ブロックチェーンは、仮想通貨を運用するための技術としても有名です。ブロックチェーンへの理解を深めれば、仮想通貨の投資や運用にも知識を活かせるでしょう。この記事では、初めて勉強する人にもわかりやすいようにブロックチェーンの特徴や仕組みなどを解説します。
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ブロックチェーンの仕組みや特徴を解説
ブロックチェーンの基礎知識から、サーバーやデータベースとの違いについてまで解説していきます。
ブロックチェーンとは
出典:総務省「進むブロックチェーンの活用」
正確な取引履歴を管理する高度な技術です。ネットワーク上では、正確な取引を改ざんして不正を働こうとする人もいます。ブロックチェーンはそのようなトラブルから正確な取引履歴を守り、不正が起きても正常な取引が行えるようデータの管理を行うのです。
ブロックチェーンがセキュリティ精度の高い技術として注目されている理由には、その独特な仕組みにあります。ブロックチェーンでは、セキュリティの高いブロック(箱)にデータを保存して取引の履歴をチェーン(鎖)のように繋ぎ合わせます。こうすることでデータの書き換えが非常に困難となり、不正を防ぎながら高いセキュリティを保てるのです。
ブロックチェーンの仕組み
ブロックチェーンはP2Pネットワーク、ハッシュ関数、電子署名、合意形成アルゴリズムの4つの技術を活用しています。これらは既存の技術です。ブロックチェーンは既存の技術を組み合わせた、新たな技術といえます。
P2Pネットワーク
P2P(Peer to Peer)は、コンピュータの接続方式の1つです。P2Pでは複数のコンピュータが1対1で直接通信を行い、通信した同士が繋がって多数の集まりになります。これをP2Pネットワークといいます。 P2Pネットワークで通信しているコンピュータはそれぞれ同等の機能を持つため、システムが分散されます。その結果、一部のコンピュータが機能不全になっても、全体では機能する性質を持ちます。
ハッシュ関数
基となるデータを、不規則な文字列(ハッシュ値)に変換する関数です。ハッシュ値は基のデータの文字(日本語、英字、数字)や桁数に関わらず、同一の桁数となります。また、ハッシュ値から基のデータを解読することは不可能です。ブロックチェーンはあるデータをハッシュ値に変換し、さらにハッシュ値に変換するという作業を繰り返してチェーンのように繋ぎ合わせます。
電子署名
電子文書の作成者を証明するための、電子的な署名です。電子署名を用いると、データが署名者によって作成されたことやデータが改ざんされていないという証明になります。
合意形成アルゴリズム
不特定多数の利用者で、合意形成を正しく行うための仕組みです。アルゴリズムは計算方法を意味します。ブロックチェーンには不特定多数の利用者がいるため、不正が働かれたり正常に動作しなかったりする場合があります。そういった不測の事態においても、正しく合意形成することが求められます。
ブロックチェーンの特徴
ブロックチェーンの大きな特徴は、特定の管理者が存在しないことです。不特定多数の利用者によってデータが分散されているので、サーバーにも依存しません。ブロックチェーンは従来の中央集権型ではなく、分散型のシステムです。データを暗号化して分散させることによって改ざん耐性を持ち、高いセキュリティを保っています。
サーバーやデータベースとの違い
筆者作成
ブロックチェーンと似たようなイメージを持ちやすいものに、サーバーやデータベースがあります。これらは全くの別物なので、混同しないように気をつけましょう。
サーバーについて
利用者の要求に対応するデータを提供する、プログラムやコンピュータのことです。たとえばインターネット上にURLを打ち込めば、見たいWebページが表示されます。このように、ユーザーの要求に対して応じてくれるのがサーバーです。サーバーの場合、管理者がシステムダウンや不正なアクセスの対応をします。サーバーへ要求するのは誰にでも可能ですが、サーバーとなるPCやプログラムに直接アクセスするためには管理者が権限を付与する必要があります。
データベースについて
複数のデータを整理し、目的に応じて検索が行えるように管理された情報の集合体を指します。コンピュータ上で管理されることが多いのが特徴です。データベースは、管理者によってデータが操作されます。データベース上のデータは追加や更新、書き換えや削除ができます。データのアクセスには管理者が権限を付与する必要があるため、誰でもアクセスできるものではありません。
