起業するためには、多くの資金準備が必要です。実際にいくら必要なのか、どうやったら調達できるのかなどの不安を抱えている人も多いでしょう。
この記事では、起業に必要な資金と調達の方法について解説します。将来起業しようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
起業するにはいくら資金が必要?
起業するのにどのくらいの資金が必要になるのか、具体的にかかる費用と事業形態ごとの違いを解説します。
開業に必要な費用
開業にあたって具体的に必要な費用は以下の6つです。業種や事業規模によって異なるため、自分のケースに当てはめて計算してみましょう。
①事務所や店舗の取得費
事務所や店舗を賃借する場合は、敷金や礼金、保証料、仲介料、火災保険の保険料などが必要です。
②改装、設備費
事務所や店舗として使用する場合は、内装や外装、電気、配管などの工事や、販売設備の設置工事などの費用がかかります。
③備品の購入費
パソコンなどのオフィス機器、空調機器、厨房機器(飲食店)、事務用品や消耗品などの費用がかかります。
④販売促進費、広告費
ホームページの作成費やチラシ、案内状や記念品の準備などが必要です。
⑤仕入れ費用
商品在庫や材料などを仕入れるための費用が必要です。
⑥当面の運転資金
事業が軌道に乗るまでの当面の運転資金も必要です。具体的には以下のような費用です。
西日本シティ銀行のビジネスローン
事業形態ごとに必要な費用は異なる
上記で解説した費用は事業形態によって要る、要らないに分けられます。それぞれのケースごとに必要な費用は以下のとおりです。
個人事業(フリーランス)として独立した場合
事務所や店舗が不要な場合は、上記のような開業資金は必要ありません。当面の生活資金として、3か月程度を準備しておきましょう。
個人事業主(フリーランス)として開業した場合
個人で飲食店や小売店などを開業する場合は、店舗設営に多額の資金が必要です。設備や改装費などを含め、規模によっては1,000万円以上必要になる可能性もあります。
また、当面の運転資金も少なくとも3か月程度は準備しておきましょう。
法人を設立した場合
上記の開業資金に加えて、法人設立のための費用が必要です。
株式会社の設立には以下のような費用がかかります。
手続きを司法書士に依頼した場合、上記に加えて約10万円程度の報酬が発生します。また、法人設立にあたっての資本金も準備しなければなりません。
資金調達する3つの方法
自己資金でまかなえない場合は、外部から調達する必要があります。
ここからは、資金を調達するための3つの方法を解説します。
方法1:金融機関からの借り入れ
銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受ける方法です。
日本政策金融公庫の新創業融資制度
日本政策金融公庫は、国が100%出資している金融機関です。これから起業する人に対しての創業融資を行なっています。
申し込みから融資実行までの期間が1か月と早く、無担保無保証、連帯保証人不要でも最大3,000万円の融資を受けられます。利息が低く、借入期間が長いのも特徴です。
日本政策金融公庫
信用保証協会の融資
信用保証協会は事業者が借り入れを行なう際に保証人となり、融資を受けやすいように支援してくれる公的機関です。
中でも地方自治体が実施する制度融資は、各自治体と信用保証協会とが連携し、無担保無保証のうえ低金利で融資を受けることができます。
福岡県信用保証協会
方法2:国や地方自治体の補助金、助成金
国や地方自治体の補助金や助成金制度を活用して、資金を調達する方法です。
創業補助金
新たに創業する人のための返済不要の給付金です。最大で200万円の補助を受けることができます。
要件が複雑で募集期間も短いため、申請が必要な人は早めの準備が大切です。
よろず支援拠点などの補助金相談窓口
方法3:資金提供を受ける
起業に際して直接的な出資を依頼することで、資金を調達する方法です。
親族や知人からの借り入れ
親族や知人から資金を借りる方法です。
人間関係を失わないためにもしっかりと返済計画を立て、金銭消費貸借契約書を交わしておくことが重要です。
ベンチャーキャピタル
成長が見込まれる未上場企業に株式として投資することでリターンを狙う投資会社です。出資してくれる投資家を「エンジェル投資家」と呼びます。
経営戦略やビジョン、事業主の情熱などに惚れ込んで出資する投資家も多いため、自信があれば挑戦してみましょう。
クラウドファンディング
自身のプロジェクトをネットに公開し、支援者から資金を募る方法です。有名人や著名人などにより、近年注目を集めています。
返済の必要はありませんが、サービスや商品でお返しをする必要があります。
