インタビュー

無添加ラーメンで人気の老舗「花山」が家で楽しめるラーメンを開発

By renew編集部

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公開日 2020.11.09
「君の膵臓を食べたい」ロケ地 焼き鳥・ラーメン「花山」

映画『君の膵臓を食べたい』のロケ地に選ばれた「花山」は、昭和28年創業、66年目を迎えた老舗焼き鳥・ラーメン店です。
現地では、主人公である「僕」と「咲良」が一緒にもつ焼きやラーメンを食べるシーンが撮影されました。映画で登場した料理は「花山」で実際に提供されている名物の『白』と『ラーメン』です。

そして2020年9月、自社で企画開発した化学調味料不使用のインスタントラーメンの販売をスタートしました。

今回は、「花山」の大将(代表取締役)の花田博之さんと、経理担当の宮崎さんに「花山」の歴史、無添加、化学調味料不使用にこだわる理由から、インスタントラーメンの販売経緯までのお話しを伺いしました。

焼き鳥・ラーメン「花山」の無添加・化学調味料不使用のラーメン

親子喧嘩がきっかけではじまった

――いまでは箱崎を代表するラーメン店ですが、お店は屋台からはじめられたとのこと。 なぜ屋台だったのでしょうか?

大将:もともとは魚屋を経営していた祖母と手伝いをしていた父との喧嘩がきっかけです。父がお世話になった人にお礼としてお店の魚を持っていったみたいで、それについて何も聞かされていなかった祖母が怒り、折り合いがつかず反発した父が屋台をはじめました。父は友人から「屋台は儲かる」と聞いていたようで、その話に便乗するように屋台の「花山」がはじまりました。
最初はラーメンではなく、手打ちうどんの上に揚げた魚を乗せて販売していました。これが大当たりで、半年で売上を大きく伸ばし、その後、当時流行り出していたラーメンへメニューを切替えたそうです。

――「花山」さんは、素材にこだわった焼き鳥もそうですが、ラーメンは無添加、化学調味料不使用とこだわりをお持ちですが、それはどういった思いからでしょうか?

大将:化学調味料を使えば美味しくなりますが、後味が残ります。以前化学調味料を使っていた頃、お客さまから「お前、なしてこんな旨いもんに、かけるんや?」と聞かれ、ハッとしました。僕が当時30代、化学調味料が健康に与える影響について、新聞各社でも報道がされていて、従業員からも同じ声があがっていたので、それを機に化学調味料の使用をやめました。
しかし、突然説明もなく使うのをやめてしまったので、急な味の変化に「『花山』のラーメンは美味しくない」と噂になり、一部のお客さまが離れてしまうことになったんです。

そこから、美味しいラーメンをつくるために無添加の醤油を探し、昆布をはじめさまざまな素材で試行錯誤を続けて、現在の無添加で化学調味料不使用、後味さっぱりのラーメンが誕生しました。もちろん焼き鳥に振るう塩も自家製です。

―― お塩もですか!?こだわりがすごいです。

大将:塩は自分で玄界灘から海水を汲み上げ、何度も濾して作ります。この自家製塩は、鋭い塩気が和らぎ優しくまろやかな味。こだわりを突き詰めていった結果、お客さまは増え、たった一台の屋台から現在は大型の店舗で営業できるまでになりました。

焼き鳥・ラーメン「花山」で使用する塩は玄界灘から汲み上げた海水を濾した自家製
「花山」の焼き鳥は、素材にこだわり、自家製の塩を使用

コロナ禍が生んだ変化

―― コロナウィルス感染症拡大の影響はどうでしょうか?

