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青色申告と白色申告の違いって何?簡単にわかる基礎知識&メリット・デメリット

By 河野 雅人

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2020.10.19
青色申告と白色申告の違いって何?簡単にわかる基礎知識&メリット・デメリット

所得税の確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、どっちがいいのか迷う人もいるのではないでしょうか。青色申告にすれば税金面でメリットがある一方、手続きや申告が面倒というイメージがあるかもしれません。

そこで今回は、青色申告と白色申告のそれぞれの意味と、メリット・デメリットについて解説します。

確定申告における青色申告と白色申告の違いとは?

青色申告とは

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青色申告とは、日々の取引を一定のルールに基づいて帳簿に記帳することにより確定申告する方法です。

白色申告に比べて税金面でさまざまなメリットがあるので、確定申告で青色申告にするか白色申告にするか悩んでいる人には、ぜひおすすめしたい申告方法です。

なお、青色申告は誰もが適用できるわけではありません。

税法では「所得」は10種類に分けられており、このうち「不動産所得」「事業所得」「山林所得」のいずれかを得ている個人事業主が、青色申告事業者となることができます。

確定申告における青色申告と白色申告の違いとは?

条件を満たせば、個人事業主や自営業以外の人も利用できる

一般的には、個人事業主や自営業の人は「事業所得」を得ている場合が多いでしょう。一方、サラリーマンの人は給与所得者に該当しますので、青色申告事業者となることはできません。

しかし、たとえばインターネットビジネスや不動産投資を行っている人など、サラリーマンでも副業等でなんらかの事業を行い、継続的に収益を得ている場合は、青色申告事業者となることができます。

白色申告とは

後述しますが、青色申告では事前に「青色申告承認申請書」を提出し、承認される必要があります。

一方で白色申告は、青色申告のような書類の提出は必要とされていません。新たに開業し、青色申告の申請をしなければ、白色申告として扱われるためです。

白色申告は青色申告ほどきっちりとした記帳は要求されないので、青色申告よりも簡単に申告できるのが特徴です。事業で継続して利益が出ている場合には、青色申告にした方が節税のメリットを受けられますが、そうでなければ白色申告を選んだ方が手間はかからないといえます。

青色申告のメリット

青色申告のメリット

上で述べたとおり、青色申告には税金面で多くのメリットがあります。具体的には、下記のようなメリットが挙げられます。

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最大55万円(電子申告の場合は65万円)の特別控除額

青色申告では、最大で55万円(65万円)の特別控除を受けることができます。つまり、事業で得られた利益から最大で55万円(65万円)を差し引くことができるため、節税につながります。この「青色申告特別控除」は白色申告では受けることができません。

ただし、翌年の3月15日という所得税の確定申告書の提出期限を過ぎてしまった場合、特別控除は10万円になってしまいますので注意しましょう。

家族に対する給料を経費として計上できる

家族に対する給料は、原則として経費に算入することはできません。しかし青色申告では、税務署に「青色事業者専従者給与に関する届出書」を提出することによって、配偶者や親族などの家族に対する給料を必要経費として計上することができます。

ただし、しっかりと業務を行い、それに見合った給料であることや、「もっぱらその業務についていること」などの条件がありますので、子どもが学生の場合などは給料を支払っても経費にはできません。

白色申告の「専従者控除」よりメリットが大きい

家族への給料の経費算入として、白色申告にも「専従者控除」という制度があります。これは「青色専従者給与」とは異なり、最大86万円の控除であるなどの条件があるため、節税面においては青色申告の方がメリットが大きいといえるでしょう。

純損失を3年間繰越できる

青色申告では、事業から出た損失を3年間繰り越すことができます。つまり、損失が出ても、その損失分を翌年以降の3年間に発生した利益と相殺することができます。

特に事業を始めたばかりの時期はコストばかりが先行してしまい、事業初年度は損失が出やすい傾向にあります。この損失を軌道に乗った翌年以降の利益と相殺できることは、青色申告の大きなメリットのひとつといえるでしょう。

当期の損失を前年の利益と相殺できる(繰戻し還付)

当期に損失となってしまった場合、前年の利益と相殺することで、前年に支払った税金の一部の還付を受けることができます。これを「繰戻し還付」といいます。損失となった場合でも還付を受けられるので、損失の穴埋めをすることができます。

経費として認められる範囲が広い

個人事業主の中には、自宅を事務所として働いているというケースもあるでしょう。このとき、家賃や水道光熱費など「家事関連費」と呼ばれる費用は、原則として経費には認められません。

しかし青色申告なら、事業で使ったことを証明できれば、事業用の部分(割合)を何らかの基準で合理的に見積もり、その分を経費にすることができます。

使用割合に応じて経費に計上できる

たとえば家賃の場合、仕事で使っている部屋の面積が全体の20%ならば、家賃の20%を必要経費にできます。電気代や電話代についても同様に、使用割合に応じて経費に計上することができます。これら事業部分の経費処理は、大きな節税効果が期待できます。

白色申告でも経費計上は認められますが、認められる範囲は青色申告に比べて限定されます。したがって、自宅兼事務所としている個人事業主にとって、青色申告を選ぶメリットは大きいといえるでしょう。

