
近年、日本でもようやく障がい児に対する取り組みや理解が進んできました。『たいむクラブ』という施設をはじめ、2009年から障がいのある子どもたちに寄り添い続けてきた北九州市の株式会社シリウスでは、「学校を卒業しても通いたい」という熱い声を受けて、今では65歳までを対象にしたサービスを展開。さらに、農業法人と不動産会社を立ち上げて、障がいのある方やご家族を幅広くサポートしています。今回は取締役副社長の八島幸太郎さんに施設開設の経緯から運営への想いについて話を聞きました。
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納得できる形での子どもたちをサポートしたい
――2009年といえば、今から13年前ですね。その頃はまだ現在ほど障がいのある方への理解が社会に広まっていなかったように思います。八島さんはなぜシリウスを立ち上げられたのでしょうか。
八島幸太郎:代表でもあります母がもともと働いていた歯科医院に、障がいのある子どもたちが通ってきていて、身近な環境にそのような子たちがいたという背景もありますが、ある時ママさんバレーをしていた際に、バレーを見学に来た社会福祉法人の方から、障がい児を対象にした事業を始めるのでスタッフを探していると聞き、採用していただいたことがきかっけです。
母はしばらくそこで働いていたのですが、もっと自分なりにやってみたい想いが強くなり2009年にシリウスを設立。会社経営なんて全く分からないけれど、自分の納得できるやり方で5人くらいの子どもをサポートできればとスタートしました。ちなみに『たいむクラブ』の「たいむ」は、時間ではなくてハーブのタイムから。花言葉は「勇気」「活気」なんです。

――利用者5人ほどを想定していたのに、今では6施設まで拡大されていますね。
八島幸太郎:5人の枠はすぐに埋まり、利用者さんが友だちを連れてこられると、どうしても断れなくて。障がいの程度が重く、他のところでは受け入れてもらえないお子さんたちもいました。最初のうちは、施設として使う物件探しにかなり苦労したのを覚えています。障がい者について偏見があるのか、物件が空いていても貸してもらえず、何十件も断られて、ようやく古い建物にたどりつきました。自分たちが住んでいた一軒家を施設に改装して、自分たちはマンションに引っ越したこともあります。
――難しい環境背景もあったのですね。そんな中で幸太郎さんがシリウスに入社された経緯についてもお聞かせください。
八島幸太郎:母がシリウスを立ち上げたとき、私は福岡市の大学に通っていました。帰省して施設に行くと、子どもたちが自然に集まってくれて一緒に遊び、純粋に楽しかった。それに、自分が認められている気がして、とてもうれしかったんです。それですぐに北九州に戻り入社しました。
――そこからサービスも大きく拡大されていますね。
八島幸太郎:はい、国が2012年に放課後等デイサービスという制度を始めたのを機に、『たいむクラブ』『たいむクラブ永犬丸』『たいむクラブ八幡東』など拠点が増えました。
放課後等デイサービスは学生限定ですが、「学校を卒業してもたいむで過ごしたい」「小さい頃から通いたい」という方も多く、今では2歳から65歳までご利用いただけるサービスを展開しています。
児童発達支援と放課後等デイサービスを中心に就労移行支援、自立訓練、就労継続支援B型、日帰りショート、短期入所、共同生活援助、相談支援など13のサービスがあります。

▲たいむクラブ TWO
期待に応えたい一心でサービスを拡大
――放課後等デイサービスには様々な業種の会社が参入している中で、『たいむクラブ』が選ばれるのはなぜでしょう。
八島幸太郎:私たちは「共生 ~一緒に生きていく~」を理念として、支援内容や施設などにこだわりを持って運営しています。一つは、利用できるサービスの数が他社とは違います。未就学児から学齢期を経て、成人に至るまでの通所サービス。さらにはそれらに付属する形で、利用者さんの移動をサポートする地域生活支援事業、自宅内での生活をサポートする居宅介護事業、複雑な制度や手続きについて一緒に考えていける相談支援事業、宿泊訓練を行う短期入所事業などがあり、利用者さんのニーズにできる限りお応えできるように取り組んでいます。2つめのこだわりは食育。提供されるご飯やおやつは調理師による現場での手作りで、職員も家族のように一緒にいただきます。調理師を抱えている放課後等デイサービスは珍しいかもしれません。ほかにも、イベントやお出かけが多い、のびのびと安全に活動できるように施設は全て戸建て、駐車場と道路の間に門を設けるなど、たくさんの特徴があります。
あとは大切にしているのは職場の雰囲気です。経験は無くても、人柄重視の採用を続けています。「見学したとき、職員さんの感じが良かったから入った」という声もよくいただき、うれしく思っています。