ブロックチェーンとの違い
ブロックチェーンには管理者が存在しませんが、サーバーとデータベースには存在します。ブロックチェーンは誰でもデータにアクセスできるのに対して、サーバーとデータベースは管理者から権限を付与された場合のみです。ブロックチェーンはデータを分散させて管理するのに対して、サーバーとデータベースでは中央に集約して管理します。
ブロックチェーンは暗号化技術や分散型の管理システムによって、システムダウンや不正を未然に防ぐ仕組みです。一方で、サーバーとデータベースではシステムダウンや不正が起きると一時的に停止してしまうことがあります。
また、ブロックチェーンで保存されたデータは、書き換えや削除ができません。サーバーとデータベースでは、書き換えや削除が可能となります。
ブロックチェーンには3種類ある
ブロックチェーンは大きく分けると3種類あります。ここでは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
筆者作成
パブリックチェーン
パブリックとは、「公衆、大衆、公であるさま」という意味です。その名前の通り、パブリックチェーンでは不特定多数の利用者がデータを閲覧できます。また特定の管理者が不在のため、参加する際に管理者の許可が不要です。ルールを変えるときには一定数以上の合意が必要なため、合意形成に数ヶ月かかる場合もあります。パブリックチェーンは取引やデータの閲覧がオープンで利用者全員が監視役となるため、改ざんを防止できるのです。
プライベートチェーン
プライベートチェーンは単体で管理され、取引やデータの閲覧に対して特定の管理者が権限を持ちます。利用者が取引したりデータを閲覧したりするには管理者の許可が必要なので、透明性は低いです。また単体での管理となるため、パブリックチェーンと比較すると信頼性が低くなります。しかし、合意形成に必要な時間は短くスムーズです。
コンソーシアムチェーン
コンソーシアムチェーンは特定された複数の管理者によって管理され、権限を持つ利用者が決められています。パブリックチェーンとプライベートチェーンの中間的な性質を持つ、ブロックチェーンといえます。
合意形成にかかる時間においてはパブリックチェーンよりも速く、プライベートチェーンよりも遅いです。特定の複数人によって管理されるため、透明性やセキュリティの高さもある程度は保たれます。
ブロックチェーンを仮想通貨に用いる
仮想通貨では、データの改ざんや不正を防ぐ必要があるためセキュリティの高さや透明性が求められます。ブロックチェーンの特徴はまさに仮想通貨に適しており、重要な仕組みとして用いられています。
ブロックチェーンは技術革新?注目される理由
ブロックチェーンがセキュリティ精度の高い技術として注目される理由にはどんなことがあるのでしょうか。その訳を解説していきます。
公明な取引記録が保存される
以前は紙ベースで行われていた取引が、近年ではインターネット上で行われるケースも増えています。ブロックチェーンであれば公明な取引履歴が保存され、改ざんや不正を防ぎながら透明性の高い取引を行えます。ブロックチェーンは信頼性の高さから金融業界だけでなく、他の分野でも必要とされる技術として多くの人に注目されているのです。
暗号化により分散管理
ブロックチェーンはデータを分散して保存するため、システムダウンやハードの故障・破壊などの問題を解消している点も大きな魅力です。ハッシュ関数によりデータが暗号化し、それぞれのデータを紐づけることで改ざんを防ぎます。一度でも取引があれば記録が残り、安定的にシステムは維持されます。既に取引をしている人のみならず、新たに参入する人にとっても安心して取引できることは非常に重要です。
次世代プラットフォーム
さまざまな分野でIT化が進んでいる現代では、コンピュータやソフトを動作させる土台となるプラットフォームの技術も発展し多様化しています。今後は取引においてもIT化が進むと予想できるため、どのプラットフォームを利用するかが非常に重要な課題です。取引の透明性や高いセキュリティを担保できるブロックチェーンは、次世代を担うプラットフォームとなる可能性が大いに期待できるでしょう。
市場規模が大きい
