起業を検討している人の中には、事業開業前にクレジットカードを作っておくべきなのか、開業した後でもいいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。また、クレジットカードを作るにしても審査に通るかどうかという問題もあります。
今回は起業するにあたり、知っておきたいクレジットカード作成のポイントについて解説していきます。
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起業したばかりだとクレジットカードの審査に通りにくいって本当?
一般論として、起業したばかりでは社会的な信用性に乏しいことから、カードの審査には通りにくいといわれています。しかし、近年では審査基準が緩やかになってきているのも事実です。ここでは、カード審査がどのように行われているのかを解説します。
クレジットカードの種類
クレジットカードには一般的に法人用と個人用の2種類があります。法人用クレジットカードは法人だけでなく、個人事業主が事業用として利用する場合にも作ることができます。
クレジットカードの審査基準
法人用クレジットカード
以前の法人用カードの審査では、登記事項証明書や確定申告書の提出が求められ、事業の継続年数や決算の状況などが厳しく審査されていました。しかし、近年では登記事項証明書などの提出が求められることは少なく、個人の信用に問題がなければ、たとえ赤字であっても法人用カードを作ることができます。
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個人用クレジットカード
個人用クレジットカードは「安定収入があること」「過去に自己破産などの金融事故を起こしていないか」「複数のカード会社と契約していないか」などが審査のポイントになります。
特に「安定収入があること」は審査において重要なポイントです。そのため、起業したばかりで安定収入のないフリーランスや自営業の人は、審査に通りにくいことがあります。
これから起業をする人でクレジットカードを持っていない場合は、起業する前の会社員時代に個人用クレジットカードを作っておくことをおすすめします。
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起業後すぐにクレジットカードは作れる?
経営者・事業主個人名義の法人カードを作ることは可能
起業した直後でも法人用クレジットカードを作ることができます。法人用といっても、この場合は個人名義で使用する事業用の法人カードを指します。
審査の対象を「個人事業主」や「法人代表者」としている法人カードは個人での契約のため、申し込みの際に法人関係の書類は必要ありません。運転免許証や個人番号カードなどの本人確認書類だけで申し込みが可能です。ただし、決済口座は個人名義となります。
起業して間もない場合に、すぐにでも法人カードを取得したいのであればこのタイプがおすすめです。
法人名義の法人カードは設立した直後では難しい
「法人名義のカードが欲しい」「法人口座を決済口座にしたい」という場合は、登記事項証明書などの法人格を証する書類が必要です。
しかし、登記事項証明書は会社設立登記などの設立手続きを完了していなければ入手できません。この設立手続きには数週間を要します。
また、法人名義のカードの審査は厳しく、審査にも一定期間を要するため、会社設立後すぐに法人名義のカードを作るのは難しいといえます。
起業するうえでクレジットカードの作成をおすすめする理由
起業した際にクレジットカードがあれば、さまざまなビジネスシーンにおいて業務を効率的に進めることができます。ここでは、起業するうえでクレジットカードが必要な理由について見ていきます。
資金管理がしやすい
クレジットカードは後払いのシステムなので、資金管理がしやすいという特徴があります。例えば、今は資金不足でも月末までに資金を用意できるといった場合などは、不足していたお金をカード支払いに回せます。
このようにクレジットカードを利用することで、計画的に資金管理をしながら、事業を効率よく進めることが可能です。
また、クレジットカードには借入枠があり、限度額の範囲内でお金を借りることができます。起業しても事業が軌道に乗るまでには時間がかかることもあります。クレジットカードは、万が一資金が不足した場合の補填としても利用できます。
経費管理が楽になる
会計ソフトと連携させられる
クレジットカードを持つメリットとして、経費管理を効率化することができます。市販の会計ソフトは銀行やクレジットカード会社と連携しており、取引明細を自動で会計ソフトに取り込む機能があります。
この機能により、領収書などをひとつひとつ確認しながら手入力をする必要がなく、また入力漏れも防ぐことができます。事業用の支払いをすべてクレジットカードにまとめ、会計ソフトと連携させることで、経理処理も効率的に行うことができます。
コスト管理が可能
クレジットカードの明細を見直すことで、どのような経費をどれくらい事業に使っているかといった情報も一覧で見ることができます。自分が思っている以上に事業に関わる経費を使っていたと判明すれば、経費の見直しを行い、コスト削減などにつなげることができます。
ポイントや特典の利用・福利厚生など
クレジットカード会社は、ポイントサービスやさまざまな特典を提供しています。クレジットカードで決済をすると利用額に応じてポイントが付与され、貯まったポイントを現金や商品券と交換できます。
また、海外旅行保険などの利用やスポーツジムの割引利用ができるものもあります。
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起業前後にクレジットカードを作る方法
「起業した直後はクレジットカードが作れない」と考えている人は多いのではないでしょうか。ここでは起業前後にクレジットカードを作る方法について解説します。
退職前に個人用クレジットカードを作成する
法人用クレジットカードの代替として使用できる
起業した直後に申し込める法人用クレジットカードもありますが、起業する前、つまり会社を退職する前に個人用クレジットカードを1枚作っておくことをおすすめします。個人用クレジットカードを作っておけば、法人用カードが発行されるまでの間、代わりとして使うことができます。
