ロジカルシンキングは幅広いビジネスシーンで活用できるため、身につけておきたいスキルの一つです。一見すると難しく感じるかもしれませんが、論理的に考える力はトレーニングで養うことが可能です。本記事では、ロジカルシンキングの意義やフレームワーク、鍛え方などを解説します。インプットとアウトプットが揃ってこそ、学びは効果を発揮します。この記事をきっかけに、ロジカルシンキングを身に付けましょう!
ロジカルシンキングとは?どういう意味?
ロジカルシンキングとは、ものごとを体系的に整理・分析し、筋道を立てて適切な結論・解決策を見つけるための思考法です。日本語では「論理的思考」といわれます。ロジカルシンキングを身につければ、思い付き・思い込みではなく、しっかりと現状を見て論理的にものごとを考えられるようになるでしょう。
ロジカルシンキングを学ぶメリットは、各種能力の向上
ものごとを論理的に考えられるようになると、さまざまな能力が向上するため、仕事で成果を出しやすくなるといえます。ロジカルシンキングは仕事の種類や内容を問わず、幅広いビジネスの場面で役立つでしょう。具体的には、以下のような能力の向上が期待できます。
問題解決能力が向上する
仕事では、自社や顧客が抱える問題・課題について現状を分析し、解決策を見つけ出す能力が求められます。問題解決は新たなビジネスチャンスとなる可能性があり、自社の収益を改善する効果も期待できるため、仕事で成果を出すには必須のスキルといえます。
ロジカルシンキングを身につけて問題解決能力が向上すれば、貴重な人材として高い評価を得られるでしょう。
提案力が向上する
ロジカルシンキングを学ぶことで、提案力の向上も期待できます。相手が納得できるような提案をするには、しっかりとした根拠を示したうえで、わかりやすく説明する必要があるでしょう。ロジカルシンキングで提案力が向上すれば、商談や会議などで提案が採用されやすくなるかもしれません。
コミュニケーション能力が向上する
ビジネスにおけるコミュニケーションでは、目的や根拠を明確にして、論理的に説明する能力が求められます。現在は対面での会話だけでなく、電話やメール、オンラインツールなど、さまざまなコミュケーション手段があります。ロジカルシンキングを学ぶことで、コミュニケーション手段に合わせて説明の仕方を工夫できるようになるでしょう。
生産性が向上する
ロジカルシンキングでものごとを論理的に考えられるようになると、無駄な作業が減少し、生産性の向上が期待できます。たとえば、取引先に新商品を提案する際に、思いつきで商品のメリットだけを伝えても採用される確率は低く、効率が悪いといえます。
しかし、取引先の課題を分析し、その課題を解決できる根拠を提示したうえで新商品の提案をすれば、比較的短期間で成約につながる可能性があります。
論理的思考力の鍛え方5選
ロジカルシンキングはビジネスに必要なスキルだとわかっていても、論理的に考えるのは難しいと感じる人もいるでしょう。しかし、思考力は訓練によって養うことが可能です。ここでは、論理的思考力を鍛える方法を紹介します。
その1:アイデアを紙に書き出す
テーマを一つ決めて、そのテーマについて思いついたことを書き出す方法です。あまり深く考えず、短時間(1分間など)で思いついたことをひたすら書き出すのがコツです。
紙に書き出す作業を習慣にすることで、頭の中が整理され、ものごとを論理的に考えられるようになるでしょう。また、アイデアが深まり、問題を把握しやすくなる効果も期待できます。
その2:理由を3つ考える
論理的思考力を鍛えるには、理由を3つ考えて説明するのも効果的です。たとえば、提案したいアイデアの理由(根拠)が1つだけの場合、単なる思いつきの可能性があります。しかし、理由を3つ考えることを習慣にしておけば、自然と深く考えられるようになるでしょう。
その3:仮説をたてる
仮説をたてることも、論理的思考力を鍛える訓練になります。仮説をたてることは、分析が進んでいない段階で自分なりの答えを出すことといえます。「まず答えを出し、それを分析して証明する」という流れで考えることで、短期間で解決策を見つけられるようになるでしょう。
その4:事実と意見を分ける
ものごとを論理的に考えるには、事実と意見を分けることも大切です。事実と意見を混同してしまっては、現状を正しく分析することはできないでしょう。事実と意見を分けて考える習慣をつけることで、分析力の向上が期待できます。
その5:ゼロベースで考える
これまでのやり方や常識にとらわれず、ゼロベースで考えることも必要だといえます。現状のやり方や考え方を疑い、もっとよい方法はないかを考えることで、ものごとの本質をとらえられるようになるでしょう。
ロジカルシンキングのフレームワーク・主な手法とは?
