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法人の印鑑証明書はコンビニで発行できる?手数料や取得時の注意点まとめ

By 森本 由紀

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公開日 2020.09.15
法人の印鑑登録の方法と必要なものとは?西日本シティ銀行銀行が解説

会社名義で契約を行うときなどは、会社の印鑑証明書が必要です。これから起業を考えているなら、会社の印鑑証明書の取得方法についても知っておきましょう。今回は、法人の印鑑証明書はどこで・どうやって取得するのか、コンビニでも発行できるのかなどの疑問にお答えします。

>>会社で必要な代表者印とは?作り方・使用用途・他の会社印鑑との違いをおさらいしよう

>>社印は電子印鑑で作れる?電子印鑑の種類と法的効力・作成時の注意点まとめ

法人の印鑑登録の方法と必要なもの

個人の印鑑を役所に登録すれば、印鑑証明書を発行してもらえます。同じく法人にも印鑑登録の制度があり、印鑑証明書の発行が受けられます。

法人の実印とは?

法人の実印とは、法人の代表者印です。株式会社の場合、一般には外側に会社名が、内側に「代表取締役印」という文字が彫られた丸印になっています。
会社の場合、契約書や株主総会議事録などの重要な書類には、代表者印を押さなければなりません。印鑑証明書は、代表者印が本物であることの証明のために添付します。

会社設立時に法務局で印鑑登録が必要

法務局で会社設立登記をする際、設立登記申請書にも代表者印を押す必要があります。そのため、通常は設立登記と同時に印鑑登録を行います。法人の印鑑登録は、市区町村役場ではなく法務局で行います。

会社の印鑑を登録する方法

会社の印鑑を登録するには、印鑑届書に代表者印を押して、法務局の窓口に提出します。印鑑届書の書式は法務局の窓口にありますが、インターネット上からもダウンロードできます。

印鑑届書には代表者個人の印鑑証明書が必要

印鑑届書には代表取締役個人の実印を押し、個人の印鑑証明書(市区町村役場で3か月以内に取得したもの)を添付しなければなりません。設立時には、設立登記申請書に添付した代表取締役個人の印鑑証明書を援用できます。

法人の印鑑証明書を取る前に知っておきたいこと

法人の印鑑証明をとるまえに知っておきたいこと!

法人の印鑑証明書を請求するときは、次のような点に気を付けましょう。

法人の印鑑証明書はコンビニでは取れない

個人の印鑑証明書は、マイナンバーカードがあればコンビニで取ることもできます。しかし、法人の印鑑証明書をコンビニで取ることはできませんので注意しておきましょう。

事前に印鑑カードを発行してもらわなければならない

印鑑証明書を取得するためには、事前に印鑑カードを取得しておかなければなりません。会社設立後、法務局の窓口に印鑑カード交付申請書を提出すれば、無料で印鑑カードを発行してもらえます。

印鑑証明書の取り方は3種類

印鑑証明書を取るには、次の3つの方法があります。

1.法務局の窓口で取得する

2.郵送で取得する

3.オンラインで申請する

それぞれの取得方法や必要なものについて、次項から詳しく見ていきましょう。

>> 【まとめ記事】法人カードの基礎知識~メリット・デメリットまで

審査に落ちたことがある人も│ ”for Owners”はこちら

法人の印鑑証明を法務局の窓口で取得する方法

法人の印鑑証明、法務局窓口での申請方法

法人の印鑑証明書を発行してもらう場合、法務局の窓口に行くのが最も簡単な方法でしょう。

必要なもの

法務局の窓口で印鑑証明書を取得する場合、次のものが必要です。

法務局の窓口にある用紙に必要事項を記入して提出します。会社の商号や本店所在地のほか、代表者の氏名、生年月日、印鑑カードの番号を記入する欄があります。なお、交付申請書に押印は必要ありません。

印鑑証明書は印鑑を届出している代表者以外が代理人として取ることもできます。この場合には代理人の住所・氏名を記入すれば、委任状は不要です。

②印鑑カード

印鑑証明書交付申請書に、印鑑カードを添えて提出します。

③手数料

1通につき450円の手数料がかかります。手数料は、印鑑証明書交付申請書に収入印紙を貼付して納めます。

どこの法務局に行けばいい?

