仕事のスピードをアップさせると、業務効率が上がり利益拡大につながると考えられます。そのため、起業家が仕事の進め方を考えるときには、業務効率化を意識しておくことが重要といえるでしょう。本記事では、業務効率化を成功させる3つのポイントや、業務効率化の実現に役立つアイデアを紹介します。
業務効率化の目的は生産性の向上
生産性の向上に必要な考え方
1日の限られた時間で多くの仕事を成し遂げるには、ムダをなくし、仕事のスピードを上げて生産性を向上させることが大切です。普段当たり前のようにやっている作業の中にムダな工程が含まれていないか、シンプルかつ合理的に作業ができないかを見直してみましょう。
業務効率化のさらなるメリット
業務を効率化すれば、経営資源を有効活用でき、利益向上につながると考えられます。少ない人手で業務に対応できるようになれば、人件費を大幅にカットできるでしょう。また、業務効率化を考えて書類を電子化することにより、紙やインクなどの印刷コストを削減できるというメリットも挙げられます。
業務効率化の3つのポイント&実現のためのアイデア
業務効率化の実現のために、「仕事の見える化」「細切れ時間をムダにしない」「やらないことを決めて簡素化・合理化を図る」の3つを意識しておきましょう。
以下、それぞれのポイントについて、基本的な考え方を説明します。
ポイント(1)仕事の「見える化」
効率的に業務を進めるためには、仕事の「見える化」が大切といえます。仕事をするときには、やるべきタスク、期限、連絡する相手などを意識しておかなければなりません。頭の中で考えているだけでは忘れてしまったり混乱してしまったりする恐れがあるため、きちんと「見える化」しておくことが重要です。
メモをとる習慣をつける
「見える化」の基本として、「メモをしておくこと」が考えられます。予定が入ったときや仕事を頼まれたときには、その場でメモをするか管理ツールに入力するようにしましょう。
また、どんなに素晴らしいアイデアを思いついても、忘れてしまったら意味がありません。何かアイデアが浮かんだときにも、すぐにメモをとる習慣をつけておくことが大切といえます。頭に思いついたことを「見える化」すれば、やるべきことが明確になり、スムーズに作業を進められるでしょう。
スケジュールアプリと手帳の併用
Googleカレンダーなどのスマホで使えるカレンダーアプリでスケジュールを管理している人には、手帳と二重で管理するアイデアがおすすめです。アプリだけでは、外出先でスマホが充電切れになった場合に、予定が確認できないといった事態が起こってしまうでしょう。スマホだけでなく手帳でも「見える化」を意識することが大切といえます。
話題の手帳術「バレットジャーナル」とは?
手帳術にはいろいろありますが、近年話題になっている手帳術のひとつがバレットジャーナルです。
「マンスリー」「マンスリーTo Do」「デイリー」の3つの部分から構成される手帳を使って箇条書きする手法で、アメリカのデジタルプロダクトデザイナーであるライダー・キャロル氏が考案したものです。
バレットジャーナルでは「Key(キー)」と呼ばれる記号によりTo Doの完了、未完、先送りを把握できるので、予定の調整がしやすくなります。
Keyのイメージ
タスクを実行したり、移したり終了するは箇条書きの「・」に以下のような印をつけていきます。
×:完了 → タスクを完了したら「・」に「×」印を付けます。
>:移動 → タスクがリスケジュールになったり、他のページで管理したくなったりした際は、「・」に「>」印を付けてから移動させます。
<:予定化 → 翌月以降へタスクを繰り越したい場合は、「・」に「<」印を付けてから移動させます。
打ち消し線:終了 → 実行しないタスクは、文字列自体を横線で消します。
仕事中は常に開いておいてTo Doを管理し、イレギュラーな仕事が入ればデイリーページに追記してタイムスケジュールの再調整をするといった使い方が可能です。
ポイント(2) 細切れ時間を有効活用
仕事中、移動時間や待ち時間ができることもあるでしょう。こうした細切れ時間をどう使うかが生産性を左右するといえます。細切れ時間をムダにしないように、まずは「会社でしか仕事ができない状態」から脱却しましょう。
スマホの活用が成功のカギ!
今はどこにいてもインターネットを利用できるため、会社にいなくても業務に対応できるような体制を整えておくのがおすすめです。パソコンを使ってできることの大部分は、スマホでも行うことができると考えられます。スマホを上手に活用し、移動中や外出中の時間をムダにしないようにしましょう。
メールはスマホで受信する!
スマホをビジネスに活用するなら、必ずしておきたいのがメールアプリの設定です。会社のメールアドレスなど、普段パソコンで使っているアドレスに届くメールも、スマホで確認できるようにしておきましょう。スケジュール管理アプリや名刺管理アプリもスマホに入れておくと便利です。
Microsoft Officeもスマホで利用可能!
