企業版ふるさと納税とは、企業が地方公共団体に寄附を行うための制度です。税負担の軽減に加えて企業価値の向上も期待できるため、新たなビジネスチャンスを獲得できるかもしれません。今回は、企業版ふるさと納税の制度概要や税制の仕組み、活用するメリットを解説します。>>企業版ふるさと納税のことなら「ふるかむ」企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)とは企業版ふるさと納税の正式名称は「地方創生応援税制」です。企業が国が認定した地方創生プロジェクトに寄附を行った場合に、法人関係税から税額控除を受けられます。まずは、企業版ふるさと納税の制度概要や通常のふるさと納税との違いについて見ていきましょう。制度の概要企業版ふるさと納税は、2016年(平成28年)度に創設されました。企業に地方公共団体への寄附を働きかけ、地方創生を推進することが目的です。寄附金は、国が認定した地方公共団体の地方創生関連事業に活用されます。寄附を行った企業は最大9割の税の軽減効果を受けられ、社会貢献や企業PRといったメリットも期待できます。寄附の実績内閣官房・内閣府によれば、2021年(令和3年)度の寄附実績は、前年比約2.1倍の約225億7,000万円です。件数は約2.2倍の4,922件となっています。2020年(令和2年)度税制改正で税額控除割合が引き上げられたため、金額・件数ともに大きく増加しています。寄附受入額が多い地方公共団体は、1位が静岡県裾野市の17億4,410万円です。2位は群馬県太田市の10億3,660万円、3位は徳島県神山町の9億9,900万円となっています。福岡県福岡市は5位で8億2,570万円、件数は93件です。寄附金の使い道2021年(令和3年)度の実績では、寄附金の使い道は「しごと創生」が120億9,710万円で全体の5割以上を占めています。次に多いのが「まちづくり」の74億8,250万円で、全体の約3割です。その他に、「地方への人の流れ」「働き方改革」がテーマの事業に対しても寄附が行われています。通常のふるさと納税との違い企業版ふるさと納税と個人が行う通常のふるさと納税の違いは、返礼品の有無にあります。個人版ふるさと納税も、地方公共団体に寄附を行える仕組みです。原則として、自己負担2,000円を除いた全額が所得税や住民税から控除されます。寄附額に応じて、地域の特産品などの返礼品を受け取れるのが魅力です。一方、企業版ふるさと納税は、寄附先の地方公共団体から返礼品を受け取れません。また、税額控除の割合や自己負担額も異なります。企業版ふるさと納税の税制の仕組み企業版ふるさと納税は、企業の税負担が軽減されるのが魅力です。ここでは、企業版ふるさと納税の税制の仕組みを説明します。寄附額の最大9割の法人関係税が軽減される企業版ふるさと納税では、最大で寄附額の約9割の税負担が軽減されます。内訳は、損金算入による軽減効果が約3割、企業版ふるさと納税による税額控除が最大6割となっています。実質的な企業負担を約1割まで圧縮することが可能です。例えば、1,000万円を寄附すると、最大で約900万円の法人関係税(法人住民税、法人税、法人事業税)が軽減されます。従来の税額控除割合は約3割でしたが、2020年(令和2年)度税制改正で約6割に引き上げられました。適用期限は2025年3月31日(令和6年度)です。法人住民税法人住民税は、寄附額の4割の税額控除を受けられます。法人税割額の20%が上限です。法人住民税とは、法人の事務所が所在する都道府県および市町村がそれぞれ課税する税金です。道府県民税と市町村民税があり、「均等割」と「法人税割」の2つがあります。法人住民税の内訳は、以下のとおりです。均等割:資本金等の額や従業員数に応じて定額の負担を求めるもの法人税割:法人税額に応じた負担を求めるもの法人税法人税は、寄附額の1割を限度に税額控除を受けられます。法人税額の5%が上限です。法人住民税で4割に達しない場合は、その残額について税額控除を受けられますが、寄附額の1割が限度となります。法人税とは、法人の企業活動で得られる所得に対して課税される国税です。会計上と税務上の収益・費用を調整して算出した課税所得に、一定の税率をかけて税額を計算します。法人事業税法人事業税は、寄附額の2割の税額控除を受けられます。法人事業税額の20%が上限です。法人事業税とは、法人が行う事業そのものに課される税金です。法人の事務所等が所在する都道府県が課税します。資本金1億円超の普通法人は、所得に応じた「所得割」、付加価値額に応じた「付加価値割」、資本金等の額に応じた「資本割」の3つが課されます。付加価値額は、従業員への給与・賞与や利子、賃借料、単年度損益の合計額です。資本金1億円以下の普通法人は、所得割のみ課されます。企業版ふるさと納税を活用するメリット企業版ふるさと納税で地方公共団体に寄附をすると、企業にはどんな効果が期待できるのでしょうか。ここでは、企業版ふるさと納税を活用するメリットを5つ紹介します。税の軽減効果が期待できる企業版ふるさと納税は、税の軽減効果が高いのが魅力です。通常でも寄附額の約3割が損金算入となりますが、企業版ふるさと納税は約6割の税額控除が追加されます。社会貢献や企業PRを目的に地方公共団体へ寄附を行う場合は、企業版ふるさと納税を利用するほうが有利といえるでしょう。ただし、先に寄附金を支払い、後から税額控除を受けることになるため、資金繰りに注意が必要です。社会貢献ができる企業版ふるさと納税では、地方公共団体の地方創生プロジェクトが寄附の対象となります。地域の仕事づくりやまちづくり、少子化対策など対象事業の内容はさまざまです。例えば、環境保全や脱炭素などの取り組みを支援すれば、SDGs(国連の持続可能な開発目標)の達成に寄与できます。企業版ふるさと納税を活用することによって、自社だけでは難しい社会貢献も可能となるでしょう。企業のPRになる企業版ふるさと納税は、企業のPRになるのもメリットです。寄附先の地方公共団体のホームページや広報誌、関連事業の施設などに企業名が掲載されることがあります。そのため、取引先や金融機関からの信用力向上、企業の認知度アップにつながる可能性があります。地方公共団体とのパートナーシップの構築企業版ふるさと納税を活用することで、地方公共団体との新たなパートナーシップを構築できる可能性もあります。寄附をきっかけに地方公共団体の担当者とのコミュニケーションが増えると、自社の事業について相談しやすくなるでしょう。企業の社員と地方公共団体の職員が定期的にミーティングを実施し、実証実験やアプリ開発が実現した事例もあります。事業展開を検討している地域があれば、企業版ふるさと納税を活用して地方公共団体との関係構築に取り組むのも選択肢です。人材育成の機会として活用できる企業版ふるさと納税には「人材派遣型」という制度があり、人材育成の機会として活用できます。企業が人件費を含む事業費について寄附を行い、寄附活用事業に従事する地方公共団体の職員として従業員を派遣する仕組みです。税制上の優遇措置を受けながら、地方公共団体の事業に参加して行政の現場を体験できます。任期終了後は、事業参画で得た経験やノウハウを自社のビジネスに活かすことも可能でしょう。企業版ふるさと納税を活用する際の注意点企業版ふるさと納税を活用する際は、以下3つのルールを守る必要があります。仕組みを理解せずに寄附を行うと、税額控除を受けられない可能性があるため要注意です。1回あたり10万円以上の寄附が対象企業版ふるさと納税では、1回あたり10万円以上の寄附が制度対象です。企業が寄附をしやすいように、金額の下限は低めに設定されています。寄附額が1回10万円以下の場合、税額控除は受けられません。寄附に対する経済的な見返りは禁止企業版ふるさと納税では、寄附に対する経済的な見返りは禁止されています。経済的な見返りの具体例は以下のとおりです。寄附の見返りに補助金を受け取る寄附を条件に事業の入札に参加する寄附に応じて商品やサービスの提供を受けるただし、地方公共団体のホームページや広報誌に寄附を行った企業名を掲載することは、経済的な見返りに該当しません。公正なプロセスを経ていれば、寄附先の地方公共団体と何らかの契約を締結することも可能です。制度対象外の地方公共団体がある企業版ふるさと納税では、制度対象外となる地方公共団体も存在します。次の地方公共団体へ寄附を行っても、税額控除は適用されないので注意しましょう。本社が所在する地方公共団体企業の本社が所在する地方公共団体への寄附は、企業版ふるさと納税の対象外です。本社とは、地方税法における「主たる事務所または事業所」を意味します。例えば、福岡県福岡市に本社がある企業が、福岡市に寄附を行った場合は制度対象外となります。税の軽減措置などの特典も受けられません。地方交付税の不交付団体地方交付税の不交付団体への寄附も、企業版ふるさと納税の対象にはなりません。具体的には、次の地方公共団体が対象外となります。不交付団体である東京都不交付団体で三大都市圏の既成市街地等に所在する市区町村企業版ふるさと納税を検討する際は、寄附先の候補となる地方公共団体が制度対象に含まれるかを確認しておきましょう。企業版ふるさと納税の手続きの流れ寄附を募集している地方公共団体は、内閣府の「企業版ふるさと納税ポータルサイト」から探せます。地域だけでなく、寄附事業分野別にプロジェクトの一覧を確認することも可能です。キーワードを入力して、自社にあった寄附先を検索する方法もあります。寄附先の候補を選定して社内や地方公共団体との調整が終わった際は、以下の流れで手続きを進めましょう。①寄附の申出書を提出する地方公共団体に、企業版ふるさと納税の寄附申出書を提出します。寄附額や対象事業、連絡先などの必要事項を記入しましょう。寄附申出書は地方公共団体から取り寄せるか、ホームページからダウンロードして入手できます。②寄附金の払い込みを行う寄附申出書を提出したら、地方公共団体から納入通知書が送付されます。納入通知書とは、寄附を行う企業に対して寄附額や納期限などを通知する書類です。納入通知書を利用して、寄附金の払い込みを行いましょう。寄附金の納付方法は地方公共団体によって異なるため、事前に確認しておくとスムーズに手続きを進められます。③受領証を受け取る寄附金の払い込みを行った後は、地方公共団体から受領証が届きます。受領証とは、地方公共団体の長が、企業版ふるさと納税の対象となる寄附を行ったことを証明する書類です。対象事業の名称や寄附年月日、寄附額などの情報が記載されています。受領証は税額控除を受ける際に必要になるため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。④確定申告で税額控除を受ける企業版ふるさと納税で寄附を行った事業年度の確定申告において、税額控除の適用を受けます。法人税や法人住民税、法人事業税の申告書に受領証を添付し、寄附を行ったことを証明しなくてはなりません。企業版ふるさと納税では、寄附額の最大9割の法人関係税が軽減されます。ただし、実際にいくら税負担が軽減されるかは、企業の状況によって変わってきます。税額控除の手続きや税負担の軽減効果については、税理士や税務署に確認しましょう。まとめ企業版ふるさと納税で地方公共団体に寄附を行うと、法人関係税の負担が軽減されます。企業PRや地域とのパートナーシップ構築、人材育成といった効果が期待できるのもメリットです。社会貢献を通じて企業価値の向上を目指すなら、企業版ふるさと納税を活用してみてはいかがでしょうか。 >>企業版ふるさと納税のことなら「ふるかむ」
2023年(令和5年)4月に「デジタル給与」が解禁されました。今後は「〇〇Pay」などのデジタルマネーでの給与の受け取りが可能になります。給与のデジタル払いは、従業員にとってどんなメリットがあるのでしょうか。今回は、デジタル給与の基本的な仕組みとメリット・デメリット、注意点を解説します。デジタル給与とはデジタル給与とは、「〇〇Pay」などのスマホ決済サービスを取り扱う資金移動業者の口座で給与を受け取れる制度です。なぜ、給与のデジタル払いが可能になったのでしょうか。まずは、デジタル給与の概要や導入される理由について確認していきましょう。2023年4月から給与のデジタル払いが解禁2023年(令和5年)4月1日に改正労働基準法が施行され、給与のデジタル払いが解禁されました。労働基準法では、給与は現金払いが原則です。例外として、労働者が同意した場合は、銀行口座や証券総合口座への給与支払いが認められています。今回の労働基準法改正により、新たに資金移動業者の口座への給与支払いも可能となりました。勤務先がデジタル給与を導入すれば、今後はデジタルマネーで給与を受け取り、そのままスマホ決済に利用できるようになります。デジタル給与が導入される背景デジタル給与が導入される背景には、キャッシュレス決済の普及があります。経済産業省が算出・公表したデータによると、2022年(令和4年)のキャッシュレス比率は36.0%です。決済額は初めて100兆円を超えました。2010年(平成22年)以降、キャッシュレス比率と決済額は一貫して増加しています。現金を使わずにキャッシュレス決済を利用する人が増えたことで、給与のデジタル払いのニーズが高まっています。出典:経済産業省「2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました」外国人材の受入れも目的の1つデジタル給与の導入は、外国人材の受入れ・共生に対応する狙いもあります。外国人が日本で生活する際は、家賃や公共料金の支払いなど、さまざまな場面で口座の利用が必要です。給与のデジタル払いを可能にすることで、外国人の生活環境の改善につながり、外国人材を受け入れやすくなる効果が期待できます。デジタル給与の仕組み企業が給与のデジタル払いを導入するには、一定の要件を満たさなくてはなりません。ここでは、デジタル給与の基本的な仕組みについて説明します。労働者の同意が必要企業がデジタル給与を導入するには、労働者の同意が必要です。労使協定を締結したうえでデジタル給与に関する留意事項を労働者に説明し、個別に同意を得なくてはなりません。企業がデジタル給与を導入しても労働者が希望しない場合は、これまでと同じように銀行口座で給与を受け取れます。給与の一部をデジタル払いで受け取ることも可能企業がデジタル給与を導入した場合、給与の一部をデジタル払いで受け取れます。例えば、「給与30万円のうち、5万円を資金移動業者の口座、残り25万円を銀行口座で受け取る」といった具合です。指定資金移動業者の口座は「預金のためではなく、支払や送金に用いるためのもの」という位置づけです。労働者に趣旨を説明したうえで、デジタル払いの受取金額を適切に設定する必要があります。指定資金移動業者が1日あたりの払出上限額を設定している場合は、受取金額をその上限額以下にしなくてはなりません。口座の上限額は100万円以下指定資金移動業者の口座の上限額は「100万円以下」に設定されています。口座残高が上限額を超えた場合、あらかじめ労働者が登録した銀行口座へ自動的に出金される仕組みです。その際は、出金手数料が労働者負担となる可能性があります。出金先の口座を登録する必要があるため、デジタル給与が導入されても銀行口座が不要になるわけではありません。口座残高の現金化が可能デジタル払いで受け取った給与は、ATMや銀行口座へ出金して1円単位で現金化できます。少なくとも毎月1回は、労働者は手数料負担なしで指定資金移動業者の口座から払い出しが可能です。払出方法や手数料は指定資金移動業者によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。口座残高は少なくとも10年は有効指定資金移動業者の口座残高は、最後の入出金日から少なくとも10年は有効であることが要件となっています。口座残高に変動があった日から10年以内であれば、申し出などによって払い戻しが可能です。不正取引や業者の破綻には一定の保証がある指定資金移動業者の口座から不正出金された場合、労働者に過失がなければ、損失額は全額補償されます。