お役立ち

助成金と補助金の違いとは?経営者が知っておきたいお金の基礎知識

By 河野 雅人 |
公開日 2020.06.29

補助金と助成金の違いって何?西日本シティ銀行のメディアが解説!

「助成金」や「補助金」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。いずれも国や地方自治体からもらえる返済不要の交付金であり、何らかの施策や事業に対して、その取り組みに要した負担金の一部を後から支給されるものです。

それでは、助成金と補助金という言葉はどのように使い分けられており、どのような違いがあるのでしょうか。今回は2つの違いについてまとめるとともに、創業時に使える助成金や補助金について紹介します。

1.助成金と補助金の意味や管掌行政機関の違いとは?

助成金も補助金もお金が支給されるという意味では同じです。しかし、それぞれを管掌する行政機関、すなわち、制度を設ける行政機関が異なります。以下、詳しく解説します。

助成金の意味・主管

厚生労働省の取り扱いが多い一方、自治体が管掌する助成金もある

「助成金」は、多くが厚生労働省の管掌であり、雇用や労使に関係する支援金です。また、少ないながら自治体が管掌する助成金もあります。

基本的に、助成金は「法令を守りつつ、従業員の労働環境の向上を積極的に図る事業に対する報奨金」という性格を持ちます。

補助金の意味・主管

経済産業省や地方自治体が管掌しているものが多い

「補助金」は、経済産業省や地方自治体が管掌しているものが多いです。

国や地方自治体の政策を推し進めるために、その政策目的に合致する事業を行う会社や個人事業主を支援する性格を持っているのです。

2.助成金と補助金の財源の違いとは?

助成金は雇用保険料が財源

助成金は、会社が支払っている「雇用保険料」が財源となっています。

雇用保険料は会社の負担割合が低く、毎月無理のない範囲で事業主に納めてもらうことができる性質を持ちます。

雇用保険料を助成金の財源とする仕組みになっているため、「助成金」を利用できる会社や事業主は、雇用保険の適用事業者でなければなりません。

補助金は税金が財源

国や地方自治体から公募されている補助金の財源は「法人税」です。

当然ですが、法人税を納めていない会社や滞納のある会社は、補助金の申請をすることはできません。法人税をきちんと支払っている事業者のみ補助金を活用することができます。

3.助成金と補助金の受給条件や申請対象の違いとは?

助成金の受給条件・申請対象

①雇用保険に加入していること

先ほどお伝えしたように、助成金の財源は会社が支払っている雇用保険料です。したがって、助成金を利用できる会社の条件として「雇用保険の適用事業者(雇用保険への加入)であること」が挙げられます。

ただし、一定期間を超えて労働保険料を滞納している企業は、助成金を受給できないことがあるので注意が必要です。

②法律上の必要な帳簿などを整備していること

助成金を申請する際には労働者名簿、就業規則、賃金台帳、出勤簿などを添付書類として提出します。助成金の種類によっては定款や登記簿謄本、会計帳簿なども必要となります。

③適正な労務管理をしていること

不正受給防止のために、必要な届け出をしているか、未払賃金がないかなどが申請の前後に調査されます。過去3年間に不正受給をした、またはしようとした会社は受給できないことがあります。

また、人材の雇入れに関する助成金では、雇入れ前後の6か月間に事業主の都合により解雇したり、特定受給資格者となる離職者を3人超かつ被保険者数の6%発生させたりした場合、受給できないケースが筆者の周りでは多くなっています。

条件を満たしているか、積極的に確認すべき

助成金を利用したことのある会社は、制度についての知識があるため、条件に合致すれば何度も助成金を受給できることを知っています。一方で、制度を知らなければ受給機会を逃してしまいます。

厚生労働省から助成金に関するアナウンスはあるものの、それに気付きにくいことが要因として挙げられるでしょう。これを機会に、自身の会社が条件に合致するかどうかを精査し、条件に当てはまる場合は制度を積極活用してみてはいかがでしょうか。

補助金の受給条件・申請対象

補助金ごとに条件などが異なる

補助金は、国のさまざまな政策ごとにいろいろな種類があり、それぞれの補助金の「目的・趣旨」と、自身の事業内容が合致する必要があります。

すべての経費が交付されるわけではないので、事前に募集要項などで補助対象となる経費や補助の割合、上限額などを確認するようにしましょう。

4.助成金と補助金の募集方法・募集期間の違いとは?