これまでスマホ版のWordやExcelはありましたが、2020年(令和2年)2月に「Microsoft Office」の統合版がAndroid・iOS向けにリリースされ、このアプリだけでWord、Excel、PowerPointが利用可能になりました。OneDriveやGoogleドライブなどのクラウドストレージとも連携し、スマホで文書をチェックしたり修正を加えたりできるので、ぜひ活用したいところです。
ポイント(3) 「やらないこと」を決めて簡素化・合理化を図る
業務効率化の改善の余地があるということは、やらなくてもいいことをやっている状態とも考えられます。業務効率化を図るためには、やるべきことを明確にするだけでなく、「やらないこと」を決めることも大切といえます。重要性の低い作業をリストアップするなど、「何をやらないか」について検討してみましょう。
プロジェクトの管理が効率的になるタスク管理ツール
日々のタスクの管理を効率的に行うためには、パソコンやスマホで使えるタスク管理ツールを利用するのがおすすめです。チームでタスク管理ツールを利用すれば、プロジェクトの管理やメンバー間の連絡がスムーズになり、不要なやりとりをカットできるでしょう。
タスク管理ツールによってタスクを明確にすることは、ポイント(1)の「仕事の見える化」にも役立つといえます。また、スマホアプリを使えば、ポイント(2)の細切れ時間の有効活用にもなるでしょう。
タスク管理ツールにはたくさんの種類があります。基本機能だけなら無料で使えるものが多いので、試してみて使いやすさを判断するのがおすすめです。主なタスク管理ツールには、次のようなものがあります。
福岡に拠点を置くヌーラボ社が開発・提供しているツール。シンプルでわかりやすいUIとチームメンバーのコラボレーションを促す機能が豊富な点が人気。
ボードをチームで共有してタスク管理ができる。無料ですべての機能を利用可能。
チャット機能がメインで、1対1のチャット、グループチャットができる。タスク管理も可能。
15人以下のチームなら無料でタスクを管理できる。Office365やGmailとの連携も可能。
タスクをさまざまなワークビューで見ることができる。無料プランではリスト、ボード、テーブルの3つ、有料プランにするとガントチャートを利用可能。
ボードを使ってタスク管理できる。ガントチャート機能も無料で利用可能。
パソコンはマウスに頼らずショートカットキーを使う
パソコン作業を効率化するために役立つのが、ショートカットキーです。ショートカットキーを活用することでマウスを操作する手間がなくなり、パソコン操作をよりスピーディーに進められるでしょう。
たとえば、基本的な操作として「Ctrl」+「S」で文書保存、「Ctrl」+「P」で印刷ができることなどが挙げられます。これらはご存じの人でも、たとえば、新規フォルダを一瞬で作成できる「Ctrl」+「Shift」+「N」などは知らなかったという人も多いのではないでしょうか。そのほか、覚えておいた方がよいショートカットキーには次のようなものがあります。
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「Ctrl」+「C」 | コピー |
「Ctrl」+「V」 | 貼り付け |
「Ctrl」+「Shift」+「>」 | 文字をひと回り大きく |
「Ctrl」+「Shift」+「<」 | 文字をひと回り小さく |
「Ctrl」+「B」 | 太字にする |
「Ctrl」+「U」 | 下線付きにする |
「Ctrl」+「I」 | 斜字体にする |
「Ctrl」+「F7」 | 単語登録 |
「Ctrl」+「A」 | すべて選択 |
「Ctrl」+「Z」 | 操作を取り消す |
「Ctrl」+「F」 | 検索する |
「Alt」+「Enter」 | プロパティを開く |
ショートカットキーを使える作業については「マウスを使わない」と決めることで、仕事のスピード化を図ることができるでしょう。
アウトソーシングで「やらない業務」を決める
アウトソーシングとは、業務の一部を外部に委託することです。コアビジネス以外の業務プロセスの一部を専門業者に委託する場合には、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)と呼ばれることもあります。業務の一部を外部に委託することで、自社や自身が集中すべき作業に取り組むことができ、より合理的に業務を進められるでしょう。
コスト削減が期待できるメリットも
専門性の高い業務をアウトソーシングによって外注することで、自社で優秀な人材を確保する必要がなくなり、コア業務に経営資源を集中できるというメリットがあります。つまりアウトソーシングを活用することは、業務効率化だけではなくコスト削減効果も期待できるといえます。
業務効率化の方法に関するまとめ
業務効率化のメリットを認識していても、何から手をつけてよいのかわからないこともあるでしょう。起業の際には上記の3つのポイントを意識し、効率化に関するさまざまなアイデアや施策を検討してみることが大切です。時間と費用の余裕を生み出し、本来やるべきことに集中できる環境を整えましょう。
参考資料
・「時短と成果が両立する 仕事の『見える化』『記録術』」 谷口和信(著) アスカビジネス
… タスク、予定、行動、思いつき、夢や目標の「見える化」について、「見える化」する意味や具体的な方法を知る手がかりになります。
・「すぐやる人の『やらないこと』リスト」 塚本亮(著) 河出書房新社
… やることを明確にするだけでなく、やらないことを決めることの重要性について書かれた本です。どういったことをやらないと決めたらよいかの参考になります。
・「バレットジャーナル 人生を変えるノート術」 ライダー・キャロル(著)栗木さつき(訳)ダイヤモンド社
… 箇条書きで頭を整理できる手帳術バレットジャーナルの公式ガイドブックです。具体的な手帳の活用法について詳しく知ることができます。
・「マウス禁止!たった1秒のパソコン仕事術」 中山真敬(著) 宝島社
… ショートカットキーの使い方のほか、「Tab」「Home」「End」、ファンクションキーを使ってマウスを使わず入力する方法を参照できます。
AFP(日本FP協会認定)、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。