過失がある場合の補償については個別対応です。不正出金の事実を一定期間内に資金移動業者へ通知することが、補償の要件となっているケースもあります。その場合は、損失発生日から30日以上の通知期間を確保することとされています。万が一指定資金移動業者が破綻した場合は、保証機関が口座残高の全額を弁済する仕組みです。具体的な弁済方法は資金移動業者ごとに異なるため、必ず確認しておきましょう。資金決済法上の資金保全の仕組み指定資金移動業者が破綻した際の資金保全については、資金決済法でも定められています。資金移動業者は、各営業日ごとに要履行保証額を把握して供託所に供託し、資金を保全しなくてはなりません。資金移動業者が破綻した場合は、財務局の還付手続きによって供託金から弁済を受けられます。しかし、何らかの事情で十分な供託金がない場合は、債務の全額が弁済されない可能性があります。また、十分な供託金があったとしても、還付には半年程度の期間が必要です。銀行預金は預金保険制度で保護される一方、銀行預金は「預金保護制度」の対象です。万が一銀行が破綻しても、1金融機関1預金者につき元本1,000万円までとその利息は保護されます。状況によって異なりますが、通常は破綻から数日以内に払い戻しが行われます。預金保険制度の対象金融機関であれば、どの銀行でも補償内容は変わりません。デジタルマネーに比べると、銀行預金は補償内容が手厚いといえるでしょう。デジタル給与のメリット企業がデジタル給与を導入することには、次のようなメリットが考えられます。振込手数料の削減が期待できる従業員の銀行口座に給与を支払うときは、振込手数料がかかります。2023年(令和5年)4月現在、資金移動業者の口座への送金手数料は明確になっていません。もし送金手数料が安価に設定されれば、給与をデジタル払いにすることで振込手数料の削減が期待できるでしょう。ただし、従業員数や振込先の金融機関などによって、振込手数料は変わってきます。コスト削減を目的にデジタル給与を導入する場合は、手数料の軽減効果を確認することが大切です。>>西日本シティ銀行NCBビジネスダイレクト利用時の振込手数料一覧企業イメージ向上や人材確保につながるデジタル給与の導入は、企業イメージの向上や人材確保につながる可能性があります。企業体制が整っていないと、新しい制度をすぐに導入するのは難しいものです。給与のデジタル払いに対応することで、積極性や柔軟性のある経営姿勢をアピールできます。また、外国人労働者への給与支払いが容易になるため、海外の優秀な人材を確保しやすくなる効果も期待できるでしょう。従業員のキャッシュレス決済の利便性が向上する給与のデジタル払いに対応すると、従業員のキャッシュレス決済の利便性が向上します。資金移動業者の口座に直接給与が支払われるため、銀行口座から資金移動する手間が省けます。日常的にスマホ決済を利用している従業員にとっては、大きなメリットといえるでしょう。デジタル給与のデメリット一方で、デジタル給与の導入には次のようなデメリットもあります。給与支払いの業務負担が増えるデジタル給与を導入すると、給与支払いの業務負担が増える恐れがあります。給与をデジタル払いで受け取るのは、同意した労働者に限られます。そのため、デジタル払いの希望者を個別に管理しなくてはなりません。また、労働者ごとにデジタル払いの受取金額は異なります。1人の労働者につき、銀行口座への振込と資金移動業者の口座への送金が必要になるので、業務量の増加は避けられないでしょう。デジタル給与の管理コストが上昇するデジタル給与を導入すると、従業員が提出した同意書や送金先の口座情報、デジタル払いの送金額などの管理が新たに発生します。そのため、現在のシステムでは、給与のデジタル払いに対応できないかもしれません。デジタル給与に対応した新たな給与管理システムを導入すれば、まとまったコストがかかるでしょう。デジタル払いで振込手数料を削減できたとしても、それを上回る管理コストが発生し、トータルでは支出が増える恐れがあります。不正出金のリスクがあるデジタル給与は、不正出金のリスクがあるのもデメリットです。労働者がスマホ決済のアカウントを適切に管理していないと、口座の乗っ取りなどにより、不正に出金される可能性があります。労働者に過失があった場合は個別対応となるため、損失が補償されるかは不透明です。銀行預金は「預金者保護法」で補償される銀行預金からの不正出金については(通称)「預金者保護法」により、本人に過失がない場合は原則として金融機関が全額を補償します。預金者に過失がある場合、補償額は被害額の75%です。例えば、キャッシュカードの暗証番号を生年月日にして身分証と一緒に持ち歩いた場合などは過失があると判断されます。重大な過失の場合は、補償を受けられないこともあります。デジタル給与の注意点デジタル給与を導入する際は、以下の点に注意が必要です。労働者への強制は労働基準法違反となる企業がデジタル給与を導入しても、労働者が希望しない場合は、これまで通り銀行口座で給与の受け取りが可能です。労働者本人が同意していないにもかかわらず、給与のデジタル払いを強制すると労働基準法違反となり、罰則の対象となり得ます。現金化できないポイントや仮想通貨は認められないデジタル給与は、厚生労働省の審査に通過した指定資金移動業者の口座に限られます。現金化できないポイントや、仮想通貨での給与支払いは認められません。すべてのデジタルマネーが、給与のデジタル払いに対応するわけではないため注意が必要です。デジタル給与開始までの今後の流れデジタル給与は解禁されましたが、すぐに利用できるわけではありません。ここでは、給与のデジタル払い開始までの今後の流れを確認していきましょう。①2023年4月1日から資金移動業者の指定申請の受付開始改正労働基準法の施行に伴い、2023年(令和5年)4月1日から資金移動業者の指定申請の受付が開始されました。指定資金移動業者となるには、所定の要件を満たさなくてはなりません。指定申請書の内容をもとに、厚生労働省が審査を行います。審査結果が出るまで数ヶ月かかる見込みです。②厚生労働省が指定資金移動業者を決定所定の審査を経て、厚生労働省が指定資金移動業者を決定します。指定業者名の一覧は、厚生労働省のホームページで公表される予定です。その際は、指定資金移動業者に関する以下の情報が掲載されます。資金移動業者の名称資金移動サービスの名称資金保全の仕組みに関する情報労働者からの同意取得時に記載が必要な情報③労使協定を締結指定資金移動業者が決定したら、労働者と労使協定を締結しましょう。労使協定では、「給与デジタル払いの対象となる労働者の範囲」「取扱指定資金移動業者の範囲」などを決定します。④企業から労働者にデジタル給与の詳細・留意事項を説明労使協定を締結後、企業はデジタル給与を希望する個々の労働者に対して詳細や留意事項を説明します。留意事項は、「資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書」の裏面に記載されています。同意書は、厚生労働省のホームページからダウンロード可能です。⑤従業員は企業へ同意書を提出給与のデジタル払いを希望する従業員は、企業へ同意書を提出します。同意書に記載する項目は以下のとおりです。デジタル払いの希望受取額指定資金移動業者の口座番号(アカウントID)支払開始希望時期代替口座情報(銀行口座または証券総合口座)⑥給与のデジタル払い開始従業員が同意書に記載した支払開始希望時期以降に、給与のデジタル払いが開始されます。デジタル給与に対応するために、企業は必要に応じて給与管理システムの見直しなどが必要です。まとめデジタル給与が解禁されましたが、実際に利用できるのは指定資金移動業者の決定後になります。給与のデジタル払いに対応するには、労使協定の締結や労働者への説明、給与管理システムの整備などに取り組まなくてはなりません。メリット・デメリットを理解したうえで、デジタル給与の導入を検討しましょう。
M&A(企業合併・買収)を円滑に進め、一定の効果を得るにはPMIが重要です。PMIとはどういうもので、M&Aとどのような関係があるのでしょうか。今回はPMIの概要や期待できる効果、成功させるポイントについて解説します。PMIの意味とは?M&Aとの関係は?M&Aを実行して経営統合によるシナジー効果を得るには、PMIを成功させる必要があります。まずは、PMIの概要やM&Aとの関係について確認していきましょう。PMIの概要PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後の統合プロセスです。M&Aは相手企業と合意し、手続きをすれば終わりではありません。経営管理体制はもちろん、人事や経理、ITシステムなどの統合作業が必要になります。異なる会社同士を1つにするため、従業員の意識や考え方を合わせていくことも大切です。M&Aはクロージング後のPMIが重要クロージングとは、株式や事業の譲渡といったM&Aの最終手続きです。M&Aが成功するかは、クロージング後に実施するPMIにかかっています。統合作業に不備があれば、重大なミスや大規模なシステム障害が発生し、信用力の低下や業績悪化を招く恐れがあります。また、従業員の意識や考え方がまとまらないと社員同士の対立が起こり、優秀な社員の離職につながりかねません。買収後の統合作業がうまくいかなければ、そのM&Aは成功したとはいえないでしょう。M&Aの3つの統合形式M&Aの統合形式には、「連邦型統合」「支配型統合」「吸収型統合」の3つがあります。統合形式の選択は、PMIに影響を与える可能性があります。それぞれの特徴を理解したうえで、統合の基本方針を策定することが大切です。連邦型統合譲渡企業(売り手)を子会社として存続させ、経営の自主性を尊重する統合形式です。成長支援のM&Aなどでよく見られます。譲受企業(買い手)から数名の役員を派遣する程度で、役員構成に大きな変更がないケースが一般的です。これまでの企業文化を残して経営方針も維持されるため、従業員の抵抗は少ない傾向にあります。一方で、PMIが思うように進まず、M&Aの効果を十分に発揮できない可能性もあります。支配型統合譲渡企業を子会社として存続させるものの、経営には積極的に関与していく統合形式です。譲渡企業が経営不振にあるなど、譲受企業が有利な立場にある場合に見られます。代表取締役を譲渡企業から派遣し、役員構成も大きく変更するようなケースです。経営方針や事業戦略が大幅に見直されるなど、譲受企業の意向が大きく反映されます。譲渡企業主導でPMIを進められるため、M&Aの効果を早期に得やすい統合形式といえるでしょう。ただし、関与が強すぎると従業員の反発を招く恐れがあります。吸収型統合吸収合併や吸収分割、事業譲渡などの手法で、対象企業の組織・事業の全部または一部を自社に吸収して一体化する統合形式です。各手法の特徴は以下のとおりです。吸収合併:相手の法人格を消滅させて、消滅企業の権利義務の全部を存続会社に継承させること吸収分割:企業が営む事業の有する権利義務の全部または一部を分割後、他社に承継させること事業譲渡:企業が営む事業の全部または一部を他社に売却すること企業や事業を買収側に吸収するため、譲受企業の方針が色濃く反映されます。統合のスピードが速く、早期にM&Aの効果を得られるのがメリットです。一方で、支配型統合と同じく、進め方によっては現場に強い負担を与えることになります。PMIによって期待できる効果PMIによる統合作業を進めることで、具体的にどんな成果を得られるのでしょうか。ここでは、PMIによって期待できる効果を紹介します。シナジー効果の実現PMIを進めることによって、M&Aによるシナジー効果の実現が期待できます。シナジー効果とは、複数の要素を組み合わせることで得られる相乗効果のことです。PMIで2つの会社・事業を1つに統合させることで、これまでよりも大きな成果を出しやすくなります。たとえば、以下のような効果が考えられます。売上拡大、財務内容の改善PMIで経営や業務を統合することにより、売上拡大が期待できます。お互いの強みやノウハウを活かしながら事業を拡大できれば、業績向上につながるでしょう。また、経理・財務を統合し、資産や負債を見直すことで財務内容の改善につながります。コスト削減PMIで重複する事業や資源、生産管理体制などを整理すると、経営のムダを省けます。また、仕入先を見直して原材料の整理・統一を図ることにより、コスト削減につながります。優秀な人材の育成・獲得PMIでは単に組織や業務を統合するだけでなく、従業員の意識の統一にも取り組みます。社員研修などで経営方針をうまく共有できれば、従業員のやる気向上につながるでしょう。また、人事制度や採用基準を統一することにより、優秀な人材を獲得しやすくなります。企業買収におけるリスクの軽減M&Aで異なる会社が1つになることは、メリットだけでなくリスクもあります。しかし、PMIをスムーズに進めることによって、企業買収におけるリスクの軽減が期待できます。具体的には以下のとおりです。経営体制の不備・混乱M&Aでは、経営体制がうまく統一できないと社内に混乱が生じます。統合形式によって異なりますが、基本的には買収側の意向が強く反映されます。譲渡企業の経営陣や従業員が譲受企業の示した方針に反発すれば、M&Aが成立しても十分なシナジー効果を得られないでしょう。PMIをうまく進めることで、経営体制の不備や混乱を避けられます。取引先との関係悪化M&Aでは、統合作業を早期に終わらせないと業務に支障が出てしまいます。深刻なトラブルが生じれば、取引先との関係が悪化するかもしれません。PMIを計画的に実行することによって、取引先との関係悪化を避けられます。従業員の士気低下・退職M&Aでは、企業風土が異なる会社が1つになります。特に買収される側の従業員は、M&Aに対して悪い印象を持つこともあります。業務や考え方をうまく合わせられなければ、従業員同士で対立が生じることもあるでしょう。PMIで従業員の意識や考え方をうまく合わせることで、従業員の士気低下や退職の防止につながります。PMIのプロセスPMIは以下の手順で進めます。統合方針の作成ランディングプランの作成・実行100日プランの作成・実行モニタリングここでは、それぞれの内容を確認していきましょう。統合方針の策定まずは統合方針を策定します。デューデリジェンス(譲渡企業の価値・リスクの調査)で明らかになった課題などを考慮しながら、どんな形式で統合するかを決めましょう。また、リスクへの対処や獲得したいシナジー効果などを明確にして、PMIの計画に反映させます。買収側と被買収側でしっかりとコミュニケーションをとることが大切です。ランディングプランの作成・実行ランディングプランとは、M&Aのクロージングから3~6ヵ月以内に行うべき短期の統合計画です。ランディングプランでは、経理管理体制をはじめ人事や経理、財務などのさまざまな領域が検討対象となります。デューデリジェンスで明らかになった課題やリスクをもとに、優先的に取り組む事項をリストアップしましょう。100日プランの作成・実行100日プランとは、M&A成立後から100日間(約3ヵ月)で実施する計画です。ランディングプランは統合項目の全体的な計画であるのに対し、100日プランは優先度の高い項目の具体的な作業計画になります。誰が主導して、いつまでにどんな手順で進めるかを詳細にタスクとして落とし込みましょう。100日はあくまでも目安であるため、実行期間はきっちり100日である必要はありません。モニタリングM&Aがクロージングし、ランディングプランや100日プランの実行に移ったら、定期的に進捗状況のモニタリングを行います。計画の進み具合や効果の有無を検証し、計画とのズレを把握することが大切です。予定通り実行できていなければ、必要に応じて軌道修正する必要があるでしょう。PMIの具体的な統合内容続いて、PMIによって統合する具体的な内容について解説します。経営管理体制まず、新しい経営管理体制を構築しなくてはなりません。M&Aでは、基本的に譲受企業が意思決定を行います。