宮崎:売り上げは大きく落ち込みました。前年度の2〜3割です。3割なんていけばいい方で4月はギリギリ2割いったくらいで、お店も緊急事態宣言が出てから20時以降は営業休止にしました。夏は個人の自粛意識が一層高まったようで7月の連休やお盆期間はもっと少なかったです。
バイトの子は、生活がかかっているので解雇はできません。辞めてもらうとお店も困ります。なるべくその子を優先して入れて、正社員を休ませました。

大将:常連のお客さまの中には、九州大学の箱崎キャンパス(現在は移転)に通っていた卒業生がたくさんいて、県外に住んでいながら月に1~2回は来てくれていました。ですが移動の自粛で行けなくなったと、わざわざ電話までくれる方もいました。

焼き鳥・ラーメン「花山」の目印は夜空に輝く提灯

―― 現在は徐々に緩和の動きもありますが、お店を訪れるお客さまの様子はいかがでしょう?

宮崎:うちは店舗のドアを開放しているので風通しがいいと安心されますが、中には奥の席を避ける方もいらっしゃいますね。

大将:カウンター席の間隔を広くとっても、人が座っていると、なかなか入りたがらない方もいますね。昔は人がぎゅうぎゅうに集まって座っているのも名物でしたが変わりましたね。

「花山」の風景

見えてきた新しい販路

宮崎:コロナの影響を受け、テイクアウトの需要が拡大しました。お客さまが「美味しいものを食べに行く」というより、「美味しいものを買って家で食べる、取り寄せる」意識が浸透していると感じます。

―― その背景を受けてインスタントラーメンの販売を企画したのでしょうか?

宮崎:実は3年前、製造を依頼した会社と金額面で折り合いがつかず実現には至らなかったのですが、インスタントラーメンを販売する案は挙がっていました。

大将:それにインスタントラーメンなんて、体にいい素材を使っていない印象があるじゃないですか。「花山」のラーメンは化学調味料不使用ですから、インスタントラーメンでは実現できないと思っていました。ですが月日を経ていろいろ調べてみると無添加はできないが、「花山」こだわりの化学調味料不使用は可能だということがわかりました。そこから周りの方々にも助けていただきながらようやく自社で製造販売までできるようになりました。

焼き鳥・ラーメン「花山」のインスタントラーメン、通信販売開始

―― テイクアウト需要の拡大もあったと思いますが、花田社長を突き動かすモチベーションはどこからくるのでしょうか?

大将:「花山」は筥崎宮をはじめこの街とともに育ってきたと思っています。九州大学の移転やコロナの影響による観光客減少でこのエリアは寂しくなっています。事業はこういった時代とともに変化していかなければならないと思っています。ラーメンを店舗で食べていただかなくても、インスタントラーメンだったら全国で買える、買った人が箱崎エリアを知る、そしてゆくゆくは筥崎宮はじめこのエリアに足を運んでいただきたいと思っています。

それに「料理を作る側と、食べる側、双方が元気になる、楽しく過ごす。」ということを心がけています。僕は小さい頃から親父が屋台に立って、お客さまと向き合う姿を見てきました。お客さまと戯れながら仕事をして、料理を食べてもらうこと、そして、食事を通してお客さまに元気になってもらって、作る側も笑顔になる。そのために僕は「花山」を通して、将来を担うこれからの世代の方々に体にいい食事を提供し続けていきたいと思っています。

焼き鳥・ラーメン「花山」に寄せられるファンの声




Go!Go!ワンク編集部から:

「花山」のラーメンは無添加、化学調味料不使用にこだわった、食べて元気になる一品。
とんこつスープのクリーミーな質感と、あっさり味で、ついつい2杯目の替え玉を注文してしまいます。お取り寄せでゆっくり味わうのもおすすめです。

【インスタントラーメンのお取寄せ方法】

・ご注文方法 お電話(092-631-1408)or Instagramのダイレクトメールで受付中。

・お支払方法 現金(振込)or PayPay(詳細は別途案内)。

「花山」の公式インスタグラムアカウント
@hanayama_hanayama

通販サイト現在準備中

企業プロフィール

有限会社 花山

代表取締役 花田 博之氏

昭和28年設立

福岡市東区箱崎にて焼き鳥・無添加ラーメン等を提供する「花山」を経営

店舗「花山」営業時間:12時~24時まで(ラストオーダー23時) *月曜定休日

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  • 経営

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