緊急事態宣言の影響に関する支援とは?経営者・個人事業主必見の「一時支援金」について

新型コロナウイルスの緊急事態宣言の影響に関する支援策として、売上が大きく減少している事業者を対象に「一時支援金」が給付されることになりました。ただし、給付を受けるには要件があるため、申請前に内容を理解しておくことが大切です。今回は、一時支援金の概要や申請手続きについて詳しく解説します。
緊急事態宣言の影響緩和に係る「一時支援金」とは
緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金とは、飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛による影響を受け、売上が大きく減少している中小企業や個人事業主、フリーランスに対して国から給付される支援金です。
事業の継続を支援するため、事業全般に幅広く使える一時支援金を迅速かつ公正に給付することを目的としています。一時支援金の給付を受けるには、事業者自身が必要書類を準備して申請手続きを行う必要があります。
よろず支援拠点という国が設置した中小企業等の相談所でも相談に乗ってもらえますし、西日本シティ銀行でももちろん対応が可能です。
※よろず支援拠点は、多様な分野に精通した専門家が経営上の悩みに親身に耳を傾け、抱えている悩みの本質的な課題を明確化するとともに、適切な解決策をご提案してくれる拠点です。福岡県よろず支援拠点、東京都よろず支援拠点、大阪府よろず支援拠点など全国各地に存在します。
一時支援金の概要は以下の通りです。
申請期間
一時支援金の申請期間は、「2021年(令和3年)3月8日(月)~5月31日(月)」です。申請期間は約3か月間と短く、申請に必要な書類もあるので、早めに準備に取り掛かることが大切です。
給付額
一時支援金の給付額は、中小法人等が上限60万円、個人事業主等が上限30万円です。上限額を超えない範囲で、以下の算式で計算した金額が給付されます。
- 2019年(令和元年)または2020年(令和2年)の1~3月の合計売上-2021年(令和3年)の対象月の売上×3か月
対象月とは、2021年(令和3年)1~3月のうち、2019年(令和元年)または2020年(令和2年)の同月と比べて、緊急事態宣言の影響で売上が50%以上減少した月のことです。
給付金の計算例
一時支援金の給付対象となる中小企業の売上が下記の場合について、給付金の計算例を確認しましょう。
年度 | 1月 | 2月 | 3月 |
|---|---|---|---|
2019年(令和元年) | 60万円 | 10万円 | 40万円 |
2020年(令和2年) | 60万円 | 40万円 | 40万円 |
2021年(令和3年) | 60万円 | 20万円 | ‐ |
基準年を2020年(令和2年)、対象月を2月で選択したときの給付額は以下の通りです。
- ①2020年(令和2年)1~3月の売上合計:140万円(60万円+40万円+40万円)
- ②2021年(令和3年)2月(対象月)の売上×3か月:60万円(20万円×3)
- ①-②:140万円-60万円=80万円>60万円
- 給付額:60万円
計算結果は80万円で上限の60万円を超えているため、給付額は60万円となります。
給付対象
一時支援金の給付対象は、資本金10億円の企業を除く中小企業と、フリーランスを含む個人事業主です。主たる収入が雑所得・給与所得である個人事業主も対象に含まれます。一時支援金の給付を受けるには、以下2つの要件を満たす必要があります。
- 緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けていること
- 2019年(令和元年)または2020年(令和2年)比で、2021年(令和3年)1月、2月または3月の売上が50%以上減少していること
要件を満たす事業者は、業種や所在地を問わず給付対象となる可能性があります。
一時支援金の受け取り方法
一時支援金は、申請内容や証拠書類に不備がなければ、申請時に指定した銀行口座に振り込まれます。申請内容の確認が終了すると、送付先として登録した住所に「給付通知書」が送付されます。なお、給付要件を満たさないと判断された場合は「不支給通知」が届きます。
一時支援金の給付対象とならない事業者

一時支援金は、給付対象の要件を満たさない場合は支給されません。たとえ対象月の売上が50%以上減少していても、給付対象外と判断される可能性があります。
給付対象とならない主なケース
一時支援金の給付対象とならない主なケースをまとめました。
- 事業活動に季節性があり、緊急事態宣言の影響による売上減少ではない場合
- 売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により対象月の売上が減少している場合
- 単に営業日数が少ないことにより対象月の売上が50%以上減少している場合
- 地方公共団体から時短営業要請を受けた、協力金の支給対象の飲食店
一時支援金の給付対象となるには、緊急事態宣言の影響で売上が50%以上減少していることが要件となります。緊急事態宣言とは関係がない理由により売上が減少している場合は、給付対象とはなりません。
給付対象となるか自身で判断できない場合は、相談窓口に連絡して確認してみましょう。
不正受給に注意
申請内容や提出した証拠書類に不審な点があると判断された場合は、調査が行われることがあります。
調査の結果、不正受給と判断された場合は、「一時支援金の全額に延滞金を加えた金額の返還請求」「事業者(法人名、屋号、申請者名)の公表」「申請者の告訴・告発」などの措置を講じられる可能性があるので注意が必要です。
一時支援金の必要書類