譲渡企業に経営陣を派遣・常駐させて、ヒアリングを行いながら経営方針や経営ビジョンを共有していくのです。譲渡企業が中小企業の場合、十分な経営体制が構築されていない可能性もあります。取締役会などの法令上求められる組織はもちろん、意思決定のプロセスや業績管理方法、人員の配置転換などの整備を進めましょう。人事・労務M&Aでは買収側から役員が派遣され、経営陣が変更されるのが一般的です。派遣する役員の選定は、M&A後の経営に大きな影響を与えます。PMIをスムーズに進めるためにも、早い段階で役員構成を決定しておく必要があるでしょう。人事制度の整備も重要な項目です。労働条件が変更になる場合は、労働者の合意を得なくてはなりません。定款や就業規則、給与規則といった各種規程も見直します。譲渡企業が中小企業の場合、決裁権限などが明確に決まっていないケースもあります。事業部や責任者の役割を明確にするため、状況に応じて職務分掌や決裁権限の見直しも検討しましょう。ITシステム・業務オペレーションPMIでは、ITシステムや業務オペレーションの統一に取り組みます。買収側と同じシステムを使用することで、業績を把握しやすくなるなど業務効率化が期待できます。ただし、新たなシステムの導入は、現場にとって大きな負担となるかもしれません。また、業務オペレーションを変更する場合、慣れるまでは作業完了に時間がかかるケースもあります。業務担当者に丁寧なヒアリングを行い問題点などを明確にしたうえで、新たな業務フローを設計していくことが大切です。経理・財務M&A後に適切な経営判断を行うために、経理・財務の統合は特に重要な項目といえます。中小企業では経営者の親族が経理を一手に引き受け、マニュアルなどが整備されていないケースもあります。被買収側の支払業務や給与計算などに支障が出ないよう、業務フローを見える化して新たな業務体制を構築する必要があるでしょう。また、経理担当者にヒアリングを行ったうえで、使用する会計システムや決算期の統一などを検討しなくてはなりません。予算や業績管理、経営計画の策定のために、管理会計の整備も必要です。従業員の意識・企業文化基本的には、買収側の企業風土に統一していきます。ただし、譲受企業の考え方を一方的に押し付けると、買収される側の従業員の反発を招きかねません。中小企業の場合、オーナーの考え方が従業員の意識や企業文化に大きな影響を与えています。譲渡企業のオーナーが従業員に対して丁寧に説明し、理解を求めることが重要といえます。また、社員研修など従業員同士でコミュニケーションがとれる機会を積極的に作りましょう。合併買収に対する不安軽減のために、全従業員に対して丁寧なフォローを行うことが大切です。PMIを成功させるポイントPMIをスムーズに進めるには、どんなことに注意すればよいのでしょうか。ここでは、PMIを成功させるポイントを2つ紹介します。プロジェクトチームを組成して早期に準備を進めるPMIを実行するリーダーを決め、プロジェクトチームを組成して早期に準備を進めましょう。契約交渉や買収手続きに追われると、PMIの準備が遅れてしまいます。クロージングまでにランディングプランや100日プランを作成し、すぐに実行できる体制を整えておくことが大切です。また、プロジェクトチームをうまく機能させるには、リーダーの選定も重要なポイントです。強力なリーダーシップのもと、現場に混乱が生じることがないように計画を進めなくてはなりません。買収側はM&Aの検討段階から、PMIを確実に実行できるリーダーを選んでおきましょう。コンサルタントに支援を依頼するPMIを成功させるには、M&Aについて経験・実績のあるコンサルタントに支援を依頼するのも有効な手段です。専門家に相談すれば、PMIの進め方について具体的なアドバイスがもらえます。特にM&Aの経験がない場合は、金融機関などにサポートを依頼するのが確実といえます。まとめM&Aのシナジー効果を最大化するには、早い段階でPMIの準備に取り組むことが大切です。専門家のサポートを受けながら、経営管理体制やITシステム、経理・財務などをうまく統合する必要があります。M&Aについて疑問があれば、西日本シティ銀行の営業担当者に相談してみてください。
HRBPは、経営戦略の実現を人事面からサポートする経営層のビジネスパートナーです。変化の激しい時代を迎え、人材活用の重要性が高まっています。HRBPを導入することで、どんな効果が期待できるのでしょうか。今回は、HRBPが注目される理由や従来の人事との違い、導入方法を解説します。HRBPとはHRBP(Human Resource Business Partner)とは、企業における人事機能の1つです。米国の、ミシガン大学ビジネススクール教授のデイブ・ウルリッチ氏により提唱されました。「HRビジネスパートナー」と呼ばれることもあります。HRBPは欧米を中心に普及していましたが、近年では日本の企業でも取り入れられるようになりました。HRBPは経営者や事業責任者のパートナーとして、戦略人事を通じて経営戦略の実現や事業成長をサポートします。戦略人事とは、経営目標の達成を目的に戦略的な人材活用を行うことです。単なる人員補充ではなく、経営者の視点から業績向上に効果的な人事を立案し、実行していきます。HRBPが注目される理由HRBPが注目されているのは、「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる不確実で複雑な時代を迎えているからです。これまでの人事のあり方を見直し、新たな人事戦略を立案・実行する重要性が増しています。そのため、経営にHRBPを取り入れる企業が増えているのです。具体的には以下のような理由が考えられます。変化の激しい経営環境への対応インターネットの普及やIT技術の進歩、働き方・人材の多様化などにより、経営環境は大きく変化しています。近年では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、テレワークが定着しました。このような急激な変化に対応するには、人事部門においてもスピード感のある意思決定が求められます。HRBPを導入することにより、従来の人事部門では難しかった経営者視点での人事戦略の立案・実行が可能となります。優秀な人材の確保・育成企業が時代の変化に対応しながら長期にわたって成長を続けていくには、優秀な人材の確保・育成が不可欠です。経営戦略の実現には単なる人員補充ではなく、適材適所の人事が重要となります。将来を見通すのが困難な現代では、終身雇用や年功序列といった従来の人事制度を維持するのは難しいでしょう。HRBPを導入し経営者や部門責任者と連携しながら人事制度を見直すことで、優秀な人材を確保しやすくなる効果が期待できます。HRBPと従来の人事部門との違いHRBPは人事機能の1つですが、従来の人事とは担う業務や求められる役割が異なります。ここでは、HRBPと従来の人事部門との違いを確認していきましょう。人事部門の業務は制度・環境の整備従来の人事は、管理部門に位置づけられています。組織内で従業員を束ねる仕組みや制度を整え、効率的に管理・運用することが主な役割です。たとえば、退職者が出て業務に支障が出る場合は、人員補充のための採用活動を行います。給与計算や勤怠管理、福利厚生などの労務管理も人事部門の担当です。企業経営に不可欠な業務ではあるものの、事業成長に直結するとはいえない面もあります。HRBPは人事戦略を通じて事業成長を支援する一方、HRBPは経営戦略の実現や事業成長の達成に対するコミットメント(責任)が求められます。職場環境や人事制度の整備・運用ではなく、業績向上を目指した人事戦略を立案し、実行していくのがHRBPの役割です。経営層や他部門の責任者、現場の業務担当者と積極的に連携し、事業成長を支援します。HRBPに求められる役割HRBPには、以下のような役割が求められます。人事戦略の立案・実行を通じた経営戦略の実現人事戦略の立案・実行を通じて、他の事業部門と同じように経営戦略の実現への貢献が求められます。業績向上などの経営目標を達成するには、事業内容に合わせて最適な人材を配置しなくてはなりません。事業戦略を見直したり新規事業を立ち上げたりする際は、必要に応じて外部の人材に支援を求める必要もあるでしょう。しかし、従来の人事部門だけで戦略人事を行うのは簡単ではありません。HRBPが経営層や事業責任者とコミュニケーションをとりながら、事業成長に必要な採用体制や人材育成方法などの構築に取り組みます。経営者や事業責任者のサポート経営者や事業責任者は、日々さまざまな意思決定をしなくてはなりません。新規事業や不採算事業に関する意思決定では、「誰に任せるか」「どれだけの人員が必要か(不要か)」も重要な要素となります。企業経営や人事戦略に知見のあるHRBPがいれば、議論を交わしながら適切な意思決定を行えます。経営上の課題や悩みを気軽に話せる相手がいない場合、HRBPは経営者や事業責任者のコンサルタントとしての役割も期待できるでしょう。経営層と従業員の橋渡し経営層と従業員の距離が離れていると、現場の状況や課題を把握しにくくなります。すでに問題が発生している場合は、早期に対策をとらないと大きなトラブルに発展するかもしれません。HRBPは従業員と積極的にコミュニケーションをとり、現場の状況や従業員の意見を経営層にフィードバックする役割を担います。HRBPが経営層と従業員の橋渡し役となることで、現場の状況に合わせた効果的な経営戦略をたてられます。HRBPに必要な能力・経験HRBPには、経営者や事業責任者のビジネスパートナーとしてふさわしい人材を起用する必要があります。ここでは、HRBPに必要な能力や経験を紹介します。経営者の視点HRBPは経営戦略の実現のために、事業成長につながる人事戦略を立案・実行することを求められます。そのため、経営者の視点を持つ人材でないと務まりません。ときには正解のない課題に自分なりの仮説を立て、経営層に提案する場面も出てくるでしょう。自分で事業を立ち上げた経験があるなど、ビジネス感覚を有する人材が理想といえます。コミュニケーション能力ビジネスパートナーとしてサポートするには、彼らと対等に議論を交わせるだけのコミュニケーション能力が不可欠です。また、現場の担当者ともうまく付き合い、気軽に相談してもらえる信頼関係を築かなくてはなりません。単に経営の知識や経験があるだけでなく、周囲から信頼を得られる人材を起用することが大切です。リーダーシップHRBPにはコミュニケーション能力が求められますが、決して経営者や現場の御用聞きではありません。経営層や現場のやり方が間違いで、組織にとってマイナスだと考えられる場合は、HRBPが意見や改善案を伝える必要があります。経営戦略を実現させるために、強いリーダーシップが求められる場面も出てくるでしょう。人事としての専門知識・実務経験HRBPには、人事のプロフェッショナルとしての専門知識や実務経験も求められます。給与計算や勤怠管理といった、ルーティン業務の処理能力は必須ではありません。それでも人事部門における業務経験や知識は、人事面から事業成長をサポートするうえで大いに役立つでしょう。HRBPの導入方法HRBPは国内ではまだ新しい考え方で、導入企業は少ないのが現状です。導入していても、人事部門の責任者の肩書をHRBPに変更しただけでうまく機能していないケースもあるようです。HRBPを経営戦略の実現や事業成長に活かすには、どのように導入を進めればよいのでしょうか。ここでは、HRBPの導入方法を解説します。役割や位置づけを明確にするまずは、HRBPの役割や位置づけを明確にすることが大切です。HRBPが担う業務範囲や権限、責任、目指す成果をはっきりさせておかないと、導入効果を検証できません。また、単に肩書だけを変更しただけでは取り組みが中途半端になり、期待していた成果を得られないおそれがあります。できれば従来の人事部門とは切り離し、HRBPが人事戦略の立案・実行に専念できる体制を整えるのが理想です。初めてHRBPを導入する際は、必要に応じて人事コンサルタントなどの専門家に支援を依頼してもよいでしょう。必要な能力・資質を備えた人を選ぶHRBPとしての役割を果たせる能力・資質を備えた人を選ぶことも重要なポイントです。HRBPは経営者の考えを理解したうえで、人的側面から事業成長をサポートしなくてはなりません。各事業部門の要望や課題を把握する必要があり、他部門との連携も重要になってきます。経営視点を持ち、現場にも精通している人材が理想ですが、すべての条件を満たす役員や従業員を探すのは難しいかもしれません。状況によっては、ビジネス感覚や人事の専門知識を持つ外部人材を起用するのも選択肢です。部分的に導入してうまく機能するかテストするHRBPは、従来の人事部門とは役割が大きく異なります。HRBPを任された担当者も、最初は手探り状態で業務を進めることになるでしょう。そのような状況で最初から全社レベルで導入すると、十分な成果を得られない恐れがあります。まずは部分的に導入し、うまく機能するかをテストすることが大切です。たとえば、立て直しが必要な事業など、重要度の高い部門に絞って導入することを検討しましょう。導入効果を検証する試験的にHRBPを導入したら、その導入効果を検証します。HRBPと部門責任者だけでなく、経営者や現場の従業員も交えて定期的に成果や問題点を確認しましょう。よかった点は継続し、問題点は改善に取り組んで、HRBPがうまく機能するようブラッシュアップしていきます。ある程度体制が整ってきたら少しずつ拡大し、最終的には全部門への導入を目指すとよいでしょう。ただし、事業内容や業種、企業風土によってはHRBPが合わない可能性もあります。その場合は、HRBPの導入を見送るのも1つの意思決定といえます。まとめHRBPを導入すれば経営課題や現場の問題点を把握しやすくなり、経営戦略の実現につながるかもしれません。まだ新しい考え方ではありますが、今後は国内でも導入企業が増える可能性があります。経営上のパートナーや戦略人事の必要性を感じるなら、HRBPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
