お役立ち

製造事業者必見!中小企業省力化投資補助金のカタログ登録方法を解説

By 佐藤 淳

|
公開日 2025.06.20

中小企業等の売上拡大や生産性向上を支援する施策のひとつに、「中小企業省力化投資補助金」(以下、省力化投資補助金)があります。

カタログ注文型・一般型とあるうち、カタログ注文型では、中小企業等がカタログから自社に導入する省力化製品を選択します。

こうした特徴から、製造事業者にとっては、このカタログに自社製品を登録することで、認知度向上や販路開拓につながるものです。

そこでこの記事では、製造事業者の皆様に向けてカタログ登録のメリットや注意点、具体的な登録方法などを解説します。

※記事内容は、令和7年6月4日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

省力化投資補助金の「カタログ」とは

「カタログ」とは、補助対象となる製品のカテゴリや具体的な製品名を掲載した一覧を指します。カタログに掲載される製品カテゴリや製品は、公募期間中に随時追加されます。

カテゴリの具体的な例として、運送業で使用するパワーアシストスーツやバランサ装置、製造業で使用する清掃ロボットや検品・仕分システムなどが挙げられます。

カタログには、これらのカテゴリに属する具体的な製品や品番が掲載されていて、省力化投資を行う中小企業等は製品カテゴリや製品・販売事業者から自社の課題解決に資する製品を選択して導入します。

参照:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製品カタログ

省力化投資補助金のカタログ登録におけるメリット・注意点

省力化製品の製造事業者にとって、自社製品を省力化投資補助金のカタログに登録することは有効な販促手段のひとつとなります。

ただし、登録には一定の要件や審査があり、注意点もあります。ここでは、カタログ登録のメリットと注意点を紹介します。

カタログ登録におけるメリット

省力化投資補助金のカタログに製品を登録することで、製造事業者には以下のような多面的なメリットが期待できます。

  1. 売上向上につながる

    補助金を活用した導入を前提に自社製品を検討してもらえる機会が増えるため、価格競争に頼らずとも売上アップを狙うことが可能になります。

  2. 新たな販路開拓が可能に

    通常の営業活動ではリーチしづらい地域や業種の中小企業にも、補助金という共通ニーズを通じてアプローチできることとなります。

  3. 自社製品の認知度向上

    国の補助金制度のカタログに掲載されることで、製品情報が全国に発信され、新たな認知のきっかけとなります。

  4. 信頼性・ブランド力の向上

    補助対象製品として認定されるには一定の要件や品質が求められるため、製品の掲載自体が品質や信頼性の証になります。

カタログ登録における注意点

カタログ登録の注意点として、効果報告期間において、登録を行った製品の省力化効果が正当な理由なく省力化基準を下回っていることが判明した場合、省力化製品の登録取消や製造事業者の登録取消となる場合がある点が挙げられます。

また、今後、登録条件が追加された場合、すでに登録された製品についてもその条件を満たしているかを事務局にて確認し、満たしていない場合は登録取消となる場合があるので注意しましょう。

参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業 省力化製品・製造事業者登録申請の手引き
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け

省力化投資補助金のカタログ登録までのフロー

製造事業者は、以下のフローに沿ってカタログ登録を進めます。

出典:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け

 

  1. 製品カテゴリ登録要請

    はじめに、製造事業者は自社製品が該当する工業会等に「製品カテゴリ登録審査申請」を行い、自社製品が省力化に資するか等の審査を受けます。

  2. 機器審査依頼

    続いて、製造事業者は当該工業会・当該製品カテゴリごとに機器審査依頼を行います。工業会等が製品の省力化効果等を承認すると、証明書を発行します。

  3. 製造事業者登録申請・製品登録申請

    製造事業者は上記の証明書をもって、「省力化製品製造事業者」としての登録を行います。

また同時に、事務局へ「製品登録申請」を行い、カタログの掲載形式が本補助金の要件に合致しているかの確認や、製品と同時に提供する役務等の登録を行い、カタログ登録となります。

参照:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け

 