法務局には管轄がありますが、印鑑証明書は全国どこの法務局(支局・出張所含む)でも取得できます。

土日は取得できない

法務局の窓口が開いているのは、平日午前8時30分から午後5時15分の間です。土日祝日や年末年始(12月29日から1月3日まで)は印鑑証明書を取得できません。

法人の印鑑証明を郵送で取得する方法

法人の印鑑証明を郵送で取得する方法

法務局の窓口に行けない場合、郵送で印鑑証明書を取る方法があります。

必要なもの

印鑑証明書の郵送請求の際には、次のものが必要です。

①印鑑証明書交付申請書

印鑑証明書交付申請書は、法務局の窓口に備え付けてあるほか、ホームページからもダウンロード可能です。

印鑑証明書交付申請書(様式)

印鑑証明書交付申請書(記載例)

②印鑑カード

請求時には、印鑑カードを郵送する必要があります。

③手数料

手数料450円分の収入印紙を交付申請書に貼付します。

④返信用封筒・切手

切手を貼った返信用封筒を同封します。

郵送先

法人の印鑑証明書を郵送で請求する場合には、本店所在地を管轄する法務局宛てに上記の必要書類などを郵送します。

普通郵便は避ける

印鑑カードを紛失すると、第三者に悪用されてしまうリスクもあります。往復とも簡易書留など追跡できる方法で郵送しましょう。

>> 【まとめ記事】法人カードの基礎知識~メリット・デメリットまで

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法人の印鑑証明をオンラインで取得する方法

法人の印鑑証明をオンラインで取得する方法を西日本シティ銀行が解説

法人の印鑑証明書をインターネット上で請求し、郵送または法務局の窓口で受け取りすることも可能です。

必要なもの

オンライン請求の場合には、事前に以下のようなものを揃えなければなりません。

①申請総合用ソフト

法務局への証明書などの請求は「登記・供託オンライン申請システム」というネットワークを通じて行いますが、印鑑証明書を取るには「申請総合用ソフト」というソフトが必要になります。申請総合用ソフトは無料でダウンロードできます。

②電子証明書

オンラインで印鑑証明書を請求するときには、本人確認のため、電子証明書を使って電子署名を付す必要があります。マイナンバーカードに格納されている電子証明書は個人を証明するものなので、法人の印鑑証明書請求には使えません。法人の代表者としての「商業登記電子証明書」を事前に取得する必要があります。

商業登記電子証明書は、「商業登記電子認証ソフト」を使ってインターネット上で申請書を作成し、法務局の窓口へ申請書を提出して発行してもらいます。なお、電子証明書の取得には、利用期間に応じた手数料(3か月2500円~)がかかります。

③PDF署名プラグイン

PDFファイルに電子署名を付すために使うソフトです。「PDF署名プラグイン」は無料でダウンロードできますが、このPDF署名プラグインを利用するために、別途「Adobe Acrobat」という有料のソフトが必要です。

④手数料

オンラインによる印鑑証明書請求では、郵送受け取りの場合は410円、窓口受け取りの場合は390円の料金がかかります。

繰り返し利用するのでなければ、オンライン請求のメリットは少ない

オンラインで印鑑証明書を請求する場合、事前準備の手間がかかるだけでなく、電子証明書取得やソフト購入などの費用もかかります。ほかの手続きも含めて頻繁にオンライン申請をする場合を除くと、オンライン請求のメリットは少ないといえるでしょう。

印鑑や印鑑カードを紛失した場合には?

印鑑や印鑑カードを紛失したときどうするか

もし会社の印鑑や印鑑カードを紛失した場合、印鑑証明書を取る前に以下のような手続きが必要です。

紛失したものの種類

法務局で必要な届出

法務局に持参するもの

印鑑・印鑑カードの両方を紛失

・改印届

・印鑑カードの廃止届

・印鑑カードの交付申請

・会社の新しい実印

・代表者個人の実印

・代表者個人の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)

印鑑のみを紛失

・改印届

・会社の新しい実印

・代表者個人の実印

・代表者個人の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)

印鑑カードのみを紛失

・印鑑カードの廃止届

・印鑑カードの交付申請

・会社の実印

※代理人が改印届、印鑑カード交付申請、印鑑カード廃止届をする場合には、委任状が必要です。

まとめ

法人の印鑑証明書はコンビニでは取得できません。窓口受付時間に法務局に行ける場合には法務局の窓口で、窓口に行くのが難しい場合には郵送で取得するのがおすすめです。

また、印鑑証明書の取得時には印鑑カードが必要です。会社設立後にはすぐに印鑑カードを発行してもらい、なくさないように保管しておきましょう。

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