個人用クレジットカードで事業経費を支払うと、プライベートでの使用分と混同し、経費管理が面倒になるといったデメリットがあります。しかし、前述したようにそれを上回るだけのメリットがあります。あくまでも法人用カードを作るまでの代替手段として、十分に利用価値はあるでしょう。
会社員での「勤続年数」が長いほどカード審査は有利
個人用クレジットカードでは「勤続年数」が審査の重要なポイントとなります。勤続年数が長ければ、社会的信用も高く評価されるため、カード審査にも通りやすくなります。起業後に法人カードを作るまでの間、個人用クレジットカードでの代用を検討している人は、退職前に個人用カードを作成しておきましょう。
起業後に法人名義のクレジットカードを作成する
設立登記完了後、まずは登記事項証明書などの必要書類を揃え、口座を開設したい金融機関に申し込みます。設立登記には2〜3週間、金融機関の審査に1~2週間程度かかります。したがって、会社設立の登記申請から口座開設までおおよそ1カ月はかかると見ておきましょう。
法人口座の開設が完了すると、法人用クレジットカードの申し込みとなります。カード会社においても審査が行われるため、設立登記の申請から法人用クレジットカードの発行まで1~2か月程度かかることになります。
起業後の法人カード作成における注意点
法人カードの作成には登記事項証明書など必要な書類を揃えなければなりません。しかし、法人カードに必要な書類を用意するためには一定期間を要するため注意が必要です。ここでは、法人カードを作る際の注意点について見ていきます。
会社設立登記について
設立登記申請書を管轄する法務局に提出した日(登記申請日)が会社の設立日となりますが、登記申請日に登記が完了するわけではありません。
法務局において申請内容の精査が行われるので、登記が完了するまで2~3週間かかります。この間、クレジットカードの申し込みに必要な登記事項証明書や印鑑証明書は取得できません。
法人名義の口座開設について
法人カードで決済するには法人名義の口座が必要となります。法人名義の口座を開設するために必要となる書類は金融機関によって異なりますが、ほとんどのケースで登記事項証明者や代表者の印鑑証明書が求められます。したがって、設立登記が完了しなければ口座を開設できません。
起業前後の準備・スケジュールまとめ
上記で紹介した内容を含め、「退職」から「起業」「会社設立」までの流れをまとめると以下のようになります。退職前から起業の準備を始めておくのがポイントです。
退職前に個人用クレジットカードを作る
退職前に起業の準備、設立登記申請の準備を始める
退職後は開業届や登記申請をスムーズに行い、事業用口座や法人口座を開設する
起業後、法人口座を開設して法人カードを申し込む
会社設立の場合、設立登記が完了すれば登記事項証明書や印鑑証明書などを取得できるようになり、「法人口座」や「法人カード」を作ることができます。法人口座開設をスムーズに行えるように書類の準備を万全にしておきましょう。
カード決済が必要な場面で法人カードの発行が間に合わない場合は、個人用クレジットカードで代替するといいでしょう。
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事業用のクレジットカードを選ぶ際のポイント
ここでは、起業する人はどのような特徴のあるクレジットカードを選ぶべきかについて見ていきます。一般的にクレジットカードを選ぶ際に検討する事項は以下の通りです。
カード利用枠(利用可能額)が大きい
カード利用枠(利用可能額)とは、クレジットカードで月当たりに利用できる最大金額をいいます。一般的に、法人カードのほうが個人カードよりもカード利用枠が大きめに設定されています。
ビジネス付帯サービスが充実している
一般的な法人カードは、ビジネス付帯サービスが充実しています。たとえば、国内外の旅行傷害保険の補償や国内外の空港ラウンジの利用、ETCカードの無料発行、スポーツジムの会費の優遇制度などがあります。自身の事業に合ったサービスが付いているか、カードを選ぶ際に確認しましょう。
年会費が高すぎない
個人カードよりもサービスや機能が充実しているため、法人カードの年会費はほとんどのケースで有料に設定されています。サービス・機能・年会費が事業にマッチしているかを考慮して、年会費が相応であるかどうかを検討しましょう。
ポイントが貯まる・還元率が高い
法人カードでも個人カードと同じように、使用することでポイントが貯まるものがあります。オフィスの水道光熱費、賃料、通信費など毎月発生するような費用をカード決済にすることで、ポイントを効率的に貯められます。
会計ソフトと連動できる
最近のクラウド型の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードのデータを自動で取り込んで帳簿に反映する機能があります。クラウド型の会計ソフトと連動できるクレジットカードを選択することで、会計事務を大幅に省力化できます。
for Ownersの特徴
上記、5つの特徴にあてはまるカードはいくつかありますが、「 for Owners」もそのうちのひとつです。
「for Owners」は国内外の保障サービスや海外への航空券、ホテル予約サービスなど充実したサービス内容となっています。また、法人カード限定の専用サービスや緊急時のキャッシュサービス、カード紛失時の補償サービスなども充実しています。
学生起業の場合、クレジットカードはどう選ぶべき?
学生が起業した場合、作成できるクレジットカードの種類は「法人カード」と「学生専用カード」の2つです。
法人カードがおすすめなケース
法人カードを取得できるかどうかは法人の売上規模や個人の年収にもよります。したがって、設立した会社が優良企業で将来性のある会社であれば、代表者が学生であっても問題なく法人カードの発行を受けることができます。
学生専用カードがおすすめなケース
「学生専用カード」は利用限度額が10万円程度であるため、事業用に使うのは限界があります。ある程度の事業規模になった後、法人カードの作成を検討するといいでしょう。
学生がクレジットカードを持つ際の注意点とは?お得な使い方やメリットなど総まとめ
まとめ
クレジットカードを事業に活用することで、事業の効率化といったメリットを受けることができます。なお、起業前後でも、事業用のクレジットカードを作成することは可能です。
ただし、できれば起業前からクレジットカードを作成することを念頭において、起業準備を進めるのが賢明です。そうすることで、起業後においても事業をスムーズに開始できるようになるでしょう。