ロジカルシンキングでは、論理的に考えるためのフレームワークや手法が存在します。ここでは、代表的なフレームワーク・手法を紹介します。
そもそも、フレームワークとは?
フレームワークとは、思考や発想が効率的にできるよう考案された枠組み・型のことを指します。枠組み・型を用いてパターン化することによって、思考・発送が効率的に整理され、全体を俯瞰したり思考の足並みを揃えたりするのが容易になり、意思決定のスピードアップ・確度アップにつながります。
帰納法と演繹法
帰納法とは?
帰納法とは、複数の前提から結論を導き出す手法です。たとえば、「アメリカの株価が上がっている」「日本の株価が上がっている」「イギリスの株価が上がっている」という3つの前提から、「世界の株価は上がっている」という結論を導くという手法です。前提の数が多いほど、結論の正しさも強まるといえるでしょう。
演繹法とは?
演繹法とは、絶対に正しいことや一般的に正しいと判断されることから、妥当と思われる結論を導き出す手法です。代表例として、「すべての人間は死ぬ」「ソクラテスは人間だ」という前提から、「ゆえにソクラテスは死ぬ」という結論を導き出す「三段論法」が知られています。演繹法では、すべての前提が正しければ結論も正しくなります。
MECE(ミーシー)
MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字をとったものであり、「モレなく、ダブりなく」と訳されるケースが多い単語です。MECE自体はフレームワークではなく、話の重複や漏れをなくす技術・考え方です。
MECEの代表的なフレームワークの一つに「3C」があります。3Cは「顧客・市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」のことです。これら3つの状況を押さえることで、おおむね漏れや重なりがなく、事業全体の現状を把握することが可能となります。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、問題や原因、解決策、具体的施策などをツリー状に分解して整理していくフレームワークです。ロジックツリーを使うことで、複雑な問題についても、内容を一つずつ整理しながら考えを深めることが可能となります。
また、問題の全体像を把握できるため、本来の目的からずれることなく、解決策や取るべき行動を導き出せるでしょう。
So What?(つまり?) /Why So?(なぜ?)
「So What?(つまり?)」「Why So?(なぜ?)」は話の飛びをなくし、伝えたい結論と根拠のつながりを相手に理解してもらうための技術です。また、ロジックツリーを構成するときにも使う考え方です。
「So What?」と問うことで、情報や材料の中から重要な要素を抽出することが可能となります。そして、抽出した要素に対して「なぜそういうことが言えるのか?」と検証・確認するのが「Why So?」です。
「つまり?」「なぜ?」と考える習慣をつけると、ものごとを深掘りできるようになり、結論と根拠の間の矛盾に気づきやすくなるでしょう。
ロジカルシンキングまとめ
ビジネスパーソンとして身につけておきたいロジカルシンキングは、トレーニングや読書によって養うことが可能です。思考力を鍛えることにより、さまざまなスキルの向上が期待できます。ロジカルシンキングに興味があるなら、まずは初心者向けの本を1冊読むことから始めてみてはいかがでしょうか。
AFP、2級FP技能士
会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。