多様な生き方や働き方が広がりつつある現代。企業にはこれからますます、さまざまな人が働きやすい環境を整えることが求められます。社員の働きやすさを叶える企業の取り組みとは? この連載では、実際に働き方改革に積極的に取り組む企業で働く人や経営者にインタビュー。今回は、福岡市に本社を置き、鉄骨構造物を中心に設計から生産管理までを一貫して行う山口重工業株式会社を取材。業界世界トップを目指す企業のリアルな声をお届けします。
※ここで紹介する企業は私募債発行に際してSDGsに資する取り組み、中でも働き方改革を積極的に行うことを要件に取り込んだ、西日本シティ銀行が提供する、次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」を発行している企業です。※私募債についてはこちら
社員インタビュー
山口重工業株式会社 人事教育課主任・生産設計課兼務(2020年入社) 椎原 明希(しいはら あき)さん
Q:この会社を選んだ理由、入社の決め手を教えてください。
大学時代は化学専攻だったので、研究職に進むのが一般的。でも、"自分のした仕事の成果が目に見えて残るもの"に憧れ、まったく別の業界に飛び込んでみる決意をしたんです。就活を進めていく中で、建築業界なら"仕事の成果が目に見えて残る"ことに気づき、チャレンジすることにしました。
会社選びで重視したポイントは、会社やそこで働く社員の方々の雰囲気の良さ。さまざまな会社を見学しましたが、自分がそこで働くイメージがなかなかできず苦戦しました。そんなときに出会ったのが山口重工業だったんです。
説明会に参加した際、そこにいた社員の方々がとても自然体で話をされていて、風通しの良さを感じました。また、建設業界は男性のイメージが強く不安があったのですが、実際に働いている女性社員の「女性でも活躍できるよ!私たちがそばにいるから大丈夫だよ」という声を聞き、「私もこの方たちといっしょに働きたい」と強く感じたんです。
Q:入社して感じた、この会社の良さはどのようなところでしょうか?
じつは、就活の際に感じた"風通しの良さ"は本当なのか…と不安になり、入社前に一度職場見学に来たんです。会社に入るとすぐに「久しぶり!こっちにおいでよ!」と声を掛けられ、いろいろなことを教えてくださったり、楽しい会話に混ぜていただいたりと充実した時間を過ごすことができました。
おかげで「私の直感は間違っていなかった」「風通しの良さは本物だった」と実感したのですが、もちろん入社してからもその心地よい環境の中で、のびのびと働くことができています。
また、学生時代に建築などを学んでいなかったので、仕事についていけるかが不安でしたが、「大学生のうちは遊んでもらって大丈夫!みんなスタートラインは同じ、入社してからどんどん学んでいきましょう」とおっしゃっていただいたこともありがたかったです。社員の成長を支える環境が整っていることも魅力だと思います。
Q:業務内容を教えてください。
入社時から生産設計課に所属しています。クライアントから「こんな建物を建てたい」というざっくりとした図面が届くのですが、それを実際に設計し、構造体を最終決定していく業務です。
学生時代にはまったく学んでこなかった知識や技術を必要とする仕事ですが、先輩について少しずつ覚えていけるので問題ありません。実際に先輩方が関わった物件を見に行く機会も多く、設計したものが形になっているのを目にすることでモチベーションはどんどん上がっていきました。
現在は人事教育課の業務も兼任し、採用や広報の業務、新入社員の教育などにも携わっています。
Q:業務でのやりがいや嬉しかったことを教えてください。
まだ1年目のとき、商業施設の階段とエレベーターの設計を手伝ったのですが、オープンした際には家族全員で見学に行きました。人々の暮らしに欠かせないものを作っていることをあらためて実感して感動し、家族に動画を撮ってもらいながら階段をのぼったのを覚えています。
人事教育課の業務では、自分が教えた後輩が設計デビューし、物件に携わっているのを見たときにうれしさを感じました。自分自身が設計するのとはまた違うやりがいがありますね。
Q:福利厚生や制度はどうですか?
基本的な福利厚生はもちろんしっかり整っています。その中で特に充実しているなと感じるのは、資格手当です。学生時代の同級生から、「会社から資格を取りなさいと言われるけど、自分でテキストを買って自分で勉強している」という話をよく聞きます。
でも、当社は仕事に役立つ資格を取得するための準備をしっかりしてくれるんです。講習会を開催してくれたり、テキストを準備してくれたりと手厚く支援してくれるので、安心して勉強できます。資格を取得すれば手当としてお給料に反映されるのもうれしいポイントです。
Q:仕事を通じて学んだことはありますか?