▲調理スタッフによるランチメニュー
――拠点やサービスを広げる原動力は何でしょうか。
八島幸太郎:利用者さんやご家族の期待に応えたい、その一心です。そのために障がい者福祉の枠におさまらず、利用者さんの生活に関してもっと役に立つにはどうしたらいいかと常に考えてきました。『衣・食・住』のうち『食』と『住』に焦点を当て、そこで農業法人と不動産会社を立ち上げました。
農業法人Lena Farm(レナファーム)は、社会に生きづらさを感じている人たちが農業に触れ、生きがいを持って社会参画できることを目指しています。有機栽培でトマトやイチゴ、アスパラガスなど様々な野菜や果物を育てていて、利用者さんが働く場として工賃もお支払いしています。収穫した安心安全な野菜やフルーツは弊社のアプリで格安で販売したり、市場やイベントで販売したり、余ったものは職員が持って帰ります(笑)。
不動産事業を行う株式会社ホクレアではハウスドゥのFCとして住宅用の不動産を取り扱っています。不動産情報サイトに掲載する物件写真をたいむクラブの就労の利用者さんが撮影したり、中古物件の掃除もお手伝いいただいています。
利用者さんの生活のサポートをすると同時に利用者さんの働ける場所を作っていくことが僕の理想です。

▲レナファームで育てた有機栽培のイチゴ
――不動産会社を作ったのはなぜでしょうか?
八島幸太郎:お子さんによっては飛び跳ねたり大声を出たりする方もいて、「近隣からクレームが来て引っ越さなければいけないけど、物件を探せなくて困っている」とご家族から相談されることが結構ありました。私たちも施設を増やすときに信頼のおける不動産会社がなかなか見つからなかった経験もあり、それなら自分たちが不動産会社をすればいいなと。利用者さんやご家族の皆さん、グループ企業で勤めるスタッフに気軽に相談してもらえればという思いで作りました。
――包括的にサポートされているのですね。
八島幸太郎:はい、【共に生きる】という理念の通り、利用者の方々と長くお付き合いしたくて、『共同生活援助・短期入所 あいびー』という宿泊施設も新たに立ち上げました。利用者の保護者さんたちは「自分たちが亡くなった後、この子はどうやって生活していくんだろう」という大きな不安を抱えられています。あいびーでは、親御さんから離れて一人でも生活できるよう、例えば自分が使ったシーツを洗って干して畳むというような日常生活に必要なことができるようにサポートしています。介護保険に切り替わる65歳まで長い目で見て、今の時期に必要なことを身につけていってもらえたらと思っています。児童の段階で1泊からお預かりするというような事業者はあまりないようで、北九州市街からもたくさんお問い合わせをいただいています。

――今後の展望について教えてください。
八島幸太郎:農業法人と不動産会社を作りましたが、あくまでも中心と位置付けているのはシリウスのサービスを利用してくださる方々。利用者さんのために何ができるかを今後も考え続けていきます。今はちょうど農福連携事業として6次産業への取り組みを進めています。レナファームで採れた野菜に利用者さんの手を加えた可愛いお菓子を開発しているところです。かなり力を入れて取り組んでいるので期待してもらえればうれしいです。
他にも成人の利用者さんの能力に限界を作ることなく、一緒にいろんな仕事ができればいいなと思います。
今後も利用者さんとその保護者の方にわくわくしてもらえること、スタッフも一緒に楽しめることを知恵を出して、利用者さんたちと長く一緒にいられる仕組みをつくっていきたいです。

▲感染予防対策としてソーシャルディスタンスもしっかりとれる支援室
2009年に小さく始めた事業が、今では6つの施設に130人を超える利用者さんを擁するまで成長しています。様々な職種のスタッフの方全員の雰囲気がよく楽しそうにお仕事をしている姿が見受けられました。規模が大きくなっても、アットホームであたたかい雰囲気のまま、利用者さん第一の姿勢を貫いている素敵な会社だなと思いました。
■会社概要
会社名:株式会社シリウス(障害福祉サービス事業)
URL:https://www.sirius-thyme.com/
TEL:093-967-7415
代表:八島恵美子
所在地:
【本社】
福岡県北九州市小倉南区八重洲町11-8
<たいむクラブ>
福岡県北九州市小倉南区下石田1-3-23
<たいむクラブ TWO>
福岡県北九州市小倉南区八重洲町11-8
<たいむクラブ 永犬丸>
福岡県北九州市八幡西区永犬丸東町1-9-11
<たいむクラブ 永犬丸TWO>
福岡県北九州市八幡西区永犬丸4-4-2
<たいむクラブ 八幡東>
福岡県北九州市八幡八幡東区山路松尾町14-2
<共同生活援助・短期入所あいびー>
福岡県北九州市小倉南区下石田1-3-23(たいむクラブ別棟)
福岡市出身。九州大学教育学部を卒業、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人をはじめ数千人を取材。2児の母。