一時支援金を申請するには、必要書類を準備しなくてはなりません。必要書類に不備や不足があると、給付が決定するまでに時間がかかってしまいます。支援金を早く受け取れるように、必要書類の内容を確認しておきましょう。また、申請時に提出は不要ですが、一定期間保存しなくてはならない書類もあります。
申請時に必要な書類
一時支援金の申請に必要な書類は以下の6つです。
履歴事項全部証明書(法人)または本人確認書類(個人)
中小企業(法人)は履歴事項全部証明書、個人事業主やフリーランスは運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です。
本人確認書類は「住民票+パスポートまたは各種健康保険証」でも申請可能で、在留カードや住民基本台帳カード、身体障害者手帳等も認められます。
確定申告書類の控え
申請時には収受日付印の付いた、2019年(令和元年)1~3月および2020年(令和2年)1~3月までをその期間に含むすべての確定申告書類の控えが必要です。e-taxによる申告で受付日時が印字されていない場合は、「受信通知(メール詳細)」を添付しましょう。
対象月の売上台帳
対象月の収入額(合計額)が確認できる、売上台帳などの提出も必要です。フォーマットの指定はないため、会計ソフトから抽出したデータの他、エクセルデータや手書きの売上帳でも申請可能です。
「対象月の事業収入であること」および「対象月の事業収入の合計額」が明記されていれば、書類の名称が売上台帳でなくても申請できます。
通帳の写し
2019年(令和元年)以降の事業の取引を記録している銀行口座(申請者名義)の通帳の写しも必要です。以下の項目が確認できるように、スキャンまたはスマートフォンなどで撮影しておきましょう。
- 金融機関名
- 支店番号
- 支店名
- 口座種別
- 口座番号
- 口座名義人
必要に応じて、通帳の表面と通帳を開いた1、2ページの両方を添付します。ネット専業銀行などで紙の通帳がない場合は、電子通帳の画面コピーでも申請可能です。
宣誓・同意書
一時支援金給付規定により様式が定められた宣誓・同意書を提出します。宣誓・同意書は、一時支援金のホームページ(資料ダウンロード)からダウンロードできます。提出する際は申請者の自署が必要です。
取引先情報一覧
2019~2021年(令和元年~3年)の各年1~3月における顧客情報がわかる「取引先情報一覧」も必要です。書類は様式が決まっており、一時支援金のホームページ(資料ダウンロード)からダウンロードできます。
顧客である法人の法人名・法人番号・連絡先、顧客である個人事業者の屋号・氏名・連絡先などを記載して提出します。
保存書類
緊急事態宣言の影響を示す書類として、最終的な取引先が宣言地域内で時短営業の要請を受けた飲食店または宣言地域の消費者であることを示す書類を7年間保存する必要があります。具体的には、取引先との継続した取引を示す帳簿書類が挙げられます。
所在地や事業によっては商品・サービスの一覧表、賃貸借契約書、統計データ、顧客データなども必要になる可能性があります。申請時の提出は不要ですが、申請後に提出を求められる可能性があるので必ず保管しておきましょう。
一時支援金の申請手続きの流れ

一時支援金はオンライン申請(Web上での申請)が基本となるため、必要書類をスキャンするか、カメラで撮影して電子データ(ファイル)の形で提出しなくてはなりません。ただし、オンライン申請が難しい場合は申請サポート会場を利用することも可能です。
オンライン申請
一時支援金のオンライン申請の流れは以下の通りです。
- 申請に必要な証拠書類(電子データ)を準備する
- 仮登録を行い、申請IDを発番する
- 登録確認機関で事前確認を受ける
- マイページで必要事項を入力して申請する
- 申請完了
必要書類が準備できたら、一時支援金のホームページで仮登録を行い、申請IDを発番します。登録確認機関の事前確認を受け、マイページから申請すれば手続きは完了です。一時支援金の給付額が確定したら給付通知書が発送され、指定口座に支援金が振り込まれます。
登録確認機関の事前確認について
申請前に、登録確認機関(商工会、金融機関、士業など)から帳簿書類の有無や給付対象の理解等に関する質疑応答を受ける必要があります。申請者が登録確認機関の会員、顧問先、事業性融資先に該当する場合は、帳簿書類等の確認を省略でき、電話での質疑応答のみで済みます。
事前確認を依頼できる登録確認機関が見つからない場合は、事務局の相談窓口に連絡するか、一時支援金のホームページで検索しましょう。
申請サポート会場
自身でオンライン申請を行うのが難しい場合は、申請サポート会場で補助員に申請手続きをサポートしてもらうことも可能です。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、申請サポート会場の利用は事前予約が必要になります。
申請会場にはコピー機がないので、必要書類を紙に出力して持参しましょう。また、新型コロナ対策のため、ボールペン等の筆記用具も持参する必要があります。
申請サポート会場は全国に設置されており、一時支援金のホームページで検索できます。2021年(令和3年)3月現在、福岡県は「サンシティ博多2(1F)」が申請サポート会場に指定されています。
■【福岡】給付金・助成金・補助金まとめ|制度概要や対象、金額、申請方法まで解説
まとめ
緊急事態宣言の影響で売上が減少している中小企業・個人事業主は、必要書類を添えて申請すれば、一時支援金の給付を受けられるかもしれません。
ただし、一時支援金は給付対象の要件を満たす必要があり、登録確認機関の事前確認が必要になるなど、手続きがやや複雑です。申請期間は約3か月と短いので、不明点があれば相談窓口に確認して早めに申請準備に取り掛かりましょう。
■持続化給付金の申請方法とは?対象やもらえる条件・注意すべきポイント
■《全国版》新型コロナに関する助成金・給付金・補助金まとめ【種類から対象まで】
- 支援金
Writer
AFP、2級FP技能士
会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。
このライターの記事を読む >おすすめの記事

