
中小企業等の売上拡大や生産性向上を支援する施策のひとつに、「中小企業省力化投資補助金」(以下、省力化投資補助金)があります。
カタログ注文型・一般型とあるうち、カタログ注文型では、中小企業等がカタログから自社に導入する省力化製品を選択します。
こうした特徴から、製造事業者にとっては、このカタログに自社製品を登録することで、認知度向上や販路開拓につながるものです。
そこでこの記事では、製造事業者の皆様に向けてカタログ登録のメリットや注意点、具体的な登録方法などを解説します。
※記事内容は、令和7年6月4日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
省力化投資補助金の「カタログ」とは
「カタログ」とは、補助対象となる製品のカテゴリや具体的な製品名を掲載した一覧を指します。カタログに掲載される製品カテゴリや製品は、公募期間中に随時追加されます。
カテゴリの具体的な例として、運送業で使用するパワーアシストスーツやバランサ装置、製造業で使用する清掃ロボットや検品・仕分システムなどが挙げられます。
カタログには、これらのカテゴリに属する具体的な製品や品番が掲載されていて、省力化投資を行う中小企業等は製品カテゴリや製品・販売事業者から自社の課題解決に資する製品を選択して導入します。
参照:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製品カタログ
省力化投資補助金のカタログ登録におけるメリット・注意点
省力化製品の製造事業者にとって、自社製品を省力化投資補助金のカタログに登録することは有効な販促手段のひとつとなります。
ただし、登録には一定の要件や審査があり、注意点もあります。ここでは、カタログ登録のメリットと注意点を紹介します。
カタログ登録におけるメリット
省力化投資補助金のカタログに製品を登録することで、製造事業者には以下のような多面的なメリットが期待できます。
- 売上向上につながる
補助金を活用した導入を前提に自社製品を検討してもらえる機会が増えるため、価格競争に頼らずとも売上アップを狙うことが可能になります。
- 新たな販路開拓が可能に
通常の営業活動ではリーチしづらい地域や業種の中小企業にも、補助金という共通ニーズを通じてアプローチできることとなります。
- 自社製品の認知度向上
国の補助金制度のカタログに掲載されることで、製品情報が全国に発信され、新たな認知のきっかけとなります。
- 信頼性・ブランド力の向上
補助対象製品として認定されるには一定の要件や品質が求められるため、製品の掲載自体が品質や信頼性の証になります。
カタログ登録における注意点
カタログ登録の注意点として、効果報告期間において、登録を行った製品の省力化効果が正当な理由なく省力化基準を下回っていることが判明した場合、省力化製品の登録取消や製造事業者の登録取消となる場合がある点が挙げられます。
また、今後、登録条件が追加された場合、すでに登録された製品についてもその条件を満たしているかを事務局にて確認し、満たしていない場合は登録取消となる場合があるので注意しましょう。
参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業 省力化製品・製造事業者登録申請の手引き
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け
省力化投資補助金のカタログ登録までのフロー
製造事業者は、以下のフローに沿ってカタログ登録を進めます。
出典:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け
- 製品カテゴリ登録要請
はじめに、製造事業者は自社製品が該当する工業会等に「製品カテゴリ登録審査申請」を行い、自社製品が省力化に資するか等の審査を受けます。
- 機器審査依頼
続いて、製造事業者は当該工業会・当該製品カテゴリごとに機器審査依頼を行います。工業会等が製品の省力化効果等を承認すると、証明書を発行します。
- 製造事業者登録申請・製品登録申請
製造事業者は上記の証明書をもって、「省力化製品製造事業者」としての登録を行います。
また同時に、事務局へ「製品登録申請」を行い、カタログの掲載形式が本補助金の要件に合致しているかの確認や、製品と同時に提供する役務等の登録を行い、カタログ登録となります。
参照:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け
省力化投資補助金 カタログ登録方法
ここでは、カタログ登録の具体的な方法について解説します。
アカウントとパスワードの設定
