
多様な生き方や働き方が広がりつつある現代。企業にはこれからますます、さまざまな人が働きやすい環境を整えることが求められます。社員の働きやすさを叶える企業の取り組みとは?この連載では、実際に働き方改革を積極的に取り組む企業で働く人や経営者にインタビュー。今回は、九州を中心に、水質、大気、土壌といった環境にまつわる調査・分析の事業を手がける、福岡市の株式会社ENJEC(エンジェック)に取材しました。
※ここで紹介する企業は私募債発行に際してSDGsに資する取り組み、中でも働き方改革を積極的に行うことを要件に取り込んだ、西日本シティ銀行が提供する、次世代ワークスタイル応援私募債「ミライへの路」を発行している企業です。※私募債についてはこちら
社員インタビュー

株式会社ENJEC 営業(2020年入社) 久保 諒(くぼ りょう)さん
Q:この会社を選んだ理由、入社の決め手を教えてください。
25歳の時に広告関連の会社から転職し、中途採用で入社しました。転職を考えたのは、前職の顧客は飲食店や食品加工会社が中心だったため、コロナ禍で仕事に不安定さを感じたことでした。長く安心して働き続けられる、安定した企業を探していた時に、当社ENJECを知りました。
環境に関する仕事はどんな時代でも必要不可欠ですし、全く業界は異なりましたが、高校時代までは理系でアウトドアや自然も好きだったので、その点でも興味深かったですね。面接は形式ばったものではなく、今の上司である営業部長が、とても親身になって話を聞いてくださったんです。その人柄がとても印象的で、「こういう方がいる会社なら、楽しく働き続けられそう」と感じたのが、入社の決め手になりました。
Q:入社して感じた、この会社の良さはどのようなところでしょうか?
上司の営業部長はもちろん、みんな人柄が良いと感じました。入社当初に何をすべきか戸惑った時も、やるべきことを分かりやすく教えてくれました。それぞれがお互いや周囲のことを見て自然に教え合う、協力し合える風土があると思います。仕事面でいうと、毎日行う業務が異なるのでフレッシュな気分で取り組めますし、月ごとにもさまざまなプロジェクトがあるので、常に好奇心を持って仕事ができます。
Q:現在の業務を教えてください。
私の業務は営業と現地調査です。会社全体では官公庁の事業も多く行っていますが、建設会社や建設コンサルタントから受注することも多いです。工事に際して必要な環境調査や分析について、私たち営業が提案させていただきます。中でも私は新規開拓を担当していて、まずは自分で対象企業を絞り込んで上司に相談した後、アポイントをとって訪問したり、直接訪問することもあります。
また最近は、顧客企業から新しいお客様を紹介されることも増えています。当社の業務を信頼して声をかけていただけるのはありがたいですし、これまで先輩や上司が実績を残してきてくれたおかげだと思います。
現地調査は、土地の水質や土壌の調査を行います。2人1組での調査が基本で技術担当の方とペアで実施しますが、プロジェクトによっては営業部長や社長に同行いただく場合もあります。現場が近隣であれば日帰りですが、遠方であれば1泊2日で出張することも多いです。
Q:業務でのやりがいや嬉しかったことを教えてください。
お客さまから感謝されることが一番嬉しいですね。専門性の高い業務なので、営業担当の知識や技術に対する信頼性も重視されるのですが、お客さまから「最近、知識がついてきましたね」「これは久保さんにぜひお願いしたい」と言っていただけることが増えてきて、自信も出てきたところです。
私は全く畑違いの業界から入社したので仕事をしながら学ぶ毎日ですが、分からないことはすぐに相談できるという当社の環境はありがたいと思っています。
また当社の仕事は、専門の資格を持っていないと行えない業務も多く、私も入社後に「建築物石綿含有建材調査者」という、建材に石綿(アスベスト)が含まれているかどうかを調査するための資格を取得しました。当社で最も必要とされる資格が「環境計量士」という国家資格で、こちらも現在、取得を目指して勉強中です。
先輩方がテキストを会社に置いてくれているので助かっています。勉強時間の確保は大変ですが、自分の世界や視野が広がっているのを実感します。
Q:福利厚生や制度はどうですか?
資格手当があり、会社が定める資格を取得することで給与アップにつながります。分からないことは先輩や上司が教えてくれますし、社長が講師となって直接教えてくださる資格取得対策の講義もあります。

