経営者の高齢化や後継者の不足などから事業承継がニュースになることも増えてきました。ではその事業承継とはどのような定義があり、どんな方法があるのでしょうか。今回は事業承継の方法やメリット・デメリット、事業承継における注意点と成功のポイントについて解説します。事業承継とは事業承継の定義事業承継とは、会社・事業を後継者に引き継ぐことをいいます。事業承継では、経営者交代に向けた後継者の選定と育成のほか、現金や不動産、設備といった目に見える財産から、経営理念やノウハウ、取引先・顧客との関係といった目に見えないところまで含め、会社・事業の経営に必要なすべての要素が引き継がれます。事業承継の3つの要素人(経営)・経営権・後継者の選定・育成・後継者との対話・後継者教育資産・株式・事業用資産(設備・不動産等)・資金(運転資金・借入金等)知的資産・経営理念・経営者の信用・取引先との人脈・顧客情報・従業員の技術、ノウハウ・知的財産権(特許など)・許認可事業承継の流れ事業承継は、準備から実行までを次のような流れで進めていきます。親族・従業員への場合事業承継に向けた準備の必要性の認識経営状況や経営課題などの把握(見える化)事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)事業承継計画の策定事業承継の実行(株式・事業用資産、経営権等の承継)社外への場合事業承継に向けた準備の必要性の認識経営状況や経営課題などの把握(見える化)事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)マッチング実施M&A等の実施(株式・事業用資産、経営権等の承継)事業承継の方法って?それぞれのメリット・デメリットを比較事業承継には、大きく次の5つの方法があります。それぞれの特徴と、メリット・デメリットを比較しながらみていきましょう。(1)親族への事業承継子やその他の親族を後継者として、事業を承継する方法です。中小企業の多くでこの方法が採用されています。親族に後継者候補がいれば、第三者へ承継するよりも安心感のある方法といえます。メリット社内外の関係者から理解を得やすい後継者教育等の準備期間を長く確保しやすい相続等で財産や株式を後継者に移転できるため、所有と経営の分離を回避しやすい創業家としての地位を保てる一方で、後継者の不在は社会的にも大きな問題となっています。そのため、近年では役員・従業員への承継やM&Aによる第三者への承継など、親族外への承継が増えてきています。デメリット親族内に経営の資質と意欲を持つ後継者候補がいるとは限らない相続人が複数いる場合、後継者の決定や経営権(自社株式)の集中が難しい(後継者とならない相続人に配慮が必要)(2)役員・従業員への事業承継親族以外の役員・従業員を後継者として、事業を承継する方法です。社内に経営理念やビジョン、業務に精通した優秀な人材がいれば、比較的スムーズに事業を引き継げるメリットがあります。メリット後継者候補の幅が広がる長年勤務してきた従業員への承継であれば、経営の一体性を保ちやすい社内外からの理解を得やすい一方で、社内に精通した人材が経営者としても優秀とは限らず、株式取得には多額の資金が必要となるなどの課題もあります。デメリット適任者がいるとは限らない(経営への強い意欲が求められる)株式取得に多額の資金が必要となる個人債務保証の引き継ぎなどの問題が多い(3)M&A(企業合併・買収)による事業承継M&Aとは企業の合併(Mergers)と買収(Acquisitions)のことであり、事業または会社を他の企業に売却して承継する方法です。経営者や所有者(資本)は変わるものの、事業はこれまで通りに継続されます。オーナー経営者は後継者問題や個人保証から解放され、会社売却による創業者利益が獲得できるなどのメリットが期待できます。メリット後継者候補の幅が広がる(後継者問題の解決)現経営者は会社売却による利益(創業者利益)を獲得できる経営者の個人保証が解除される事業のさらなる成長が見込めるM&Aでは、希望に合う買い手を見つけられるかどうかが一番の関門であり、成功のカギを握ります。デメリット希望する条件を満たす買い手が見つかるとは限らない経営の一体性を保つのが難しい株式譲渡後の引継ぎに時間がかかるケースがある(4)株式上場による事業承継自社株式を証券取引市場に公開(上場)し、事業を承継する方法です。自社株式が不特定多数の株主に保有されるため、経営と資本の分離が図れます。上場によって会社の信用力や知名度が向上すれば、人材採用や資金調達に有利に働きます。有利に働けば、安心して経営を託せる優秀な人材が見つかる可能性が高まります。オーナー経営者は保有する株式を売却して経営から退く以外にも、自社株式を一定数継続保有して経営に関与を続けるなどの選択も可能です。メリット所有と経営の分離が図れる人材採用や資金調達がしやすくなる保有株式を売却し現金化できる経営への関与を続ける選択もできるただし上場には審査があり、基準を満たせなければ上場できません。内部統制システムの整備など、上場までに年単位の時間がかかることも想定しておかなければなりません。小規模の企業や事業承継までに時間的余裕がない企業には、ハードルの高い方法といえます。デメリット基準を満たせないと上場できない上場までに時間がかかる(5)信託による事業承継信託は、「委託者」が「受託者」に財産を託し、受託者が財産を管理・運用して得られた利益を、委託者の指定する「受益者」が受け取る仕組みです。信託を活用した事業承継では、経営者の意向を反映した柔軟な承継が行えて、後継者の地位が安定しやすいというメリットがあります。メリット経営者の意向を反映した柔軟な承継が行える後継者が確実に経営権を取得できる第三者に株式が渡るリスクがない経営の空白期間が生じない(相続発生と同時に経営権が後継者へ移転する)事業承継税制が適用せずに信託銀行などの金融機関を受託者とする契約では、報酬の支払いが必要になるなどのデメリットもあります。法定相続人の遺留分侵害にも留意しなければなりません。デメリット事業承継税制の適用を受けられない信託銀行等を受託者とする場合、報酬の支払いが必要になる遺留分の侵害に配慮しなければならない信託を活用した事業承継には、次の3つの方法があります。(1)遺言代用信託現経営者を委託者兼受益者、信託銀行などを受託者として信託契約を締結し、自社株式を信託します。信託契約の内容として、現経営者の相続発生後、後継者が受益者として信託財産である自社株式を取得する旨を定めておきます。この手法では、当初は現経営者に議決権と配当などの受益権が残り、信託期間中は経営権を維持されます。相続が発生すると信託契約は終了し、受託者から後継者へ自社株が交付され、経営権が確実に承継されるのです。(2)他益信託現経営者を委託者、信託銀行などを受託者、後継者を受益者として信託契約を締結し、自社株式を信託します。この手法では、信託を設定したタイミングで現経営者から後継者に自社株式が贈与されたとみなされ、自社株式の財産的な価値(財産権)が実質的に後継者に移転します。この時点で、贈与税が発生します。一方で信託契約の中に現経営者が議決権を行使できる旨を定めておくことで、信託期間中は現経営者が経営権を維持できます。相続が発生すると信託契約は終了し、受託者から受益者である後継者へ自社株式が交付され、経営権が確実に承継されます。将来の株価の上昇が見込まれ、早期に自社株式を承継して税負担を抑えたいものの、現時点で後継者に経営を委ねるには不安が残るケースに有効な手法です。(3)後継ぎ遺贈型受益者連続信託現経営者を委託者、信託銀行などを受託者、後継者を受益者として信託契約を締結し、自社株式を信託します。この手法では信託設定時に当初の受益者に加え、当初の受益者が死亡した場合に受益者となる人を指定しておきましょう。これにより経営の空白期間を生じさせることなく、スムーズに事業を承継できます。指定する受益者の数に制限はありませんが、指定できる期間には制限があります(信託法91条)。実務上、信託設定から30年経過後に受益権を取得した人が死亡または受益権が消滅すると信託契約は終了し、その次の受益者が指定されていても、その指定は無効になります。知っておきたい!事業承継をする際の5つの注意点事業承継を進めていくうえで注意すべきポイントは、次の5つです。関係者の理解を得ながら進める事業承継は経営者だけでなく、多くの人に影響する問題です。親族や役員・従業員への承継の場合、後継者、親族、役員・従業員、取引先企業、金融機関など、関係者に事業承継計画を公表し、理解を得たうえで進めていくことが大切です。特に親族・社内に複数の候補者がいる場合、後継者候補と対話を重ねて密な意思疎通を図り、対立や不満を生じさせないよう配慮しながら選定を進めていきます。一方、M&Aによる社外への承継では、準備段階まではごく一部の関係者以外に情報が漏れないよう十分に注意し、秘密裏に進めなければなりません。後継者以外の相続人への配慮相続による事業承継では、後継者以外の相続人に不満が生じないよう配慮が必要です。法定相続人となる人のうち、兄弟姉妹を除く配偶者や子、父母などには、法律により最低限保証された相続分である「遺留分」があります。後継者に自社株式や事業用資産の大部分を相続させたことで、他の相続人が遺留分を下回る財産しか相続できなかった場合、遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」により、後継者に対して侵害額相当分の支払いを求められます。会社財産以外の財産が少ないなど、後継者以外の遺留分を侵害してしまうおそれがあれば、後継者が侵害額相当額を補てんできるように対策を講じておきましょう。現経営者を被保険者、後継者を受取人とし、侵害額相当額の生命保険に加入するのもひとつの方法です。後継者以外に自社株式が分散しないようにする親族や従業員への事業承継では、後継者が一定以上の自社株式を保有することが安定した経営権の維持に欠かせません。後継者とその友好的な株主で、議決権の3分の2以上を確保し、株主総会で重要事項を決議できる状態が理想です。株式が分散してしまっている場合、経営者や後継者個人による買い取り、会社による自社株式取得などにより、事業承継前になるべく買い集めておきましょう。後継者以外が自社株式を取得した場合に備え、定款で株式に譲渡制限を設定したり、売り渡しを請求できる旨を定め、会社が自社株式を買い取れるようにしておいたりするのも有効な対策です。事業承継には時間がかかる(後継者選定・教育、負担軽減対策、社内体制整備など)親族や従業員への承継では、後継者の選定・教育に数年から10年程度かかることを想定しておかなければなりません。M&Aでは比較的短期間での承継も可能ですが、買い手探しが難航する場合もあり、時間的な余裕がないと条件面で妥協せざるを得なくなるおそれがあります。自社株式の評価引き下げによる相続税・贈与税の負担軽減対策や、競争力強化などの経営改善、社内体制の整備などを行うのにも時間がかかります。後継者に経営者としての教育をしっかり行うためや、承継後も事業を安定して継続するためなど、事業承継は時間的な余裕を持って計画的に行うことが大切です。事業承継にはお金がかかる(税金・自社株式取得資金等)後継者の相続税や贈与税の納税資金、従業員が承継する場合の自社株式や事業用資産買取資金、分散した自社株式の買取資金など、事業承継にはお金がかかります。