
西日本シティ銀行は2021年11月15日より「天神ビッグバン」第一号案件である『天神ビジネスセンター』の1F~3Fに、西日本シティTT証券・アルファ天神とともに天神支店をオープンします。そんな大規模都市開発により変革する天神エリア。その天神エリアにおける街のあり方やビジネス展望について各方面の方々にお話しを伺います。
「天神ビッグバン」による大規模な都市開発が進む天神エリア。コロナ禍の影響で働き方に大きな変化が起きる中、商業施設やオフィスビルの建築が着々と進んでいます。
そんな天神エリアのビジネスについて、スタートアップ企業はどのように捉えているのでしょうか。店舗向けの顧客管理・販売促進アプリ「toypo(トイポ)」を開発する、福岡発のスタートアップ企業・株式会社トイポ代表の村岡拓也さんにインタビュー。ビジネスにおける天神の魅力や展望、これから天神という街に期待すること、さらには今後取り組んでいきたいことまで伺います。
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スタートアップの支援体制が整っている天神エリア
――ここ数年の天神エリアの移り変わりについて、スタートアップ視点ではどのように感じられていますか?
村岡:オフィスとして入居している官民共働型スタートアップ支援施設『Fukuoka Growth Next(以下:FGN)』が2019年5月にリニューアルしたことが、福岡のスタートアップ的に大きなアクションだったのではないかと思っていて、ハード・ソフト面も含めて、スタートアップに対する支援体制がさらに充実したと感じています。
福岡の都市部は天神エリアと博多エリアに大別できると思いますが、スタートアップやエコシステムの中心は間違いなく前者。というのも、FGNのようなインキュベーション施設やトヨタ自動車九州さんが運営するコワーキングスペース『Garraway F』といったスタートアップに関連する施設がほぼ天神エリアに集結しているんです。僕らは創業して約2年半になりますが、その短い間にも天神エリアにはスタートアップを支援する文化が根付き、設備も整ってきている印象があります。

――開発前の天神という街に対しては、どのような印象がありましたか?
村岡:天神はビジネスというよりは、買い物やレジャーを楽しむ"商業の街"という印象がありましたね。僕は今25歳なので、開発前の時期は特にビジネス目線で天神を見る機会が少なかったのかもしれません。どちらかというと博多の方が交通の要衝であり、ビジネス的な要素が強い印象がありました。一般的にもそのような認識があるのではないでしょうか。

――都市開発が進んでいますが、天神エリアにおけるビジネスの発展面で期待することは何でしょう?
村岡:天神エリアだけでビジネスが完結できたらいいな、という期待感はありますね。今後オフィスとして使える施設やスペースがもっと充実して、スタートアップの支援施設や金融機関が集まったらより発展するのではないかと。極端に言えば、博多に行かずとも天神で完結できたらビジネスの発展に大きく影響するのかなと思います。
何より福岡市役所が天神のど真ん中にあるので、行政との連携も図りやすいんです。福岡市はFGNをはじめ、率先してスタートアップの支援を行っているので、その影響も大きいのかなと感じています。

――実際にFGNに入居されていますが、メリットに感じることはありますか?
村岡:比較的安い賃料で利用できることがありがたいですね。そのうえ起業準備や事業内容等の相談ができますし、施設を利用するスタートアップの先輩やスポンサー企業の方々と交流できるところも魅力だと感じています。入居するには市の審査が必要になるので、行政の支援を公式に受けて活動しているという信用を得られることもメリットではないでしょうか。

