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会社で必要な代表者印とは?作り方・使用用途・他の会社印鑑との違いをおさらいしよう

By 河野雅人

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2021.03.24

個人に「実印」「銀行印」「認印」があるように、会社にも「代表者印」「法人銀行印」「会社印」があります。会社印鑑の使い方を間違えれば、書類不備などの理由で取引先との契約に支障をきたし、信用問題になりかねません。今回は、会社にとって最も重要なハンコである「代表者印」について解説していきます。

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代表者印とは?

そもそも代表者印って何?

代表者印(実印)として届け出した印鑑

会社を設立するには、法務局で「登記」の手続きをすることになります。会社形態には「株式会社、合同会社、合名会社、合資会社」がありますが、いずれの会社形態でも設立登記の際には、会社の代表者印を法務局に届け出る必要があります。

つまり代表者印とは、簡単に言えば法務局に「代表者印」として正式に届け出た印鑑のことです。

代表者印の意味

代表者印とは、会社にとって最も重要な印鑑です。代表者印は会社の「実印」として、法的にその押印が求められる場合や、取引先との契約で押印が求められる場合など、重要な場面で使用することになります。

代表社印に刻印されるもの

代表者印は一般的に二重円の印面となっており、内側の円には「代表取締役印」、内側の円を囲むように外側に「会社名」が刻印されます。代表者の個人名は刻印されないため、代表者が変わっても変更手続きをしない限り、代表者印は変更することなく引き続き使用できます。

代表者印の運用のルール

2人以上の代表取締役で1つの代表者印を運用する場合

法人においては、代表取締役といった代表者が2人以上いても法的に問題はありません。実際に代表取締役が複数人体制となっている会社も存在します。

代表取締役が2人以上いる場合は、一般的に代表者印を1つ登録し、その代表者印を管理する代表取締役を1人に決めて運用します。

複数人の代表取締役がそれぞれ代表者印を登録する場合

個人の実印は1人につき1つですが、会社の代表者印は複数の登録が可能となっています。そのため、複数人の代表取締役が別々に代表者印を登録し、それぞれが異なる代表者印を持つこともできます。登録している限り、どの代表者印も法人の実印としての効力を持ちます。

ただし、会社の実印が2つ以上存在することで、業務上支障をきたす可能性があるため、実印の運用ルールを社内できちんと決めておく必要があります。

代表者印はどんな時に必要とされるのか?

代表者印はどんな時に必要とされるのか?

会社の場合は個人の場合と違って、契約書類に代表者印(実印)を用いる機会が多くなります。代表者印が必要とされる場面と、使用の際に必要な「印鑑証明書」について確認しておきましょう。

登記や重要な契約のとき

会社で代表者印が必要になるのは、法人の設立登記の際以外に、所有権の移転登記や抵当権の設定登記、不動産の売買契約、保証契約など、法律に基づくような重要な取引を行うときです。

あるいは、重要な契約に際し、取引先から契約書類に代表者印を押印するよう求められたときなどです。

印鑑証明書の添付が必要

代表者印を使用する際は「印鑑証明書」の添付が必要になります。印鑑証明書は、代表者印の印影が登記されたものと同一であることを証明する書類であり、法務局において入手します。

重要な契約を結ぶ際は、代表者印の押印とともに印鑑証明書も同時に提示します。これにより、契約自体が会社の意思による行為で間違いないこと、押印された代表者印が本物であること、契約書類が真正なものであることが証明され、取引先は安心して契約を結ぶことができるようになります。

会社で使用される他の印鑑との違い

会社で使用される他の印鑑との違い

代表者印の他に会社で使用される主な印鑑には、「会社印(法人印)」「法人銀行印」があります。

会社印(法人印、認印)

代表者印は法的効力が求められる重要な文書に使用されます。一方、会社印はその押印の有無が契約の効力に影響することはありません。

会社印とは、会社名のみが刻印されている印鑑です。その形状から角印と呼ばれることもあり、一般的に大きな形をしています。一見重要な意味を持つハンコであるように見えますが、実は単なる認印にすぎません。

そのため、請求書や領収書、見積書などの対外的な定例文書、および社内の稟議書や辞令など幅広い用途に使用されます。

法人銀行印

法人銀行印とは、法人用の口座を開設する際に金融機関に届け出る印鑑です。手形の発行や小切手など、主にお金をやりとりする際に使用するため、代表者印と同様、会社の重要な印鑑であるといえます。

ただし、銀行届出印として代表者印を金融機関に届け出ることは、一般的にはありません。この理由として、紛失や偽造を防止するために、代表者印を使用する機会はできるだけ少なくするのがよいと考えられているからです。

印鑑登録の手続き

印鑑登録の手続き

ここでは、印鑑登録の手続きについて見ていきます。

(1)印鑑の作成

登記をするには、事前に「代表者印」として届け出る印鑑を作っておく必要があります。その形状は上で述べたように、二重の同心円で、内側には「代表取締役印」、外側には「会社名」を刻印します。代表取締役の個人名は刻印しないよう注意してください。