経営者の交代を境に、金融機関の融資審査が厳しくなるケースがあります。事業承継のため資金の借り入れが必要であれば、事業承継に先立ち、現経営者が金融機関に協力を取り付けておくのが望ましいでしょう。事業承継に伴う資金不足が発生した場合は都道府県に申請し、経営承継円滑化法における知事の認定を受ければ、日本政策金融公庫や信用保証協会から融資を受けられる可能性があります。また、税負担を軽減する特例も複数用意されているため、利用できる制度はうまく活用しましょう。事業承継税制(非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予・免除制度)小規模宅地等の課税特例(一定の面積までの事業用・居住用宅地の課税価格を5〜8割減額)死亡退職金・死亡保険金に対する相続税の非課税枠贈与税の歴年課税(年間110万円までの贈与が非課税)相続時精算課税制度事業承継を成功させるために経営者が確認すべきこと事業承継の準備、社内体制の整備はなるべく早く始める事業承継は経営状態の把握から経営改善、承継方法の決定、社内外の調整など、やるべきことは多く、実行までには時間がかかります。時間的な余裕を持って計画的に事業承継を進めるため、準備はなるべく早い時期から始めましょう。適切な相手に相談し、サポートを受ける事業承継をスムーズに進めるため、課題や目的に応じて専門家など適切な相手に相談し、サポートを受けましょう。承継準備について…商工会・商工会議所、中央会、金融機関、士業等専門家、よろず支援拠点など後継者教育について…中小企業大学校など自社株式の株価について…士業等専門家など個人保証を外したい…金融機関、中小機構など相続税・贈与税について…税理士など資金調達について…金融機関、信用保証協会など債務整理について…金融機関、中小企業再生支援協議会など承継後の事業見直しについて…商工会・商工会議所、中央会、士業等専門家、よろず支援拠点など社外から後継者を探したい…事業引き継ぎ支援センターなど廃業について…士業等専門家、商工会・商工会議所、よろず支援拠点など※よろず支援拠点は、多様な分野に精通した専門家が経営上の悩みに親身に耳を傾け、抱えている悩みの本質的な課題を明確化するとともに、適切な解決策をご提案してくれる拠点です。福岡県よろず支援拠点、東京都よろず支援拠点、大阪府よろず支援拠点など全国各地に存在します。※西日本シティ銀行でも、同様の相談を受け付けられることをご存じですか?事業承継でお困りの際は、お近くの西日本シティ銀行までお問い合わせください。まとめ事業承継には5つの方法があり、後継者の有無や会社の状況、経営者の希望などにあわせて選択します。いずれの方法も実行までには入念な準備が必要であり、成功させるためには専門家などのサポートが欠かせません。西日本シティ銀行では、事業承継やM&Aの相談・サポートを行っています。また、地域の中小企業の成長を支援するプラットフォーム「Big Advance」が提供するオンライン士業相談サービスや全国の金融機関と連携した全国規模のビジネスマッチングサービスは事業承継にも活用できます。事業承継をどう進めていけばいいか迷われている場合には、ぜひ西日本シティ銀行にご相談ください。
起業にはお金が必要であり、自己資金だけでまかなえない場合は、何らかの方法で調達しなければなりません。そもそも、いくらかかるのかも気になるところでしょう。今回は、起業にかかる費用の目安とその調達方法について解説します。起業(開業)資金はいくら必要?起業(開業)にかかる資金は個人事業なのか会社(法人)を設立するのかだけでなく、業種・業態によっても大きく変わってきます。個人事業を始める際の手続きにかかるお金自営業やフリーランスとして行う個人事業であれば、開業に必要な手続きは「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」の提出だけです。開業届は用紙1枚の簡単なもので、自身で作成すれば費用はかかりません。会社(法人)の設立手続きにかかるお金会社(法人)を設立するには、定款の作成・認証と登記が必要です。最低限必要な法定費用として、株式会社を設立する場合で約20〜25万円、合同会社では約6〜10万円かかります。これに加え、会社代表者印の作成費用などに1万円程度、司法書士などに手続きを依頼すれば10万円程度の報酬が必要になります。株式会社合同会社定款認証手数料3〜5万円*(1)不要謄本手数料2,000円程度不要定款印紙代4万円(電子定款の場合は不要)4万円(電子定款の場合は不要)登録免許税(設立登記)15万円〜*(2)6万円〜*(3)代表者印作成費用等1万円程度1万円程度司法書士等報酬7〜15万円程度6〜12万円程度*(1)資本金額により変動*(2)15万円または資本金の額の0.7%のいずれか高い額*(3)6万円または資本金の額の0.7%のいずれか高い額資本金は返済不要の資金で準備しなければならない会社を設立する場合は「資本金」も必要です。資本金には、自己資金や第三者からの出資など、返済義務のない資金を充てるのが原則です。金融機関からの借り入れなどを資本金とすることは、基本的に認められません。2006年(平成18年)の会社法改正により、資本金1円以上で会社を設立できるようになったため、実際には資本金がなくても会社の設立自体は可能です(最低資本金の規定がある業種を除く)。とはいえ、資本金は会社が事業を営んでいくための元手となるお金です。あまりに少ないと会社の信用にもかかわり、融資を受けにくくなったり取引先が限られてしまったりするおそれがあります。長期的に事業を継続・拡大していくのであれば、ある程度の資本金は準備すべきでしょう。適正な資本金の額はビジネスモデルにもよりますが、初期費用に3〜6カ月程度の運転資金を加えた金額がひとつの目安です。初期投資にかかるお金(初期費用)開業にあたっては事業に必要な物品の購入費用や設備投資費用、店舗やオフィスを構える場合は内外装費や保証金(敷金)、前払賃料などの初期費用がかかります。自宅開業などでほとんどかからないケースから、数千万円〜1億円以上かかるケースまで、初期費用は大きな差がつく部分です。運転資金として準備するお金黒字が見込めるまでの赤字を補てんできる程度の運転資金は、準備しておきましょう。事業を行うには、家賃や水道光熱費、商品の仕入れ代金、従業員の人件費などの経費がかかります。売上が経費を上回れば利益が出ますが、開業当初は赤字となるケースも少なくありません。事業が軌道に乗る前に資金が足りなくなれば、せっかく立ち上げても継続できなくなってしまいます。自身の当面の生活に必要なお金収入がなくても半年から1年程度は生活できるお金を、事業資金とは別に確保しておきましょう。起業後の収入は事業の利益によって大きく左右され、不安定になりがちです。手元資金をすべて起業に充ててしまうと、赤字になったときに生活できなくなるおそれがあります。事業の内容にもよりますが、安定した収入を得られる仕事を続けながら、副業(複業)として開業するのもひとつの方法です。【事業業種別】起業する際に必要な費用の目安起業に必要な費用は、その業種によっても大きく違います。下表は業種ごとに起業に必要な費用の目安を示したものです。実際にかかる費用は具体的な事業内容や規模によって変わりますが、金額のイメージを掴むための参考にしてください。業種起業に必要な費用の目安業種歯科医院2,000万円〜1億8,000万円歯科医院医院・クリニック1,000万円〜1億5,000万円医院・クリニック美容室500万円〜3,000万円美容室居酒屋600万円〜2,500万円居酒屋カフェ100万円〜1,500万円カフェ学習塾100万円〜1,000万円学習塾小売店50万円〜500万円小売店士業事務所50万円〜500万円士業事務所飲食店や美容院、クリニックなどは内外装費や設備投資などにお金がかかり、起業に必要な費用もかさみがちです。退去したテナントの内装や設備機器などをそのまま利用できる「居抜き物件」を借りたり、中古やリースなどを利用したりといった工夫で、費用は大きく変わります。士業事務所やネット販売事業、プログラマー・デザイナー・ライターなど、自宅でも開業できる業種・業態なら、ほとんどお金をかけずに起業することも可能です。500万円未満での起業(開業)が最も多い日本政策金融公庫が実施した「2020年度新規開業実態調査」によると、500万円未満で開業する人が43.7%と最も多くなっています。次に多いのが500万円以上1,000万円未満の27.3%で、約7割の人が起業資金1,000万円未満で開業しています。起業資金(開業費用)の平均値は989万円、中央値は560万円です。いずれも1991年(平成3年)の調査開始以来最低となっており、年々減少しています。要因としては、初期投資や運転資金があまりかからないインターネットを利用した起業の増加などが考えられます。知っておきたい6つの資金調達方法起業に必要な資金の調達方法は、主に次の6つです。それぞれの資金調達方法について、より詳しくみていきましょう。(1)自己資金起業資金のベースとなるのは「自己資金」です。手元にある資金だけで起業できれば、資金調達の必要はありません。資金を借り入れた場合の金利負担や返済義務、出資を募った場合の利益分配や経営への介入といった心配も不要です。しかし、自己資金だけですべての起業資金をまかなえる人は多くありません。日本政策金融公庫が実施した「2020年度新規開業実態調査」によると、開業時の資金調達額の平均は1,194万円です。そのうち自己資金の平均は266万円で、平均調達額の占める割合は22.2%となっています。では、自己資金はいくら準備すればいいのでしょうか。個別の状況によるため一概にはいえませんが、起業資金全体の2〜3割程度がひとつの目安になります。金融機関等から融資を受けるにしても、自己資金は多いほうが有利です。(2)国や自治体からの補助金・助成金国や自治体ではさまざまな起業(創業)支援事業を行なっており、条件を満たせば補助金や助成金をもらえる可能性があります。補助金や助成金は「もらえるお金」であり、利用しない手はありません。ただし、申請には手間がかかり、審査に通らなければなりません。また、支払った費用の一部が後払いで支給される仕組みなので、まずは自分でお金を準備しなければなりません。最初から補助金・助成金を当てにするのではなく、他の資金調達方法と並行して申請をしておき、もらえればラッキーというくらいの気持ちで臨みましょう。国や自治体が実施している補助金や助成金の情報は、下記サイトから検索できます。補助金・助成金・融資の検索(中小企業基盤整備機構・J-Net21)(3)親族・知人等からの借り入れ金融機関からの借り入れのような審査はなく、条件も自由に決められるため、利用しやすい点がメリットです。一方で、お金が絡めば親族や知人でもトラブルに発展するリスクがあります。事業が失敗して返済できなくなれば、親族や知人との関係まで悪化しかねません。選択肢のひとつではありますが安易に頼らず、慎重な判断が必要です。(4)投資家等からの出資資金を提供してもらい、代わりに利益の配当を受けたり経営に参加する権利を与えたりする方法です。借り入れとは異なり、提供された資金を返済する必要はありません。将来性や成長性のある事業であれば、投資家やベンチャーキャピタルなどから多額の出資を得て、事業を一気に拡大することも可能です。