IT技術が急速に進歩し、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。予測困難な出来事が次々に起こる「VUCA(ブーカ)」時代を迎え、企業やビジネスパーソンはどう対応すればよいのでしょうか。今回は、VUCA時代を乗り切るために必要なスキル・人材について解説します。VUCA(ブーカ)とは?どんな用語?VUCAとは以下の言葉の頭文字をとった造語で、将来の予測が困難で不確実な状態にあることを意味します。Volatility(変動性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)VUCAはもともと米国で使われていた軍事用語です。ソ連(現在のロシア)との冷戦が終結し、国家間の問題が複雑化して軍事戦略をたてるのが難しくなった状態を表す言葉でした。2010年代に入って経営環境が大きく変化し、将来を予測するのが難しくなったことでビジネスでも使われるようになりました。語源となった4つの単語の意味VUCAの語源となった4つの単語の意味を確認しましょう。Volatility(変動性)IT技術の急速な進歩によって、ビジネスや社会の仕組み、消費者のニーズが変化していくことです。あらゆるものがインターネットにつながるようになり、新しいサービスが次々と生み出されています。また、少子高齢化によって社会構造も大きく変化しています。現代は変化のスピードが速いため、ニーズを把握してうまく対応していかないと事業を続けるのが難しくなるでしょう。Uncertainty(不確実性)話題の事象が確実に起こることが証明されていない状態です。新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック、地球温暖化による気候変動、大地震のような自然災害など予測困難な問題がたくさんあります。直近では、ロシアのウクライナ侵攻がインフレ(物価上昇)を招き、世界情勢が不安定な状況です。現代には不確実な要因が多く存在するため、企業や個人が将来を予測するのが難しくなっています。Complexity(複雑性)経済のグローバル化により、経営環境の複雑性は増しています。国内の政治・経済情勢だけでなく、海外の動向も注視しながら経営判断を行わなくてはなりません。海外進出を目指す場合は、国内との商習慣や文化、法規制の違いへの理解も必要です。長期的には重要性が高くても、短期では売上に直結しない取り組みも求められます。例として、SDGs(国連の持続可能な開発目標)やダイバーシティ(多様性)などが挙げられます。Ambiguity(曖昧性)現代は人々の価値観が多様化しており、消費者のニーズが曖昧な状況です。消費者が新聞やテレビで情報収集をしていたときは、マスメディア主導で流行を作り出すことが可能でした。現在はインターネットやSNSの普及によって、個人がさまざまな情報を発信できます。特に「インフルエンサー」と呼ばれる個人の影響力は大きく、人々の消費行動に変化をもたらしています。次々に新しい情報が発信されるため、流行の移り変わりが激しいのも特徴です。消費者のニーズを見極め、長期にわたって支持される商品やサービスを提供することが難しくなっています。VUCA時代の特徴・事象将来を見通すのが難しい状況では、どんなことが起こるのでしょうか。VUCA時代の特徴や、発生すると考えられる事象を見ていきましょう。予測困難な出来事が発生する世の中が複雑になり、不確実性が高まっている状況では予測不可能な出来事が発生することがあります。代表的な例は、新型コロナウイルス感染症の拡大です。政府から緊急事態宣言が出されるなど、前例のない事態となりました。飲食店や観光業を中心に、経済に大きな打撃を与えています。一方で、新しい働き方としてテレワークが定着しました。新型コロナウイルスの流行前に、現在の状況を予測するのは難しかったのではないでしょうか。今後も突発的に予測困難な出来事が起こり、私たちの生活や働き方に大きな変化をもたらす可能性があります。常識を覆す新たなサービスが生まれるVUCA時代には、これまでの常識を覆すような新しいサービスが生まれます。金融の世界では「フィンテック」と呼ばれる動きが生まれ、ITと金融が融合することで新たなサービスが次々と登場しています。たとえば、実績がなく信用力が乏しいスタートアップ企業が金融機関で融資を受けるのは簡単ではありません。しかし現在は「クラウドファンディング」を活用し、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を集めることが可能です。このように、従来では考えられなかった新しいサービスが今後も生まれるでしょう。今までの常識が通用しない予測困難なVUCA時代では、今までの常識は通用しません。常識を疑うことなく今までのやり方に固執していると、時代の変化に取り残される恐れがあります。たとえば、AI(人工知能)を導入して定型業務の自動化に取り組む企業と、従来通り手入力で定型業務を行う企業とでは、コストや生産性に大きな差が生まれるでしょう。IT技術を活用し、常識にとらわれずにビジネスモデルを見直す重要性は高いといえます。VUCA時代に対応するための企業・組織のあり方将来の見通しがたたない不確実な状況において、企業経営ではどんなことに取り組んでいけばよいのでしょうか。ここでは、VUCA時代を乗り切るための企業・組織のあり方を紹介します。一般的な雇用システムから脱却する高度成長期の時代は年功序列、終身雇用、新卒一括採用といった「メンバーシップ型雇用」が主流でした。業績が右肩上がりで伸びていたため、長期的に人材を確保できるメンバーシップ型雇用のメリットは大きかったといえます。しかし予測困難で不確実性が高い現代では、人材育成に時間やコストがかかる従来の雇用システムの維持が困難になりつつあります。そのため、ポジションや職務内容に応じた人を採用する「ジョブ型雇用」への転換を検討する必要があるのです。経営ビジョンを明確に打ち出す不確実性が高い状況では、明確な経営ビジョンを示すことも重要です。経営ビジョンは、企業が意思決定を行う際の指針となります。明確なビジョンがあれば、困難な問題に直面しても適切に対応できるでしょう。経営ビジョンは組織内で共有し、従業員もビジョンに基づいて行動できる体制を整えることが大切です。情報収集・分析をもとに未来を予測して対策をたてる将来が予測困難だからといって、何も対策をたてなくてよいわけではありません。IT技術の進歩により、従来よりも情報収集や分析がしやすくなっています。市場や顧客から情報収集して分析に取り組めば新たなアイデアが生まれ、変化にも対応しやすくなるでしょう。情報収集や分析のノウハウがない場合は、必要に応じて外部の専門家に支援を求めるのも選択肢です。多様な人材の採用・育成に注力するVUCA時代を乗り切るには、多様な人材の採用・育成に力を入れるのもポイントです。これまでの常識や慣例にとらわれない多様な価値観を持つ人材が増えれば、組織内の雰囲気は大きく変わります。変化への適応力が上がり、想定外の問題に対処しやすくなるでしょう。人材育成では企業から従業員に対して一方的に教えるのではなく、自発的な学びを支援することが重要です。自分の頭で考え、迅速に行動できる人材・リーダーを育成する体制を整えましょう。VUCA時代の新たな意思決定方法「OODAループ」業務改善といえば「PDCA(計画、実行、評価、改善)」が有名です。しかし、最近では新たな意思決定方法として「OODAループ」が注目されています。OODA(ウーダ)とは、以下の言葉の頭文字をとったものです。Observe(観察)Orient(状況理解)Decide(決断)Act(行動)OODAループは想定外の状況に対して迅速に対応できるため、VUCA時代に適した思考法といわれています。OODAの4ステップOODAループでは「観察」「状況理解」「決断」「行動」の4ステップを繰り返し、解決策を見つけていきます。各ステップの内容は、以下のとおりです。Observe(観察)まずは、直面する環境の変化を観察して情報収集を行います。ただ観察するのではなく、情報を集めることがポイントです。自社やライバル企業がおかれている状況や市場動向、消費者の行動など、企業経営に関わる情報を幅広く収集していきます。Orient(状況判断)次に第1ステップの「観察」で入手した情報を分析し、状況判断を行います。収集した情報と当初の方針との違いを確認し、差が小さければ方針は継続です。情報と方針との差が大きい場合は、当初の方針を見直して修正・変更します。当初の方針や判断の誤りに気づき、より適切な方向性を見出せるかがポイントです。Decide(決断)第2ステップの「状況判断」で方向性が見えてきたら、具体的にどんな行動をとるかを決めます。「どんな成果を得たいのか」を明確にしたうえで、考えられる選択肢をリストアップしましょう。そして、最も効果的だと考えられる選択肢をもとに、具体的な行動を決定します。Act(行動)最後に第3ステップの「決断」で決めた、具体的な行動を実行します。実行後はまた第1ステップの「観察」に戻り、4つのステップを繰り返すのが一般的です。OODAを1回終えただけでは、期待していた成果を得られないかもしれません。OODAループを繰り返すと新たな情報が収集でき、方向性や具体的行動の精度向上が期待できます。PDCAとの違いPDCAサイクルは、OODAループとよく比較されるフレームワークの1つです。両者は目的が異なるため、優劣を判断できるものではありません。状況に応じて使い分けることが大切です。PDCAは既存の業務フローを改善し、生産性を向上させるのが目的です。最初に改善計画(仮説)をたて、実行してから評価・検証を行います。それに対して、OODAは「今どのように行動するのが最善か」という意思決定を行うものです。観察して状況判断し、最善と思われる行動を決定して実行に移します。VUCAを乗り切るために必要なスキル・人材VUCA時代では、経営環境の変化に適応できる人材が必要です。具体的には、以下のようなスキルが求められます。ITへの理解と情報収集力VUCA時代はIT技術を理解し、使いこなせるかで人材価値に大きな差が生じます。単にITを使えるだけでなく、ITを活用して有益な情報を収集・分析できる能力も重要です。情報を分析して課題解決策を提示できる人材の育成・確保することが企業の課題となります。スピード感のある決断力変化の激しい経営環境では、スピード感のある決断力が求められます。素晴らしいアイデアを思いついても、実行までのスピードが遅いと他社に先を越されてしまうかもしれません。組織内では意思決定プロセスや責任の所在を明確にし、迅速に決断・実行できる体制を整えることが大切です。状況の変化に対応できる柔軟性VUCA時代では、状況の変化に対応できる柔軟性も重要なスキルです。想定外の事象が発生した場合、マニュアル通りに対応しても問題は解決できません。迅速に状況を把握し、その都度最適と思われる対応策を考えて実行する必要があります。自分の頭で考え、柔軟に行動できる人材の評価は高まるでしょう。課題を見つけて解決する力社会や企業においてまだ明らかになっていない課題を見つけ、解決できる能力のことです。課題解決はビジネスチャンスになり、うまくいけば業績向上につながります。今までの常識が通用しない現代では、経験豊富な社員でも解決策を見つけるのは簡単ではありません。課題解決力を備えた社員を増やすことが、企業の発展につながります。コミュニケーション能力これまでの雇用システムを見直し、多様な人材を採用すると社内の雰囲気は大きく変わるでしょう。新しいアイデアが生まれやすくなる一方で、従業員同士で摩擦が生じるかもしれません。VUCA時代では、相手の考え方を受け入れながら、自分の意見もしっかりと主張できるコミュニケーション能力が重要となるでしょう。まとめ将来が予測困難なVUCA時代を迎え、経営環境や消費者のニーズは大きく変化しています。時代の変化に適応するには、これまでの常識や企業のあり方を見直すことが大切です。今後も成長を続けられるように、必要に応じて雇用システムの転換や人材の育成・採用に取り組んでみてはいかがでしょうか。
「ふるさと納税」と聞くと、個人が地方公共団体に寄付をすることをイメージするかもしれません。しかし、現在は法人でも寄付ができる「企業版ふるさと納税」もあります。企業が本制度を活用することに、どんなメリットがあるのでしょうか。今回は企業版ふるさと納税の概要や寄付をするメリット、注意点を解説します。企業版ふるさと納税とは?企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに企業が寄付を行う場合に、法人関係税から税制控除する仕組みです。2016年(平成28年)に内閣府によって創設されました。法人として寄付をすることで、税負担の軽減が期待できます。また、寄付を通じて地方創生や脱炭素などの社会貢献ができ、企業のPRになるのもメリットです。制度対象となるプロジェクト国が認定した地域再生計画に位置付けられる地方公共団体の地方創生プロジェクト寄付の制度対象となります。認定されていないプロジェクトに寄付をした場合、本制度の税額控除は適用されません。個人のふるさと納税との違い企業版ふるさと納税と個人版ふるさと納税では、返礼品の有無に違いがあります。個人がふるさと納税をすると、寄付金額に応じて地域の特産品などを受け取れます。一方、企業版ふるさと納税は寄付の見返りに経済的利益を受け取ることが禁止されているので、返礼品はありません。企業版ふるさと納税の税額控除額企業版ふるさと納税は、2020年度(令和2年度)税制改正で地方創生の更なる推進を目的に制度が大幅に見直されました。従来よりも税の軽減効果が拡大し、企業にとってより使いやすい仕組みになっています。税の軽減効果は寄付額の最大9割企業版ふるさと納税では、寄付額の最大9割が法人関係税から控除されます。通常の寄付金に適用される「損金算入による税の軽減効果」に加えて、本制度独自の税額控除を受けられるのが特徴です。▲内閣府 地方創生推進事務局パンフレットより抜粋通常の寄付の損金算入(約3割)に6割の税額控除が上乗せされるため、企業の自己負担は最小約1割です。たとえば、1,000万円を寄付すると最大約900万円の法人関係税が軽減され、企業負担は約100万円となります。税額控除の適用期限税額控除の適用期限は、2024年度(令和6年度)までです。適用期限内に制度対象のプロジェクトに寄付をすると、税制優遇を受けられます。しかし決算期をまたぐ場合には地方公共団体の受領日や証明書の発行タイミングによっては、翌期の控除対象となるケースもあるようですので、事前に地方公共団体へ連絡をし確認しておくとよいでしょう。企業版ふるさと納税で寄付をするメリット企業版ふるさと納税で地方公共団体に寄付をすると、税額控除のほかに以下のメリットが期待できます。社会貢献を通じた企業PR効果「地域の産業・観光」「人材の育成・確保」「定住・移住の促進」「少子高齢化対策」など、地方創生に関するさまざまな事業を支援できます。近年では気候変動問題への関心が高まっており、環境保全や脱炭素などの目標を掲げる企業や地方公共団体も増えています。寄付をすることによって、自社だけでは難しいSDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献が可能です。地方公共団体のホームページや広報誌で寄付をした企業が掲載されることもあるため、結果として企業のPR効果が期待できます。取引先や金融機関などからの信用力向上にもつながるでしょう。地方公共団体とのパートナーシップ構築寄付をきっかけに、地方公共団体と新たなパートナーシップを構築できる可能性があります。たとえば、企業の社員と地方公共団体の職員との間で定期的なミーティングが行われ、アプリ開発が実現したケースがあります。ワーケーション実施により地域交流が生まれ、事業の相談がしやすくなったという事例もありました。地方公共団体と友好な関係を築ければ、企業と地域の双方にとってメリットのあるビジネスチャンスが生まれるかもしれません。新規事業の展開地方創生プロジェクトを支援することで、地域資源を活かした新規事業の展開も期待できるでしょう。地方公共団体の中には豊富な資源があるにもかかわらず、雇用の創出や税収増に活かせていないケースもあります。寄付をきっかけに地方公共団体と連携すれば、地域の特徴や資源を活かした新規事業を展開できる可能性があります。企業版ふるさと納税を活用する際の注意点企業版ふるさと納税で税額控除の適用を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。寄付の下限額や禁止事項などが定められているため、活用する前に注意点を理解しておくことが大切です。1回あたり10万円以上の寄付が対象企業版ふるさと納税では、1回あたり10万円から寄付が可能です。約9割の税額控除が適用されると、10万円の寄付で約9万円の税の軽減効果が期待できます。ただし、寄付による税の軽減効果を得られるのは決算(確定申告)後となります。企業経営に支障が出ないように、資金繰りを考慮して寄付額を決めましょう。返礼品は受け取れない企業版ふるさと納税では、寄付の代償として地方公共団体から経済的利益を受け取ることは禁止されています。個人版ふるさと納税とは異なり、自治体からの返礼品はありません。「税額控除による税負担の軽減」と「社会貢献を通じた企業のPR効果」が、特典に該当すると理解しておきましょう。経済的な見返りに該当する具体例禁止事項である経済的な見返りに該当する具体例は、以下のとおりです。寄付の見返りとして補助金を受け取る有利な利率で貸し付けを受ける寄付を公共事業の入札参加条件とする商品券やプリペイドカードといった、換金性の高い商品を提供する禁止事項に触れてしまうと、企業イメージを著しく損ねる恐れがあるので注意しましょう。条例や規則を遵守し、公正な手続きを経て寄付先の地方公共団体と何らかの契約を締結するのは問題ありません。本社が所在する地方公共団体への寄付は制度対象外本社とは、地方税における「主な事務所又は事業所」のことです。本社が所在する地方公共団体への寄付は、制度対象外となります。たとえば、福岡県福岡市に本社がある企業の場合、福岡県と福岡市への寄付は可能ですが企業版ふるさと納税の対象外となります。地方交付税の不交付団体への寄付は制度対象外次の都道府県や市区町村への寄付は、制度対象外となります。地方交付税の不交付団体である都道府県地方交付税の不交付団体で、地方拠点強化税制における地方活力向上地域以外の市区町村寄付先を検討する際は、内閣府が運営する「企業版ふるさと納税ポータルサイト」で制度対象かを確認するといいでしょう。寄付の流れ基本的には以下の流れで手続きを行います。地方公共団体に寄付を申し込み(企業)納入通知書の送付(地方公共団体)寄付金の納付(企業)寄付金受領証の送付(地方公共団体)法人関係税の申告・税額控除の適用(企業)ただし、地方公共団体によって手続きの流れが異なる可能性があるので、事前に確認しておきましょう。寄付先を選定する際は、支援するプロジェクトの内容を確認したうえで企業PRや新規事業展開につながるかを見極めることも重要です。まとめ企業版ふるさと納税で地方公共団体に寄付をすれば、地方創生や脱炭素などへの社会貢献を通じて企業のPR効果が期待できます。寄付金は最大9割の税額控除が適用されるため、費用負担を抑えることも可能です。社会貢献活動を企業価値の向上や新規事業展開につなげたい場合は、企業版ふるさと納税の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
