夏でも涼しく、冬でも暖かい。快適な暮らしを送るために、なくてはならないのが「断熱材」。室内と屋外の熱の行き来を少なくする機能がある建築資材です。普段見る機会はあまりないですが、ほとんどの住宅やビルで使用されています。そんな断熱材を中心に、建築設備資材全般の仕入れ・卸売を行うのが福岡市にある中央資材株式会社。取引企業から厚く信頼され成長を続ける、同社創業者であり、取締役相談役の中島剛さんにお話を伺いました。
納品時のミス0で、あらゆる建築現場を支える
――まずは、御社の事業内容を教えてください。
中島:中央資材株式会社の創業は1980年。創業時は東光エリアに、その後は比恵エリアに移ったあと、1998年に二又瀬に本社社屋を建設・移転しました。2023年時点では福岡本社のほか、北九州、熊本、鹿児島に営業所を構えています。
創業時から、取り扱う商材のメインは断熱材。現在は、断熱材のほか建築資材全般を扱うことに加えて、商業施設や公共施設の内装工事、ロックウールやウレタン吹付などの断熱工事も請け負っています。住宅やオフィス、工場、病院、商業施設などあらゆる建設現場を支える会社です。
――建築設備資材を扱う会社はほかにも多くありますが、他社にない強みは何だと考えられていますか。
中島:私たちは納品時に、時間や数量、商品の間違いを徹底的になくしています。資材を間違って納品すると、現場の職人さんは動くことができず大きな損失につながるのです。でも、建築資材の納品時は誤りが起こりやすい。例えば、納品した商品の数量が一桁異なっていたり、サイズが間違っていたりというケースが多いのです。
だからこそ、私たちは商品管理を徹底して行なっています。通常、多くの資材店では棚卸しは年に1、2回程度。しかし当社では毎月1回棚卸しを行います。そう聞くと、大変な業務だと思われるかもしれません。実際、昔は深夜まで棚卸し作業をしていたこともありますが、そこは日々の積み重ね。動いた商品はその都度、毎日チェックすることである程度状況を把握できているので、棚卸の当日には半日もかからずに作業を終わらせています。
社員一人ひとりの思いやりが、お客さまの信頼につながる
――御社の事業が、現在まで成長している要因はどういったところにあるのでしょう。
中島:当社は創業以来現在(2022年度)まで、一定の営業利益を変わらず出し続けています。これは適正価格での販売を徹底しているため。例え他社と競り合いになったとしても、価格を下げて取りに行くことはしません。もちろん、同業他社と比べると取引価格はどうしても高くなってしまいます。でも価格を下げてしまえば利益率は当然下がってしまい、社員へも還元できなくなりますよね。
また、当社との取引条件が合わずに離れていった企業も多数あります。でも、時間が経つと再び取引がはじまる企業が少なからずあるんです。これは、納品時に絶対にミスをしないという「信頼」があるから。私たちの仕事ぶりを高く評価してくれているからこそです。
――お客さまの信頼を得るために、社員のみなさんが意識していることはありますか。
中島:仕事をするうえで当たり前のことですが、お客さまへ思いやりをもつことです。例えばメーカーに確認する必要がある問い合わせがはいったとき、途中経過を小まめにお客さまに報告をする。メーカーの担当者の不在が理由で連絡が遅れてしまうのであっても、事情がわからないままだったら、どう思いますか? 午前に問い合わせたのに、午後になっても返信がないとなると「きちんと伝わっていないのかも」「忘れられているのかも」と不安になったりしませんか? メーカーの担当者が不在だと分かった時点で一報を入れ、さらに正午前に「まだ不在なので午後に再度連絡する予定です」ともう一度電話があれば、相手の気持ちはずいぶん変わります。
基本的な事ですが、報連相を小まめにすることで、お互いに安心して仕事を進めることができるんです。仕入先や得意先とのやりとりが簡略化される便利なツールが今後もいろいろと出てくるでしょう。しかし、営業や事務など部署にとらわれることなく、お客さまへの思いやりを社員一人ひとりが持つように伝えています。
自社製品の開発で、新たな成長を目指す
――さらなる事業拡大を図っていることと思いますが、ともに働く仲間としてどんな人材を求めているのでしょうか。
中島:やはり、真面目に仕事に取り組める人。その上で、お客さまに喜んでもらえるにはどうすればいいか、どうすれば仕事がもっと楽しくなるのかを考えながら、前のめりで仕事に取り組んでくれる人材を求めています。
一度しかない人生の大切な時間の多くを、ほとんどの人は仕事に使うでしょう?充実した人生を送ろうと思うならば、仕事を楽しめる人間になるしかないと思っています。自分の仕事に熱意を持てる社員に対しては、「まずはやってみろ」というのが中央資材の社風です。会社に使われるのではなく「自主的に仕事の幅を広げ、その結果、自分の人生をより良いものにできる社員の集団」にしたいと思っています。
――会社として、これからチャレンジしていきたいことはありますか。
中島:新しい商品を作り出すことです。1990年ごろ、当社ではワンタッチで取り付け可能な断熱マットを開発しました。実はそれまで、断熱マットは職人が手作業で作り上げていたんです。もちろん、機械で作った断熱マットは手間が省ける分、コストはかかります。当時は売れるのかどうか疑問に思う声もありました。しかし今では、ワンタッチで取り付け可能な断熱マットが当たり前となり、手作業で断熱マットを作っている職人はほとんどいません。そのため当社では、製造のための機械をバージョンアップし大型化。2022年には5代目の機械を導入しました。
自社で開発した商品はメーカーから仕入れる商品より、大きな利益を生み出します。企業の成長のためにも新しい軸となるさらなる新商品を開発し、挑戦を続けていきたいと考えています。
卸業で堅実な事業に取り組むだけでなく、自社商品の開発にも力を入れ成長を続ける中央資材株式会社。取引先企業からの厚い信頼は、ミスを起こさない真摯な仕事ぶり、そしてつい疎かになりがちな「思いやり」の心から生まれています。断熱材は、省エネ・温暖化対策には欠かせない資材。市場規模は今後も安定的に成長するとみられています。社会貢献につながる分野でともに成長し、活躍しませんか。
■会社概要
会社名:中央資材株式会社
TEL:092-624-0001
FAX:092-624-0004
所在地:福岡県福岡市東区二又瀬4-18
愛媛県出身。出版社勤務ののちフリー編集ライターとして独立し、広島・東京でグルメや観光、町おこし関連の出版やWEBの制作に携わる。2018年夏、福岡市へ移住し、初めて食べたごまさばのおいしさに感動!地方の魅力を首都圏に発信すべく奮闘中。