まったく異なる業界から40歳で住宅業界へと転職。工務店とハウスメーカーで営業職を経験したことで、家づくりを一から本当にこだわりたい人の受け皿が少ないことに気づいた結果、「こだわりに“おせっかい”で応え、一生に一度の家づくりをお手伝いしたい」と起業。完全オーダーメイドの家づくりを叶える工務店・ヤスナグデザインホーム株式会社を創業した師岡さんに、起業に至った思いやこれからの展望についてお話を伺いました。
■プロフィール
ヤスナグデザインホーム株式会社
代表取締役 師岡光さん
福岡県行橋市出身。京都高校卒業後、飲食業やサービス業でエリアマネージャーや部長職を経験。40歳で北九州市の地元工務店に入社し住宅業界へ。その後、大手ハウスメーカーで店長に抜擢。営業担当としても優秀な成績を収める。その経験を活かし、2020年11月にヤスナグデザインホーム株式会社を設立。
40歳でまさかの転職。経験のない業界に飛び込む
――なぜ40歳で住宅業界に転職されたのですか?
ずっと飲食業やサービス業でエリアマネージャーや事業部長などをしていたのですが、転勤が多くて全国を転々としていたんですね。しかも、業界的にどうしても昼夜逆転生活になりがち。
妻が病気をしたのを契機に地元に戻ってきたのですが、夜は家にいられる仕事にしたいと思い、別の業界に転職することを決意したんです。幼少の頃に大病を経験したことがあり、「人の健康や幸せに関われる仕事に就きたい」という思いがずっとあったので、「人生の後半は家づくりに携わってみたい」と考えるようになったことが転職のきっかけです。
――住宅業界に入ってからはどんなお仕事をされていたのですか?
住宅業界での最初のキャリアは、北九州にある地元の工務店でした。右も左もわからない状態だったので大変でしたが、とても良い工務店でしたので楽しかったですね。営業を担当して気付いたのは、住宅業界の営業担当者って、販売して終わりではなくすべての工程に携われるということ。
家が売れた後もお客さまに付き添ったり、職人さんたちと打ち合わせをしたり、それが楽しくてこの仕事に夢中になっていきました。もちろんその分、覚えなくてはいけないことが山積み。毎日勉強しても勉強することがゼロにならない。それが逆にうれしかったですね。
その後、「ハウスメーカーの家づくりを学びたい」という思いが芽生え、転職しました。でも、そこはとてもシステマチックな家づくりをするメーカーで、お客さまにとっては一生に一度の家づくりなのに、こだわりたいお客さまの細やかな注文に応じることができにくかったんです。
ハウスメーカーでは、できることや家の仕様や、デザインが決まってしまっている。誰のために家づくりをしているのかが疑問になり、それがジレンマになってしまい、「私はこのままここにいていいのだろうか」と考えるようになっていきました。
理想を追いかけるうちに…、気づけば工務店を起業!?
――ヤスナグデザインホームが誕生した経緯を教えてください。
実はそれでも特に「起業したい」という思いを抱いていたわけではありませんでした。でも、知り合いの社長に「独立した方がいいよ。僕がサポートするよ」と声を掛けていただいたんです。
それなら、家づくりをこだわりたい方の“こだわり”に“おせっかい”で応えて寄り添い、いっしょに家づくりをしていける会社を作ろう!と考えたのが、ヤスナグデザインホームが誕生したきっかけ。ただ、お客さまのお話を聞いて、アドバイザーとしてその方に合った工務店やメーカーを紹介し、完全オーダーメイドの家を建てていただく「仲介所」のような会社を考えていたのですが、「師岡さんが会社をはじめるのなら…」って、どんどん協力者が集まってくれて、気づけばただの仲介所ではなく工務店をはじめていました。
――起業して良かったのはどのような点ですか?
やはり、一生に一度の家づくりをとことんこだわりたい方の思いが叶う場所がつくれたという点です。地元なので困ったことがあっても誰かがすぐにバックアップしてくれるあたたかさも助けになり、おかげさまで会社は順調に成長しています。起業するともちろん責任も増えますが、その分やりがいも増えました。
じわじわじっくりと、地域に根差し広がっていきたい
――これからの展望について教えてください。
今年、2店舗目を小倉にオープンすることができましたが、これからも質の高いサービス…つまり、家づくりに対する質の高い“おせっかい”を実現していきたいので、それができる知識と経験を備えたスタッフが育った上で店舗を広げていきたいと考えています。
だから、無理して急激に店舗を増やしていくのではなく、じわりじわりと。地元・福岡が大好きなので、この地域にしっかり根を張って広げ、来年度はまた県内に3店舗目をオープンしたいですね。
会社は私個人の持ち物であってはいけないと思っていますので、長く存続していくためにも10年後には上場を目指せたらと考えています。
――販売中のシェルターについてもぜひ教えてください。
安心の暮らしをお届けするためにどうしたら良いかを考えたときに、シェルターを販売したいという思いがありました。戦争や災害など、いろいろな脅威が身近にありますが、シェルターってどこで買ったら良いかよくわかりませんよね。今は信頼できる商品の委託販売を行なっていますが、「いつかは自分たちで作りたい」というのが目標です。
まずは販売実績を重ねることで、地震などの脅威で不安になった方が「あそこに行けばシェルターがあるよ。安心の暮らしが買えるよ」という認識を持っていただけるようになれたら、と。地震で亡くなっている方の多くが家屋の倒壊なんですよね。耐震住宅に力を入れるだけでなく、シェルターの必要性も訴えていきたいと思います。
>>耐震シェルターについて
ヤスナグデザインホームについて
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◎コワーキング施設「The Company DAIMYO」
プランナー、編集者、ライター、ディレクター
大学卒業後、印刷会社に就職し『FUKUOKA
STYLE』編集部に所属。独立後は企業や官公庁、大学などの広報物の編集・取材・ライティング等に携わる。現在は福岡市内でクリエイティブオフィス「shirotoiro」を運営。プランナー・編集者・ライター・ディレクターとして活動しながら、エステサロン「momotoiro」の運営も行う。食べることが大好きですが、グルメライターではありません。