起業して経営者になると、リーダーとして日々さまざまな判断を求められます。経営判断を誤ることなく会社経営を軌道に乗せていくには、どのような知識・スキルを身につけておけばよいのでしょうか。今回は、経営者が資格を持つべき理由や起業したときに役立つ資格を紹介します。経営者が資格を持つべき理由とは会社経営を行うために、資格が必要か疑問に感じるかもしれません。資格を保有していなくても、経営者として素晴らしい実績を残している人もいるでしょう。しかし、経営者には会社の事業領域にとどまらない、幅広い知識や経験が求められます。資格の勉強を通じて得た知識やスキルは、会社経営におけるさまざまな場面で役立つといえます。経営者が資格を持つべき主な理由は以下の通りです。経営判断に必要な知識・スキルを習得できる経営者は会社の業績向上のために、日々多くの判断をしなくてはなりません。経営者が下す決断の1つ1つが取引先や従業員などに影響を与えるため、その責任は重大といえます。時には直感も大事ですが、基本的に経営者の決断には周囲を説得できる根拠が必要です。事業内容によっては、法律や税務などの問題が関係することもあるでしょう。資格を取得して幅広い知識を身につけておけば、的確な経営判断を行えるようになります。従業員とのコミュニケーションに役立つ会社経営を安定させるには、従業員とのコミュニケーションも重要です。経営者が経営理念やビジョンを明確に示すことで従業員の仕事に対するモチベーションは上がり、社内の雰囲気もよくなります。コミュニケーションがうまくいっていれば、トラブルやビジネスチャンスが発生したときに、部下から報告が入りやすくなると考えられます。コミュニケーションやマネジメントに関する知識やスキルを習得して実践することで、従業員からの信頼を得られます。取引先との信頼関係を構築しやすい長期にわたって安定した取引を行うために、取引先との信頼関係を構築することも経営者の重要な仕事の1つです。ビジネスにおいて、資格は一定の知識・能力を習得している証明となります。資格の内容によっては、取引先から「経営者として一定の能力がある」と認めてもらえるでしょう。また、資格勉強で得た知識を活用することで、自社の商品やサービスについて説明するときにも説得力が増します。新たな事業アイデアを思いつきやすい会社の規模や業績を拡大するためには、新商品やサービスを提供したり、新たな事業へ挑戦したりすることも必要です。従来の考えにとらわれることなく、異なる分野の知識・経験を掛け合わせることで、魅力的なアイデアが生まれる可能性もあります。資格勉強を通じて幅広い知識を習得すれば、新たな事業アイデアが思いつきやすくなるかもしれません。起業したときに役立つ資格5選!資格にはさまざまな種類があり、習得できる知識や専門性、難易度によって価値や信頼度は変わってきます。会社経営やビジネスに活かすなら、どのような資格を持つのがよいのでしょうか。ここでは、経営者や起業を考えている人向けの資格を5つ紹介します。MBA(経営学修士)MBA(Master of Business Administration)は、経営学修士と呼ばれる学位のことです。経営学の大学院修士課程を修了すると授与されます。正確にいうとMBAは資格ではなく「学位」であるため、MBA取得による独占業務などはありません。MBAは、1~2年間大学院で学んで修了しなくてはならないため、難易度は高いといえるでしょう。また、数百万円程度のまとまったお金が必要になる点にも注意が必要です。会社経営に必要な幅広い知識を習得できるMBAはリーダーシップやマネジメント、経営戦略、マーケティング、財務会計など、必要な知識を幅広く学べるのが特徴です。単なる知識のインプットではなく課題に関するディスカッションなども行われるため、実践的な能力を鍛えられます。また、受講生同士のつながりができれば、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあるでしょう。時代の変化に対応しながら会社経営を行っていくうえで、MBAは長い目で見れば大きなプラスとなるため、多忙であっても取得してみてください。中小企業診断士中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。中小企業者に対して経営コンサルティングを行う国家資格であり、成長戦略の策定と実行のためのアドバイスが主な業務となります。中小企業診断士試験には、「1次試験(マークシート形式)」「2次試験(筆記・口述)」「実務補習・実務従事」の3段階あります。1次試験では企業経営についての基本的な知識、2次試験では経営診断や助言に関する能力が問われます。2次試験合格後、実務補習を受けるか実務に従事することで、中小企業診断士として登録申請が行えます。中小企業の経営や課題解決に役立つ中小企業診断士資格を取得すると、経済学や財務会計、経営法務など、中小企業経営に必要な知識が身につきます。また、経営診断や助言を目的とした資格であるため、自社の経営課題を見つけやすくなり、その解決にも役立ちます。MBAと比較されることもありますが、中小企業の経営者であれば、中小企業診断士が向いているかもしれません。中小企業診断士試験の合格率は1次試験が20~40%、2次試験が18~19%です。難易度は高めですが、取得できれば会社経営に活かせるでしょう。税理士税の専門家(国家資格)です。「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つは、税理士の独占業務となっています。税理士は税理士試験を受験して、会計科目2科目(簿記論、財務諸表論)と税法科目3科目(所得税法、法人税法など)に合格しなくてはなりません。各科目の合格率は11~19%程度ですが各科目の学習内容が広範囲にわたるため、5科目全てにおける難易度は高いといえます。会社経営に不可欠な税務の知識が身につく会社経営において、税務会計は必ず身につけておきたい知識の1つです。法人・個人事業主に関わらず、事業を行っていれば毎年確定申告が必要です。また、税金は業績や資金繰りにも影響を与えるため、経営者は正しい税務知識を習得する必要があります。税理士資格を取得すれば税に関する専門的な知識が身につくため、会社経営に活かせるでしょう。また、税理士として独立開業を目指すことも可能です。日商簿記検定商工会議所が実施している簿記検定です。簿記とは、企業の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。簿記を学ぶことで経理実務を理解し、貸借対照表や損益計算書といった帳簿書類を作成できるようになります。日商簿記検定は、初級・3級・2級・1級の4段階があります。最初は業種、職種に関わらずビジネスパーソンが身につけておくべき基礎知識と位置づけられている3級から学習するのが一般的です。2級では工業簿記、1級になると会計学や原価計算も学習範囲に加わり、より高度な知識が求められます。さまざまな種類の帳簿から会社の状況を読み解く経営者にとって、簿記は必須の知識といえます。会社経営がうまくいっているかを判断するには、貸借対照表や損益計算書といった帳簿書類を読み解く必要があるからです。売上や利益率の変化から早い段階で経営上の問題点に気づくには、帳簿を読み解く力が必要です。また、経営者が経理処理を行うことはなくても簿記の知識があれば、経理担当者や顧問税理士とスムーズにやり取りができます。経営者であれば、帳簿の数字から経営状況を把握・分析できるように、2級取得を目指すといいでしょう。ビジネス実務法務検定営業や販売、総務、人事などあらゆる職種で必要とされる法律知識が習得できる検定試験です。東京商工会議所が実施しており、3級・2級・1級の3段階あります。3級は、ビジネスパーソンとして最低限知っておくべき法律の基礎知識を想定しています。2級になると、弁護士などの専門家への相談といった対応が可能になります。1級は法務知識に基づいて高度な判断・実務対応ができるレベルと位置づけられています。「企業取引の法務」「債権の管理・回収」「企業と従業員との関係」「国際法務」など、学習内容は多岐にわたります。ビジネスに必要な法律知識が身につくビジネスでは取引先との契約をはじめ、さまざまな法律が関わってきます。経営者が事業について判断を行う際は、「売れるか、うまくいくか」という視点だけでなく、「法律上問題がないか」も考慮しなくてはなりません。法律知識は業務上のリスクを未然に防ぐために、不可欠なものです。よって、経営者として知らないでは済まされない部分があります。詳細は弁護士に相談するとしても基礎知識は身につけておく必要があるため、2級を目標にするといいでしょう。事業分野別のおすすめ資格一覧どの業界で起業・独立するかによって、必要な知識や資格も変わります。ここでは、事業分野別におすすめの資格を紹介します。【IT業界】ITパスポート・基本情報技術者IT業界で起業を目指すなら、「ITパスポート」と「基本情報技術者」の2つがおすすめです。ITパスポートとは、ITに関する基礎知識を習得していることを証明する国家試験です。情報システムやネットワーク、データベースなど、ITの基礎知識が得られます。基本情報技術者は、IT知識・技能が一定以上の水準であることを認定するための国家試験です。ITエンジニアの登竜門といわれており、情報技術を活用した戦略立案やシステム設計・開発・運用などに関する知識を習得できます。まずはこの2つを足掛かりにしてITの基礎を身につけたうえで、より上位の資格取得を目指すといいでしょう。【金融業界】ファイナンシャルプランナーファイナンシャルプランナー(FP)は、個人のお金の悩みについてサポートし、解決策をアドバイスする専門家です。年金や保険、資産運用、住宅ローン、相続など、FPにはお金に関する専門知識が求められます。FPは幅広い知識を活かして個人のライフプランの作成を支援したり、保険や資産運用、相続などに特化して活動したりできます。3級、2級、1級の3段階あり、日本FP協会の「AFP(FP2級相当)」「CFP(FP1級相当)」という資格もあります。FPとして独立したいなら、最低でもFP2級(AFP)の取得を目指すといいでしょう。【不動産業界】宅地建物取引士不動産取引の専門家(国家資格)です。不動産売買や賃貸借契約を紹介する際に購入者や借り手に対して、物件や契約内容について詳しい説明ができるようになります。宅地建物取引業者は、事務所の規模や業務内容に応じて一定数の宅地建物取引士(専任)を置かなければなりません。宅地建物取引士試験では、宅建業法や民法など不動産に関する幅広い専門知識が問われるため、不動産業界では必須の資格といえるでしょう。どんな資格がよいかわからない場合は専門家に相談をここまで経営者におすすめの資格を紹介してきましたが、自身に合っているものが判断できないかもしれません。その場合は、専門家に相談するのも1つの方法といえます。西日本シティ銀行の「NCB創業応援サロン」では、専門スタッフである創業カウンセラーが、創業に関するさまざまな相談に応じています。起業や独立を検討しているなら、資格取得を含めてNCB創業応援サロンの創業カウンセラーに相談してみてはいかがでしょうか。まとめ資格を持っていなくても会社経営や起業は可能です。しかし、資格を取得して幅広い知識を得ることは、経営者として活動するうえで多くのメリットが期待できます。会社経営・起業準備との両立は大変ですが、経営者としてレベルアップするために資格の取得を検討してみましょう。
ロジカルシンキングは幅広いビジネスシーンで活用できるため、身につけておきたいスキルの一つです。一見すると難しく感じるかもしれませんが、論理的に考える力はトレーニングで養うことが可能です。本記事では、ロジカルシンキングの意義やフレームワーク、鍛え方などを解説します。インプットとアウトプットが揃ってこそ、学びは効果を発揮します。この記事をきっかけに、ロジカルシンキングを身に付けましょう!あわせて読みたい・ビジネスで使える心理学10選!仕事で役立つマル秘テクニックをご紹介・起業アイデア7選!新規事業の成功を実現させるためのビジネスモデルとは?・お金の勉強にオススメの本10冊初心者でもお金の基本~応用まで知識が身につくロジカルシンキングとは?どういう意味?ロジカルシンキングとは、ものごとを体系的に整理・分析し、筋道を立てて適切な結論・解決策を見つけるための思考法です。日本語では「論理的思考」といわれます。ロジカルシンキングを身につければ、思い付き・思い込みではなく、しっかりと現状を見て論理的にものごとを考えられるようになるでしょう。論理的思考についてもっと知りたいロジカルシンキングを学ぶメリットは、各種能力の向上ものごとを論理的に考えられるようになると、さまざまな能力が向上するため、仕事で成果を出しやすくなるといえます。ロジカルシンキングは仕事の種類や内容を問わず、幅広いビジネスの場面で役立つでしょう。具体的には、以下のような能力の向上が期待できます。問題解決能力が向上する仕事では、自社や顧客が抱える問題・課題について現状を分析し、解決策を見つけ出す能力が求められます。問題解決は新たなビジネスチャンスとなる可能性があり、自社の収益を改善する効果も期待できるため、仕事で成果を出すには必須のスキルといえます。ロジカルシンキングを身につけて問題解決能力が向上すれば、貴重な人材として高い評価を得られるでしょう。提案力が向上するロジカルシンキングを学ぶことで、提案力の向上も期待できます。相手が納得できるような提案をするには、しっかりとした根拠を示したうえで、わかりやすく説明する必要があるでしょう。ロジカルシンキングで提案力が向上すれば、商談や会議などで提案が採用されやすくなるかもしれません。コミュニケーション能力が向上するビジネスにおけるコミュニケーションでは、目的や根拠を明確にして、論理的に説明する能力が求められます。現在は対面での会話だけでなく、電話やメール、オンラインツールなど、さまざまなコミュケーション手段があります。ロジカルシンキングを学ぶことで、コミュニケーション手段に合わせて説明の仕方を工夫できるようになるでしょう。生産性が向上するロジカルシンキングでものごとを論理的に考えられるようになると、無駄な作業が減少し、生産性の向上が期待できます。