ただし、出資者は会社の経営に対して影響力を持つようになるため、意見が対立してトラブルに発展するリスクには注意が必要です。(5)民間金融機関からの融資資金調達で最も一般的に利用される方法です。親族・知人からの借り入れのように人間関係でトラブルが生じたり、出資者から経営に介入を受けたりする心配がありません。ただし融資には審査があります。開業当初からある程度の売上・利益が見込める事業であれば、信用保証協会の保証などを利用して融資を受けられる可能性があります。西日本シティ銀行のビジネスローンベンチャーやスタートアップのように、開発先行型で創業から当面の間は赤字が続くビジネスモデルでは、金融機関から融資を受けるのは難しいケースもあります。将来性があり、成長期待の高いビジネスモデルであれば、ベンチャーキャピタルなどからの融資・出資がおすすめです。国や自治体が実施しているこのほかの創業融資制度の情報は、下記サイトから検索できます。補助金・助成金・融資の検索(中小企業基盤整備機構・J-Net21)(6)国からの創業融資国が行う創業融資は起業支援が目的であり、これから起業しようという人も融資を受けやすいのが特徴です。代表的な創業融資制度としては、政府系金融機関である日本政策金融公庫が取り扱う「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」、「新創業融資制度」などがあります。日本政策金融公庫では、技術やノウハウなどに新規性があり、地域経済の活性化につながる事業を支援する「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」など、上記以外にもさまざまな創業融資を実施しています。これから起業しようとする人にとって強い味方といえるでしょう。よろず支援拠点などを活用するのも一手です。地域の他の支援機関等とも連携しながら、中小企業・小規模事業者が抱える売上拡大や経営改善等に関する様々な経営相談に対応するワンストップで相談に乗ってくれます。※よろず支援拠点は、多様な分野に精通した専門家が経営上の悩みに親身に耳を傾け、抱えている悩みの本質的な課題を明確化するとともに、適切な解決策をご提案してくれる拠点です。福岡県よろず支援拠点、東京都よろず支援拠点、大阪府よろず支援拠点など全国各地に存在します。※西日本シティ銀行でも、創業時に必要なご資金から、創業後の運転資金にご対応する融資商品やリース商品を取り揃えています。「創業関連制度融資のご案内」では創業期のお客さまが利用可能な融資制度についての情報を展開しています。また、「NCB操業応援サロン」ではリアル拠点で創業周りのご相談に応じています。自分に合った資金調達をしよう起業を成功させるには、自分に合った資金調達方法の選択が欠かせません。それぞれの方法のメリット・デメリットをまとめましたので、比較検討に活用ください。資金調達方法メリットデメリット自己資金・自由に使える・金利負担や返済義務がない・資金力に限界がある・準備に時間がかかる国や自治体からの補助金・助成金・返済義務がない・申請手続きに手間がかかる・要件が厳しい・後払いのため自己資金の準備が必要・すぐに受け取れない親族・知人等からの借り入れ・審査が不要・借入条件を自由に決められる・金利負担や返済義務がある・人間関係が悪化するリスクがある投資家等からの出資・返済義務がない・多額の資金調達も可能・利益を分配しなければならない・経営に介入されるおそれがある民間金融機関からの融資・人間関係のトラブルや経営への介入などの心配がない・金利負担や返済義務がある・担保や保証人が必要国や自治体からの創業融資・融資までの機関が短い・金利負担や返済義務があるまとめ起業にかかる費用は業種や業態、事業内容、規模によって大きく異なります。自己資金だけでは資金が不足する場合には、自分に合った方法を選んで調達しなければなりません。西日本シティ銀行の「NCB創業応援サロン」では、資金調達に欠かせない創業計画書の作成から融資の組み立てまで、起業(創業)資金の調達に関するさまざまな相談を承っています。これから起業を考えている方は、ぜひ一度相談ください。▶︎創業応援サロン詳細は以下の画像をクリック↓↓
事業計画書は、起業を成功させるための鍵となる書類です。とはいえ、初めての起業で「何を書けばいいのか分からない」という人も多いのではないでしょうか。今回は事業計画書の概要から、作成する目的やメリット、作り方のポイントと注意点までをわかりやすく解説します。【福岡】起業相談は「NCB創業応援サロン」が無料で便利事業計画書とは新たに始める会社や事業のアイデア、戦略、将来性などをまとめ、その魅力を第三者に伝えるための書類が「事業計画書」です。通常、金融機関から融資を受けるには事業計画書の提出が求められます。そこでは「儲かる」事業であるか、将来性・継続性のある事業であるかを、根拠に基づいて客観的に示す必要があります。事業計画書を作成するメリット事業計画書には、次のようなメリットがあります。事業の「目的」「目標」「戦略」が明確になる頭の中で思い描いた「アイデア」を事業計画書としてまとめることにより、事業の「目的(コンセプト)」や「目標(ビジョン)」、それを達成するための「戦略」が明確になります。事業計画書がなくても起業はできます。しかし、事業計画書がないことで事業の方向性が定まらず、思うように収益を上げられないといったケースもあります。金融機関などに提出する必要がない場合でも、事業計画書を作成しておくのが望ましいでしょう。事業の「強み」「魅力」「将来性」「方向性」を第三者に伝えられる第三者に事業の「強み」「魅力」「将来性」を具体的かつ客観的に伝えられ、賛同や協力を得やすくなります。ここでいう第三者とは、一緒に働いてくれる従業員や出資者・金融機関などです。また、「方向性」や「目的・目標」を共有することにより、それぞれの従業員が自身の役割を理解できます。事業の成功のために、同じ方向を向いて取り組めるようになる効果も期待できるでしょう。事業に対する客観的な意見をもとに改善を図れる第三者と事業計画を共有すると、客観的な意見を得やすくなります。自分では気づかなかった欠点がわかれば、改善を図り事業の質をより高められます。資金調達がしやすくなる事業計画書からは、事業の将来性や経営者としての資質などが評価されます。収支計画や利益計画を具体的な数字で示し、しっかりと「儲かる事業」であることを金融機関や出資者にアピールできれば、融資や補助金といった資金調達がしやすくなります。計画との違いを検証し、改善に活かせる事業計画と実際の売上の差異を検証することにより、計画とのズレや改善すべき点を見出しやすくなります。NCB創業応援サロンはこちら参考にしたい!事業計画書の見本事業計画書にはどんなことを書けばいいのか、作成例を見ながら確認しておきましょう。事業計画書に記載する項目事業計画書には決まった書式や項目などはありません。融資を申し込む金融機関に指定のフォーマットがあればそれを利用します。特に指定がなければ、一般的に次のような項目を盛り込み、自身で計画書を作成します。記載項目の例(起業・創業時)事業概要(経営者の経歴/目的・コンセプト/目標・ビジョン)取扱商品/サービスセールスポイント(強み)ターゲット(顧客)営業戦略市場分析収支計画(売上計画・利益計画)資金計画事業計画書の具体例(見本)イメージを掴むため、中古車自動車販売業を創業する場合を例に、実際に作成した事業計画書を見てみましょう。今回はMicrosoftが無料で提供しているExcel形式のテンプレートを、一部変更して作成しています。Microsoft Officeテンプレート「事業計画書」事業概要として、創業の目的や動機、経営者の経歴、事業に関連した資格や知的財産権等(特許など)の有無について記載します。続いて、取り扱う商品またはサービスの内容とそのセールスポイント(強み)を記入します。さらにターゲットとする顧客、商品やサービス(営業戦略)、事業のニーズはあるか(市場分析の結果)を盛り込みましょう。収支計画には、どのくらいの利益が期待できるかを、根拠のある具体的な数字を使って試算し、記載します。資金計画には、事業に必要な資金をどうやって調達するのかを記載します。上記はあくまで一例であり、事業内容や事業計画書を作成する目的にあわせて作成すれば問題ありません。必要に応じて図を入れたり、根拠となるデータの補足資料を添付したりするなど、事業の魅力や将来性をわかりやすく説得力を持って伝えることが大切です。NCB創業応援サロンはこちら事業計画書の準備にあたり注意すべきポイントを解説実際に事業計画書を作成する際のポイント、注意点を押さえておきましょう。作成前に押さえておきたいポイント事業計画書を作り始める準備段階として、次のようなポイントがあります。事業の内容・方向性(目的・目標)を明確にしておく何のためにどんな事業を立ち上げるのか。事業の内容や方向性が定まっていなければ、何を伝えたいのか曖昧で、わかりにくいものとなってしまいます。内容や方向性を定める際は「6W2H」に当てはめて考えると、最低限必要なポイントを漏れなく押さえられます。When:いつ始めるのか、いつまでに達成するのかWhere:どこで(どの市場で)事業を行うのかWho:誰が(誰と)事業を行うのかWhom:誰に商品やサービスを提供するのか(ターゲット)What:何を提供するのか(商品・サービス)Why:なぜ事業を行うのか(目的・目標)How:どのように事業を行うのか(戦略)How much:いくら資金が必要か、いくら儲かるのかこれらのポイントが明確になって整理できることも、事業計画書を作成する大きなメリットといえます。根拠となるデータ・資料を集める事業の将来性や収益性、優位性を示す根拠となるデータがあれば、説得力が増します。ターゲットとする顧客のニーズ、市場の規模や近年の状況、競合企業の有無や特徴、状況などは、事前に調査・分析しておきたいポイントです。その結果をもとに事業内容や戦略を練ることが、事業成功の可能性を高めることにもつながります。売上を正確に予測するのは難しい部分もありますが、業界・同業他社の平均や、自身の経験などから現実的な金額を算出しましょう。事業に必要となる資金は、見積書や契約書などから実際にかかる金額を把握します。作成目的に応じて内容・分量を決める事業計画書に指定がない場合、作成する目的に応じて何を記載し、どのくらいの分量とするかを決める必要があります。事業のアイデアやコンセプト、目標、魅力、戦略などを自分の中で整理したり、その全体像を第三者に紹介したりすることが目的であれば、1枚に簡潔にまとめるとわかりやすいでしょう。資金調達が目的であれば、上記とあわせて収支計画や資金計画を具体的な数字で示す必要があり、分量も増えます。事業の規模が大きくなるほど、市場調査の分析結果や営業戦略、組織の運営体制、生産体制、損益計算書・資金繰り計画書など、盛り込むべき内容は増えていきます。各項目の記載方法とポイント事業の内容や方向性が決まり、根拠となるデータ・資料も集まれば、いよいよ事業計画書にまとめていきます。次のようなポイントを押さえながら、各項目を記載していきましょう。事業概要(経営者の経歴)創業時には、経営者(創業者)がどのような経験やスキル、ノウハウを持っているかが重要視されます。有力資格や特許などの知的財産権は、他社との差別化や優位性につながり、セールスポイントとなります。