法人カードからも借り入れが可能
上記3つの方法以外におすすめなのが、法人クレジットカードを使う方法です。法人クレジットカードは経費の支払いに使用できるだけでなく、キャッシング枠で現金の借り入れも可能です。
おすすめの法人カード
法人や個人事業主におすすめなクレジットカードは、西日本シティ銀行の事業者向けビジネスカード「for Owners」です。2種類のカードの特徴と、おすすめポイントを紹介します。
西日本シティ銀行ビジネスカード for Owners クラシック
初年度年会費が無料で、2年目以降も年間10万円以上利用で無料
利用枠は最大50万円まで、キャッシング枠は最大50万円まで
登記簿や決算書が不要で、WEBで簡単に申し込み可能
営業年数は不問で、設立間もない人でも申し込み可能(満20歳以上)
ポイントが個人カードと合算できる
西日本シティ銀行ビジネスカード for Owners ゴールド
ゴールドカードの信頼度と充実したサービスが受けられる
利用枠は最大100万円まで、キャッシング枠は最大50万円まで
登記簿や決算書が不要で、WEBで簡単に申し込み可能
営業年数は不問で、設立間もない人でも申し込み可能(満30歳以上)
ポイントが個人カードと合算できる
最適な資金調達の方法を選択しよう
3つの資金調達方法には、メリットとデメリットがあります。しっかり理解したうえで、自分に合った最適な方法を選択しましょう。
融資のメリット、デメリット
金融機関から融資を受ける際のメリット、デメリットは以下のとおりです。
メリット:誰でも平等に資金調達が可能
一定の条件さえ満たし、しっかりとした創業計画があれば誰でも融資が受けられます。
デメリット:返済に利息がかかる
収支見込みには、しっかりと返済額と利息額を組み込んでおく必要があります。
補助金のメリット、デメリット
国や地方自治体から融資を受ける際のメリット、デメリットは以下のとおりです。
メリット:返済が不要
返済の負担がないため、創業期は事業拡大に専念できます。
デメリット:認可のハードルが高い
競争が激しく採択率は15~20%と低いため、確実に受け取れるとは限りません。
資金提供のメリット、デメリット
投資家からの出資やクラウドファンディングを使う際のメリット、デメリットは以下のとおりです。
メリット:自分の事業を支援してもらえる
支援してもらうことで事業者のモチベーションは上がり、業績に影響することもあります。
デメリット:出資者がなかなか見つからない
そう簡単に出資者は見つからないため、資金調達の確実性は低いです。
お金を確保するタイミングとは
最後に、起業にあたって資金準備が必要なタイミングについて解説します。タイミングに合わせてお金を確保できるよう、事前に把握しておきましょう。
起業までの5つのステップ
起業するまでの手順は以下のとおりです。
起業したい事業のビジョンを具現化する(どんな会社にしたいか)
具体的な事業計画を立てる(売上や経費の見込み)
資金計画を立てる(必要な設備や備品などの予算)
資金調達を行なう(資金調達の方法を選択)
起業手続きを行なう(開業届を提出)
つまり資金調達に着手する前に、しっかりと事業へのビジョンや計画を立てておくことが重要です。無計画な資金調達や過剰な借り入れは、経営の圧迫にもなりかねません。
自己資金と調達する資金の役割を分けておく
自己資金と外部から調達する資金は、以下のように役割を分けておく必要があります。
自己資金 | 調達する資金(他人資金) |
・事務所や店舗の取得費用 ・会社設立のための費用 ・資本金 ・当面の生活費 | ・設備費、改装費 ・備品の購入費 ・販売促進費、広告費 ・仕入れ費用 ・運転資金(人件費など) |
資金調達は、自己資金によって事業の目途が立ったタイミングで行ないましょう。
借り入れには住所確定が条件
金融機関の融資の申し込みには、住所の確定が条件です。事務所や店舗を構える場合は、先に物件の契約を進めましょう。
物件契約に必要な敷金や礼金、仲介手数料、火災保険の保険料などは、あらかじめ自己資金で準備しておく必要があります。
会社設立をする場合は、設立費用と資本金は自己資金で準備
会社を設立するには、管轄の法務局で法人登記申請が必要です。その際、設立費用として約25万円が必要になります。これは自己資金で準備しておきましょう。
また、会社設立には資本金が必要です。資本金は1円でも可能ですが安定した会社経営のためにも、借り入れに頼らずに自己資金で100万円程度は準備しておきましょう。
当面の生活費は必ず確保しておく
起業したからといって、すぐに収益が得られるとは限りません。事業が軌道にのるまでの当面の生活費は、最低でも3か月分を自己資金で確保しておきましょう。
設備や備品、仕入れは資金調達の目途が立ってから
