会社経営に役立つ資格5選!事業分野別に必要なおすすめの資格も紹介
起業して経営者になると、リーダーとして日々さまざまな判断を求められます。経営判断を誤ることなく会社経営を軌道に乗せていくには、どのような知識・スキルを身につけておけばよいのでしょうか。
今回は、経営者が資格を持つべき理由や起業したときに役立つ資格を紹介します。
経営者が資格を持つべき理由とは
会社経営を行うために、資格が必要か疑問に感じるかもしれません。資格を保有していなくても、経営者として素晴らしい実績を残している人もいるでしょう。
しかし、経営者には会社の事業領域にとどまらない、幅広い知識や経験が求められます。資格の勉強を通じて得た知識やスキルは、会社経営におけるさまざまな場面で役立つといえます。
経営者が資格を持つべき主な理由は以下の通りです。
経営判断に必要な知識・スキルを習得できる
経営者は会社の業績向上のために、日々多くの判断をしなくてはなりません。経営者が下す決断の1つ1つが取引先や従業員などに影響を与えるため、その責任は重大といえます。
時には直感も大事ですが、基本的に経営者の決断には周囲を説得できる根拠が必要です。事業内容によっては、法律や税務などの問題が関係することもあるでしょう。
資格を取得して幅広い知識を身につけておけば、的確な経営判断を行えるようになります。
従業員とのコミュニケーションに役立つ
会社経営を安定させるには、従業員とのコミュニケーションも重要です。経営者が経営理念やビジョンを明確に示すことで従業員の仕事に対するモチベーションは上がり、社内の雰囲気もよくなります。
コミュニケーションがうまくいっていれば、トラブルやビジネスチャンスが発生したときに、部下から報告が入りやすくなると考えられます。
コミュニケーションやマネジメントに関する知識やスキルを習得して実践することで、従業員からの信頼を得られます。
取引先との信頼関係を構築しやすい
長期にわたって安定した取引を行うために、取引先との信頼関係を構築することも経営者の重要な仕事の1つです。
ビジネスにおいて、資格は一定の知識・能力を習得している証明となります。資格の内容によっては、取引先から「経営者として一定の能力がある」と認めてもらえるでしょう。
また、資格勉強で得た知識を活用することで、自社の商品やサービスについて説明するときにも説得力が増します。
新たな事業アイデアを思いつきやすい
会社の規模や業績を拡大するためには、新商品やサービスを提供したり、新たな事業へ挑戦したりすることも必要です。従来の考えにとらわれることなく、異なる分野の知識・経験を掛け合わせることで、魅力的なアイデアが生まれる可能性もあります。
資格勉強を通じて幅広い知識を習得すれば、新たな事業アイデアが思いつきやすくなるかもしれません。
起業したときに役立つ資格5選!