ブロックチェーンが活躍できる市場は、仮想通貨に限りません。とくに金融の分野では、取引の透明性や高いセキュリティが求められます。そのため、今後は証券や保険などの金融商品や送金、資金調達などでも利用される機会が増えるでしょう。
さらに、行政サービスにおける手続きや申請、医療サービス、食品のトレーサビリティといった他の分野においても有用性が期待されています。ブロックチェーンは多岐に渡る分野で利用される可能性があるため、今後も市場規模は拡大すると予想されているのです。
2016年(平成28年)の経済産業省の発表では、ブロックチェーンが影響を及ぼす可能性のある市場規模は67兆円とありました。これは建設64兆円、不動産73兆円、医療福祉68兆円など他の分野と比較しても非常に大きな規模だといえます。
ブロックチェーンのメリット・デメリットを知ろう
ブロックチェーンへの理解をより深めるために、メリットとデメリットを解説します。
ブロックチェーンのメリット
取引データの改ざんが困難
ブロックチェーンは取引履歴が暗号化されているため、解読が非常に難解です。また、分散して保存されているので、データの改ざんといった不正もすぐに発見できます。仮想通貨に用いられるパブリックチェーンでは利用者全員が管理者となるため、監視が隅々まで行き届いています。改ざんが困難というメリットが、ブロックチェーンを用いる大きな理由です。
システムダウンやハッキングへの耐性が高い
ブロックチェーンではデータが分散されており、たとえ1つのシステムがダウンしても他のシステムが稼働していれば問題ありません。また、ハッキングするためには特定の誰かではなく、分散されたデータ全てにアクセスする必要があります。このパブリックチェーンの仕組み自体が、ハッキングへの耐性を高めているのです。
インターネット上で取引をするにはシステムダウンやハッキングの対策が必須ですが、ブロックチェーンには仕組みとして耐性が担保されています。
取引のコストが安い
金融商品の取引には手数料が必要です。とくに、国をまたいでの現金取引には高額な手数料が発生します。 一方で仮想通貨をブロックチェーンで取引する場合には利用者同士が直接送金するため、手数料を安く抑えられます。新規で取引を始める際は、必要となるコストと得られる可能性のあるリターンを比較するのが基本です。コストが低く抑えられれば参入障壁が下がることにも繋がるため、ブロックチェーンを活用する大きなメリットとなります。
ブロックチェーンのデメリット
データが膨大になり過ぎる
ブロックチェーンでは取引の履歴が保存されていくため、取引が増えるほどデータ量が膨大になっていきます。データの分散が行えるメリットがある一方で、データ量が増え続け、保存容量が確保できなくなってしまうのはリスクです。
ブロックチェーンが多くの分野で活用されるのに併せて、データ容量に対応していく必要があります。
取引に時間がかかる
ブロックチェーンは取引の度にデータが保存されるため、取引が増えるほどデータも増えて取引時間が長くなります。ビットコインでは1つの取引に約10~30分、長いと1日以上かかることもあります。高いセキュリティを保つための仕組みは、取引時間の増大というデメリットの原因にもなっているのです。ブロックチェーンでは、必ずしもリアルタイムの取引が成立するわけではないことも押さえておきましょう。
データが削除できない
ブロックチェーンは1つ1つの取引が全て保存され、それぞれが紐づけられます。そのため、1度保存されたデータは削除できません。たとえば個人情報などの重要な内容が1度保存された場合、その後も残り続ける点には注意が必要です。
データは暗号化されていますが、パブリックチェーンはインターネット上で誰でも閲覧できるため情報が行き渡ってしまいます。 扱うデータの内容によっては、他のデータベースと併用してシステムを構築するなど、特定の管理者に管理できる仕組みが求められます。
まとめ
メリットとデメリットは表裏一体であることが多いものです。そのため、ブロックチェーンの仕組みや特徴を十分に理解したうえで活用することが大切です。とくにビットコインを代表とする仮想通貨を所有している、またはこれから始めようとしている人は、この機会にブロックチェーンへの理解を深めてみてください。特徴を理解すれば、より効果的に利用していけるでしょう。
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