいち早く開発してきた技術力と知識のある御社だと何かと安心ができそうです。
平松:それと大手に比べると比較的コストをかけずにホームページ制作やシステム開発ができます。弊社はランニングコストを極力抑え、全てを自分たちや周りのメンバーでこなしているので人件費がかからず、そのぶん制作コストを抑えることができます。
だからと言って「安かろう悪かろう」ではなく、お届けするのは品質の良いもの。フリーランス時代から大手企業の下請け業務を数多く経験し、クライアントの要望に応えるハイクオリティなものを制作していたので、品質に関しては自信を持って対応しています。
中尾:フットワークの軽さとスピードの早さも当社の強みかも知れません。お客さまはお困りごとがあって依頼をされることが多いので、少しでも早く解決できるようにスピード感には気をつけています。なので、お客様からいただいたメールの返信も後回しにせず、目を通したその場で必ず返信するようにしています。レスポンスの速さはお客様を安心させる一つの要素ですからね。それと平松さんが会計全般に強いので、会社の財務状況を鑑みた上で制作費をご提案できるのもメリットですね。仮に先方が、莫大に費用がかかる内容の制作を依頼してきたとしても「これくらいの制作費で進めた方がいいですよ」とアドバイスできますし、節税のご相談に乗れることもあるかもしれません。そこは他のシステム制作会社にはない強みではないでしょうか。
――財務状況に沿った提案はありがたいですよね。地元の顧客が多いということですが、仕事はどのように依頼されることが多いんですか?
平松:私も中尾さんも職業柄知り合いが多いので、ツテやクチコミを通じて依頼していただけることが多いですね。それと、私が税理関係の仕事をしているので経営者とお付き合いすることが多く、そのつながりで依頼をしていただくこともあります。リピートされる方も多く、何か会社で困ったことが起これば「またソルトに聞いてみよう」と相談していただくパターンも多いですね。
――クチコミやリピートでここまで事業が続いているとは、すごいですね!
中尾:新規営業をバリバリして売り上げを立てていくのが会社としての正しい在り方なのかも知れませんが(笑)。
そういった意味では、私たちは少し仕事を選んでいるかもしれません。低コスト&高スピードをモットーにしていますので、利益を度外視しても力になりたいと思えるお客さまとお仕事をさせていただくようにしています。当社が担当することで先方にとってメリットがないと判断すれば、他の制作会社を紹介することもあります。
案件の大小に関わらず、困りごとをデジタルのチカラで解決したい
――これからの展望を教えてください。
平松:これからも“隙間産業”でコツコツと事業を続けていきたいですね。仕事の大小に関わらず、誰かが困っていることをデジタルの力で解決できればいいなと思います。
それと今はパソコンやスマートフォンがないと不便な時代ですから、ITに弱い方の力にもなりたいですね。北九州に限らずかもしれませんが、地方都市なのでまだまだパソコンの使い方がわからないという人も多いんですよ。そういったちょっとした困りごとにも対応することもあります。
中尾:街の電気屋さんのような存在でありたいですね。例えば電球を変えたい時、大手電気量販店には頼みにくいものの、近くの電気屋さんには言いやすい…というような。そんな身近な存在でありたいと思います。改めて当社は独特な会社ですよね(笑)。でも、1つの企業のスタイルとして、こんな会社があっても面白いのではないかと思います。
平松:北九州という地方都市でこの仕事を長く続けていくなら、今の会社の形態がベストだと私は思っています。無理して事業拡大して人数を増やしても、経営者も従業員もお客さまもwin-winにはなれません。売上げや利益だけを気にしても良い仕事は出来ませんし、こだわりのある仕事ができて、なおかつお客さまも満足していただけることを目指すのであれば、現状が一番なのかなと思っています。
「ソルト」という社名は、中尾さんのフリーランス時代の屋号だそう。その由来について、「塩は味付けに欠かせない調味料。たくさん入れるとただしょっぱいだけですが、適度に使えばぐんとおいしくなりますよね」と、広告代理店業の前に調理師をされていたという中尾さん。株式会社ソルトはまさにそんな塩のように、“控えめでもなくてはならない”という街の頼れるシステム制作会社。インタビューを受けていただいたお二人の和やかなお人柄に触れると共に、事業に対する熱い想いを知ることができました。
福岡県福岡市出身・福岡市在住。地元の大学を卒業後、ペット雑誌「犬吉猫吉」や旅行情報誌「九州じゃらん」の編集に携わり、フリーライターとして独立。ペット雑誌の経験を活かし、ペット関連の取材や執筆をする"(自称)ペットライター"としても活動中。趣味はネコグッズ集め、ライブ鑑賞、プロ野球観戦。