助成金の募集方法・募集期間

助成金は、一般的に随時募集していますが、予算がなくなり次第終了となります。通常、1か月~2か月程度で締め切りと考えておくとよいでしょう。

補助金の募集方法・募集期間

補助金は年1~3回程度の公募となります。公募の募集期間は、一般的に数週間から1か月程度であるため、短期間で申請しなければなりません。

事業計画のイメージや事前の準備が大切

助成金も補助金も、締め切りまで約1か月程度と募集期間はたいへん短くなっています。普段から事業計画をイメージし、やりたいことを書面にまとめておくようにしておかなければなりません。

「助成金や補助金があるから、この事業を始めよう」という流れではなく、自分がやりたいことをまず頭の中でイメージすることが大切です。あらかじめ事業計画を立て、事業に該当しそうな助成金・補助金が発表されたときにすぐに対応できるようにしておきましょう。

説明会や過去の募集を参考にする

毎年3月から6月の時期は、新しい助成金や補助金の募集が多く、説明会も開催されるため、まめにチェックすることが大切です。過去にどのような募集が行われてきたのかを調べるのも参考になるといえます。

この時期の募集枠が埋まらなかった場合や申し込みが殺到した場合などは、予算が補正され、2次募集・3次募集などが行われることもあるため、見逃さないようにチェックしておきましょう。

4.助成金と補助金の採択率の違いとは?

採択率とは、申請して審査に合格し支給を受けることができる割合をいいます。

助成金の採択率

助成金は、給付条件を満たしていれば問題なく支給されるケースがほとんどです。したがって、採択率は100%に近いといえるでしょう。

申請から受給までに時間がかかることも

助成金は比較的簡単に受給することができる上、返済不要というメリットがあり、有効な資金調達手段のひとつといえます。一方、デメリットとして、申請から受給までに時間がかかる場合が多いこともあるため、注意しておく必要があります。

補助金の採択率

補助金に関しては審査が厳しく、採択件数や金額があらかじめ決まっているケースも多く見られます。したがって、必ずしも受給できるわけではありません。補助金の種類によっては、採択率が3割程度のものもあるようです。

5.助成金と補助金、制度の目的の違いとは?

助成金の支給目的

雇用や労働環境、労務問題などの整備・改善

助成金の主な支給目的は、景気悪化により雇用を確保できない会社や、労働環境の整備ができない会社に向けて、雇用や労働環境、労務問題などの整備・改善を支援することにあります。こういった会社が助成金を活用することで、従業員の雇用維持や労働環境の整備が可能となるでしょう。

補助金の支給目的

国や地方自治体による政策の推進

補助金の目的は、「国や地方自治体が政策を推進するため」です。政策目的に見合った事業に補助金を支給し、その事業を後押しすることによって政策の推進を図るのがねらいです。

政策によってさまざまな種類がある

たとえば、商店街の活性化に関する政策であれば、商店街を活性化する取り組みを行う事業が補助されると考えられます。製造業の技術力向上が政策であれば、設備投資資金や研究開発費を、温暖化ガス削減政策であれば、二酸化炭素排出を抑制する設備投資資金を補助されるでしょう。

つまり、国や地方自治体からしてみれば、「自分たちの地域政策を実現するために、会社に対して資金援助をするので、自分たちの政策を実現させてください」という意味を含んでいるといえます。

6.創業時に使える助成金・補助金とは?