資格にはさまざまな種類があり、習得できる知識や専門性、難易度によって価値や信頼度は変わってきます。会社経営やビジネスに活かすなら、どのような資格を持つのがよいのでしょうか。
ここでは、経営者や起業を考えている人向けの資格を5つ紹介します。
MBA(経営学修士)
MBA(Master of Business Administration)は、経営学修士と呼ばれる学位のことです。経営学の大学院修士課程を修了すると授与されます。正確にいうとMBAは資格ではなく「学位」であるため、MBA取得による独占業務などはありません。
MBAは、1~2年間大学院で学んで修了しなくてはならないため、難易度は高いといえるでしょう。また、数百万円程度のまとまったお金が必要になる点にも注意が必要です。
会社経営に必要な幅広い知識を習得できる
MBAはリーダーシップやマネジメント、経営戦略、マーケティング、財務会計など、必要な知識を幅広く学べるのが特徴です。
単なる知識のインプットではなく課題に関するディスカッションなども行われるため、実践的な能力を鍛えられます。また、受講生同士のつながりができれば、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあるでしょう。
時代の変化に対応しながら会社経営を行っていくうえで、MBAは長い目で見れば大きなプラスとなるため、多忙であっても取得してみてください。
中小企業診断士
中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。中小企業者に対して経営コンサルティングを行う国家資格であり、成長戦略の策定と実行のためのアドバイスが主な業務となります。
中小企業診断士試験には、「1次試験(マークシート形式)」「2次試験(筆記・口述)」「実務補習・実務従事」の3段階あります。
1次試験では企業経営についての基本的な知識、2次試験では経営診断や助言に関する能力が問われます。2次試験合格後、実務補習を受けるか実務に従事することで、中小企業診断士として登録申請が行えます。
中小企業の経営や課題解決に役立つ
中小企業診断士資格を取得すると、経済学や財務会計、経営法務など、中小企業経営に必要な知識が身につきます。また、経営診断や助言を目的とした資格であるため、自社の経営課題を見つけやすくなり、その解決にも役立ちます。
MBAと比較されることもありますが、中小企業の経営者であれば、中小企業診断士が向いているかもしれません。
中小企業診断士試験の合格率は1次試験が20~40%、2次試験が18~19%です。難易度は高めですが、取得できれば会社経営に活かせるでしょう。
税理士
税の専門家(国家資格)です。「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つは、税理士の独占業務となっています。
税理士は税理士試験を受験して、会計科目2科目(簿記論、財務諸表論)と税法科目3科目(所得税法、法人税法など)に合格しなくてはなりません。
各科目の合格率は11~19%程度ですが各科目の学習内容が広範囲にわたるため、5科目全てにおける難易度は高いといえます。
会社経営に不可欠な税務の知識が身につく
会社経営において、税務会計は必ず身につけておきたい知識の1つです。
法人・個人事業主に関わらず、事業を行っていれば毎年確定申告が必要です。また、税金は業績や資金繰りにも影響を与えるため、経営者は正しい税務知識を習得する必要があります。
税理士資格を取得すれば税に関する専門的な知識が身につくため、会社経営に活かせるでしょう。また、税理士として独立開業を目指すことも可能です。
日商簿記検定
商工会議所が実施している簿記検定です。
簿記とは、企業の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。簿記を学ぶことで経理実務を理解し、貸借対照表や損益計算書といった帳簿書類を作成できるようになります。
日商簿記検定は、初級・3級・2級・1級の4段階があります。最初は業種、職種に関わらずビジネスパーソンが身につけておくべき基礎知識と位置づけられている3級から学習するのが一般的です。
2級では工業簿記、1級になると会計学や原価計算も学習範囲に加わり、より高度な知識が求められます。
さまざまな種類の帳簿から会社の状況を読み解く
経営者にとって、簿記は必須の知識といえます。会社経営がうまくいっているかを判断するには、貸借対照表や損益計算書といった帳簿書類を読み解く必要があるからです。
売上や利益率の変化から早い段階で経営上の問題点に気づくには、帳簿を読み解く力が必要です。また、経営者が経理処理を行うことはなくても簿記の知識があれば、経理担当者や顧問税理士とスムーズにやり取りができます。
経営者であれば、帳簿の数字から経営状況を把握・分析できるように、2級取得を目指すといいでしょう。
ビジネス実務法務検定
営業や販売、総務、人事などあらゆる職種で必要とされる法律知識が習得できる検定試験です。東京商工会議所が実施しており、3級・2級・1級の3段階あります。
3級は、ビジネスパーソンとして最低限知っておくべき法律の基礎知識を想定しています。2級になると、弁護士などの専門家への相談といった対応が可能になります。1級は法務知識に基づいて高度な判断・実務対応ができるレベルと位置づけられています。
「企業取引の法務」「債権の管理・回収」「企業と従業員との関係」「国際法務」など、学習内容は多岐にわたります。
ビジネスに必要な法律知識が身につく
ビジネスでは取引先との契約をはじめ、さまざまな法律が関わってきます。経営者が事業について判断を行う際は、「売れるか、うまくいくか」という視点だけでなく、「法律上問題がないか」も考慮しなくてはなりません。
法律知識は業務上のリスクを未然に防ぐために、不可欠なものです。よって、経営者として知らないでは済まされない部分があります。詳細は弁護士に相談するとしても基礎知識は身につけておく必要があるため、2級を目標にするといいでしょう。
事業分野別のおすすめ資格一覧

どの業界で起業・独立するかによって、必要な知識や資格も変わります。ここでは、事業分野別におすすめの資格を紹介します。
【IT業界】ITパスポート・基本情報技術者
IT業界で起業を目指すなら、「ITパスポート」と「基本情報技術者」の2つがおすすめです。
ITパスポートとは、ITに関する基礎知識を習得していることを証明する国家試験です。情報システムやネットワーク、データベースなど、ITの基礎知識が得られます。
基本情報技術者は、IT知識・技能が一定以上の水準であることを認定するための国家試験です。ITエンジニアの登竜門といわれており、情報技術を活用した戦略立案やシステム設計・開発・運用などに関する知識を習得できます。
まずはこの2つを足掛かりにしてITの基礎を身につけたうえで、より上位の資格取得を目指すといいでしょう。
【金融業界】ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー(FP)は、個人のお金の悩みについてサポートし、解決策をアドバイスする専門家です。年金や保険、資産運用、住宅ローン、相続など、FPにはお金に関する専門知識が求められます。
FPは幅広い知識を活かして個人のライフプランの作成を支援したり、保険や資産運用、相続などに特化して活動したりできます。
3級、2級、1級の3段階あり、日本FP協会の「AFP(FP2級相当)」「CFP(FP1級相当)」という資格もあります。FPとして独立したいなら、最低でもFP2級(AFP)の取得を目指すといいでしょう。
【不動産業界】宅地建物取引士
不動産取引の専門家(国家資格)です。不動産売買や賃貸借契約を紹介する際に購入者や借り手に対して、物件や契約内容について詳しい説明ができるようになります。
宅地建物取引業者は、事務所の規模や業務内容に応じて一定数の宅地建物取引士(専任)を置かなければなりません。宅地建物取引士試験では、宅建業法や民法など不動産に関する幅広い専門知識が問われるため、不動産業界では必須の資格といえるでしょう。
どんな資格がよいかわからない場合は専門家に相談を

ここまで経営者におすすめの資格を紹介してきましたが、自身に合っているものが判断できないかもしれません。その場合は、専門家に相談するのも1つの方法といえます。
西日本シティ銀行の「NCB創業応援サロン」では、専門スタッフである創業カウンセラーが、創業に関するさまざまな相談に応じています。
起業や独立を検討しているなら、資格取得を含めてNCB創業応援サロンの創業カウンセラーに相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
資格を持っていなくても会社経営や起業は可能です。しかし、資格を取得して幅広い知識を得ることは、経営者として活動するうえで多くのメリットが期待できます。
会社経営・起業準備との両立は大変ですが、経営者としてレベルアップするために資格の取得を検討してみましょう。
- 資格
Writer
AFP、2級FP技能士
会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。
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