まとまった資金が確保できる見込みがないと、高額の設備や改装費用などは支払えません。資金調達の目途が立ち、開業資金の予算組みができてから店舗の設営に取りかかりましょう。
西日本シティ銀行のビジネスローン
まとめ
起業にはさまざまな資金が必要です。資金調達には大きく分けて融資、補助金、資金提供という3つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選択することが大切です。
資金調達は計画的に行ない、起業準備を円滑に進めましょう。
ビジネスカード「for Owners」の特徴とは
「for Owners」は、一般的なビジネスカードと概要はほとんど同じです。しかし、「for Owners」ならではのさまざまな特徴があり、特に設立1年目のスタートアップ企業や個人事業主・フリーランスにおすすめのビジネスカードです。
「for Owners」の特徴や審査などについて見ていきましょう。
「for Owners」の年会費・限度額
「for Owners」では、クラシックカードとゴールドカードの2種類が用意されています。
クラシックカード
クラシックカードの年会費は通常1,375円(税込)ですが、初年度は無料です。パートナー会員用のカードを発行する場合は、1名あたり別途440円(税込)がかかります。
限度額は、原則として10万円から150万円です。カードに付帯している海外旅行傷害保険の最高額は2,000万円で、事前に旅費などを「for Owners」で決済していることが条件です。
ゴールドカード
ゴールドカードの年会費は11,000円(税込)で、パートナー会員のカード発行は1名あたり2,200円(税込)です。限度額は原則50万円から300万円となっています。
クラシックカードとは違い、カード付帯の旅行傷害保険は国内旅行での事故も対象となります。補償額は最高5,000万円です。
「for Owners」の審査について
個人の情報をもとに審査される
一般的なビジネスカードでは、事業の財務状況などが問われます。しかし、「for Owners」は個人与信での審査となります。法人としての実績の有無ではなく、代表者個人の情報をもとに審査が行われるということです。
また、「for Owners」では審査時に営業年数が問われません。そのため設立して1年未満の場合でもビジネスカードを発行できます。
「for Owners」を利用するメリット
申し込みが簡単
「for Owners」は、インターネット上から簡単に申し込むことができます。事業の登記簿や決算書の提出は不要となっているため、申し込み時の提出書類も最低限で済みます。
カード決済口座を個人名義にできる
「for Owners」では、カードの決済口座を個人名義にすることができます。したがって、スタートアップして間もなく、法人名や屋号のついた銀行口座を保有していない場合でもカードの発行が可能です。
事業の経費軽減につながる
法人や個人事業主が事業を進める場合、いかに経費を削減していくかが課題になります。「for Owners」で支払いをすれば、清算の手間を省くことができ、振込手数料もかかりません。
これまで自身で行っていた経費にかかる支払をカード1枚で済ませられるので、経費精算に要する時間短縮にもつながります。
ETCカードの発行・電子マネーの利用が可能
「for Owners」を発行すると、追加カードとしてETCカードを発行できます。さらに電子マネーを利用することも可能です。
「for Owners」で利用できる電子マネーは以下の5つです[2021年(令和3年)1月現在]。
● iD(docomoの決済サービス)
● Apple Pay
● プラスEX
● PiTaPa
● WAON
ポイント還元を受けられる
「for Owners」を利用すると、独自のポイントが還元されます。クラシックカードでの有効期間は2年、ゴールドカードでは3年です。ポイントの還元率は0.5%で、公共料金や通信費の支払いでも還元されます。
還元されたポイントは、他の電子マネーに移行したり、ANAのマイルに交換したりすることができます。
法人カード専用のサービスがある
「for Owners」には、ビジネスにおいて便利に活用できる特典もついています。オフィス用品の通販サイト・アスクルのほか、日産レンタカー、タイムズカーレンタル、アート引越センターなどを特別価格で利用できます。
「for Owners」はどんな人におすすめ?
ここまでの内容をまとめると、「for Owners」は特に以下のような人におすすめです。
● これまでに別の法人カードの審査に落ちた人
● 起業して間もないスタートアップ企業の代表者
● 法人格のない個人事業主やフリーランス
● 経費節約のために毎月の振込手数料を抑えたい人