Cookie規制の影響や背景について解説!今後に備える4つの対策について

企業がデジタルマーケティングを行う際、重要な情報の1つがユーザーのCookie情報です。Cookie情報の利用について海外では既に規制が開始されており、日本でも今後強化されます。本記事ではCookie規制の概要と企業での対策についてまとめます。
目次
Cookieの仕組みやキャッシュとの違いについて
ブラウザでインターネットを閲覧しているときに、「Cookieを有効にしてください」などの表示が出ることがあります。Cookieが何かわからず、戸惑った経験がある人も多いのではないでしょうか。まずはCookieの意味や種類について、理解しておきましょう。
Cookieの意味
コンピュータ用語のCookieは、「クッキー」と読みます。CookieはユーザーがWebサイトにアクセスした際にWebサーバーから発行され、パソコンなどに保存される識別符号です。Cookieの仕組みにより、ユーザーが最後にWebサイトを訪問した日時や閲覧履歴などが、Webサーバー側に記録されます。
キャッシュとの違い
Cookieと混同されがちなものに、キャッシュがあります。キャッシュとは、訪問したウェブページの情報を一時的に保存しておく仕組みです。通常ブラウザでWebページを表示するときには、そのページのデータをダウンロードしなければなりません。データのダウンロードには時間がかかることがあります。しかし、一度訪問したページの画像やHTMLデータはキャッシュに保存されているため、再表示のスピードが上がります。
Cookieの種類
Cookieはその特性により、「ファーストパーティーCookie」と「サードパーティーCookie」の2つに分かれます。
ファーストパーティーCookie
アクセスしたWebサイトと同一のドメインから発行されるCookieです。ユーザーがECサイトを訪問した際、そのサイトがユーザーIDや買物履歴を保存するために発行するのがファーストパーティーCookieです。
サードパーティーCookie
アクセスしているWebサイト以外のドメインから発行されるCookieです。Webサイト横断型であることから、クロスサイドCookieとも呼ばれます。サードパーティーCookieは、主にアクセス解析や広告配信などの目的で発行されます。Webサイトに貼られているバナー広告は、そのサイトのドメイン以外の広告サーバーからサードパーティーCookieを利用して配信されます。
企業がCookieを活用するメリット
Cookieを活用すれば、Webサイトを訪問したユーザーの行動を追跡できます。ユーザーが閲覧した情報から、興味・関心に合致した広告の配信も可能になります。こうしたデジタルマーケティングによりコンバージョン率を高められるため、Cookieは企業にとって貴重な情報資源です。

Cookie規制とは?背景を知っておこう
企業のデジタルマーケティングに欠かせないCookieですが、近年利用が制限されつつあります。Cookie規制が必要な理由や、背景について説明します。
Cookieを有効にするメリットとデメリット
Cookie規制は、ユーザーの権利保護のために行われるものです。まず、ユーザーがCookieを有効にすると、どんなメリット、デメリットがあるのかを知っておきましょう。
メリット
ユーザーがパソコンなどでCookieを有効にしておけば、Webサイトを閲覧する際の利便性が高まります。ユーザー登録したサイトではIDやパスワードが保存されているため、サイトに訪問する都度入力する必要がありません。ECサイトでは、ショッピングカートに商品を残したまま一旦ページを離脱できます。
デメリット
Cookieが有効になっていれば、発行している企業(ウェブサイト運営会社や広告配信会社など)に行動履歴を追跡されます。認識しないまま自分の情報を企業に収集される可能性もあるので、プライバシーの侵害が懸念されます。
Cookie規制の目的
企業がCookieを利用してユーザーの行動を追跡すれば、趣味嗜好、購買履歴、家族構成、政治的傾向などがわかってしまいます。本人が意図していない情報まで企業に把握されるのは、プライバシー保護の観点では大きな問題です。誰もがインターネットを使うようになり、ネット上での個人情報の取り扱いに不安を感じる人も増えています。こうした背景から、企業によるCookieの利用に制限を求める動きが高まったのです。

ユーザー情報の第三者利用が問題になった事案
インターネットのユーザー情報が、本人の感知しないところで第三者に提供されて問題になる事案は現実に起こっています。日本では2019年(令和元年)に、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、ユーザーの内定辞退率を予測したデータを無断で企業に提供していることが発覚し、データを利用していた企業は行政指導を受け、リクルートキャリアも指導・勧告を受けています。
Cookieは個人情報ではない
日本には個人情報保護法があり、個人情報については取り扱いに規制があります。しかし、Cookieは個人情報保護法で保護される「個人情報」には含まれません。Webサイト事業者でユーザーの氏名などとCookieを照合し、容易に個人を識別できる場合にのみ個人情報の一部となります。Cookieはそれ自体が個人情報として全面的に保護されるものではないのです。
規制の対象はサードパーティーCookie
Cookie規制の対象となるのは、サードパーティーCookieです。サードパーティーCookieはアクセスしたWebサイト以外で横断的に使われるため、プライバシー侵害につながるおそれがあります。これに対し、基本的に自社でのみ利用するファーストパーティーCookieは、規制の対象になりません。
世界各国のCookie規制の現状
インターネットは世界のどこからでも利用できるため、Cookie規制も世界的な動きです。各国の規制状況や、日本の現状について説明します。
アンチトラッキングの流れは世界的に加速
Cookieなどの機能を利用したユーザーの追跡(トラッキング)を防ぐことは、「アンチトラッキング」と呼ばれます。世界的にアンチトラッキングの潮流が高まってきたため、ブラウザを提供している事業者ではデフォルトでCookieを規制する措置を開始しています。
ブラウザのCookie規制
Apple社の標準ブラウザSafariでは、サードパーティーCookieの利用を規制しています。Google社は2022年(令和4年)頃までに、ChromeでサードパーティーCookie規制を行うと発表しました(その後2023年後半までにと延長)。 Mozilla FoundationのブラウザFireFoxも、デフォルトでサードパーティーCookieが無効化されています。
海外のCookie規制の状況
国や政府単位での、法令面の規制も進んでいます。
GDPR(EU一般データ保護規則)
EU域内での個人データやプライバシーの保護については、2018年(平成30年)5月に施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)が適用されます。GDPRでは、IPアドレスやCookieなどのオンライン識別子も個人データとみなし、規制の対象にしています。事業者がEU域内でCookieを利用する際には、ユーザーからの同意の取得が必要です。

CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)
米国のカリフォルニア州では、住民のプライバシー保護について定めたCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)でCookie規制が行われています。住民はCookieを含む個人情報を拒否する権利があり、事業者が取得する場合にはユーザーへの通知が義務付けられているのです。義務違反には罰金も科せられます。

日本のCookie規制は遅れている
既にCookie規制が始まっている欧米では、多くの企業がWebサイトにCookie利用の同意取得バナーを設置しています。日本では、こうした対応をしている企業はまだまだ少ないのが現状です。しかし、日本も個人情報保護法が改正され、2022年(令和4年)4月より施行されます。今回の改正個人情報保護法では、Cookieに対する規制が強化されます。
改正個人情報保護法によるCookie規制
現状、Cookieは原則的に個人情報ではありません。しかし、今回(2022年4月施行)の法改正でCookieは「個人関連情報」と位置付けられ、第三者提供の際の規制が設けられます。改正法施行後は、Cookieの提供を受けた企業が自社の保有する個人情報と紐づけて利用する場合、本人に利用目的を明示して同意を取得する義務が発生します。提供元の企業でも、提供先の企業が同意を得ているかどうかを確認しなければなりません。
Cookie規制で予想される影響とは?
世界各国でCookie規制が進んでおり、日本でも個人情報保護法改正により規制が強化されます。企業はCookie規制に向けた対策をしなければなりません。Cookie規制により、何が変わるかを確認しておきましょう。
Cookie利用の同意取得が必要になる
改正個人情報保護法により、ユーザーからCookie利用の同意を取らなければならない場面があります。すべての場面でCookie利用の同意取得が義務付けられているわけではありませんが、WebサイトにはCookie同意取得のバナーやポップアップ設置を検討した方がよいでしょう。

リターゲティング広告の利用ができない
リターゲティング広告とは、一度サイトを訪れたユーザーをターゲットに配信する広告です。基礎的なマーケティング手法として、確立されています。いったんサイトから離脱してしまったユーザーを追跡して広告を配信すれば、再度のアクセスにつながります。リターゲティング広告はサードパーティーCookieを利用するため、Cookie規制で使えなくなるのです。
ビュースルーコンバージョン計測が不可能に
ビュースルーコンバージョンとは、広告をクリックしてコンバージョンに至らなかったユーザーが、別ルートでサイトにアクセスして実現した成果です。ビュースルーコンバージョン計測は、間接的な広告成果を知るために有効です。しかし、この手法もCookie規制により使えなくなってしまいます。
企業がCookie規制に備える4つの対策
Cookie規制は、企業のマーケティングに重大な影響を及ぼします。まだCookie規制の対応策を考えていない企業は、速やかに検討を始めた方がよいでしょう。具体的な対策として、以下のようなものがあります。

自社サイトの充実
リターゲティング広告などサードパーティーCookieを利用する手法に依存していれば、今後は集客が難しくなってしまいます。まずは自社サイトのコンテンツを充実させ、サイト自体の価値を高めることが大事です。魅力的なコンテンツを考え、自社サイトを訪れるファンを増やしましょう。
ファーストパーティーCookieの活用
Cookie規制では、ファーストパーティーCookieは対象外です。ファーストパーティーCookieを利用して自社サイトを訪れるユーザーの行動を分析し、購買行動につなげる効果的な方法を考案しましょう。
SNSを活用した集客の強化
自社サイト以外に、SNSを利用した集客も軽視できないでしょう。SNSを利用すれば、低コストで幅広いターゲットにアプローチできます。情報の拡散能力も高く、これまで企業や商品の存在を知らなかったユーザーにも商品情報を届けられます。
ユーザーのリピーター率を上げる
広告に頼らないためには、ユーザーのリピーター率を上げることも重要です。ユーザーの顧客体験の質を高めれば、ユーザー自身がSNS等で商品を広めてくれる可能性もあります。
個人情報の管理体制を見直す
今後Cookieは個人関連情報として管理が必要になります。社内の個人情報管理体制の見直しも忘れないようにしましょう。
まとめ
個人情報に対する意識の高まりから、Cookie規制が進んでいます。日本でも2022年(令和4年)4月に改正個人情報保護法が施行され、規制が強化されます。企業はCookieの取り扱いに注意すると同時に、Cookieに頼らないマーケティング・集客の方法を検討しましょう。
- Cookie規制
Writer
AFP(日本FP協会認定)、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。
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