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経営戦略実現に必要な「HRBP」とは?従来の人事との違いから導入方法まで紹介

By 大西 勝士 |
公開日 2022.10.04
HRBP

HRBPは、経営戦略の実現を人事面からサポートする経営層のビジネスパートナーです。変化の激しい時代を迎え、人材活用の重要性が高まっています。HRBPを導入することで、どんな効果が期待できるのでしょうか。今回は、HRBPが注目される理由や従来の人事との違い、導入方法を解説します。

HRBPとは

HRBP(Human Resource Business Partner)とは、企業における人事機能の1つです。米国の、ミシガン大学ビジネススクール教授のデイブ・ウルリッチ氏により提唱されました。「HRビジネスパートナー」と呼ばれることもあります。HRBPは欧米を中心に普及していましたが、近年では日本の企業でも取り入れられるようになりました。

HRBPは経営者や事業責任者のパートナーとして、戦略人事を通じて経営戦略の実現や事業成長をサポートします。戦略人事とは、経営目標の達成を目的に戦略的な人材活用を行うことです。単なる人員補充ではなく、経営者の視点から業績向上に効果的な人事を立案し、実行していきます。

HRBPが注目される理由

HRBPが注目されているのは、「VUCA(ブーカ)」と呼ばれる不確実で複雑な時代を迎えているからです。これまでの人事のあり方を見直し、新たな人事戦略を立案・実行する重要性が増しています。そのため、経営にHRBPを取り入れる企業が増えているのです。具体的には以下のような理由が考えられます。

変化の激しい経営環境への対応

インターネットの普及やIT技術の進歩、働き方・人材の多様化などにより、経営環境は大きく変化しています。近年では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、テレワークが定着しました。

このような急激な変化に対応するには、人事部門においてもスピード感のある意思決定が求められます。HRBPを導入することにより、従来の人事部門では難しかった経営者視点での人事戦略の立案・実行が可能となります。

優秀な人材の確保・育成

企業が時代の変化に対応しながら長期にわたって成長を続けていくには、優秀な人材の確保・育成が不可欠です。経営戦略の実現には単なる人員補充ではなく、適材適所の人事が重要となります。

将来を見通すのが困難な現代では、終身雇用や年功序列といった従来の人事制度を維持するのは難しいでしょう。HRBPを導入し経営者や部門責任者と連携しながら人事制度を見直すことで、優秀な人材を確保しやすくなる効果が期待できます。

HRBPと従来の人事部門との違い

HRBPは人事機能の1つですが、従来の人事とは担う業務や求められる役割が異なります。ここでは、HRBPと従来の人事部門との違いを確認していきましょう。

人事部門の業務は制度・環境の整備

従来の人事は、管理部門に位置づけられています。組織内で従業員を束ねる仕組みや制度を整え、効率的に管理・運用することが主な役割です。

たとえば、退職者が出て業務に支障が出る場合は、人員補充のための採用活動を行います。給与計算や勤怠管理、福利厚生などの労務管理も人事部門の担当です。企業経営に不可欠な業務ではあるものの、事業成長に直結するとはいえない面もあります。

HRBPは人事戦略を通じて事業成長を支援する

一方、HRBPは経営戦略の実現や事業成長の達成に対するコミットメント(責任)が求められます。職場環境や人事制度の整備・運用ではなく、業績向上を目指した人事戦略を立案し、実行していくのがHRBPの役割です。経営層や他部門の責任者、現場の業務担当者と積極的に連携し、事業成長を支援します。

HRBPに求められる役割

HRBPには、以下のような役割が求められます。

人事戦略の立案・実行を通じた経営戦略の実現

人事戦略の立案・実行を通じて、他の事業部門と同じように経営戦略の実現への貢献が求められます。

業績向上などの経営目標を達成するには、事業内容に合わせて最適な人材を配置しなくてはなりません。事業戦略を見直したり新規事業を立ち上げたりする際は、必要に応じて外部の人材に支援を求める必要もあるでしょう。

しかし、従来の人事部門だけで戦略人事を行うのは簡単ではありません。HRBPが経営層や事業責任者とコミュニケーションをとりながら、事業成長に必要な採用体制や人材育成方法などの構築に取り組みます。

経営者や事業責任者のサポート

経営者や事業責任者は、日々さまざまな意思決定をしなくてはなりません。新規事業や不採算事業に関する意思決定では、「誰に任せるか」「どれだけの人員が必要か(不要か)」も重要な要素となります。

企業経営や人事戦略に知見のあるHRBPがいれば、議論を交わしながら適切な意思決定を行えます。経営上の課題や悩みを気軽に話せる相手がいない場合、HRBPは経営者や事業責任者のコンサルタントとしての役割も期待できるでしょう。

経営層と従業員の橋渡し

経営層と従業員の距離が離れていると、現場の状況や課題を把握しにくくなります。すでに問題が発生している場合は、早期に対策をとらないと大きなトラブルに発展するかもしれません。