自分が携わったものが形になって目に見えるのでやりがいが大きく、次の仕事にも前向きな気持で取り組んでいけるので、新たな行動を起こすためのポジティブマインドが身についたと思います。さらに、新入社員の教育に携わることで、自分の知識をアウトプットする力を養うこともできました。
また、先輩に何でも質問しやすい環境があるので、自ら聞いて学ぼうとする自発性も磨けます。
Q:今後の目標を教えてください。
私自身が「この会社に入って良かった」と強く感じているので、後輩たちにも同じように感じてもらえたらと考えています。将来的に女性管理職の割合を35%ぐらいまで上げていきたいという会社の目標もあるので、私も会社の環境づくりに携われる立場を目指していきたいです。
「男性が多そう」、「ベテランの方が多く年齢層が高そう」というイメージが強いと思うので、女性や若い方でも活躍できる当社の魅力ももっと伝えていけたらと思います。
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山口重工業株式会社
代表取締役 山口 豊和(やまぐち とよかず)さん
福岡県田川郡出身。山口重工業株式会社(当時は有限会社山口製作所)に入社し経験を積んだ後、2019年(令和元年)に3代目として代表取締役に就任。
"未来ある仕事"としての魅力を伝えたい
当社の始まりは1949年(昭和24年)に、私の祖父が飼料の販売をスタートしたことからです。飼料販売の際に例えば「鶏小屋を作ってほしい、牛舎を作ってほしい」といった依頼もあり、さまざまな業務を行っていたようです。
1973年(昭和48年)にはトラッククレーンリース業を開設し、1975年(昭和50年)に有限会社山口製作所を設立。1991年(平成3年)には鋼材一次加工を開設しました。その後、2014年(平成26年)に社名を山口重工業株式会社に変更し今に至ります。倉庫や工場、商業施設など、多種多様な建築物の鋼構造物の設計・製造および施工を一貫して請け負っています。
私が代表取締役を引き継いだのは、会社が創業70周年を迎え、時代が令和になったとき。『夢をカタチにしていく』というコーポレートスローガンを掲げ、夢のある取り組みによって社業を発展させること、若い社員に未来ある『プロアクティブ、プロダクティブ、プロフェッショナル』の仕事について語り続けていきたいという思いで就任しました。
新卒採用と教育の強化を独自の強みに
就任前から本格的に取り組みはじめたのが新卒の採用でした。社内の雰囲気や風通しの良さには以前から自信がありましたが、経営的な視点で見ると社内の平均年齢が上がっていることに危機感があったんです。
他社は外国人労働者を多く雇用して人手不足、若者不足を解消しているため、私も海外の国々を訪れてみたのですが、当社の社風には合わないと感じました。「日本の若者を多く雇用していきたい」という思いもあり、2018年(平成30年)から新卒採用を積極的に行うことを決めたんです。
最初の年は経験がないのでどうしたら良いかわからず、若い方にとって少しでも魅力のある会社になるよう便利な場所に本社を移転したり、給与の水準を他社よりもできるだけ高くするといった努力をしていきました。その結果、説明会に学生さんが来てくれたときはうれしかったですね。
その後は年々採用活動も活発になり、今では多くの学生さんが全国から集まってくれるようになりました。採用活動と同時に教育体制を整えていったことで若い社員が育ち、今は彼らが採用活動も支えてくれるので、優秀な人財がどんどん増えています。
さらに、若手社員がプレイヤー層からマネジメント層へと成長するためのサポートもしっかり行えるよう、外部講師を迎えての研修などにも力を入れているところです。
目指しているのは、業界世界トップ
当社は小さな会社ですが、製造の難しい大型で特殊の構造物の設計、鋼構造物製造、施工まで一貫して生産できる体制を有しているという強みがあり、業界世界トップを目指しています。ぜひ当社で"世界トップを目指す会社で働くこと"の意義を感じていただけたらうれしいですね。
『夢をカタチにしていく』というのがコーポレートスローガンなので、私の夢だけでなく社員一人ひとりの夢もカタチにしていきたいと思っています。当社の目標に共感いただける方はもちろん、夢を持っている人に入社してほしいです。
山口重工業株式会社
創 立:1949年
代表者:代表取締役 山口 豊和
所在地:本社 〒812-0034 福岡県福岡市博多区下呉服町1-1日通ビル3F
東京オフィス 京都オフィス 福岡川崎工場 福岡添田工場 栃木宇都宮工場
TEL:092-273-2227
FAX:092-273-2228
URL:https://www.yamakou.co.jp
プランナー、編集者、ライター、ディレクター
大学卒業後、印刷会社に就職し『FUKUOKA STYLE』編集部に所属。独立後は企業や官公庁、大学などの広報物の編集・取材・ライティング等に携わる。現在は福岡市内でクリエイティブオフィス「shirotoiro」を運営。プランナー・編集者・ライター・ディレクターとして活動しながら、エステサロン「momotoiro」の運営も行う。食べることが大好きですが、グルメライターではありません。