事業概要(目的・コンセプト/目標・ビジョン)事業を行う「目的(コンセプト)」と「目標(ビジョン)」は、事業の「スタート」と「ゴール」であり、事業計画書の核となる部分です。何のために事業を行うのか、何を目指すのか。準備段階で明確にした方向性(目的・目標)を、具体的にわかりやすく記載しましょう。コンセプトには、自社の強みや提供できるメリット(価値)を含めるのが有効です。取扱商品・サービスどんな商品やサービスを扱うのか。商品・サービスのラインアップや、それぞれの商材が事業全体の売上に占める割合(シェア)などを記載します。取り扱う商品やサービスは、自社の強みを活かせることが重要です。セールスポイント(強み)取り扱う商品・サービスの強みや、事業を通じて顧客にどのような価値を提供できるのかを記載します。他社ではなく自社が選ばれる理由は何か。差別化を図れるポイント、独自性・優位性のあるポイントを具体的に記載することで、事業の魅力が伝わりやすくなります。顧客から選ばれるために何ができるかは、次の4つの観点で考えるとよいでしょう。この方法は「4C分析」といわれます。Customer Value(顧客にとっての価値)商品やサービスが顧客にどんな価値をもたらすか→楽しさ、優越感、癒し、共感などCustomer Cost(顧客の負担)価値を手に入れるためにどのくらいのコストがかかるか→価格、心理的なハードル、物理的なコスト(距離・時間)Convenience(利便性・入手容易性)買いやすさ、アクセスのしやすさ→すぐに購入・利用できるかCommunication(コミュニケーション)双方向のコミュニケーションを円滑にとれる仕組みかどうか→ソーシャルメディア、イベント、情報発信などターゲット(顧客・商圏)誰に商品やサービスを提供するのか、ターゲットとする客層(年齢・性別・職業・趣味)や、どの地域で営業するのか(商圏)を記載します。最近ではリアル店舗や事務所を持たず、インターネットで事業を展開するケースも多いでしょう。なぜそのターゲットを設定したのか、市場分析の結果などをあわせて記載すると説得力が増します。また、商品やサービスの価格・品質の設定、提供方法(チャネル)などの具体的な営業戦略は、誰をターゲットにするかによって決まります。営業戦略どんなにいい商品やサービスがあっても、顧客に知られず購入・利用につながらなければ事業として成り立ちません。顧客に自社の商品やサービスをどんな方法で知ってもらい、購入・利用につなげるのか(広告・宣伝)、どんなルートや方法で提供するのか(販売経路)を考え、営業戦略として記載します。例えば広告・宣伝にも、新聞広告や雑誌広告、WEB広告、ポスティング、看板広告などさまざまな方法があります。どの方法が効率よくターゲットに届くのか、コストも含めよく考えて選ぶことが大切です。市場分析情報収集、調査などをもとに、事業が成立する市場(マーケット)やニーズ、事業の成長を期待できる社会的背景があることを、根拠とともに記載します。競合他社についても、取り扱う商品・サービスの内容、価格、ターゲット、営業戦略などを分析しましょう。その強みを把握するとともに、自社の独自性や優位性を見出すきっかけになります。収支計画(売上計画・利益計画)根拠に基づいて売上、経費、利益を試算した結果を記載し、「儲かる」事業であることを示します。創業当初は赤字となるケースも少なくありません。この場合は、黒字化までの道筋を示すことが重要です。黒字化の見込みがないようであれば、事業自体の見直しが必要でしょう。赤字期間に資金不足が生じる場合には、営業を継続するための運転資金を含めた資金計画を立てる必要があります。資金不足による倒産を防ぐためには「資金繰り計画表」を作成し、資金繰りの状況を随時把握しておくとよいでしょう。資金計画開業資金や開業後の運転資金としていくらかかるのかを記載します。金融機関からの借入れのための資金計画では、借入金の使い道を明確に示すことがポイントです。作成後の最終チェック事業計画書を作成し終わったら、記載すべき事項に漏れがないか、伝えたいことがわかりやすく記載されているかを確認しましょう。収支計画や資金計画、売上目標などの数字が食い違っていないか、誤字脱字はないか、文字サイズやフォーマットが統一されているかなども確認しておきたいポイントです。細かいミスであっても、事業計画書自体の信頼性が損なわれたり、ずさんな経営者だと思われたりする恐れがあるので注意しましょう。NCB創業応援サロンはこちらまとめ事業計画書はポイントさえ押さえれば、自分で作成することも可能です。とはいえ、いきなり一人で作成するのは不安なものです。西日本シティ銀行のビジネスサポートセンターでは、事業計画書の作成をはじめ、創業に関する各種相談に対応しています。取引のない人でも、無料で専門スタッフのサポートを受けられるため、一度相談してみてはいかがでしょうか。創業セミナー(福岡)のご案内創業セミナー(北九州)のご案内融資のご相談はこちらあわせて読みたい・【法人カードの基礎知識】ビジネスカード・コーポレートカードの特徴&個人カードとの違いとは?・個人事業主は事業用のクレジットカードを作るべき?法人カードのメリット・デメリットを徹底比較あわせて読みたい・大学目線で考えるオープンイノベーションとは?九大職員がわかりやすく解説・イノベーションとはどんな意味?定義と種類を学び、課題解決や経済成長につなげよう・結婚相談所を独立開業したい人必見! 起業する前に知っておきたいポイントを解説
確定申告は、主に個人事業主やフリーランスの人が行うものですが、最近では会社員が副業で収入を得て、確定申告が必要になるケースなども増えています。確定申告とはどのようなもので、誰が対象になるのか、申告の仕方や必要となる書類なども併せて確認しておきましょう。個人事業主・中小企業経営者におすすめの ”for Owners”はこちら確定申告とは?確定申告の流れ確定申告は、自身で税金を計算し、税務署に申告して納税するまでの一連の手続きをいいます。確定申告では、1月1日から12月31日までの1年間に得た収入から、その収入を得るためにかかった費用を差し引き、所得を計算します。所得から所得控除を差し引き、税率をかけて計算した所得税額から税額控除を差し引いたものが、実際に納める税額となります。これらの一連の計算結果をまとめて作成した「確定申告書」を、原則翌年の2月16日から3月15日の間に税務署へ提出し、納税すれば手続きは完了です。還付申告申告する所得がなく、払い過ぎた税金の還付を受けるための「還付申告」を行う場合は、翌年1月1日以降5年以内であればいつでも申告できます。【ケース1】確定申告をしなければならない人以下のように給与所得以外の所得がある人は、原則確定申告をしなければなりません。>>確定申告をしないとどうなる?無申告の場合のペナルティやデメリットは?専門家に聞きました1.個人事業主など事業所得がある人個人自業主(自営業者・フリーランス)のように、事業所得がある人は確定申告が必要です。会社などに属さず個人で収入を得た場合、経費を差し引いて残った利益は事業所得となり、確定申告をしなければなりません。2.家賃収入など不動産所得がある人保有している不動産から家賃収入や賃料収入を得ているなど、不動産所得がある人は確定申告が必要です。3.金融商品の売買等による所得がある人譲渡所得・配当所得・雑所得株の売買で得た所得は「譲渡所得」、受け取った配当金は「配当所得」、FXや先物商品などで得た所得は「雑所得」となり、確定申告が必要です。ただし、源泉徴収ありの特定口座内で生じた所得は、所得税と住民税が源泉徴収されます。そのため、NISA口座やつみたてNISA口座内で生じた利益は非課税となり、いずれも確定申告は不要です。また、年末調整の対象者で本来確定申告が不要な人については、給与所得を除く他の所得と合わせて20万円以下であれば、確定申告をしなくてもかまいません(個人住民税の申告は必要です)。4.年金収入400万円超の年金生活者年金所得者の確定申告不要制度の対象とならない人が該当します。5.高額な懸賞を当てた人など営利目的で継続的に行う行為から生じた所得以外で、労働や資産を売却した対価でもない次のような所得は、「一時所得」として確定申告が必要です。● 懸賞や福引の賞金・賞品(いわゆる宝くじは非課税なので申告は不要です)● 競馬や競輪の払戻金● 生命保険の一時金・損害保険の満期返戻金など● 法人から贈与された金品● 遺失物を拾った人、埋蔵物を発見した人が受け取る報労金など一時所得の金額は、上記の収入を得るために要した支出と、最高50万円の特別控除額を差し引いて計算します。収入を得るために要した支出を差し引いた後の収入が、年間50万円以下であれば確定申告は不要です。【ケース2】確定申告が不要な人所得があれば確定申告を行うのが原則ですが、次のような人は確定申告が不要です。1.会社員や公務員など年末調整の対象となる給与所得者会社員(サラリーマン)や公務員などの給与所得者の多くは、「年末調整」の対象となります。勤務先が所得税額の計算から納税までの手続きを行うため、自身で確定申告をする必要はありません。ただし、詳しくは後述しますが、年末調整の対象とならない人は給与所得者であっても確定申告が必要です。2.年金生活者年金収入400万円以下で源泉徴収の対象となる人公的年金等(※)からの収入が400万円以下かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっており、公的年金等以外の雑所得金額が20万円の人は、「年金所得者に係る確定申告不要制度」の対象となり、確定申告が不要です。(※)国民年金、厚生年金、恩給、確定給付企業年金、確定拠出企業年金、一定の外国年金など3.経費や控除を差し引くと所得がマイナス(赤字)になる人収入があっても経費や控除のほうが多く、所得がマイナス(赤字)になる人は確定申告が不要です。ただし、帳簿の記帳や領収書の保管は確定申告をしない場合でも必ず行いましょう。税務調査が入った場合に、帳簿や領収書がなく赤字を証明できないと、無申告のペナルティを課せられるおそれがあります。【ケース3】給与所得者でも確定申告の対象となる人1.年末調整の対象とならない人給与所得者のうち、「年収が2000万円を超える人」「災害減免法の適用を受けて、給与からの所得税・復興特別所得税の源泉徴収の猶予や還付を受けた人」は年末調整の対象とならないため、自分で確定申告をしなければなりません。2.年末調整や源泉徴収の対象とならない所得がある人副業で事業所得や雑所得がある人会社員などの給与所得者が副業として個人で得た所得は、個人事業として認められる場合は事業所得、認められない場合は雑所得となり、確定申告が必要です。ただし、年末調整対象者で、給与所得を除く所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。確定申告をしない場合でも、個人住民税の申告は必要なので注意しましょう。- 個人事業主におすすめのカードがこちら -複数の勤務先から給与を受け取っている人複数の勤務先から、源泉徴収の対象となる給与を受け取っている人が該当します。年末調整されない給与の収入金額と、給与所得・退職所得を除く所得金額の合計が20万円を超える人は確定申告が必要です。ただし、すべての給与所得の収入金額から所得控除(※)を差し引いた金額が150万円以下かつ、給与所得・退職所得を除く所得金額の合計が20万円以下の人は、確定申告が不要です。