「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」(厚生労働省)

「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」は、これから新規起業する人や、起業して間もない法人や個人事業主を対象とする助成金制度です。

助成の種類は以下の2種類があります。

①「雇用創出措置助成分」

「雇用創出措置助成分」とは、中高年齢者(40歳以上)の人が起業によって就業機会の創出を図るとともに、事業に必要な従業員(中高年齢者等)を雇用する際の「雇用創出措置(募集、採用や教育訓練の実施)」にかかる費用の一部を助成するものです。

②「生産性向上助成分」

「生産性向上助成分」とは、上で述べた「雇用創出措置助成分」の助成金の支給を受けた後、一定期間経過後に生産性が向上した場合に、生産性向上にかかる助成金が別途支給されるものです。

「地域創造的起業補助金(創業補助金)」(中小企業庁)

創業時には何かとお金がかかると考えられます。「地域創造的起業補助金」は、創業時に必要となる費用の一部を、国や地方自治体が補助する制度です。新たな雇用の創出や新規需要などを促し、経済を活性化させることが目的です。

「事業承継補助金」(中小企業庁)

事業承継補助金は、事業統合や再編、世代交代などによる事業承継により、廃業することなく新たな革新を生み出そうとする中小企業や小規模事業者が対象です。その取り組みに必要な費用の一部を補助し、世代交代を通じた日本経済の活性化を図ることを目的としています。

「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」(東京都)

東京都内の商店街で、若手男性または女性が新規事業を開業するにあたり、店舗の新装や改装、設備投資などに必要な費用の一部が補助されます。商店街における新たな起業家の育成・支援を行い、東京都内にある商店街の活性化を図ることを目的としています。

まとめ

今回は「助成金」と「補助金」の違いについて解説しました。税金や雇用保険料が財源となり、事業主としては積極的に活用すべき制度といえるでしょう。手続きはやや煩雑になりやすいため、社会保険労務士や専門のコンサルタントに相談することをおすすめします。

どちらも返済不要の資金調達方法ですが、支給されるまでに時間がかかることを考え、創業時にはほかの資金調達方法についても検討するようにしましょう。

タグ
  • 助成金・補助金

Writer

おすすめの記事

対談記事【ビジネスのヒント】|接骨院から建設業へ。驚きの経歴と経緯
続きを読む >
お役立ち2025.10.23

対談記事【ビジネスのヒント】|接骨院から建設業へ。驚きの経歴と経緯

経営に関する悩みや課題を抱える事業経営者の皆さまにとって、銀行の営業担当者は心強いサポーターの一人です。そこで、リニュー編集部では、事業経営者と西日本シティ銀行の営業担当者にスポットをあててインタビュー。サポートのきっかけや、事業の成功までの道のりなどをざっくばらんにお話しいただきます。

【今月のZero-Ten Park】株式会社ストリ|心と体に美しさと健やかさを
続きを読む >
ニュース2025.09.30

【今月のZero-Ten Park】株式会社ストリ|心と体に美しさと健やかさを

福岡を中心に世界5カ国15拠点を展開するシェアオフィス&コワーキングスペース「Zero-Ten Park」。そこに入居している、今注目したい企業をピックアップ。今回は「株式会社ストリ」をご紹介します。

働き方改革に注力している企業ってどんなところ?|次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」
続きを読む >
お役立ち2023.11.21

働き方改革に注力している企業ってどんなところ?|次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」

これから就職先を探している学生のみなさんにとって、どんな企業が自分にとって働きやすいのか、気になりますよね。そこで今回は、西日本シティ銀行が取り扱う次世代ワークスタイル応援私募債『ミライへの路*』を発行している企業のみなさんにご協力をいただき、その企業で実際に働いている若手の社員に直撃インタビュー。なぜ入社を決めたのか、実際に働いてみてどんな感じなのか、などをヒアリングしました。また、併せて、各企業の経営者にも、求める人材像や今後の展望などをお話しいただきました。取材に協力いただいた企業は、地元・福岡で働き方改革に注力している、優良企業ばかりです。ぜひ、就職希望先の候補の一つとして、働く先輩たちのリアルな声をご一読ください。