(2)印鑑登録する

印鑑登録とは、ハンコの印影を公的な機関に登録することをいいます。法人の場合は法人設立登記の際に、本店の所在地にある法務局において「印鑑(改印)届書」に必要事項を記入し、印影とともに届け出をします。その際、届け出た印影が「代表者印」となります。

このように会社の代表者印を登録しておくことで、必要なときに会社の印鑑証明書を取得することができるようになります。

(3)印鑑カードを取得する

印鑑登録が済んだら、印鑑カードの交付も同時に申請しましょう。印鑑カードの交付申請は会社設立の必須手続きではありませんが、印鑑証明書を入手する際に必要になるため、印鑑登録の際に同時に手続きしておくことをおすすめします。

代表者印を変更する方法・注意点

代表者印の変更をする際には手続きが必要です。また、これまで使用していた代表者印についても適切に処理することが大切です。

ここでは、代表者印を変更する方法や処理方法、変更時の注意点を紹介します。

代表者印の変更方法

法務局に変更を届け出る

代表者印の変更手続きは、登録手続きと同様に法務局で行います。新しい代表者印を登録する際にも、登録時と同じく「印鑑(改印)届書」を提出して行います。このとき、変更前の代表者印については、不正防止の観点からできるだけ早く廃棄処分することをおすすめします。

代表者印を変更する際の注意点

変更前に押印した書類の効力

代表者印を変更しても、変更前の代表者印の効力に影響はありません。したがって、過去に押印した契約書類が無効になることもありません。念のため、代表者印を変更したことや、これまでの契約の効力に影響はないことを主要な取引先に伝えておくと安心です。

代表者印の変更のタイミング

代表者印を変更するタイミングには注意が必要です。たとえば、契約の最中に代表者印を変更すると、混乱を招いてしまうかもしれません。場合によっては、新しい代表者印で契約書類を作り直さなければいけないということも考えられます。

代表者印を変更する際は、適切なタイミングかどうかを検討しましょう。

代表者印の頻繁な変更は避ける

代表者印は会社の顔となる重要な印鑑です。代表者印の登録後は、やむを得ない場合を除き、変更することはないのが一般的です。

そのため、代表者印を頻繁に変更していると、会社の信用にも影響しかねません。紛失や盗難の場合には変更もやむを得ませんが、何度も変更することがないように、代表者印の取り扱いには十分に注意しましょう。

変更前の古い印鑑の処分方法

代表者印の変更手続きが完了すれば、古い代表者印は処分します。処分する際は、印影が悪用されないよう注意しなければなりません。

たとえば、処分する前に以下のような方法で加工することをおすすめします。

●   印面を削る

●   印面を焼く

●   印面に接着剤などを塗り、印影をなくす

印面を削る、焼く方法が最も安全ですが、石材やチタンなど硬い素材の場合は、印影をなくしてから塗りつぶすという方法もあります。

印面を加工した後は、各自治体のルールに従って廃棄処分しましょう。廃棄処理施設に直接持ち込むとより安心です。また、専門業者に持ち込み、印面を彫り直して再利用することも可能です。

紛失または盗難の対策・対処法

紛失または盗難の対策・対処法

紛失・盗難を防ぐための対策法

金庫室などで厳重に管理する

会社の代表者印や印鑑カード、銀行印はとても重要なものであり、紛失して悪用されてしまうと、会社に多額の損失をもたらす可能性があります。そのため、これらの取り扱いについては厳重に管理されなければなりません。

セキュリティがしっかりとした会社の金庫室などに耐火金庫を置き、普段はその中で保管しておくのがおすすめです。

管理簿を設ける

専用の管理者を設け、持ち出しができる人間を一定の役職以上に限定するのも有効です。管理簿を作り、持ち出すときには「日付、持ち出した人物、用途、返却予定日、承認者」などを記録し、誰がいつ持ち出したかを後から確認できるようにしておきましょう。

こうすることで、紛失や不正利用などの問題が起こった際に、原因を特定する手がかりが得られます。

紛失・盗難時の対処法

代表者印の廃止届を行う

もし、会社の代表者印を紛失してしまった場合は、悪用されるのを防止するため、速やかに廃止の届け出を行いましょう。

廃止手続きは、法務局において「印鑑・印鑑カード廃止届」を提出します。この届け出をしなければ、紛失した代表者印は有効なままとなってしまいます。また、廃止手続きと同時に新しい印鑑登録の手続きも行いましょう。

まとめ

今回は、会社にとって重要な意味を持つ代表者印とその他の印鑑、代表者印の登録手続きなどについて詳しく解説しました。取引先との契約をスムーズに進めるためには、会社印鑑の使い方を理解しておくことが大切です。

また、紛失したり悪用されたりすることがないよう、代表者印は適切な方法で管理するようにしましょう。

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