たとえば、取引先に新商品を提案する際に、思いつきで商品のメリットだけを伝えても採用される確率は低く、効率が悪いといえます。しかし、取引先の課題を分析し、その課題を解決できる根拠を提示したうえで新商品の提案をすれば、比較的短期間で成約につながる可能性があります。論理的思考力の鍛え方5選ロジカルシンキングはビジネスに必要なスキルだとわかっていても、論理的に考えるのは難しいと感じる人もいるでしょう。しかし、思考力は訓練によって養うことが可能です。ここでは、論理的思考力を鍛える方法を紹介します。その1:アイデアを紙に書き出すテーマを一つ決めて、そのテーマについて思いついたことを書き出す方法です。あまり深く考えず、短時間(1分間など)で思いついたことをひたすら書き出すのがコツです。紙に書き出す作業を習慣にすることで、頭の中が整理され、ものごとを論理的に考えられるようになるでしょう。また、アイデアが深まり、問題を把握しやすくなる効果も期待できます。その2:理由を3つ考える論理的思考力を鍛えるには、理由を3つ考えて説明するのも効果的です。たとえば、提案したいアイデアの理由(根拠)が1つだけの場合、単なる思いつきの可能性があります。しかし、理由を3つ考えることを習慣にしておけば、自然と深く考えられるようになるでしょう。その3:仮説をたてる仮説をたてることも、論理的思考力を鍛える訓練になります。仮説をたてることは、分析が進んでいない段階で自分なりの答えを出すことといえます。「まず答えを出し、それを分析して証明する」という流れで考えることで、短期間で解決策を見つけられるようになるでしょう。その4:事実と意見を分けるものごとを論理的に考えるには、事実と意見を分けることも大切です。事実と意見を混同してしまっては、現状を正しく分析することはできないでしょう。事実と意見を分けて考える習慣をつけることで、分析力の向上が期待できます。その5:ゼロベースで考えるこれまでのやり方や常識にとらわれず、ゼロベースで考えることも必要だといえます。現状のやり方や考え方を疑い、もっとよい方法はないかを考えることで、ものごとの本質をとらえられるようになるでしょう。ロジカルシンキングのフレームワーク・主な手法とは?ロジカルシンキングでは、論理的に考えるためのフレームワークや手法が存在します。ここでは、代表的なフレームワーク・手法を紹介します。そもそも、フレームワークとは?フレームワークとは、思考や発想が効率的にできるよう考案された枠組み・型のことを指します。枠組み・型を用いてパターン化することによって、思考・発送が効率的に整理され、全体を俯瞰したり思考の足並みを揃えたりするのが容易になり、意思決定のスピードアップ・確度アップにつながります。フレームワークについてもっと知りたい帰納法と演繹法帰納法とは?帰納法とは、複数の前提から結論を導き出す手法です。たとえば、「アメリカの株価が上がっている」「日本の株価が上がっている」「イギリスの株価が上がっている」という3つの前提から、「世界の株価は上がっている」という結論を導くという手法です。前提の数が多いほど、結論の正しさも強まるといえるでしょう。演繹法とは?演繹法とは、絶対に正しいことや一般的に正しいと判断されることから、妥当と思われる結論を導き出す手法です。代表例として、「すべての人間は死ぬ」「ソクラテスは人間だ」という前提から、「ゆえにソクラテスは死ぬ」という結論を導き出す「三段論法」が知られています。演繹法では、すべての前提が正しければ結論も正しくなります。MECE(ミーシー)MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字をとったものであり、「モレなく、ダブりなく」と訳されるケースが多い単語です。MECE自体はフレームワークではなく、話の重複や漏れをなくす技術・考え方です。MECEの代表的なフレームワークの一つに「3C」があります。3Cは「顧客・市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」のことです。これら3つの状況を押さえることで、おおむね漏れや重なりがなく、事業全体の現状を把握することが可能となります。MECEについてもっと知りたいロジックツリーロジックツリーとは、問題や原因、解決策、具体的施策などをツリー状に分解して整理していくフレームワークです。ロジックツリーを使うことで、複雑な問題についても、内容を一つずつ整理しながら考えを深めることが可能となります。また、問題の全体像を把握できるため、本来の目的からずれることなく、解決策や取るべき行動を導き出せるでしょう。So What?(つまり?) /Why So?(なぜ?)「So What?(つまり?)」「Why So?(なぜ?)」は話の飛びをなくし、伝えたい結論と根拠のつながりを相手に理解してもらうための技術です。また、ロジックツリーを構成するときにも使う考え方です。「So What?」と問うことで、情報や材料の中から重要な要素を抽出することが可能となります。そして、抽出した要素に対して「なぜそういうことが言えるのか?」と検証・確認するのが「Why So?」です。「つまり?」「なぜ?」と考える習慣をつけると、ものごとを深掘りできるようになり、結論と根拠の間の矛盾に気づきやすくなるでしょう。あわせて読みたい・ビジネスで使える心理学10選!仕事で役立つマル秘テクニックをご紹介・起業アイデア7選!新規事業の成功を実現させるためのビジネスモデルとは?ロジカルシンキングまとめビジネスパーソンとして身につけておきたいロジカルシンキングは、トレーニングや読書によって養うことが可能です。思考力を鍛えることにより、さまざまなスキルの向上が期待できます。ロジカルシンキングに興味があるなら、まずは初心者向けの本を1冊読むことから始めてみてはいかがでしょうか。あわせて読みたい・ビジネスで使える心理学10選!仕事で役立つマル秘テクニックをご紹介・起業アイデア7選!新規事業の成功を実現させるためのビジネスモデルとは?
企業経営では、既存顧客との取引を大切にしながらも、新規の取引先を開拓していく必要があります。その重要性は理解していても、「新規開拓まで手が回らない」「営業先が見つからない」と悩む経営者は多いのではないでしょうか。今後も成長を続けていくために、新規開拓営業の成功に必要なポイントを知っておきましょう。ビジネスで使える心理学10選!仕事で役立つマル秘テクニックをご紹介第一印象を良くするには何をすべき?初対面で好印象を与える9つのテクニック新規開拓の成功に必要なこと・考え方とは?新規開拓には、「片っ端から飛び込み営業をする」「とにかく電話をかけ続ける」など、努力と根性で取り組むイメージがあるのではないでしょうか。しかし、このようなやり方は非効率で、労力がかかる割に成果を期待するのは難しいでしょう。一方的に売り込むだけでは、かえって相手に悪い印象を与えてしまう可能性がありますし、営業員も疲弊してしまうかもしれません。新規開拓を成功させるには、しっかりとした戦略を立て、顧客に合った方法でアプローチする必要があるといえます。目標・営業方針を決める新規の取引先を増やすには、やみくもに行動するのではなく、戦略的に営業することが大切です。まずは、目標と営業方針を決めましょう。数字だけでなく、「どういう企業でありたいか」といった目標も掲げておくと、新規開拓に取り組む目的が明確になります。また、目標達成のために「何をするのか」「何をやらないのか」といった営業方針も決定します。営業方針が決まれば、営業員はその方針に従って効率よく行動できるようになるでしょう。ターゲットとなる企業をはっきりさせる新規開拓をするには、営業先を確保する必要があります。ただし、どんな企業でもよいわけではありません。扱っている商品・サービスによって、ターゲットとなる顧客は変わってきます。ターゲットになる企業の特徴をはっきりさせ、見込み客となりそうな企業をリストアップしましょう。顧客に合ったアプローチ方法を検討する新規開拓を成功させるには、顧客に合った方法でアプローチすることが大切です。自社の商品・サービスを一方的にアピールしても、新規開拓の成功にはつながらないでしょう。また、何の戦略もなく、ただ継続訪問するような営業手法ではクレームを受ける恐れもあります。ターゲット顧客に合わせて、最適なアプローチ方法を検討しましょう。自分の会社の商品・サービスに自信を持つ新規開拓の成功には、営業員が自社の商品・サービスに自信を持つことも欠かせません。自信を持って提案できない商品・サービスを売るのは難しいといえます。取り扱っている商品・サービスへの理解を深め、どのような強みがあるかを考えてみましょう。自社の強みが明確になれば、ターゲット顧客も明確になり、アプローチ方法の改善につながります。新規開拓の営業方法新規開拓営業には、以下のような方法があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、ターゲット企業に合った方法を選ぶことが大切です。複数の方法を組み合わせれば、より多くの企業にアプローチできるでしょう。飛び込み営業飛び込み営業は、業種によっては有効といえます。たとえば、飲食店などの個人経営のお店では、アポイントを取って訪問するより、飛び込みのほうが経営者に接触しやすい可能性があります。最初から直接話ができるので、うまくいけば早期に取引を始められるかもしれません。ただし、訪問に時間がかかるので効率が悪く、何度も訪問するとクレームを受けることも考えられます。テレアポ(電話営業)テレアポ(電話営業)は、営業先の電話番号さえ分かれば、訪問することなくアプローチできます。そのため、限られた時間で多くの企業と接触が可能です。ただし、テレアポは断られやすく、誰がキーマンなのかわかりにくいのがデメリットといえます。飛び込み営業と同じく、何度も電話をかけると悪い印象を与えることも考えられます。メール企業のホームページに掲載されているお問い合わせページや、メールアドレスからアプローチする方法です。訪問する必要がないので、効率的な営業活動が可能です。メッセージが残るうえに資料を添付できるので、視覚から訴求できるでしょう。ただし、メッセージが開封されないと商談にはつながりません。また、直接話をしないので、断られやすい方法ともいえます。セミナー自社の商品・サービスに関連するセミナーを開催して集客し、見込み客を開拓していく方法です。参加者はセミナー内容に興味があるため、他の方法に比べて取引につながる可能性が高いといえます。うまく集客できれば、多くの企業にアプローチができるでしょう。セミナーを開催するための費用や時間を確保しなくてはなりませんが、オンラインを活用すれば費用を抑えることは可能です。紹介取引先などに、顧客となりそうな人や企業を紹介してもらう方法です。信頼関係ができている取引先の紹介であれば、成約につながりやすいでしょう。定期的に紹介してもらえるのが理想ですが、紹介のペースはコントロールできないため、計画的に成果を出すのが難しい面もあります。ビジネスマッチングビジネスマッチングとは、新規の取引先を増やしたい企業と、課題解決のためにパートナーを探している企業を結び付けるサービスです。需要と供給を見極めたうえで業者が仲介してくれるため、無駄な営業活動をすることなく新規開拓ができます。利用料金はサービスによって異なりますが、「初期費用(入会金)+月額料金」という報酬体系が多い傾向にあります。新規開拓に人員や時間をかけられない場合は、ビジネスマッチングも選択肢のひとつになるでしょう。新規開拓営業を実践する際の4つのポイントここでは、新規開拓営業を実践するときに心がけたいポイントを4つ紹介します。1.PDCAサイクルを回す新規開拓営業では、「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」のサイクル(PDCAサイクル)を回すことが大切です。PDCAは目新しい考え方でありませんが、「計画を立てて商談に臨み、反省して改善する」という流れを作ることで、確実に成果につなげやすくなると考えられます。商談後は毎回振り返りを行い、課題を明確にしたうえで次の商談に臨むようにしましょう。2.すぐに結果を求めない新規開拓営業では、相手と関係を構築するまでに一定の時間が必要です。すぐ結果を出そうとすると、どうしても一方的な売り込みになってしまいます。まずは情報収集に徹して、相手のニーズを引き出すことを心がけましょう。3.訪問のタイミングを意識し、接触回数を増やす多くの人は、接する回数が増えるほど、その人に対して好印象を持つようになります。心理学では、この効果のことを「ザイオンス効果」といいます。ザイオンス効果は新規開拓営業においても有効です。つまり、定期的に接触することで、徐々に営業先に好印象を持ってもらえる可能性があるということです。担当者と直接会えないときはメールなども活用しながら、接触回数を増やしていきましょう。4.顧客の利益を考えた提案を行う営業の極意として、顧客の利益を考えることが挙げられます。一方的に自社の商品・サービスの良さを訴えるだけでは取引につながらず、悪い印象を与えるだけになる場合もあるでしょう。相手の立場になって考え、相手の利益になる提案をすれば、自然と結果はついてくると考えられます。自社の強みを伝えるよりも、相手の課題解決・メリットを意識しましょう。新規開拓営業を効率よく行うコツ新規開拓営業を効率よく行うコツは、新規開拓リストの作成と管理にあります。一定の営業先を常に確保して、顧客ごとに状況を整理しておけば、無駄のない営業活動ができるでしょう。新規開拓リストの作成方法新規開拓リストの作成には、以下のサービスを活用するのがおすすめです。会社四季報(上場会社の場合)新規開拓先が上場企業の場合は、会社四季報に掲載されている情報をもとにリストを作成するとよいでしょう。会社四季報といえば、株式投資の情報収集として利用されるイメージがあるかもしれません。しかし、会社四季報には本社住所や事業内容、役員といった基本情報が掲載されています。また、記事や業績から企業がどこで利益を出しているか、経営上どんな課題があるかも読み解けるので、取引先の調査やマーケティングにも活用可能です。企業データベース企業データベースを扱う会社から企業情報を購入し、新規開拓リストを作成する方法です。企業データベースであれば、非上場企業の情報も入手しやすいでしょう。サービスによっては、条件に合致する企業のみを抽出したり、倒産リスクの高い企業を除外したりできるため、効率よくリストを作成できます。インターネット、SNS多くの企業がホームページを持ち、SNSで情報発信をしているので、関連キーワードで検索すれば企業情報を入手できます。SNSを積極的に活用している企業の場合、投稿内容から企業の取り組みや課題を分析することも可能です。企業のアカウントをフォローし、投稿に「いいね」やコメントをすることで、つながりが生まれるかもしれません。ただし、インターネットやSNSは情報量が膨大であるため、必要な情報を得るのに手間がかかるというデメリットがあることも覚えておきましょう。顧客管理を徹底する新規開拓リストは「一度作ったら終わり」ではなく、常に最新の状態を保っておくことが大切です。リストは業種や規模、エリアなどのカテゴリー別に整理すると管理しやすいでしょう。実際にアプローチした顧客については、ヒアリング内容や先方からの依頼などを入力して社内で共有すれば、自社の担当者が変更になってもスムーズに対応できます。また、取引の可能性がないと思われる営業先をリストから外すことも大切です。無駄な訪問を減らし、重要度が高い企業へ注力することで結果が出やすくなるでしょう。ビジネスマッチングを活用するのもおすすめ新規開拓の効率化に役立つ「西日本FH BigAdvance」効率的に新規開拓営業を行える状態が理想ですが、既存顧客との取引と並行しながら、新規開拓に取り組むのは大変ではないでしょうか。それなら、ビジネスマッチングを活用するのもひとつの方法です。「西日本FH BigAdvance(https://www.johoza.co.jp/bigadvance/)」なら、全国の地銀のお客さまとつながるビジネスマッチングを通じて、効率的に新規の取引先を増やすことが可能です。新規開拓の手段のひとつとして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。まとめ新規開拓営業を成功させるには、やみくもに行動するのではなく、事前準備をしたうえで戦略的に営業活動をすることが大切といえます。まずは目標と営業方針を決め、新規開拓リストを作成することから始めましょう。また、新規開拓の効率化を図るなら、ビジネスマッチングといったサービスを利用するのもおすすめです。ビジネスで使える心理学10選!仕事で役立つマル秘テクニックをご紹介第一印象を良くするには何をすべき?初対面で好印象を与える9つのテクニック