30万円未満の事業用の固定資産を一括で経費に計上できる

少額減価償却資産の特例

会計上、固定資産は「減価償却」するのが原則となっています。これは、その取得価額を資産に計上し、毎期一定の方法で数年にわたって費用に落としていくというものです。

この減価償却において、青色申告の場合は30万円未満の事業用固定資産に限り、その取得価額を一括で経費に計上することができます。これを「少額減価償却資産の特例」といいます。取得価額の合計額は300万円が限度となっているため、その点には注意しましょう。

青色申告のデメリット

青色申告のデメリット

多くのメリットがある一方、青色申告には下記のようなデメリットがあります。

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複式簿記の知識が必要

複式簿記とは

簿記とは、日々の取引を帳簿に記帳する際の一定のルールのことをいいます。単式簿記と複式簿記の2種類があり、単式簿記は家計簿など現金の出入りを単純に記帳するものです。一方、複式簿記はすべての取引を「借方」と「貸方」に整理して記帳しなければなりません。

青色申告では、複式簿記によって帳簿の記帳を行うことが原則とされています。慣れればそれほど大変な作業ではありませんが、簿記の知識と記帳する手間を要することはデメリットといえるでしょう。

求められる帳簿や書類が多い

主要簿と補助簿

青色申告のメリットを受けるためには、複式簿記によるいくつかの帳簿の作成が義務づけられています。一般的には「主要簿」と呼ばれる「総勘定元帳」や「仕訳日記帳」、さらに取引を管理するための「補助簿」と呼ばれる帳簿があります。

主要簿

総勘定元帳

勘定科目ごとの増減をまとめたもの

仕訳日記帳

すべての取引を簿記の仕訳の形で日付順に並べたもの

補助簿

現金出納帳

現金の入出金をまとめたもの

預金出納帳

預金口座の入出金をまとめたもの

得意先台帳(売掛帳)

得意先ごとに売上高・回収状況をまとめたもの

仕入先台帳(買掛帳)

仕入先ごとに仕入高・支払い状況をまとめたもの

経費帳

経費の支払いをまとめたもの

固定資産台帳

固定資産の管理・減価償却計算のためにまとめたもの

青色申告承認申請書

青色申告を行うには、青色申告を始めたい年の3月15日までに、管轄の税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。提出した月の翌月までに却下などの通知がなければ、承認されたものと考えてよいでしょう。一度承認されれば、翌年以降は提出する必要はありません。

開業したばかりの個人事業主で、開業した当初から青色申告を行いたい場合は、開業してから2か月以内に「青色申告承認申請書」を提出します。「開業届」と同時に提出することが一般的です。

青色事業専従者給与に関する届出書

青色事業専従者給与を必要経費として参入するためには、「青色申告承認申請書」に加え、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要となります。

確定申告時の提出書類

確定申告の際には、「確定申告書B」と「青色申告決算書」を税務署に提出することになります。帳簿や領収書の提出は必要ありませんが、原則として7年間の保存が義務づけられています。

青色申告ソフトを使えば簡単に帳簿の記帳ができる

簿記の知識がほとんどなく難しいと感じる場合や、記帳する時間があまり取れないという人は、市販の青色申告ソフトを使うとよいでしょう。昨今の会計ソフトを利用すれば、簿記や税金の知識がなくても、帳簿の記帳から申告書の作成まで簡単に行うことができます。

白色申告のメリット

白色申告のメリット

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青色申告よりも手続きが簡単

白色申告は税務署に届出をして承認を得る必要がないため、青色申告よりも手続きが簡単といえます。

また、青色申告で求められる複式簿記と比べると、一部の取引を月ごとにまとめて記帳するなど簡易な方法による記帳が認められているため、記帳の手間を省くことができるでしょう。

白色申告のデメリット

税金面のメリットが受けられない

白色申告のデメリットを一言でいうと、税金面でのメリットが受けられないことです。たとえば、青色申告特別控除や損失の繰越など、青色申告で認められている節税メリットについて、白色申告では受けることができません。

申告する必要がないわけではない

手間がかからないとはいえ、白色申告は申告の必要がないわけではありません。「申告しなくてもよい」と思い込んで申告漏れとなれば、思いもよらない多額の税金を請求される場合もあります。確定申告が必要かどうかをきちんと確認するようにしましょう。

青色申告と白色申告のメリット・デメリットを比較

青色申告と白色申告のメリット・デメリットを比較

これまで述べてきたように、青色申告には税金面において多くのメリットがあり、そういったメリットを受けられないことが白色申告のデメリットといえます。

反対に、青色申告は書類や手続き面においてデメリットがありますが、そういった複雑さがない点は白色申告のメリットといえるでしょう。

両者をわかりやすく比較できるよう、青色申告と白色申告のメリット・デメリットを一覧にしてまとめます。

青色申告

白色申告

メリット

・最大で55万円(電子申告の場合は65万円)の青色申告特別控除を受けることができる

・青色事業専従者給与を必要経費として算入できる

・純損失の繰越、繰戻しができる

・認められる経費の範囲が広い

・30万円未満の事業用資産を一括で経費に計上できる

・青色申告よりも簡素な帳簿づけでも問題はない

デメリット

・簿記の知識が必要となる

・事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要

・記帳の手間がかかる

青色申告特別控除など、青色申告で認められる節税メリットを受けることができない

まとめ

青色申告と白色申告には、それぞれメリット・デメリットがあります。簡単にいえば、青色申告のメリットは税金面での大きな優遇を受けられること、そして白色申告のメリットはその手軽さといえます。

それぞれのメリット・デメリットを比較し、事業に合わせて適切な申告方法を選択するようにしましょう。

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  • 青色申請
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