省力化投資補助金 カタログ登録方法

ここでは、カタログ登録の具体的な方法について解説します。

アカウントとパスワードの設定

製品の登録申請を提出し、当該製品が登録完了した場合、本事業ホームページのカタログへ当該製品を掲載するための登録が必要となります。

カタログ登録は「製造事業者ポータル」より行います。製品登録完了後、本事業のポータルより送付されるアカウント発行メールに従ってアカウントとパスワードの設定を行ってください。

製造事業者ポータルログイン

パスワードの設定が完了すると、完了画面が表示されます。
引き続きカタログ申請を行う場合は、「製造事業者ポータル」にログインしてカタログ申請を行ってください。

カタログ登録

カタログ登録は、「製造事業者ポータル」にログインした後、マイページから行います。
省力化製品審査番号や製造事業者情報など、カタログに掲載する情報を入力して登録を行ってください。

登録申請される内容については十分ご確認のうえ、 「提出」を押下してください。

参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業 省力化製品・製造事業者登録申請の手引
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け

 

省力化投資補助金のカタログ登録の要件

省力化投資補助金補助金のカタログ登録には、指定の要件を満たす必要があります。ここでは製造業者の登録要件と製品の登録要件に分けて解説します。

製造事業者の登録要件

省力化投資補助金のカタログ登録には、製造事業者が主に以下のような要件を満たす必要があります。 

●    日本国内で法人登記されている法人であること

●    省力化効果のある汎用製品を製造・販売していること

●    自社製品が該当する製品カテゴリが事前に登録されていること

●    製品が当該カテゴリの省力化指標を満たしていること

●    製品の導入効果に関する報告を行い、事務局が求める情報提供に応じること

●    省力化基準を満たさない場合、登録が取り消される可能性があることを理解し同意すること

また、登録した省力化製品については、供給やサポート体制をしっかり整えておく必要があります。

参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業 省力化製品・製造事業者登録申請の手引き
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け

製品の登録要件

続いて、カタログ登録には、製品が主に以下の基準を満たす必要があります。 

●    製品は事前登録されたカテゴリに該当し、省力化効果を証明できること

●    汎用製品であり、開発等を前提としないものであること

●    販売が開始されていて製造・販売された実績が3社以上あること

●    製品本体の価格は50万円以上であること

●    供給・生産体制が整備され、販売先への納入が遅滞なく行える製品であること

製品が完成しておらず、開発が必須となると想定されるものなどは対象外です。

参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業 省力化製品・製造事業者登録申請の手引き
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け

省力化投資補助金のカタログ登録で困ったら

令和6年8月7日から、製造事業者・製品登録に関する問い合わせを受け付けるカタログ登録サポートセンターを設置しています。
申請をスムーズに進めるためにも、不明点があればぜひサポートセンターを活用してください。

【連絡先・受付時間】

●    電話番号:03-6746-1530

●    受付時間:9:30~17:30/月~金曜(祝日を除く)

●    対応内容:製品カタログの登録手続きに関する相談・必要書類の確認・登録要件の説明など

参照:中小企業庁 カタログ型省力化補助金の事務局に「カタログ登録サポートセンター」を開設します

まとめ

中小企業省力化投資補助金のカタログ登録は、製造事業者にとって販路拡大や認知向上のチャンスです。
登録要件を正確に把握し、必要書類を適切に準備したうえで申請することが求められます。
疑問点があれば、ぜひ、カタログ登録サポートセンターのサポートを受けながら手続きを進めてください。

※renewのサイトポリシープライバシーポリシーはこちら。

Writer

おすすめの記事

対談記事【ビジネスのヒント】|斬新な新サービスを支えた企業と銀行の絆
続きを読む >

お役立ち

2025.02.06

対談記事【ビジネスのヒント】|斬新な新サービスを支えた企業と銀行の絆

経営に関する悩みや課題を抱える事業経営者の皆さまにとって、銀行の営業担当者は心強いサポーターの一人です。そこで、らいふくのーと編集部では、事業経営者と西日本シティ銀行の営業担当者にスポットをあててインタビュー。二人の出会いや、事業の成功までの道のりなどをざっくばらんにお話しいただきます。