HRBPは従業員と積極的にコミュニケーションをとり、現場の状況や従業員の意見を経営層にフィードバックする役割を担います。HRBPが経営層と従業員の橋渡し役となることで、現場の状況に合わせた効果的な経営戦略をたてられます。

HRBPに必要な能力・経験

HRBPには、経営者や事業責任者のビジネスパートナーとしてふさわしい人材を起用する必要があります。ここでは、HRBPに必要な能力や経験を紹介します。

経営者の視点

HRBPは経営戦略の実現のために、事業成長につながる人事戦略を立案・実行することを求められます。そのため、経営者の視点を持つ人材でないと務まりません。

ときには正解のない課題に自分なりの仮説を立て、経営層に提案する場面も出てくるでしょう。自分で事業を立ち上げた経験があるなど、ビジネス感覚を有する人材が理想といえます。

コミュニケーション能力

ビジネスパートナーとしてサポートするには、彼らと対等に議論を交わせるだけのコミュニケーション能力が不可欠です。また、現場の担当者ともうまく付き合い、気軽に相談してもらえる信頼関係を築かなくてはなりません。

単に経営の知識や経験があるだけでなく、周囲から信頼を得られる人材を起用することが大切です。

リーダーシップ

HRBPにはコミュニケーション能力が求められますが、決して経営者や現場の御用聞きではありません。経営層や現場のやり方が間違いで、組織にとってマイナスだと考えられる場合は、HRBPが意見や改善案を伝える必要があります。経営戦略を実現させるために、強いリーダーシップが求められる場面も出てくるでしょう。

人事としての専門知識・実務経験

HRBPには、人事のプロフェッショナルとしての専門知識や実務経験も求められます。給与計算や勤怠管理といった、ルーティン業務の処理能力は必須ではありません。それでも人事部門における業務経験や知識は、人事面から事業成長をサポートするうえで大いに役立つでしょう。

HRBPの導入方法

HRBPは国内ではまだ新しい考え方で、導入企業は少ないのが現状です。導入していても、人事部門の責任者の肩書をHRBPに変更しただけでうまく機能していないケースもあるようです。

HRBPを経営戦略の実現や事業成長に活かすには、どのように導入を進めればよいのでしょうか。ここでは、HRBPの導入方法を解説します。

役割や位置づけを明確にする

まずは、HRBPの役割や位置づけを明確にすることが大切です。HRBPが担う業務範囲や権限、責任、目指す成果をはっきりさせておかないと、導入効果を検証できません。また、単に肩書だけを変更しただけでは取り組みが中途半端になり、期待していた成果を得られないおそれがあります。

できれば従来の人事部門とは切り離し、HRBPが人事戦略の立案・実行に専念できる体制を整えるのが理想です。初めてHRBPを導入する際は、必要に応じて人事コンサルタントなどの専門家に支援を依頼してもよいでしょう。

必要な能力・資質を備えた人を選ぶ

HRBPとしての役割を果たせる能力・資質を備えた人を選ぶことも重要なポイントです。HRBPは経営者の考えを理解したうえで、人的側面から事業成長をサポートしなくてはなりません。各事業部門の要望や課題を把握する必要があり、他部門との連携も重要になってきます。

経営視点を持ち、現場にも精通している人材が理想ですが、すべての条件を満たす役員や従業員を探すのは難しいかもしれません。状況によっては、ビジネス感覚や人事の専門知識を持つ外部人材を起用するのも選択肢です。

部分的に導入してうまく機能するかテストする

HRBPは、従来の人事部門とは役割が大きく異なります。HRBPを任された担当者も、最初は手探り状態で業務を進めることになるでしょう。そのような状況で最初から全社レベルで導入すると、十分な成果を得られない恐れがあります。

まずは部分的に導入し、うまく機能するかをテストすることが大切です。たとえば、立て直しが必要な事業など、重要度の高い部門に絞って導入することを検討しましょう。

導入効果を検証する

試験的にHRBPを導入したら、その導入効果を検証します。HRBPと部門責任者だけでなく、経営者や現場の従業員も交えて定期的に成果や問題点を確認しましょう。よかった点は継続し、問題点は改善に取り組んで、HRBPがうまく機能するようブラッシュアップしていきます。ある程度体制が整ってきたら少しずつ拡大し、最終的には全部門への導入を目指すとよいでしょう。

ただし、事業内容や業種、企業風土によってはHRBPが合わない可能性もあります。その場合は、HRBPの導入を見送るのも1つの意思決定といえます。

まとめ

HRBPを導入すれば経営課題や現場の問題点を把握しやすくなり、経営戦略の実現につながるかもしれません。まだ新しい考え方ではありますが、今後は国内でも導入企業が増える可能性があります。経営上のパートナーや戦略人事の必要性を感じるなら、HRBPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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