対談記事【ビジネスのヒント】|接骨院から建設業へ。驚きの経歴と経緯
経営に関する悩みや課題を抱える事業経営者の皆さまにとって、銀行の営業担当者は心強いサポーターの一人です。そこで、リニュー編集部では、事業経営者と西日本シティ銀行の営業担当者にスポットをあててインタビュー。サポートのきっかけや、事業の成功までの道のりなどをざっくばらんにお話しいただきます。

【今月のZero-Ten Park】株式会社ストリ|心と体に美しさと健やかさを
福岡を中心に世界5カ国15拠点を展開するシェアオフィス&コワーキングスペース「Zero-Ten Park」。そこに入居している、今注目したい企業をピックアップ。今回は「株式会社ストリ」をご紹介します。

働き方改革に注力している企業ってどんなところ?|次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」
これから就職先を探している学生のみなさんにとって、どんな企業が自分にとって働きやすいのか、気になりますよね。そこで今回は、西日本シティ銀行が取り扱う次世代ワークスタイル応援私募債『ミライへの路*』を発行している企業のみなさんにご協力をいただき、その企業で実際に働いている若手の社員に直撃インタビュー。なぜ入社を決めたのか、実際に働いてみてどんな感じなのか、などをヒアリングしました。また、併せて、各企業の経営者にも、求める人材像や今後の展望などをお話しいただきました。取材に協力いただいた企業は、地元・福岡で働き方改革に注力している、優良企業ばかりです。ぜひ、就職希望先の候補の一つとして、働く先輩たちのリアルな声をご一読ください。

【ミライへの路に挑む企業】地球を守り働く人の成長を支える環境調査会社|株式会社ENJEC
多様な生き方や働き方が広がりつつある現代。企業にはこれからますます、さまざまな人が働きやすい環境を整えることが求められます。社員の働きやすさを叶える企業の取り組みとは?この連載では、実際に働き方改革を積極的に取り組む企業で働く人や経営者にインタビュー。今回は、九州を中心に、水質、大気、土壌といった環境にまつわる調査・分析の事業を手がける、福岡市の株式会社ENJEC(エンジェック)に取材しました。

質の高い人材紹介サービスで、企業も求職者も従業員も幸せに |株式会社GR8キャリア 小畑和貴さん
医療・福祉業界の人材紹介サービスをメインに事業展開する株式会社GR8(グレイト)キャリア。代表の小畑和貴さんは宮城県出身で福岡に移住し、住宅メーカーから人材紹介業界に転職したという異色のキャリアの持ち主です。創業から1年足らずでメンバーは20人ほどに増え、順調な滑り出しといえます。しかし、組織や利益の拡大は求めず、あくまでも「質の高いサービス提供」と「社員とその家族が笑顔で過ごせること」にこだわり続けたいという小畑さんに、その思いの根源や起業のストーリーを聞きました。

番組・動画制作から拠点の運営まで、幅広い事業を展開|株式会社move on.e 岩谷直生さん
20歳から放送局の番組制作に関わり、個人事業主を経て、41歳で番組と動画制作を主軸にした株式会社move on.eを設立した岩谷直生さん。長年のディレクター経験を生かして、マスメディアの番組やイベントを手掛ける一方で、子どもに向けた全く新しい事業にも意欲的にチャレンジしています。

【事業継続力強化計画認定制度】概要や認定のメリット、申請支援事業も紹介
近年、地震や台風などの自然災害、感染症の流行など、企業経営を取り巻くリスクが多様化しています。 こうした中で注目されているのが、災害や緊急事態に備えて事業を継続できる体制を整える「事業継続力強化計画(BCP)」です。 この計画の認定を受けることで、補助金申請時の加点や税制優遇など、さまざまなメリットがあります。 そこでこの記事では、事業継続力強化計画認定制度の概要や認定メリットに加えて、計画策定・申請を支援する取り組みについても解説します。

【中小企業必見】最低賃金引上げに伴う負担軽減策とは?福岡県の支援策も紹介
令和7年度の最低賃金引上げにより、全国的に人件費の負担が増加しています。特に中小企業や小規模事業者にとっては、賃上げへの対応が経営上の大きな課題となっています。 こうした状況を受け、国や自治体では、最低賃金の引上げに伴う事業者の負担を軽減するため、各種支援策を打ち出しています。 この記事では、最低賃金引上げに対応するための国の主な支援策に加え、福岡県独自の支援制度について解説します。