天神エリアの開発に伴う、スタートアップへの影響
――今後は首都圏の企業が天神エリアに進出することも予想されますが、そのことでスタートアップにはどんな影響が考えられますか?
村岡:企業との直接的な取引というよりも、人材交流の面でメリットがあるのかなと思っています。どの企業も事業拡大をしていくにあたり、必要になるのが人材の確保です。これまでのように福岡での地元採用となると、求めるスキルを持つ人材の確保はある程度限られるじゃないですか。今後は天神が"商業の街"から"ビジネスの街"へと変わることで首都圏からさまざまな企業が進出し、人材の流動性のようなものが高まるといいなと期待しています。
――競合となる業種が進出してくる可能性もあると思います。そこはどう感じていらっしゃいますか?
村岡:僕たちの事業で言いますと、拠点は福岡・天神にありますが"日本"という広い市場を開拓していこうとしているので、同業者をあえて競合として意識することはありません。天神エリアに同じようなソリューションを提供する企業が進出してきたとしても、ノウハウを持った方と交流できることにメリットを見出せたらいいなと思っています。
むしろ業界全体的な盛り上がりと言いますか、人材の交流が活発になって転職市場が盛り上がるのではないでしょうか。
――企業だけでなく、新たな店舗やサービスが進出してくることも予想されます。その点では御社の事業としてどのような期待ができますか?
村岡:天神エリアで商売をする人たちのITリテラシーが高くなることに期待をしています。店舗の経営者はどうしても多忙であるが故に、アプリといった新しいITソリューションの導入をしぶる傾向が強い気がしています。天神ビッグバンのような都市開発が進むと、天神エリアの店舗経営者は「新しいことについていかないといけない、変わらないといけない」という意識が高まると思うんですよね。そうすることで、僕らが開発する「toypo」のような新しいサービスを受け入れられる土台ができるのではないかと思っています。

――街が変わることで、意識も変わるということですね!
村岡:今、僕らが「事業の強みは何ですか?」と問われたら、サービスの内容はもちろんですが「魅力的な顧客を抱えていること」と答えられる自信があります。ここで言う「魅力的な顧客」とは、僕らにとって売り上げの貢献度が高いという訳ではなく、サービスを良くする過程を共有できる顧客ということ。なぜなら現状の「toypo」は完成形ではなく、今後も改善していかなければなりません。
そのためには「こんなサービスを作ったから使いませんか?」と一方的に提供するのではなく、どんな課題を解決したいのかを顧客と一緒に考え、求めるサービスを作り上げる必要があります。そんな時に現状に満足せず積極的に新しいものを取り入れようとする意識のある顧客を抱えているということが私たちの強みだと思います。
――今後、天神エリアでのビジネスにおける展望があれば教えてください。
村岡:僕らは天神・福岡に限らず全国的に事業を拡大していこうと考えています。目線は全国に向けていますが、本社はこれからも天神に構える予定です。今後は本社機能をさらに充実させて、優秀な人材の確保ができたらと思っています。

――「天神を拠点に活動したい」と考えられている企業にメッセージをお願いします!
村岡:スタートアップという視点に限りますと、福岡であれば天神エリアで起業するのが間違いないと思っています。重複になりますが、福岡市が推進するFGNのようなハブになる施設がありますし、市役所が近いので行政と密接にやりとりができます。
FGNにはいろんな世代や業種のスタートアップ企業が入居しているので、多彩な交流ができるのも事業にとってプラスになるはず。僕らは2019年に創業したのですが、実はそれまで事業経験がほぼ無かったんです。FGNに入居してからビジネスについて学んでいきました。天神エリアで活動すること自体が会社も、経営者としての自分をも押し上げてくれると思っています。

村岡さんが起業したのは2019年4月、当時はまだ22歳。社会人経験がほぼなかった村岡さんがここまで事業を発展できたのは、FGNをはじめとするスタートアップ支援施設や、天神エリアの環境が刺激になったから。そんな本音を、インタビューを通じて伺うことができました。
■会社概要
会社名:株式会社トイポ
URL:https://toypo.me/
所在地:福岡県福岡市中央区大名2-6-11 FukuokaGrowthNext内
代表取締役:村岡拓也
福岡県福岡市出身・福岡市在住。地元の大学を卒業後、ペット雑誌「犬吉猫吉」や旅行情報誌「九州じゃらん」の編集に携わり、フリーライターとして独立。ペット雑誌の経験を活かし、ペット関連の取材や執筆をする"(自称)ペットライター"としても活動中。趣味はネコグッズ集め、ライブ鑑賞、プロ野球観戦。