【ミライへの路に挑む企業】地球を守り働く人の成長を支える環境調査会社|株式会社ENJEC
続きを読む >
お役立ち2025.07.18

【ミライへの路に挑む企業】地球を守り働く人の成長を支える環境調査会社|株式会社ENJEC

多様な生き方や働き方が広がりつつある現代。企業にはこれからますます、さまざまな人が働きやすい環境を整えることが求められます。社員の働きやすさを叶える企業の取り組みとは?この連載では、実際に働き方改革を積極的に取り組む企業で働く人や経営者にインタビュー。今回は、九州を中心に、水質、大気、土壌といった環境にまつわる調査・分析の事業を手がける、福岡市の株式会社ENJEC(エンジェック)に取材しました。

質の高い人材紹介サービスで、企業も求職者も従業員も幸せに |株式会社GR8キャリア 小畑和貴さん
続きを読む >
インタビュー2025.06.11

質の高い人材紹介サービスで、企業も求職者も従業員も幸せに |株式会社GR8キャリア 小畑和貴さん

医療・福祉業界の人材紹介サービスをメインに事業展開する株式会社GR8(グレイト)キャリア。代表の小畑和貴さんは宮城県出身で福岡に移住し、住宅メーカーから人材紹介業界に転職したという異色のキャリアの持ち主です。創業から1年足らずでメンバーは20人ほどに増え、順調な滑り出しといえます。しかし、組織や利益の拡大は求めず、あくまでも「質の高いサービス提供」と「社員とその家族が笑顔で過ごせること」にこだわり続けたいという小畑さんに、その思いの根源や起業のストーリーを聞きました。

番組・動画制作から拠点の運営まで、幅広い事業を展開|株式会社move on.e 岩谷直生さん
続きを読む >
インタビュー2025.06.02

番組・動画制作から拠点の運営まで、幅広い事業を展開|株式会社move on.e 岩谷直生さん

20歳から放送局の番組制作に関わり、個人事業主を経て、41歳で番組と動画制作を主軸にした株式会社move on.eを設立した岩谷直生さん。長年のディレクター経験を生かして、マスメディアの番組やイベントを手掛ける一方で、子どもに向けた全く新しい事業にも意欲的にチャレンジしています。

【事業継続力強化計画認定制度】概要や認定のメリット、申請支援事業も紹介
続きを読む >
お役立ち2025.11.25

【事業継続力強化計画認定制度】概要や認定のメリット、申請支援事業も紹介

近年、地震や台風などの自然災害、感染症の流行など、企業経営を取り巻くリスクが多様化しています。 こうした中で注目されているのが、災害や緊急事態に備えて事業を継続できる体制を整える「事業継続力強化計画(BCP)」です。 この計画の認定を受けることで、補助金申請時の加点や税制優遇など、さまざまなメリットがあります。 そこでこの記事では、事業継続力強化計画認定制度の概要や認定メリットに加えて、計画策定・申請を支援する取り組みについても解説します。

【中小企業必見】最低賃金引上げに伴う負担軽減策とは?福岡県の支援策も紹介
続きを読む >
お役立ち2025.11.25

【中小企業必見】最低賃金引上げに伴う負担軽減策とは?福岡県の支援策も紹介

令和7年度の最低賃金引上げにより、全国的に人件費の負担が増加しています。特に中小企業や小規模事業者にとっては、賃上げへの対応が経営上の大きな課題となっています。 こうした状況を受け、国や自治体では、最低賃金の引上げに伴う事業者の負担を軽減するため、各種支援策を打ち出しています。 この記事では、最低賃金引上げに対応するための国の主な支援策に加え、福岡県独自の支援制度について解説します。