製品の登録申請を提出し、当該製品が登録完了した場合、本事業ホームページのカタログへ当該製品を掲載するための登録が必要となります。
カタログ登録は「製造事業者ポータル」より行います。製品登録完了後、本事業のポータルより送付されるアカウント発行メールに従ってアカウントとパスワードの設定を行ってください。
製造事業者ポータルログイン
パスワードの設定が完了すると、完了画面が表示されます。
引き続きカタログ申請を行う場合は、「製造事業者ポータル」にログインしてカタログ申請を行ってください。
カタログ登録
カタログ登録は、「製造事業者ポータル」にログインした後、マイページから行います。
省力化製品審査番号や製造事業者情報など、カタログに掲載する情報を入力して登録を行ってください。
登録申請される内容については十分ご確認のうえ、 「提出」を押下してください。
参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業 省力化製品・製造事業者登録申請の手引
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け
省力化投資補助金のカタログ登録の要件
省力化投資補助金補助金のカタログ登録には、指定の要件を満たす必要があります。ここでは製造業者の登録要件と製品の登録要件に分けて解説します。
製造事業者の登録要件
省力化投資補助金のカタログ登録には、製造事業者が主に以下のような要件を満たす必要があります。
● 日本国内で法人登記されている法人であること
● 省力化効果のある汎用製品を製造・販売していること
● 自社製品が該当する製品カテゴリが事前に登録されていること
● 製品が当該カテゴリの省力化指標を満たしていること
● 製品の導入効果に関する報告を行い、事務局が求める情報提供に応じること
● 省力化基準を満たさない場合、登録が取り消される可能性があることを理解し同意すること
また、登録した省力化製品については、供給やサポート体制をしっかり整えておく必要があります。
参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業 省力化製品・製造事業者登録申請の手引き
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け
製品の登録要件
続いて、カタログ登録には、製品が主に以下の基準を満たす必要があります。
● 製品は事前登録されたカテゴリに該当し、省力化効果を証明できること
● 汎用製品であり、開発等を前提としないものであること
● 販売が開始されていて製造・販売された実績が3社以上あること
● 製品本体の価格は50万円以上であること
● 供給・生産体制が整備され、販売先への納入が遅滞なく行える製品であること
製品が完成しておらず、開発が必須となると想定されるものなどは対象外です。
参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助事業 省力化製品・製造事業者登録申請の手引き
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP カタログ注文型 製造事業者向け
省力化投資補助金のカタログ登録で困ったら
令和6年8月7日から、製造事業者・製品登録に関する問い合わせを受け付けるカタログ登録サポートセンターを設置しています。
申請をスムーズに進めるためにも、不明点があればぜひサポートセンターを活用してください。
【連絡先・受付時間】
● 電話番号:03-6746-1530
● 受付時間:9:30~17:30/月~金曜(祝日を除く)
● 対応内容:製品カタログの登録手続きに関する相談・必要書類の確認・登録要件の説明など
参照:中小企業庁 カタログ型省力化補助金の事務局に「カタログ登録サポートセンター」を開設します
まとめ
中小企業省力化投資補助金のカタログ登録は、製造事業者にとって販路拡大や認知向上のチャンスです。
登録要件を正確に把握し、必要書類を適切に準備したうえで申請することが求められます。
疑問点があれば、ぜひ、カタログ登録サポートセンターのサポートを受けながら手続きを進めてください。
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株式会社Stayway 代表取締役CEO 公認会計士
東京大学経済学部卒業 / 公認会計士及び経営革新等支援機関デロイト トウシュ トーマツ出身。東京及びシアトルにおいて、IPO支援に従事したのち、香港本社のPEファンド・経営コンサルティングファームに勤務。「中小企業や地域のポテンシャルを開放」するため、2017年株式会社Staywayを創業。
※本記事の監修者です。