また当社は基本、自分のやるべきことが終わると定時に帰ることが多く、私もほとんど定時退社ですが、週1回はノー残業デーも設定されています。休日は土日が基本ですが、万が一どちらかに仕事があったとしても、振替で平日を連休にすることも可能なので、プライベートの時間をしっかり確保できるのも良いですね。
Q:仕事を通じて学んだことはありますか?
入社面接の時にも感じていたのですが、上司である営業部長の「聞く力」は本当に尊敬しています。営業に同行していただくこともあるのですが、お客さまが深層心理で何を求めているのか、本音を引き出すコミュニケーション力は本当にすごいです。そんな部長の営業力、人間力を間近で学べる環境はありがたいですね。
Q:今後の目標を教えてください。
環境計量士の資格取得を目指すのはもちろん、営業としても、営業部長のようになりたいと頑張っているところです。目標数字に追われて視野が狭くなるのではなく、周囲の人のことも配慮しつつ聞く力もある。そんな営業担当に成長できたらと思っています。
トップインタビュー

株式会社ENJEC 代表取締役社長 松永 友樹(まつなが ともき)さん
1985年(昭和60年)生まれ、福岡県出身。大学卒業後、24歳で新卒入社。調査部(現地調査専門)にて経験を積んだ後、一度退職。1年後に再入社後、品質管理課長、経理担当を経て、2020年より現職。現在は経理も兼務。
正確な調査技術で安定した業績をキープ
当社は1977年(昭和52年)、株式会社新日本環境計測として、私の両親が創業しました。九州を主要エリアとし、水質、大気、土壌、作業環境、騒音、振動、悪臭といった環境に関わる調査・分析の事業を行っています。官公庁から受注する事業や、建設会社、建設や道路のコンサルタント会社さまからお声がけいただいて行う業務が多いです。たとえば工場建設であれば工場排水を流す予定の場所の調査や、道路を造る前の環境調査といった仕事です。河川の水質調査も長年行っています。
15年ほど前からダム湖の調査・縦断測定の業務を行えるようになったことは、当社が安定して成長し続けられる大きなきっかけでした。1秒ごとに測定できる水質測定器により、ダム湖の浅い部分から深部まで、効率的かつ正確に測定してデータ化することができます。この方法により、官公庁から安定して受注できるようになりました。また、現在成長している業務が水文調査です。水質調査とは違い、水の量や流れ方などを調査します。道路やトンネル建設の工事前後で調査が必要になりますし、事業規模も大きいので、現在は全売上の2割ほどを占めています。
当社が手がける仕事では、普通は行くことができないダムや河川の間近に行って調査することができ、自然が好きな人にとっては大きな魅力だと思います。また調査や分析、データ化といった、正確性が要求される作業が好きな人にも向いていると思います。
業界未経験者の資格取得も会社がバックアップ
当社で働く社員のボリュームゾーンは30~40代です。社員の半分は調査や分析を専門とする技術職ですが、やる気さえあれば、知識や経験がなくても問題ありません。というのも私自身、大学時代の専門は法律でしたので、両親の会社といえど業界に関しての知識はゼロで入社しました。仕事をしながら勉強し、当社の業務で最も必要な国家資格である環境計量士の資格を取得。現在、資格取得を目指す社員のために私が講義をするのも、仕事と勉強を両立する大変さが分かっているからです。
会社としても資格手当はもちろん、1回目の取得に際しては受験会場への旅費や受験料も負担するといったサポートも行っています。社員の男女比は半々で、女性の技術者も多く活躍しています。中でも分析作業や土・水のサンプル分析、実験といった分野には女性が多いです。
当社はコアタイムのないフレックス制で、仕事内容によって各個人の裁量で出退社してもらっていますが、自分の仕事が終わればサッと帰宅する社員が多いです。もちろん、「焦らず自分のペースで仕事がしたい」という人もいるので、私からは常々「成果さえ出していれば、どのような働き方をしてもOK」と話しています。社員同士が干渉することなく、必要な時は協力し合いながら、自分らしい働き方ができる環境が理想ですね。
当社の業務では、調査結果を相手に分かりやすく伝えることが必要なので、正確性はもちろんですが、文章力も必要です。また営業では、コミュニケーション力も求められます。環境調査を希望されるお客様の目的は、「分析結果」ではありません。そのデータを使って何をしたいのか。本当のニーズをしっかり掴みとる力が必要です。
そして最も大切なのは、仕事に対する責任感。私は、「仕事=自己実現の方法」ではないと思っています。社会が必要としている、困っている人の助けになる物事を提供することで、対価をいただく。それを責任を持って続けることで生きていくことができ、ひいては自己実現につながるのです。
当社はまもなく50周年を迎えます。「地球を守りたい」人たちの助けになるという社会が求めるミッションに対し、責任を持って向き合ってくれる社員と共に、新たな50年に向けて歩んでいきたいですね。
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福岡市出身。大学卒業後、フリーペーパー編集部や企画制作プロダクションにて編集・ライティング業務に従事。2017年よりフリーランス。未就学児2人の子育てに奮闘中。