新型コロナウイルスの緊急事態宣言の影響に関する支援策として、売上が大きく減少している事業者を対象に「一時支援金」が給付されることになりました。ただし、給付を受けるには要件があるため、申請前に内容を理解しておくことが大切です。今回は、一時支援金の概要や申請手続きについて詳しく解説します。西日本シティ銀行の新型コロナ対策サポートデスク緊急事態宣言の影響緩和に係る「一時支援金」とは緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金とは、飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛による影響を受け、売上が大きく減少している中小企業や個人事業主、フリーランスに対して国から給付される支援金です。事業の継続を支援するため、事業全般に幅広く使える一時支援金を迅速かつ公正に給付することを目的としています。一時支援金の給付を受けるには、事業者自身が必要書類を準備して申請手続きを行う必要があります。よろず支援拠点という国が設置した中小企業等の相談所でも相談に乗ってもらえますし、西日本シティ銀行でももちろん対応が可能です。※よろず支援拠点は、多様な分野に精通した専門家が経営上の悩みに親身に耳を傾け、抱えている悩みの本質的な課題を明確化するとともに、適切な解決策をご提案してくれる拠点です。福岡県よろず支援拠点、東京都よろず支援拠点、大阪府よろず支援拠点など全国各地に存在します。一時支援金の概要は以下の通りです。申請期間一時支援金の申請期間は、「2021年(令和3年)3月8日(月)~5月31日(月)」です。申請期間は約3か月間と短く、申請に必要な書類もあるので、早めに準備に取り掛かることが大切です。給付額一時支援金の給付額は、中小法人等が上限60万円、個人事業主等が上限30万円です。上限額を超えない範囲で、以下の算式で計算した金額が給付されます。2019年(令和元年)または2020年(令和2年)の1~3月の合計売上-2021年(令和3年)の対象月の売上×3か月対象月とは、2021年(令和3年)1~3月のうち、2019年(令和元年)または2020年(令和2年)の同月と比べて、緊急事態宣言の影響で売上が50%以上減少した月のことです。給付金の計算例一時支援金の給付対象となる中小企業の売上が下記の場合について、給付金の計算例を確認しましょう。年度1月2月3月2019年(令和元年)60万円10万円40万円2020年(令和2年)60万円40万円40万円2021年(令和3年)60万円20万円‐基準年を2020年(令和2年)、対象月を2月で選択したときの給付額は以下の通りです。①2020年(令和2年)1~3月の売上合計:140万円(60万円+40万円+40万円)②2021年(令和3年)2月(対象月)の売上×3か月:60万円(20万円×3)①-②:140万円-60万円=80万円>60万円給付額:60万円計算結果は80万円で上限の60万円を超えているため、給付額は60万円となります。給付対象一時支援金の給付対象は、資本金10億円の企業を除く中小企業と、フリーランスを含む個人事業主です。主たる収入が雑所得・給与所得である個人事業主も対象に含まれます。一時支援金の給付を受けるには、以下2つの要件を満たす必要があります。緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けていること2019年(令和元年)または2020年(令和2年)比で、2021年(令和3年)1月、2月または3月の売上が50%以上減少していること要件を満たす事業者は、業種や所在地を問わず給付対象となる可能性があります。一時支援金の受け取り方法一時支援金は、申請内容や証拠書類に不備がなければ、申請時に指定した銀行口座に振り込まれます。申請内容の確認が終了すると、送付先として登録した住所に「給付通知書」が送付されます。なお、給付要件を満たさないと判断された場合は「不支給通知」が届きます。西日本シティ銀行の新型コロナ対策サポートデスク一時支援金の給付対象とならない事業者一時支援金は、給付対象の要件を満たさない場合は支給されません。たとえ対象月の売上が50%以上減少していても、給付対象外と判断される可能性があります。給付対象とならない主なケース一時支援金の給付対象とならない主なケースをまとめました。事業活動に季節性があり、緊急事態宣言の影響による売上減少ではない場合売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により対象月の売上が減少している場合単に営業日数が少ないことにより対象月の売上が50%以上減少している場合地方公共団体から時短営業要請を受けた、協力金の支給対象の飲食店一時支援金の給付対象となるには、緊急事態宣言の影響で売上が50%以上減少していることが要件となります。緊急事態宣言とは関係がない理由により売上が減少している場合は、給付対象とはなりません。給付対象となるか自身で判断できない場合は、相談窓口に連絡して確認してみましょう。不正受給に注意申請内容や提出した証拠書類に不審な点があると判断された場合は、調査が行われることがあります。調査の結果、不正受給と判断された場合は、「一時支援金の全額に延滞金を加えた金額の返還請求」「事業者(法人名、屋号、申請者名)の公表」「申請者の告訴・告発」などの措置を講じられる可能性があるので注意が必要です。一時支援金の必要書類一時支援金を申請するには、必要書類を準備しなくてはなりません。必要書類に不備や不足があると、給付が決定するまでに時間がかかってしまいます。支援金を早く受け取れるように、必要書類の内容を確認しておきましょう。また、申請時に提出は不要ですが、一定期間保存しなくてはならない書類もあります。申請時に必要な書類一時支援金の申請に必要な書類は以下の6つです。履歴事項全部証明書(法人)または本人確認書類(個人)中小企業(法人)は履歴事項全部証明書、個人事業主やフリーランスは運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です。本人確認書類は「住民票+パスポートまたは各種健康保険証」でも申請可能で、在留カードや住民基本台帳カード、身体障害者手帳等も認められます。確定申告書類の控え申請時には収受日付印の付いた、2019年(令和元年)1~3月および2020年(令和2年)1~3月までをその期間に含むすべての確定申告書類の控えが必要です。e-taxによる申告で受付日時が印字されていない場合は、「受信通知(メール詳細)」を添付しましょう。対象月の売上台帳対象月の収入額(合計額)が確認できる、売上台帳などの提出も必要です。フォーマットの指定はないため、会計ソフトから抽出したデータの他、エクセルデータや手書きの売上帳でも申請可能です。「対象月の事業収入であること」および「対象月の事業収入の合計額」が明記されていれば、書類の名称が売上台帳でなくても申請できます。通帳の写し2019年(令和元年)以降の事業の取引を記録している銀行口座(申請者名義)の通帳の写しも必要です。以下の項目が確認できるように、スキャンまたはスマートフォンなどで撮影しておきましょう。金融機関名支店番号支店名口座種別口座番号口座名義人必要に応じて、通帳の表面と通帳を開いた1、2ページの両方を添付します。ネット専業銀行などで紙の通帳がない場合は、電子通帳の画面コピーでも申請可能です。宣誓・同意書一時支援金給付規定により様式が定められた宣誓・同意書を提出します。宣誓・同意書は、一時支援金のホームページ(資料ダウンロード)からダウンロードできます。提出する際は申請者の自署が必要です。取引先情報一覧2019~2021年(令和元年~3年)の各年1~3月における顧客情報がわかる「取引先情報一覧」も必要です。書類は様式が決まっており、一時支援金のホームページ(資料ダウンロード)からダウンロードできます。顧客である法人の法人名・法人番号・連絡先、顧客である個人事業者の屋号・氏名・連絡先などを記載して提出します。保存書類緊急事態宣言の影響を示す書類として、最終的な取引先が宣言地域内で時短営業の要請を受けた飲食店または宣言地域の消費者であることを示す書類を7年間保存する必要があります。具体的には、取引先との継続した取引を示す帳簿書類が挙げられます。所在地や事業によっては商品・サービスの一覧表、賃貸借契約書、統計データ、顧客データなども必要になる可能性があります。申請時の提出は不要ですが、申請後に提出を求められる可能性があるので必ず保管しておきましょう。西日本シティ銀行の新型コロナ対策サポートデスク一時支援金の申請手続きの流れ一時支援金はオンライン申請(Web上での申請)が基本となるため、必要書類をスキャンするか、カメラで撮影して電子データ(ファイル)の形で提出しなくてはなりません。ただし、オンライン申請が難しい場合は申請サポート会場を利用することも可能です。オンライン申請一時支援金のオンライン申請の流れは以下の通りです。申請に必要な証拠書類(電子データ)を準備する仮登録を行い、申請IDを発番する登録確認機関で事前確認を受けるマイページで必要事項を入力して申請する申請完了必要書類が準備できたら、一時支援金のホームページで仮登録を行い、申請IDを発番します。登録確認機関の事前確認を受け、マイページから申請すれば手続きは完了です。一時支援金の給付額が確定したら給付通知書が発送され、指定口座に支援金が振り込まれます。登録確認機関の事前確認について申請前に、登録確認機関(商工会、金融機関、士業など)から帳簿書類の有無や給付対象の理解等に関する質疑応答を受ける必要があります。申請者が登録確認機関の会員、顧問先、事業性融資先に該当する場合は、帳簿書類等の確認を省略でき、電話での質疑応答のみで済みます。事前確認を依頼できる登録確認機関が見つからない場合は、事務局の相談窓口に連絡するか、一時支援金のホームページで検索しましょう。申請サポート会場自身でオンライン申請を行うのが難しい場合は、申請サポート会場で補助員に申請手続きをサポートしてもらうことも可能です。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、申請サポート会場の利用は事前予約が必要になります。申請会場にはコピー機がないので、必要書類を紙に出力して持参しましょう。また、新型コロナ対策のため、ボールペン等の筆記用具も持参する必要があります。申請サポート会場は全国に設置されており、一時支援金のホームページで検索できます。2021年(令和3年)3月現在、福岡県は「サンシティ博多2(1F)」が申請サポート会場に指定されています。■【福岡】給付金・助成金・補助金まとめ|制度概要や対象、金額、申請方法まで解説西日本シティ銀行の新型コロナ対策サポートデスクまとめ緊急事態宣言の影響で売上が減少している中小企業・個人事業主は、必要書類を添えて申請すれば、一時支援金の給付を受けられるかもしれません。ただし、一時支援金は給付対象の要件を満たす必要があり、登録確認機関の事前確認が必要になるなど、手続きがやや複雑です。申請期間は約3か月と短いので、不明点があれば相談窓口に確認して早めに申請準備に取り掛かりましょう。■持続化給付金の申請方法とは?対象やもらえる条件・注意すべきポイント■《全国版》新型コロナに関する助成金・給付金・補助金まとめ【種類から対象まで】■テレワーク助成金とは?対象・もらう方法等の知っておきたい基礎知識■雇用調整助成金とは?対象や手続き&メリットと留意点をまとめました
ビジネスカード(法人カード)は、個人事業主・フリーランスでも申し込みができる事業用クレジットカードです。さまざまなカードが発行されていますが、これから申し込みをするなら「for Owners」がおすすめです。今回は、for Ownersの特徴やメリット・デメリットについて解説します。>> 【まとめ記事】法人カードの基礎知識~メリット・デメリットまで個人事業主・中小企業経営者におすすめの ”for Owners”はこちら個人事業主・フリーランスに法人カードは必要?個人事業主やフリーランスとして働く場合、個人向けクレジットカードで十分と考える人もいるかもしれません。しかし、法人カードには個人カードにはない特徴があり、仕事の効率化につながる可能性があります。個人カードしか使ったことがないのであれば、一度法人カードの利用を検討してみましょう。法人カードには「ビジネスカード」と「コーポレートカード」がある法人カードは、大きくはビジネスカードとコーポレートカードに分けることができます。ビジネスカードは、主に中小企業の経営者や個人事業主・フリーランスが対象のクレジットカードです。一方、コーポレートカードは大企業向けのクレジットカードです。ビジネスカード(事業用クレジットカード)の特徴経理処理の効率化につながるビジネスカードと個人カードの両方を保有し、事業用の経費と個人利用を分けることで経理処理の効率化につながります。たとえば、明細を見ながら1か月分の支出をまとめて入力したり、会計ソフトと紐づけて記帳を自動化したりすることが可能となります。また、事業用の銀行口座から引き落としができるため、お金の出入りもわかりやすくなるでしょう。利用限度額が高いビジネスカードは、個人カードに比べると利用限度額が高い傾向にあります。個人事業主・フリーランスは、仕事の内容によってはまとまった経費がかかることもあるでしょう。利用限度額が高いと多くの経費をカードで払うことができるため、現金を用意する手間がなくなり、経理処理も楽になります。ビジネスサポートサービスが用意されているビジネスカードでは、個人カードにはないビジネスサポートサービスが用意されているのが一般的です。専門家への無料相談や事務用品の割引、福利厚生サービスなど、ビジネスで利用できるサービスが充実しています。サービス内容はカードの種類によって異なるため、申し込む前に確認しておきましょう。年会費がかかるカードが多いビジネスカードは年会費がかかることが多く、カードのグレードによっては金額が高めに設定されていることもあります。ビジネスカードを作るなら、年会費を無駄にしないようにしっかりと活用することが大切です。ポイント還元率はやや低めビジネスカードも、個人カードと同じように利用金額に応じてポイントが貯まります。しかし、個人カードに比べるとポイント還元率はやや低い傾向にあります。ポイントを重視する場合は、申し込む前にポイントの貯めやすさ・使い道などを確認しておきましょう。審査は比較的厳しいビジネスカードは、個人カードと同じく個人の信用に基づいて審査が行われます。しかし、個人カードに比べて利用限度額が高いため、審査が比較的厳しい傾向にあります。カードの種類によっては、登記簿謄本や決算書の提出を求められることもあります。個人事業主・中小企業経営者におすすめの ”for Owners”はこちらfor Ownersとはfor Ownersは、九州カードが発行する経営者・事業者向けのビジネスカードです。中小企業の経営者だけでなく、自営業者やフリーランスの人も申し込み可能です。個人向けクレジットカードと同じように使えるのはもちろん、ビジネスシーンで活用できるサービスも用意されています。