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ビジネスで使える心理学│仕事で役立つマル秘テクニックをご紹介

By 田中 英哉 |
公開日 2020.07.27
ビジネスで使える心理テクをご紹介!

心理学のテクニックは日常生活のさまざまな場面で役立ち、オフィスや商談の場などビジネスシーンで活用できるものも多いです。この記事では数ある心理テクニックの中から、ビジネスで使える心理テクニックを紹介します。1つずつ習得し、ぜひ実践してみてください。

ビジネスで使える心理学のマル秘テクニック10選&活用事例

仕事でつかえるビジネス心理学

接点が多いほど好感を持ちやすくなる「単純接触効果」

心理学には単純接触効果というものがあり、アメリカの心理学者であるロバート・ザイアンスが論文をまとめたことから、「ザイアンスの法則」と呼ばれることもあります。単純接触効果とは、接触機会が多いほど相手から好感を持たれやすくなるという法則で、知っていると人間関係において有利といえます。

単純接触効果の活用事例

よく「営業は足で稼ぐ」という表現を耳にしますが、これはまさに単純接触効果といえるでしょう。接点を増やすことで顧客からの信頼を獲得でき、受注へとつなげていくことが可能だと考えられます。

ツールを活用して接点を増やす

今は携帯電話やメール、WEB商談ツールなども発達しているため、直接訪問以外の方法でも接触機会を増やせます。各種ツールを駆使して顧客との接点を増やすことも視野に入れてはいかがでしょうか。

反論に役立つ「肯定的否定」

ビジネスシーンでは、相手の意見に対して反論すべきシーンが出てくることもあるでしょう。しかし、反論は相手の脳を不快にさせる性質があるため、反論方法に注意が必要といえます。

そこで役立つのが肯定的否定です。相手の発言を一旦肯定し、そのあと否定することで、相手の脳を不愉快にさせずに反論することができるテクニックです。

肯定的否定の活用事例

顧客「おたくの見積もりは高い。もっと安くしてくれないと他に発注するよ。」

あなた「確かに高く見えるかもしれませんね(一旦肯定)。ただ、他社様にはない機能が充実しております(反論)。」

まずは肯定的に受け取る準備を

肯定的否定は、いきなり「いや、それは違います」「間違っています」と反論するのではなく、一旦相手の言葉を肯定的に受け取ることが重要です。ビジネスシーン以外にもあらゆる場面で使えるので、ぜひ覚えておきましょう。

人間関係が円滑になる「ミラーリング」

ミラーリングとは、まるで鏡のように相手の言動をさりげなく真似する方法です。心理学には類似性の法則というものがあり、共通の趣味や生い立ち、似ている性格など、類似性がある相手とは親密度が上がると考えられています。

逆にいうと、類似性を演出できれば、意図的に親密度を上げることができるでしょう。その方法としてミラーリングが有効といえます。

ミラーリングの活用事例

相手「うちの会社、最近新たな経営方針が発表されたんだけど、目標が高くて困るよ(我が社でも当社でも弊社でもなく、『うちの会社』が口癖)」

あなた「目標が高いのですね。実はうちの会社も目標が高くて大変です(『うちの会社』に表現を合わせる)。」

相手をしっかり観察することが大切

具体的なミラーリングの方法は、仕草を真似したり、好きなものを合わせたり、口癖を真似したりするなどです。相手をしっかり観察して、さりげなく言動を合わせましょう。

相手をしっかり観察し、不愉快にならないようにミラーリングを行う

二者択一で行動を迫る「ダブルバインド」

ダブルバインドとは、意図的な選択肢を使って二者択一にするテクニックです。ビジネスシーンのほか、恋愛のシーンでも活用しやすい方法といえます。

たとえば誰かをデートに誘うとき、「映画に行くかカラオケに行くか、どちらがいい?」と誘うと、デートに行くことを前提とした誘い方ができます。デート自体についてイエスかノーの質問をするより、デートを前提とした二者択一にする方が、本来の目的の成功率が上がるといえるでしょう。

ダブルバインドの活用事例

あなた「24インチか32インチのテレビなら、どちらがご希望ですか?」

相手「そうだね。2台目として和室で見たいだけだから、24インチでいいかな。」

ビジネスシーンでは、ダブルバインドは売り込みの際によく使われています。この場合、24インチか32インチの二者択一となっており、購入を前提として会話が進められています。このように、前提をひとつクリアした形の二者択一になるよう提案してみてはいかがでしょうか。

顧客の信頼が得られる「両面提示」

両面提示とは、メリットだけでなくデメリットも伝える方法です。商品やサービスを案内する際、自社との取引を促す際など、多くのビジネスシーンで活用が可能です。

たとえば、営業は売り込みをしたいので、基本的にメリットを強調する傾向にあります。そのことは当然のこととして顧客も分かっているため、顧客心理としてはデメリットが気になるわけです。そのため、あえてデメリットも付け加えて説明する方が顧客から信頼されやすくなると考えられます。

両面提示の活用事例

相手「この電動自転車は乗りやすいですか?」

あなた「はい、平地での安定性が抜群ですので、ほかのメーカー様よりおすすめです。ただ、坂道はほかの自転車の方がパワーがあるので、平地で乗ることが多い人に選ばれています。」

相手「ほとんど平地で乗るのでこれにします。」

メリットとデメリットのバランスに注意

両面提示をする際は、メリットより大きくならない程度にデメリットを提示しましょう。ちなみに両面提示は、購入を迷っている相手に有効な手法です。すでに購入を決めている相手に使うと、取りこぼしリスクが高くなるため気をつけましょう。

接待で役立つ「ランチョンテクニック」

ランチョンテクニックとは、食事中の要求は相手に飲んでもらいやすいというものです。食事中は心が無防備になりやすく、相手を無意識的に受け入れやすくなります。そのため、接待は相手の心を開きやすい方法だと考えられます。

ランチョンテクニックの活用事例

ランチョンテクニックを活用するには、飲食の場を設定するところが肝となります。「スケジュールが詰まっているので、お昼に食事でもしながら相談させてください」「外回りされているついでに、お茶でもしながらお話しましょう」など、さりげなく相手を誘いましょう。

逆効果になることも?心理テクニックは使い方に要注意!

逆効果になることも?心理テクニックは使い方に要注意!

誤解が多い「メラビアンの法則」

メラビアンの法則とは

メラビアンの法則とは、第一印象が影響を与えるのは視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%というものです。そのため、「外見を清潔にしておくことは重要だ」などと見た目を向上させることの重要性を説くセミナーなどが多いようです。

メラビアンの法則の前提条件は、「情報に矛盾がある場合」

ただ、ここには誤解があるといえます。メラビアンの法則には「矛盾した情報を受け取った場合」という前提条件があるのです。矛盾した情報を受け取る例として、顔は笑っているのに話の内容は厳しい指摘であるケースなどが挙げられます。

ここまでの内容を総合すると、「矛盾した情報を受け取った場合、第一印象は視覚情報に引きずられる傾向にある」と言うことができるでしょう。テクニックとしてメラビアンの法則にこだわる必要はありませんが、「情報に矛盾があるという前提条件のもとでは第一印象に影響を与える」ということを知っておくとよいでしょう。

まとめ

心理テクニックは膨大な数がありますが、ここではビジネスで使えるものだけをピックアップしました。生兵法によるケガとならないよう、繰り返し練習してからビジネスシーンで実践することをオススメします。それによって業務成績がアップしたり、人間関係が向上したりするなど、さまざまな恩恵が受けられるでしょう。

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