こちらに当てはまって確定申告をしない場合でも、個人住民税の申告は必要です。(※)雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く源泉徴収されていない退職金を受け取った人「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった人、源泉徴収の対象とならない外国企業からの退職金を受け取った人などが該当します。「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、国内企業から受け取る退職金は、所得税等が源泉徴収されているため確定申告は不要です。親族が経営する会社から給与以外の支払いを受けた人親族が経営する会社で働いていて、給与以外に、貸付金の利子や店舗・工場などの賃貸料、機械器具などの使用料の支払いを受けた人が該当します。給与から所得税等が源泉徴収されない人在日外国公館(大使館)に勤務する人や家事使用人(家政婦)などが該当します。>>住民税が非課税になるのは年収いくらまで?非課税世帯の条件&メリット・デメリット【ケース4】税金の還付のために確定申告をしたほうがいい人確定申告をすることで、払い過ぎた税金の還付を受けられる場合があります。税金の還付を受けるための確定申告は任意ですが、次のような人は確定申告をしたほうがいいでしょう。1.住宅ローン控除を受けられる人住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで住宅を購入し、一定の条件を満たす場合に利用できるものです。年末時点の住宅ローン残高の1%相当額が、所得税と住民税の一部から控除されます。税金から直接控除される税額控除のため、大きな節税効果が期待できます。この住宅ローン控除を受けるためには、確定申告が必要です。また、年末調整の対象になる人の場合、1年目は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。>>確定申告で住宅ローン控除を受けよう!必要書類から申請方法までわかりやすく解説2.事業で損失が出た人繰越控除事業を行っていて、利益が出ていなければ確定申告をしなくても構いませんが、取引先に源泉徴収された所得税がある場合などは、確定申告をすることで還付を受けられます。また、青色申告をすれば繰越控除が適用され、翌年以降3年間に損失を繰越して利益と相殺できるため、税負担が軽減されます。3.投資で損失が出た人繰越控除「源泉徴収ありの特定口座」で取引している場合、通常は確定申告は不要ですが、確定申告をすることで取引の損失を翌年以降3年間に繰り越せます。損益通算複数の証券会社の「源泉徴収ありの特定口座」で取引している場合、確定申告をすれば、A社の損失をB社の利益と相殺(損益通算)するといったことができます。利益の出ている口座と損失が出ている口座がある場合は、損益通算で税金が還付されるため、確定申告をしたほうが有利です。源泉徴収ありの特定口座内の損益について確定申告をするかは、証券会社ごとに決められます。4.課税所得が900万円以下で株や投資信託の配当を受け取った人配当控除株や投資信託から受け取る配当金(分配金)は、配当所得として支払時に20.315%の税金が源泉徴収されます(上場株の配当の場合)。「源泉徴収ありの特定口座」で受け入れた配当は原則確定申告が不要ですが、確定申告をして総合課税を選択すれば「配当控除」を受けられます。一般的に、配当所得を含めた課税所得が900万円以下(会社員の場合、年収約1160万円以下)の人は、配当控除を受けることで税負担が減ります。ただし、国民健康保険加入者や配偶者の扶養に入っている人などは、保険料が上がったり、配偶者の控除が減ったりして負担が増えるおそれもあるので注意が必要です。5.一定以上の医療費などを支払った人医療費控除年間10万円(総所得金額等が200万円未満の人はその5%)を超える医療費を支払った人は、確定申告をすれば医療費控除が受けられ、税金が安くなります。対象となる医療費には、生計を同じくする家族のために支払った医療費も含まれます。医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」年間1万2000円を超える医薬品などを購入した人は、医療費控除の特例である「セルフメディケーション税制」の適用を受けられます。医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないため、両方の要件を満たしている場合は、どちらか一方を選択する必要があります。6.災害や盗難・横領などで損害を受けた人雑損控除災害や盗難・横領といった損害を被った場合、確定申告をすれば「雑損控除」を受けられ、以下のいずれか多いほうの金額が所得から控除されて税金が安くなります。● 差引損失額(※1)ー総所得金額等×10%● 差引損失額のうち災害関連支出(※2)の金額ー5万円(※1)差引損失額=損害金額+災害に関連したやむを得ない支出ー保険金等で補てんされる金額(※2)被害を受けた資産の取り壊しや除去にかかる支出7.国などへの寄付やふるさと納税をした人寄附金控除「寄附金控除」の対象となる寄付をした人は、確定申告により寄付額の一部が所得から控除され、税金が安くなります。「ふるさと納税」も寄付金控除を利用した制度であり、そのメリットを得るには原則確定申告が必要です。本来確定申告が不要な人は「ふるさと納税ワンストップ特例」の対象「ふるさと納税ワンストップ特例」により、本来確定申告が不要な給与所得者などは、所定の条件を満たす場合に限り、確定申告をしなくても控除を受けられます。条件は、「ふるさと納税を行う自治体が5団体以内」かつ「期限内に自治体あてに申請書を提出する」というものです。6団体以上にふるさと納税をした場合は、すべての自治体分について確定申告が必要になります。ワンストップ特例を利用する場合、所得税からの控除は行われず、全額が翌年度分の住民税から控除されます(控除合計額は確定申告をする場合と同じです)。8.年の途中で退職し年末調整を受けていない人年の途中で退職し、再就職していない人、あるいは独立して個人事業主になった人は、年末調整が行われておらず、源泉徴収によって所得税を納め過ぎたままになっています。この場合、確定申告をすれば納め過ぎた税金が還付されます。ただし、以下のいずれかに該当する人は、年の途中での年末調整の対象となるため、そのほかに所得がなければ確定申告は不要です。● 死亡により退職した人● 著しい心身の障害のために退職した人(退職後、再就職して給与を受け取る見込みのある人は除く)● 12月支給分の給与等を受け取ってから退職した人● パートで働いており、その年に受け取った給与の総額が103万円以下で退職した人(その年に他の勤務先から給与の支払いを受ける見込みのある人を除く)確定申告に必要なもの確定申告のメインとなる確定申告書の作成には、主に次のようなものが必要です。収入を証明する書類申告者の収入(所得)の種類に応じて、収入金額を証明する書類が必要です。● 給与収入がある人:申告する年分の給与所得の源泉徴収票● 年金受給者:申告する年分の公的年金等の源泉徴収票● その他の収入がある人:収入金額と必要経費の分かる書類事業所得・不動産所得・山林所得がある人事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある人は、「青色申告決算書」(青色申告をする場合)または「収支内訳書」(白色申告をする場合)をあらかじめ作成しておく必要があります。青色申告決算書・収支内訳書は、市販の会計ソフトなどを使えば、自分でも比較的簡単に作成できます。難しい場合は税務署または税理士に相談しましょう。決算書等の作成には、収入や取引の明細、経費の領収書などが必要となるため、日頃からしっかり管理して保存しておくことが大切です。取引や経費などが多いと作成に時間がかかることもあるため、申告期限までに余裕を持って準備しましょう。所得控除を受けるために必要な書類(必要な場合のみ)社会保険料控除や医療費控除などの所得控除を受けるには、支払った金額を証明する書類が必要です。所得控除の種類必要書類社会保険料控除社会保険料(国民年金保険料)控除証明書など生命保険料控除・地震保険料控除生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書小規模企業共済等掛金控除(小規模企業共済、iDeCoなど)掛金額の証明書医療費控除医療費控除の明細書、医療費通知(原本)寄付金控除寄付金の受領書給与所得者で年末調整を受けている人の場合、年末調整時に受けた控除の証明書類は不要です。控除額は年末調整後に発行される源泉徴収票に記載されています。住宅ローン控除を受けるために必要な書類(必要な場合のみ)一般新築住宅を購入した場合のように、初めて住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受ける人は、以下の書類が必要です。● 住宅借入金等特別控除額の計算明細書● 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書● 住宅の登記事項証明書● 住宅の工事請負契約書または売買契約書● 土地の登記事項証明書・売買契約書(土地購入資金の借入に控除を受ける場合)● 補助金決定通知書など、補助金等の額を証する書類(補助金等の交付を受けた場合)● 贈与税申告書など、住宅取得等資金の額を証する書類(住宅取得等資金の贈与特例を受けた場合)上記のほか、認定住宅では「認定住宅であることを証する書類」、中古住宅では「耐震基準を満たすことを証明する書類」が必要になります。>>確定申告で住宅ローン控除を受けよう!必要書類から申請方法までわかりやすく解説そのほかに必要なもの● 印章● 申告者(納税者)のマイナンバーカード、または通知カード● 申告者名義の預貯金口座が分かるキャッシュカードや通帳など(税金の還付がある人のみ)● 配偶者や専業従事者のマイナンバーカードがわかるもの(該当者がいる場合のみ) など確定申告の手続きの方法必要なものを準備したら、次のような手順で確定申告を行います。【手順1】確定申告書の作成確定申告書は、国税庁のホームページに設置されている「確定申告書等作成コーナー」から作成が可能です。準備した書類などで金額を確認し、画面の指示に従って入力すると、税額などは自動計算されます。【手順2】税務署へ提出完成した確定申告書は、印刷して添付書類とともに書面で提出する方法、e-Taxを利用してデータで送信する方法(電子申告)のいずれかで税務署に提出します。青色申告を行うなら電子申告がおすすめ2020年(令和2年)分以降の申告から、青色申告者に適用される「青色申告特別控除」の適用要件が改正されました。内容としては、書面で確定申告書を提出する場合の控除額が55万円に引き下げられるというものです。ただし、e-Taxを利用した電子申告、または電子帳簿保存を行う人は、引き続き65万円の控除を受けられます。事前に準備する必要はありますが、青色申告を行うのであれば電子申告をするほうがいいでしょう。【手順3】税金の納付・還付確定申告書を提出したら、税金の納付または還付を受けて手続きは完了です。納付する税金がある人税金の納付は、金融機関または税務署の窓口のほか、コンビニ、ネットバンキング、口座振替、クレジットカードのいずれかで、納期限(原則3月15日)までに行います。税金の還付を受けられる人還付される税金がある場合は、申告手続き後1ヶ月から1ヶ月半後に、確定申告書に記載した本人名義の預貯金口座情報に振り込まれます。>>確定申告をしないとどうなる?無申告の場合のペナルティやデメリットは?専門家に聞きましたまとめ確定申告は、自営業やフリーランスといった個人事業主だけが行うものではなく、年末調整や源泉徴収の対象とならない所得を得れば、誰でも必要となる可能性があるものです。確定申告が必要なケースに当てはまるかを確認し、わからない点は税務署に相談しながら確定申告を行いましょう。\個人事業主・フリーランス向けのクレジットカード?/個人事業主・中小企業経営者におすすめの ”for Owners”はこちら【法人カードの基礎知識】ビジネスカード・コーポレートカードの特徴&個人カードとの違いとは?個人事業主・経営者必見!法人カードの審査基準&審査に通りやすくなる3つのポイント個人事業主・経営者必見!法人カードの審査基準&審査に通りやすくなる3つのポイント