【2025年】キャッシュレス決済導入に使える補助金・助成金5選
続きを読む >

お役立ち

2025.03.05

【2025年】キャッシュレス決済導入に使える補助金・助成金5選

感染症対策やインバウンド対策等の一環としてキャッシュレス決済への需要が高まるなか、キャッシュレス決済の導入を検討しているものの、コストが気になるという事業者様は少なくないでしょう。 そこでこの記事では、キャッシュレス決済端末を導入する際に活用できる主な補助金や助成金を紹介します。 ※記事内容は、2025年3月3日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

IT導入補助金2025の変更点とは?拡充ポイントや制度概要を解説
続きを読む >

お役立ち

2025.03.04

IT導入補助金2025の変更点とは?拡充ポイントや制度概要を解説

事業者の業務効率化を支援する国の施策のひとつに「IT導入補助金」があります。 ITツールの導入を支援する制度で、これまで複数年にわたり公募を実施してきました。 さらに、令和6年(2024年)12月の令和6年度(2024年度)補正予算成立に伴い、今後の継続も決まっています。 そこでこの記事では、IT導入補助金2025で実施予定の拡充ポイントを交えて制度概要を解説します。 ※記事内容は、2025年2月3日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

働き方改革に注力している企業ってどんなところ?|次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」
続きを読む >

お役立ち

2023.11.21

働き方改革に注力している企業ってどんなところ?|次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」

これから就職先を探している学生のみなさんにとって、どんな企業が自分にとって働きやすいのか、気になりますよね。そこで今回は、西日本シティ銀行が取り扱う次世代ワークスタイル応援私募債『ミライへの路*』を発行している企業のみなさんにご協力をいただき、その企業で実際に働いている若手の社員に直撃インタビュー。なぜ入社を決めたのか、実際に働いてみてどんな感じなのか、などをヒアリングしました。また、併せて、各企業の経営者にも、求める人材像や今後の展望などをお話しいただきました。取材に協力いただいた企業は、地元・福岡で働き方改革に注力している、優良企業ばかりです。ぜひ、就職希望先の候補の一つとして、働く先輩たちのリアルな声をご一読ください。

お菓子製造のOEMで福岡の製菓業界に新境地を開く。ATELIER S.e.n.s.e 中原浩雅さん
続きを読む >

インタビュー

2025.03.07

お菓子製造のOEMで福岡の製菓業界に新境地を開く。ATELIER S.e.n.s.e 中原浩雅さん

他社ブランドの商品を生産する"OEM"。受託企業は商品の製造に、委託企業は商品開発やPRに集中できるというメリットがあり、アパレルや自動車などのさまざまな業種で活用されていますが、食品業界でもOEMの商品は多く見られます。今回はそんな食品の中でもお菓子(焼き菓子)のOEM製造を手がける、「ATELIER S.e.n.s.e(アトリエ・センス)」代表の中原浩雅さんにインタビュー。福岡ではまだ希少なお菓子のOEMという業種で起業した背景には、中原さんの多彩な経験が深く関わっていました。

手書きの手紙で企業をサポート、さらにその先へ|株式会社RAPAS 陸守康汰さん
続きを読む >

インタビュー

2025.03.04

手書きの手紙で企業をサポート、さらにその先へ|株式会社RAPAS 陸守康汰さん

スポーツ業界でスポンサー広告の費用対効果をAIで可視化|株式会社NextStairs万井拓馬さん
続きを読む >

インタビュー

2025.03.03

スポーツ業界でスポンサー広告の費用対効果をAIで可視化|株式会社NextStairs万井拓馬さん

【ミライへの路に挑む企業】循環型の総合不動産企業として、社員もお客さまもハッピーに!|株式会社みらいコンシェルジュ
続きを読む >

お役立ち

2025.02.06

【ミライへの路に挑む企業】循環型の総合不動産企業として、社員もお客さまもハッピーに!|株式会社みらいコンシェルジュ

多様な生き方や働き方が広がりつつある現代。企業にはこれからますます、さまざまな人が働きやすい環境を整えることが求められます。社員の働きやすさを叶える企業の取り組みとは? この連載では、実際に働き方改革を積極的に取り組む企業で働く人や経営者にインタビュー。今回は熊本を基盤に不動産売買やファイナンシャルプランニング、保険の見直しなどの幅広い事業を展開する「CRAS(クラス)」を運営する「株式会社みらいコンシェルジュ」にお話を伺いました。