クラシックカードとゴールドカードの2種類があるfor Ownersには「クラシックカード」と「ゴールドカード」の2種類があります。それぞれの特徴をまとめました。クラシックカードゴールドカード年会費初年度無料*2年目以降税込1,375円*2年目以降も10万円以上の利用で年会費無料税込11,000円カード利用枠原則10~100万円原則100~200万円旅行傷害保険海外旅行傷害保険(最高2,000万円)※利用条件つき海外・国内旅行傷害保険(最高5,000万円)ポイント還元率0.5%有効期限2年還元率0.5%有効期限2年クラシックカードは年会費がお手頃で、初めてのビジネスカードとして利用しやすいでしょう。一方、ゴールドカードはカード利用枠が大きく、旅行傷害保険の内容も充実しています。>> 【まとめ記事】法人カードの基礎知識~メリット・デメリットまでfor Ownersのメリットメリット1:クラシックカードは初年度の年会費が無料for Ownersは、クラシックカードの年会費が初年度無料です。まずは年会費無料で1年間使ってみて、その上で2年目以降も継続するかを判断できます。ビジネスカードは初年度から年会費がかかるものもあるので、初年度無料は大きなメリットといえるでしょう。メリット2:登記簿謄本・決算書は不要for Ownersは登記簿謄本や決算書を提出する必要がなく、WEBから手続きが可能です。ビジネスカードは比較的審査が厳しく、必要書類の準備に手間がかかるケースもあります。個人事業主・フリーランスとして忙しく働いている人でも、WEBから簡単に申し込み手続きができるのは大きな魅力です。メリット3:個人事業主やスタートアップ企業も申し込みできる事業の実績が少ない場合、ビジネスカードの審査に通るのが難しいケースもあります。しかし、for Ownersは個人の信用に基づいて審査が行われるため、個人事業主やフリーランス、設立して間もないスタートアップ企業でも申し込みが可能です。他の法人カードの審査で落ちた場合も、for Ownersであれば発行できる可能性があります。メリット4:カード利用でポイントが貯まる個人カードと同じように、for Ownersはカード利用金額に応じてポイントが貯まります。ポイント還元率はクラシックカード・ゴールドカードともに0.5%で、貯まったポイントは景品やマイルの交換に利用できます。ポイントの有効期限は2年または3年と比較的長く、活用しやすいでしょう。メリット5:旅行傷害保険が充実しているクラシックカードは最高2,000万円の海外旅行傷害保険、ゴールドカードは最高5,000万円の国内・海外旅行傷害保険が付帯しています。出張が多い仕事の場合は、出張中のアクシデントに備えられるので安心です。カードや旅行の種類によっては、旅費などをfor Ownersでクレジット決済することが条件となっています。個人事業主・中小企業経営者におすすめの ”for Owners”はこちらfor Ownersのデメリットfor Ownersは事業用クレジットカードとして必要な機能を満たしており、大きなデメリットはないといえます。2年目以降は年会費がかかりますが、一定の条件を満たせば無料になる場合もあります。ポイント還元率は0.5%であるものの、ビジネスカードとしては一般的な水準です。旅行傷害保険は一部利用付帯(旅費などのクレジット決済が条件)のため、その点には注意しましょう。起業するとクレジットカードは作れない?知っておきたい対策や審査についてfor Ownersはこんな人におすすめ●法人カードの審査に落ちてしまった人●起業して間もない人●個人事業主やフリーランス●経理処理の時間・手間を省きたい人for Ownersは登記簿謄本や決算書が不要で、個人事業主・フリーランスでも申し込みが可能です。法人カードの審査に落ちてしまった人や起業して間もない人でも、for Ownersなら審査に通過できるかもしれません。また、事業用と個人利用の支出を分けると記帳が楽になるため、経理処理を効率化したい場合にもおすすめです。個人事業主・中小企業経営者におすすめの ”for Owners”はこちらまとめ事業用クレジットカードは、個人カードに比べてビジネスシーンで活用しやすいという魅力があります。for Ownersなら、会社を設立して間もない経営者や個人事業主・フリーランスでも申し込むことができます。初年度は年会費無料で使えるので、まずは試しに申し込みをしてみてはいかがでしょうか。>> 【まとめ記事】法人カードの基礎知識~メリット・デメリットまで
営業現場では自社の商品・サービスの商談を行いますが、そもそも商談とはどういうものなのでしょうか。また、商談をうまくまとめるには、商談時のマナーや進め方について理解しておくことが大切です。取引先を増やして業績を拡大するために、商談と打ち合わせの違いや商談の上手な進め方について確認しておきましょう。>>ロジカルシンキングのおすすめ本10選|ロジカルシンキングの定義やフレームワーク、思考力の鍛え方も解説商談の定義とは商談とは、商売や取引について交渉や話し合いをすることです。具体的には、取引先や見込み客に対して自社の商品・サービスを提案し、契約の交渉を行う場です。商品・サービスを導入するメリットや費用、契約後のフォロー体制などを説明し、お互いに合意ができたら契約してもらう流れとなります。商談をする意味商談をする意味は、お客様に自社の商品・サービスを知ってもらい、売上を拡大して安定した経営を行うことです。誰もが知っているような商品・サービスを取り扱っていれば、商談をしなくても売上を確保できるかもしれません。しかし、そのようなケースは少ないのではないでしょうか。そのため企業経営においては、少しでも多くの取引先や見込み客と商談を行い、ビジネスチャンスを獲得する必要があります。商談と打ち合わせの違い「商談」と「打ち合わせ」は、取引先と面談を行うのは同じですが、その目的は異なります。商談は新たな取引を始めるための交渉の場であり、自社商品・サービスを購入してもらうことが目的です。それに対して、打ち合わせでは、取引成立後の諸条件の確認やフォロー、進捗状況の確認などを目的として話し合いを行います。取引先と話をするときは、商談と打ち合わせのどちらなのかを意識するといいでしょう。商談の機会を獲得するには何が必要か取引先を増やして売上を拡大するには、多くの商談をこなしてビジネスにつなげる必要があります。商談をまとめることが目標ですが、それ以上に、営業では商談の機会を獲得することが重要です。商談の機会を獲得するには、何が必要なのでしょうか。ターゲット企業を選定する商談の機会を獲得するには、新規取引先を含めてターゲットとなる企業を選定することが大切です。やみくもにアポイントを取ったり、商品・サービスをアピールしたりしても、商談にはつながらないでしょう。見込み客となりそうな企業を調べ、優先度の高い営業先に注力することで、商談を獲得できる可能性が高まるといえます。アプローチ方法を検討するターゲット企業と商談を行うには、相手に自社の商品・サービスを知ってもらい、面談につなげる必要があります。どのような方法でアプローチすれば、先方に興味を持ってもらえるかを検討しましょう。たとえば、信頼関係ができている得意先に新商品を紹介するなら、電話でアポイントをとれば快く応じてくれるかもしれません。また、新規を含めてより多くのお客様にサービスを案内したい場合は、セミナーで集客する方法もあるでしょう。ターゲットに合わせて適切なアプローチ方法を選ぶことが大切です。商談の上手な進め方ここでは、商談の上手な進め方を流れに沿って紹介します。ただし、商談は一般的には以下のような流れで進みますが、各項目の順番が前後することもあります。また、商談は1回で終わるとは限らず、複数回の商談を経て契約が成立するケースも多いです。あるいは、交渉がうまくいかず、途中で商談が終わってしまう場合があることも覚えておきましょう。アポイントを取る商談は、営業先にアポイントを取ることから始まります。先方の担当者に連絡して、訪問できる日時を確認しましょう。連絡方法として電話とメールがありますが、履歴が残るメールのほうが訪問日時を間違えにくいと考えられます。アポイントを取ってから実際の訪問日まで日にちが空く場合は、念のために前日に確認の連絡をしておくと安心です。挨拶・名刺交換営業先を訪問して担当者と初めて会ったら、まずは挨拶と名刺交換をします。第一印象は、今後の商談を左右する可能性があります。時間を確保してくれたことに感謝し、笑顔で対応することを心掛けましょう。また、服装や髪といった見た目にも気を配り、相手に不快感を与えないように注意することも大切です。最初はアイスブレイクとして自己紹介や訪問の経緯の説明などを行い、場が和んできたら本題に入っていくといいでしょう。ただし、時間が限られている場合は、簡単に挨拶をしてすぐに本題に入っても構いません。状況に応じて判断しましょう。ヒアリング営業先が抱えている課題やニーズ、希望などをヒアリングします。担当者から話を聞いて相手の状況を理解することで、適切な提案をしやすくなるでしょう。ただ話を聞くのではなく、質問も交えながら話の内容を深堀りすることが大切です。たとえば、「~についてもう少し詳しく教えていただけますか」といった質問をすることで、相手からより深い内容の話を引き出せるかもしれません。この段階では自社のアピールよりも、相手の話を聞いて情報収集に徹するほうがいいでしょう。商品・サービスの提案ヒアリングで相手の課題やニーズが明らかになったら、商品・サービスの提案を行います。自社の良さを伝えることは大切ですが、アピールだけではただの押し売りになりかねません。ヒアリングで把握した営業先の課題・ニーズを意識して、相手にどんなメリットがあるかをわかりやすく提示しましょう。競合している場合は、他社と比べてどんな強みがあるかを伝えることも大切です。ただし、他社の批判をすると悪い印象を与えてしまう恐れがあるので注意しましょう。クロージングクロージングとはクロージングとは、英語で「締めくくり」を意味する言葉で、商談では営業先に契約を促すことを意味します。商談がうまく進むと、相手は「契約してもいいかもしれない」という気持ちになるでしょう。そのタイミングで契約をお願いすれば、相手の背中を押すことができ、成約につながりやすくなるといえます。クロージングをしないと、契約が流れてしまうこともクロージングを行わずに結論を先延ばしにすると、「やっぱりやめておこう」と気持ちが変わり、契約が流れてしまうかもしれません。状況によってはあいまいな言葉を使わず、「契約していただけませんか」とストレートに伝えることも有効です。また、「本日中に決めていただければ~万円お値引きします」など、決断を促す条件を準備しておいてもいいでしょう。商談がまとまる営業力を身に付ける方法商談がまとまる優秀な営業員は、どのように営業力を鍛えているのでしょうか。ここでは、営業力を身に付ける方法を紹介します。場数を踏む営業力を身に付けるには、商談の場数を踏むことが大切です。サッカーのルールを覚えても練習しなければ上手にプレーできないように、どれだけ営業の知識があっても、実際に商談をこなさなければ営業力は身に付かないと考えられます。営業現場では教科書通りに商談が進まないこともありますが、経験を重ねることで、想定外の展開になっても柔軟に対応できるようになるでしょう。ロールプレイング商談の場数を踏むことは重要ですが、いつもお客様相手に商談ができるわけではないため、商談の練習として「ロールプレイング」に取り組むことも大切です。ロールプレイングでは、社員が「営業役」と「お客様役」に分かれ、実際の商談場面を再現します。基本的には、経験豊富な先輩社員がお客様役となり、経験が浅い社員の相手をして経験を積ませることが多いでしょう。ロールプレイングの様子をスマートフォンなどで撮影して見直すと、聞き方や話し方、説明方法などの改善点を見つけられるかもしれません。また、優秀な営業員とロールプレイングを行い、よかったことや改善すべき点をフィードバックしてもらうことで、営業スキルの向上が期待できます。同行営業営業の経験が浅いうちは、同行営業を行うことも営業力の向上に効果的です。先輩社員の商談に同行することで、どのように商談を進めているかを実際に見ることができます。このとき、ただ横で見ているのではなく、「自分だったらどのように商談をするか」「なぜわかりやすく説明できるのか」といった目的意識を持つことが重要です。商談で気になったことがあれば、先輩社員に積極的に質問してみましょう。また、「説明資料を作成する」「商品説明を担当する」など、可能な範囲で商談に参加することを心掛けるのも大切です。読書で知識を得る営業力を身に付けるには、読書で知識を得るのも有効な方法といえます。営業のノウハウについて書かれた本は多数出版されています。ロールプレイングや実際の商談で経験を積みながら、平行して読書で知識を得ることで、自分の課題や改善すべき点が明確になるかもしれません。また、他の業界で実績を残した著者の本を読めば、今まで考えつかなかった新しいアイデアが見つかる可能性もあります。商談を成功させるための考え方商談を成立させる4つのコツうまく商談を進めて契約を成立させるには、以下のことを意識するといいでしょう。ゴールを明確にする商談に臨むときは毎回ゴール(目標)を設定し、それを達成することを心掛けましょう。ある程度大きな取引の場合、1回の商談で契約まで進むケースは少ないのではないでしょうか。商談が複数回行われると想定される場合は、「初回の商談では情報収集に徹する」「今回でクロージングまで持っていく」など、商談の進み具合に応じたゴールを設定するのがおすすめです。ゴールがはっきりとしていれば、事前に準備すべきことも明確になり、商談を進めやすくなるでしょう。商品・サービスの知識を深める商談を成功させるには、自社の商品・サービスの知識を深めておくことも大切です。商品・サービスへの理解が不足していると、ヒアリングで相手の課題やニーズを引き出すことができたとしても、適切な提案ができない可能性があります。とはいえ、取り扱う商品・サービスの種類が多い場合は、すべての特徴を把握するのは難しいかもしれません。その場合は、よく売れている主力商品・サービスに絞って勉強するといった工夫が必要でしょう。ビジネスマナーに注意を払う商談をうまく進めるためには、ビジネスマナーにも注意を払いましょう。いくら自社の商品・サービスの内容がよくても、「服装に清潔感がない」「挨拶ができない」など、ビジネスマナーの問題で悪い印象を与えてしまっては、商談をうまく進めるのは難しいのではないでしょうか。ビジネスにおいて相手と良好な関係を築くには、基本的なビジネスマナーを身に付けておくことが大切です。ロールプレイングなどで、ビジネスマナーに問題がないかを確認しておきましょう。断り文句への対策を考えておく商談の事前準備として、断り文句への対策を考えておくことも有効です。自社の商品・サービスを提案したときに相手から断られる理由は、ある程度事前に予測できるのではないでしょうか。断り文句をリストアップし、それに対する返答を準備しておけば、余裕を持って商談に臨めるでしょう。また、断り文句への返答を検討することで、商品・サービスの提案方法の改善につながる可能性もあります。商談の効率にはビジネスマッチングサービスの利用もおすすめ商談を成功させるには、ビジネスマッチングを活用するのもおすすめです。ビジネスマッチングとは、取引先を増やしたい企業と、経営上の課題解決のためにパートナーを探している企業を結び付けるサービスです。需要と供給を見極めて、見込み客となりそうな企業を紹介してくれるため、営業活動や商談の効率化が期待できます。利用料金は、「初期費用(入会金)+月額料金」という報酬体系が多くなっています。営業に人員や時間をかけられない場合は、ビジネスマッチングも選択肢の一つになるでしょう。商談の成功率アップに役立つ「西日本FH 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