自営業やフリーランスなど個人事業主の人にとって、初めての確定申告は不安に感じるかもしれません。税理士に任せるのもひとつの方法ですが、仕組みを理解していれば確定申告は自分でもできます。書類の作成から納税まで、自分で確定申告をするために知っておきたいポイントについて押さえておきましょう。西日本シティ銀行は創業期の皆さまを支援!さまざまな連携サービスをご用意しています青色申告と白色申告の違いとは?個人事業主が行う確定申告には、青色申告書で行う「青色申告」と、白色申告書で行う「白色申告」があります。さまざまなメリットのある青色申告をおすすめしますが、誰でも利用できるわけではないので注意しましょう。あわせて読みたい青色申告と白色申告の違いって何?簡単にわかる基礎知識&メリット・デメリット青色申告ができる人の条件青色申告は、詳細な記帳をもとに正しい申告をする人を優遇する制度であり、次のような条件を満たしている人だけが利用できます。不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかがある一定水準の記帳と書類の保存を行う適用を受ける年の3月15日(原則)までに「個人事業の開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出している不動産所得、事業所得、山林所得農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業など、個人事業主が事業を行い得た所得のほとんどは「事業所得」に該当します。ただし、事業から得た所得でも、不動産貸付けによる所得は「不動産所得」、山林の譲渡による所得は「山林所得」となります。一定水準の記帳青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成できるような「正規の簿記(一般的には複式簿記)」により行うことが原則です。ですが、「現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産帳」といった帳簿を備え付ければ、「簡易な記帳(簡易簿記・単式簿記)」も認められています。青色申告特別控除額の違い正規の簿記であれば、55万円(要件を満たす場合は65万円)の青色申告特別控除を受けられます。一方、簡易な記帳では青色申告特別控除額は10万円になります。帳簿・書類の保存義務作成した帳簿や領収書などの取引書類、決算書類などは、申告内容が正しいことを証明するものであり、7年間保存しておかなければなりません。また、請求書などの一部書類は5年間保存しておく義務があります。もし税務調査などで提示できなければ、修正申告が必要となったり青色申告が取り消されたりして、追徴課税などのペナルティを受けるおそれがあります。保存が必要なもの(青色申告の場合)保存期間帳簿仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産帳など7年書類決算関係書類損益計算書、貸借対照表、棚卸表など7年現預金取引関係書類領収書、小切手控、預金通帳、借用書など7年(※)その他書類取引に関して作成・受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)5年(※)前々年の所得が300万円以下の人は5年「個人事業の開業届」と「青色申告承認申請書」の提出青色申告をするには、あらかじめ申請が必要です。申請は、青色申告の承認を受けようとする年の3月15日までに、「青色申告承認申請書」を税務署に提出して行います。申告時期が近づいてから申請しても、その年分の確定申告には間に合わないので注意しましょう。1月16日以降に開業した場合は、業務を開始した日から2ヶ月以内に申請すれば、その年分から青色申告が可能です。青色申告承認申請書の提出には、「個人事業の開業届」が提出されていることが前提のため、開業届を提出していない場合は青色申告承認申請書と同時に提出しましょう。青色申告と白色申告の違い青色申告と白色申告では、記帳の仕方や提出する決算書など、下表のような違いがあります。青色申告のほうが手間はかかりますが、税制面でさまざまな優遇を受けられるメリットがあります。青色申告白色申告原則簡易申告承認申請必要不要帳簿作成必要(原則複式簿記)必要(簡易簿記・単式簿記)必要(簡易簿記・単式簿記)帳簿・仕訳帳・総勘定元帳(以下、必要に応じて)・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産帳 など【簡易帳簿】・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産帳・収入金額、必要経費を記載した帳簿決算書類・青色申告決算書(貸借対照表、損益計算書を添付)・青色申告決算書(損益計算書のみ添付)・収支内訳書控除額55万円(条件を満たす場合は65万円)10万円(※)なし家族に支払う給与の特例【青色事業専従者給与】対価として適正な金額を必要経費にできる【事業専従者控除】1人につき最高50万円(配偶者の場合は86万円)まで必要経費にできるその他の税制優遇・純損失の繰越控除、繰戻還付・貸倒引当金・1個30万円未満の減価償却資産の一括経費計上(少額減価償却資産の特例)なし(※)簡易帳簿に加え、簡易帳簿に記帳されない預金、手形、債権債務について記帳する「債権債務等記入帳」を備え付けて取引をすべて記録すると、正規の簿記と見なされて55万円(65万円)の控除を受けられます。>>青色申告と白色申告の違いって何?簡単にわかる基礎知識&メリット・デメリット西日本シティ銀行は創業期の皆さまを支援!さまざまな連携サービスをご用意しています個人事業主の確定申告に必要な書類確定申告の手続きは、書類準備と作成がその大部分を占めます。申告の流れを見る前に、必要な書類を確認しておきましょう。帳簿・決算書の作成に必要な書類売上(収入)を確認・証明する書類として、「請求書、見積書、契約書、納品書、預金通帳・明細、支払調書」などが必要です。また、必要経費を確認・証明する書類として、「領収書・レシート、クレジットカード利用明細、支払証明書、出金伝票など」を用意しましょう。在庫を確認するための書類棚卸表年末時点(決算日)の商品・消耗品の在庫を数え、その金額を計算するための書類です。主に飲食・小売・製造業など商品(在庫)のある人が作成します。確定申告の提出時に作成する書類青色申告決算書(青色申告の場合)または収支内訳書(白色申告の場合)作成した帳簿の内容をもとに、その年の売上(収入)や経費などをまとめ、事業所得の金額を計算する書類です。確定申告書事業所得のほかに申告が必要な所得から各種控除などを差し引き、最終的に納める税額、あるいは還付される税額を計算する書類です。控除を受けるために必要な書類所得控除や税額控除の適用を受けるには、それぞれの支払額を確認・証明できる書類が必要です。社会保険料(国民年金保険料)控除証明書自身で支払った国民年金保険料は、全額が「社会保険料控除」の対象になります。通常10月頃に証明書が届き、控除を受ける場合は申告書への添付が必要です。紛失した場合は、最寄りの年金事務所または「ねんきんネット」で再発行しましょう。国民健康保険料賦課決定通知書国民年金保険料と同じく、自身で支払った国民健康保険料は、全額が「社会保険料控除」の対象になります。通常6〜7月頃に保険料の通知書が届きますが、通知書がなくても、領収書や口座明細などで金額が確認できれば問題ありません。わからない場合は、お住まいの市町村役場に問い合わせれば確認できます。小規模企業共済等掛金払込証明書自身で支払った国民年金基金、小規模企業共済、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になります。通常10月頃に証明書が届き、控除を受ける場合は申告書に添付しなければなりません。生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書自身で支払った生命保険や医療保険、個人年金保険などの保険料は、その一部が「生命保険料控除」(所得控除)の対象になります。また、地震保険料はその一部が「地震保険料控除」の対象になります。通常10〜11月頃に証明書が届き、控除を受ける場合は申告書への添付が必要です。上記のほか、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」「配当控除」「医療費控除」「寄付金控除(ふるさと納税など)」「雑損控除(災害や盗難などで損害を受けた場合)」など、適用を受ける控除ごとに必要な書類を準備します。源泉徴収票(給与所得がある人のみ)個人事業以外に給料をもらって仕事をしている人や、年の途中に独立して退職までの給与を受け取った人などは、勤務先から発行される源泉徴収票も必要です。西日本シティ銀行は創業期の皆さまを支援!さまざまな連携サービスをご用意しています個人事業主の確定申告の手順必要な書類が準備できたら、次のような流れで手続きを進めていきます。取引関連書類をもとに帳簿に記帳棚卸表の作成(飲食・小売業など必要な人のみ)帳簿の内容をもとに青色申告決算書(青色申告者)または、収支内訳書(白色申告者)を作成確定申告書を作成確定申告書・添付書類を提出、納税または還付を受ける(原則翌年2月16日〜3月15日)帳簿の記帳その年の売上や経費を確認できる書類をもとに、申告の形式に合わせた方法で、その年の事業に関係するすべての取引内容を記帳します。白色申告や簡易帳簿による青色申告であれば、Excelなどを使って自身で記帳してもよいでしょう。55万円(65万円)の特別控除を受けるための青色申告では、記帳が複雑になるため、なるべく会計ソフトを使用することをおすすめします。棚卸表の作成(在庫のある事業を行う人のみ)棚卸表の作成では、期末(年末・決算日)時点で残っている在庫(商品、消耗品など)について、種類ごとに数量を確認し、その金額を計算します。個人事業主が行う計算は、通常「最終仕入原価法」という方法で行います。最終仕入原価法による計算方法その棚卸資産の最終仕入原価(※)×期末時点の数量=期末の棚卸高(※)期末から最も近い時期に取得した価格棚卸表の記入例出典:国税庁すべての棚卸資産について棚卸高を計算した結果をまとめれば、棚卸表は完成です。棚卸表の棚卸高の合計金額は、決算書の「損益計算書」や「貸借対照表」を作成する際に利用します。「青色申告決算書」または「収支内訳書」の作成から納税までの手順については、次項から詳しく解説します。西日本シティ銀行は創業期の皆さまを支援!さまざまな連携サービスをご用意しています【青色申告をする人向け】青色申告決算書の作成方法青色申告を行う場合は、「青色申告決算書」の作成が必要です。青色申告決算書は4ページあり、1ページ目が「損益計算書」、2・3ページ目と4ページ目の右側が「損益計算書の各項目の計算書」、4ページ目の左側が「貸借対照表」という構成です。損益計算書は、2〜4ページ目で各項目の金額を計算し、その結果を1ページ目に集計して作成します。自身に該当しない項目は、記載する必要はありません。あわせて読みたい青色申告と白色申告の違いって何?簡単にわかる基礎知識&メリット・デメリット1ページ目:損益計算書損益計算書は、売上(収入)金額や経費など、その年の事業所得の内訳を記載する書類です。出典:国税庁(筆者加筆)粗利(売上総利益)「売上」欄には、2ページ目の「売上(収入)金額」の合計を転記します。「売上原価」欄には、年初の棚卸高(在庫商品)に、2ページ目の「仕入金額の合計額」(製造業の場合、4ページ目の「製造原価」)を加え、年末時点の棚卸高を差し引いて計算します。売上から売上原価を差し引いた金額が、いわゆる「粗利」といわれるものです。原価のかからないサービス業などでは、売上(収入)がそのまま粗利になります。経費帳簿から、勘定科目ごとに金額を転記します。「減価償却費」欄には、3ページ目で計算した「本年分の減価償却費」を転記します。引当金・準備金繰戻額等の「貸倒引当金」欄には、前年に計上して今年中に回収した貸倒引当金を転記します。また、繰入額等の「貸倒引当金」欄には、2ページで計算した「本年分の貸倒引当金繰入額」を転記します。青色申告特別控除2ページ目で計算した「青色申告特別控除額」を転記します。2ページ目:損益計算書(各項目の計算書)出典:国税庁(筆者加筆)売上・仕入帳簿から、売上(収入)金額、仕入金額を月ごとに記入します。貸倒引当金繰入額貸倒引当金を計上する場合は、金額を計算して記入します。給与賃金支給額・源泉徴収税額従業員に支払った給与・賞与および源泉徴収税額があれば記入します。専従者給与支給額・源泉徴収額青色事業専従者に支払った給与・賞与および源泉徴収税額があれば記入します。専従者給与を経費とするには、事前に税務署へ届出が必要です。青色申告特別控除額控除前の所得金額を上限に、正規の簿記により記帳している人は最高55万円、正規の簿記による記帳に加えて、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行う人は最高65万円の控除を受けられます。また、簡易簿記により記帳している人の控除額は最高10万円です。3ページ目:損益計算書(各項目の計算書)出典:国税庁(筆者加筆)減価償却費建物、機械装置など、複数年に分けて経費とする減価償却資産について、今年の経費とする金額を計算します。利子割引率(金融機関以外への支払利子)金融機関以外の個人からの借り入れがあれば、その相手先、借入額、支払った利子額、経費に算入した額を記入します。地代・家賃支払った家賃、駐車場代などがあれば、支払先、支払った金額、経費に算入した額を記入します。自宅の一部を事務所などにした場合は、使用した面積に応じた家賃を必要経費にできます。税理士・弁護士等の報酬税理士、弁護士などに支払った報酬があれば記入します。特記事項特別な事情があり、例年に比べ収入や経費の金額が大きく変動している場合などに記入します。4ページ目:賃借対照表・製造原価計算書貸借対照表は、期首(年始)と期末(年末)における、資産と負債、資本の内訳、変化を記載する書類です。出典:国税庁(筆者加筆)資産期首(年始)と期末(年末)時点の資産の内訳を記載します。負債・資本期首(年始)と期末(年末)時点の負債の内訳を記載します。資本の欄の「元入金」は、個人事業における資本金(事業の元手)にあたるものです。開業時は事業主の入金額に等しく、決算ごとに、その年の事業の損益(青色申告特別控除前)および事業主借と事業主貸を算入します。翌期首の元入金=前期末の元入金+当期損益(青色申告特別控除前)+事業主借ー事業主貸資産の合計と負債・資本の合計は必ず一致する資産の合計と負債・資本の合計は必ず一致している必要があります。もし一致していない場合は、まず計算や記入に間違いがないかを確認し、間違いがなければ、事業主貸または事業主借の金額で差額を調整して一致させます。製造原価の計算製造業では、製造原価(原材料の仕入価格に、製造にかかったコストを含めた原価)を計算します。西日本シティ銀行は創業期の皆さまを支援!さまざまな連携サービスをご用意しています【白色申告をする人向け】収支内訳書の作成方法白色申告を行う人は、「収支内訳書」の作成が必要です。収支内訳書は2ページあり、内容は青色申告決算書の損益計算書を簡略化したようなものです。以下では青色申告決算書と異なる項目についてのみ解説します。あわせて読みたい青色申告と白色申告の違いって何?簡単にわかる基礎知識&メリット・デメリット1ページ目出典:国税庁(筆者加筆)専業専従者の情報専業専従者として事業に従事した人がいる場合、その氏名と従事した期間(月数)を記入します。専業専従者には、納税者と生計を一にする配偶者、または15歳以上(その年の12月31日時点)の親族で、納税者の事業に6ヶ月以上従事している人が該当します。2ページ目出典:国税庁(筆者加筆)売上・仕入売上や仕入は月ごとではなく、売上先・仕入先ごとに1年分をまとめて記入します。記入欄はそれぞれ4つしかないため、主要な相手先は個別に、それ以外の相手先は合計額で記入します。確定申告書の作成・提出・納税の簡単なやり方帳簿と決算書類が完成したら、最後に確定申告書にまとめ、税務署に提出・納税を行います。【手順1】確定申告書の作成確定申告書は、国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」から作成できます。決算書や各種証明書などで金額を確認しながら、画面の指示に従って入力していけば、税額などは自動計算されます。【手順2】必要書類を税務署へ提出続いて、完成した確定申告書を印刷し、添付書類とともに税務署へ提出します。「窓口に持参する、郵送で提出する、e-Taxを利用してデータで送信する」のいずれかの方法を選びましょう。【手順3】税金の納付・還付確定申告書の提出後は、税金の納付または還付を受けることですべての手続きが完了となります。納付する税金がある人次のいずれかの方法で納期限までに税金を納付します。QRコードを使ってコンビニで納付するe-Taxで電子納税する預貯金口座から自動振替により納付するクレジットカードで納付する金融機関または税務署の窓口で納付する税金の還付を受けられる人確定申告書の「還付される税金の受取場所」欄に、受け取りを希望する本人名義の預貯金口座情報を記入すれば、申告手続き後1ヶ月から1ヶ月半後に還付金が振り込まれます。消費税の申告が必要になる場合次のいずれかに該当する人は、課税期間中の課税売上にかかる消費税および地方消費税の確定申告と納税も必要です。基準期間の課税売上高が1000万円を超える人基準期間の課税売上高が1000万円以下で、昨年末までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出している人①、②に該当しない場合で、特定期間の課税売上高または給与等支払額の合計額が1000万円を超える人(どちらかが1000万円以下であれは確定申告は不要)課税期間・基準期間・特定期間筆者作成開業1年目の申告は不要開業した年はいずれの条件にも該当しないため、確定申告は不要です。開業2年目以降で該当する場合は、翌年の3月31日までに確定申告と納税の手続きを行いましょう。まとめ確定申告は自分でもできますが、必要な書類の準備や帳簿の作成には時間がかかります。確定申告の時期が近づいて焦って始めるのではなく、定期的に記帳しておくなど、余裕を持って行うことが大切です。確定申告の時期には税務署が混み合いますので、記帳や書類作成などでわからないことなどがあれば、早めに相談しておきましょう。あわせて読みたい確定申告をしないとどうなる?無申告の場合のペナルティやデメリットは?専門家に聞きました\個人事業主・フリーランス向けのクレジットカード?/【法人カードの基礎知識】ビジネスカード・コーポレートカードの特徴&個人カードとの違いとは?個人事業主・経営者必見!法人カードの審査基準&審査に通りやすくなる3つのポイント個人事業主・経営者必見!法人カードの審査基準&審査に通りやすくなる3つのポイント
確定申告をしなければならない人が、申告期限までに確定申告をしないと、ペナルティ(罰則)を受けるおそれがあります。どういったケースでどのようなペナルティがあるのか、無申告・申告漏れに対する罰則の内容を確認しておきましょう。あわせて読みたい確定申告で住宅ローン控除を受けよう!必要書類から申請方法までわかりやすく解説確定申告は、自身で税金を計算して納税する手続きのこと確定申告とは所得税の確定申告は、1年間(1月1日〜12月31日)に得た所得に対してかかる税金を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。所得税のほか、消費税及び地方消費税、法人税、贈与税、相続税などの確定申告が必要となる場合もあります。確定申告の期間・納期限確定申告は、原則翌年の2月16日から3月15日までの間に行い、申告期間の最終日である3月15日が所得税の納期限です。3月15日が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日にあたる場合は、その翌日が納期限となります。※2021年は申告期間最終日が1か月後ろ倒しになり、4月15日までとなっています。原則として確定申告が不要なケースサラリーマンなど年末調整の対象となる給与所得者年末調整の対象となる会社員や公務員などの給与所得者は、これらの手続きを会社が代わりに行い、税金は給料から天引き(源泉徴収)されます。そのため、年末調整の対象とならない所得がある場合、あるいは年末調整では適用を受けられない医療費控除などを申請する場合などを除き、確定申告の必要はありません。確定申告をしなければならないケース自営業者やフリーランスなどの個人事業主自営業者やフリーランスなど、事業所得を得ている個人事業主は確定申告をする必要があります。西日本シティ銀行は創業期の皆さまを支援!さまざまな連携サービスをご用意しています年末調整や源泉徴収の対象とならない給与所得・退職所得がある人年収2000万円超の給与所得者災害減免法の適用を受けて所得税の源泉徴収の猶予を受けた人源泉徴収義務のない者から給与・退職金等の支払いを受けた人親族等の経営する会社(同族会社)から、給与以外の収入を得た人2つ以上の会社から給与を受け取っている人(※)(※)下記の2つに当てはまる人は確定申告は不要です。すべての給与所得の収入金額から、所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下所得金額(給与所得・退職所得を除く)の合計が20万円以下ただし、個人住民税の申告は必要なので注意しましょう。一部の公的年金等の受給者一定額以上の公的年金等(国民年金、厚生年金、恩給、確定給付企業年金、確定拠出企業年金、一定の外国年金など)を受け取った人は、確定申告が必要です。副業や投資、資産の売却などで所得を得た人給与所得、退職所得以外に20万円超の所得がある人(副業で得た給与所得以外の所得、FX・外貨預金などの為替差益(雑所得)、不動産所得など)一般口座または源泉徴収のない特定口座で株式等を取引して利益(譲渡所得)を得た人不動産を売却して譲渡所得を得た人一時所得(懸賞賞金・商品や競馬・競輪の払戻金、保険の満期保険金など)を受け取った人(※)(※)収入金額から収入を得るために要した費用を差し引いた金額が、年間50万円以下であれば確定申告は不要です。これまで確定申告の必要がなかった人でも、収入が増えたり、不動産の売却や懸賞への当選などで臨時的な収入を得たりした場合は、忘れずに確定申告を行いましょう。確定申告をしなかった場合の罰則&デメリット申告期間内に確定申告をしなかった場合、本来納付すべき税額に加え、ペナルティとして「無申告加算税」が課されます。無申告加算税「無申告加算税」の金額は、原則として納付すべき税額が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の税率をかけて計算されます。申告期限までに申告しなかった場合でも、税務署による調査を受ける前に、自主的に期限後申告すれば税率が軽減されます。納付すべき税額無申告加算税の税率原則自主的な期限後申告(※)税務調査の事前通知前税務調査の事前通知後50万円以下の部分15%5%10%50万円超の部分20%15%(※)2017年(平成29年)1月1日以後に法定申告期限が到来するもの[2016年(平成28年)分以後の申告]に適用される税率です。それ以前の申告分は、税務調査前の期限後申告であればすべて5%に軽減されます。無申告加算税の計算例例えば、納付すべき税額が80万円であり、税務調査の指摘を受けて期限後申告を行った場合には、13.5万円の無申告加算税が課されます[=50万円×15%+(80万円ー50万円)×20%]。これに対し、税務調査前かつ事前通知前に自主的に期限後申告を行えば、無申告加算税は4万円(=80万円×5%)に軽減されます。申告期限に間に合わなかった場合1ヶ月以内に申告すれば無申告加算税が課されないことも次の2つの要件を満たし、期限内に申告する意思があると認められ、かつ法定申告期限から1ヶ月以内に自ら期限後申告を行えば、無申告加算税が課されません。期限後申告により納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していること。期限後申告書を提出した日から起算し過去5年間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、無申告加算税の不適用を受けていないことこの措置は、あくまでやむを得ない事情で申告期限に間に合わなかった人を救済するものであり、過去5年以内に無申告や悪質な申告があった人は救済されない仕組みになっています。納付期限は申告書の提出日期限後申告によって納める税金は、申告書の提出日が納付期限となります。そのため、無申告加算税の不適用を受けるには、申告書を提出したその日のうちに納付を済ませないといけません。期限後申告のデメリット青色申告特別控除額が減額される正規の簿記により記帳し青色申告を行う人は、青色申告特別控除により最高55万円(電子申告または電子帳簿保存を行う人は最高65万円)が所得から控除されます。これには「期限内申告」も条件となっており、期限後申告となると控除額は10万円に減額されてしまいます。確定申告の内容が間違っていた場合の罰則確定申告をしても、申告した内容が間違っていればペナルティを受けるおそれがあります。修正申告と過少申告加算税申告した税額が少な過ぎた場合(申告漏れ)本来より税額を少なく申告していた場合、「修正申告」により誤った内容を訂正し、不足している税金を納める義務があります。税務調査で指摘されて修正申告をした場合や、税務署から申告税額の更正を受けた場合には、不足していた税金に加え、ペナルティとして「過少申告加算税」が課されます。過少申告加算税の金額過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税額の10%です。新たに納める税額が、当初の申告納税額と50万円のいずれか多い額を超える場合、超える部分の税率は15%となります。税務調査を受ける前かつ事前通知前に、自主的に修正申告をすれば過少申告加算税はかかりません。新たに納める税額過少申告加算税の税率自主的な修正申告(※)税務調査後の修正申告税務調査の事前通知前税務調査の事前通知後原則なし5%10%当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分10%15%(※)2017年(平成29年)1月1日以後に法定申告期限が到来するもの[2016年(平成28年)分以後の申告]に適用される税率です。それ以前の申告分は、税務調査前に修正申告すれば過少申告加算税は課されません。過少申告加算税の計算例例えば、本来納付すべき税額が120万円のところ、50万円しか申告しておらず、税務調査の指摘を受けて修正申告を行ったとします。その場合は、新たに納付する70万円の税金に加え、8万円の過小申告加算税が課されます[=50万円×10%+(70万円ー50万円)×15%]。納付期限は修正申告書の提出日修正申告により新たに納める税金は、修正申告書の提出日が納付期限となるため、申告書を提出したその日のうちに納付する必要があります。訂正申告申告期限内に間違いに気付いて訂正すれば罰則はない間違った内容で確定申告をしてしまっても、申告期限内に正しい内容に訂正した確定申告書を再提出すれば、申告内容は上書きされ、ペナルティはありません。この手続きを「訂正申告」といいます。期限内であれば訂正申告の回数に制限はありません。更正の請求申告した税額が多過ぎた場合の罰則はない本来よりも税額を多く申告していたとしてもペナルティはありません。申告内容の間違いに気付いた場合、税務署に「更正の請求書」を提出し、納め過ぎた税金があると認められれば税金が還付されます。税金を納め過ぎていても税務署のミスではないため、自身で更正の請求をしなければ納め過ぎた税金は還付されません。更正請求の期限は5年更正の請求を行うかは任意ですが、法定申告期限から5年が経つと請求できなくなります。西日本シティ銀行は創業期の皆さまを支援!さまざまな連携サービスをご用意しています故意に無申告や過少申告した場合の罰則重加算税事実を仮装・隠蔽し、税金を免れようとする悪質な行為があった場合、ペナルティとして「重加算税」が課されます。重加算税の金額は、故意に確定申告をしなかった場合には納付すべき税額の40%、税金を過少申告した場合には納付すべき税額の35%です。仮装等がない場合に比べてかなり重い罰則となっています。重加算税の税率【参考】仮装等がない場合確定申告をしなかった場合40%無申告加算税 15%税金を過少申告した場合35%過少申告加算税 10%または15%重加算税と無申告加算税・過少申告税は、仮装等の有無によってどちらか一方が適用されるため、重複して課されることはありません。申告忘れなどは無視せず、自主的に期限後申告・修正申告を行うべき申告忘れやミスで過少申告していたことに気付いたら、なるべく早く自主的に期限後申告・修正申告をしましょう。面倒だからと無視していると、悪意はなかったとしても意図的な無申告や過少申告とみなされ、重加算税を課されるおそれがあります。悪意がないケースでもペナルティはありますが、税務署に指摘されて申告するよりも軽く済む可能性が高くなります。納税が遅れた期間に応じて課される罰則延滞税無申告や過少申告などによって納期限までに納税していない場合は、加算税に加え、納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた「延滞税」が課されます。延滞税の税率納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで年7.3%と、特例基準割合(※)+1%のいずれか低い割合納期限の翌日から2ヶ月を経過する日以後年14.6%と、特例基準割合(※)+7.3%のいずれか低い割合(※)特例基準割合=「国内銀行の新規短期貸出約定平均金利の前々年10月~前年9月における平均」+1%対象は本税のみ延滞税が課されるのは、本来納税すべき税額(本税)のみであり、加算税に対しては課されません。延滞税の計算期間の特例不正などにより課税を免れた場合などを除き、次のいずれかに該当する場合には、一定期間延滞税を課さない特例があります。条件延滞税が課されない期間法定申告期限内に申告書が提出され、期限後1年を経過してから修正申告または更正があった場合法定申告期限から1年を経過する日の翌日〜修正申告または更正があった日まで法定申告期限後に申告書が提出され、期限後1年を経過してから修正申告または更正があった場合期限後申告書の提出日の翌日から1年を経過する日の翌日〜修正申告または更正があった日まで確定申告書を提出後に減額更正がされ、その後さらに修正申告または更正があったとき【職権により減額更正された場合】当初の申告における納付日の翌日〜修正申告または更正があった日まで【更正の請求により減額更正された場合】「当初の申告における納付日の翌日〜減額更正まで」と、「減額更正の翌日から1年を経過する日の翌日〜修正申告または更正があった日まで」確定申告をやらないと刑事罰を受けるおそれがある確定申告をしないと、加算税や延滞税といった行政罰だけでなく、刑事事件として立件され、刑事罰を受けるおそれもあります。所得税の無申告(申告書不提出)・過少申告・受還付の刑事罰刑事罰【参考】行政罰正当な理由なく、確定申告書を期限内に提出しなかった場合【申告書不提出罪】(単純無申告犯)1年以下の懲役または50万円以下の罰金無申告加算税故意に確定申告書を期限内に提出しなかった場合【故意の申告書不提出によるほ脱犯】5年以下の懲役もしくは500万円(情状により脱税額)以下の罰金、または併科過少申告下記以外過少申告加算税真実の所得を秘匿し、所得金額を過少に記載した確定申告書を提出した場合(つまみ申告)【脱税犯】10年以下の懲役もしくは、1000万円(情状により脱税額)以下の罰金、または併科重加算税不正行為を伴う過少申告、申告書不提出、受還付があった場合不正をした場合はもちろん、正当な理由なく確定申告をしなかっただけでも、犯罪としての要件に該当します。すべてのケースが立件されるわけではなく、期限内に正しく申告していれば問題ありませんが、このようなリスクがあることは知っておきましょう。まとめ故意に申告しないのはもってのほかですが、確定申告が必要だと思わず申告していなかったというケースもあるでしょう。悪意はなくても行政罰(加算税・延滞税)や刑事罰の対象となるおそれがあるため、確定申告が必要なのかよく確認しておきましょう。また、無申告・申告漏れに気付いた場合には、なるべく早く申告することが大切です。西日本シティ銀行は創業期の皆さまを支援!さまざまな連携サービスをご用意しています