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「ハイブリッドワーク」とは?企業にとっての導入メリット・デメリットを解説

By 森本由紀

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2023.03.03

コロナ禍の影響で、テレワークをする人が増えました。テレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方は、ハイブリッドワークとも呼ばれています。本記事では、ハイブリッドワークのメリット、デメリットについて説明します。企業が導入する際の注意点も知っておきましょう。

ハイブリッドワークとはどんな働き方?

英語の「ハイブリッド(hybrid)」という言葉は、2つ以上の異種のものを組み合わせた状態を意味します。たとえば、ハイブリッドカーは、ガソリンと電気という異なる動力源を組み合わせた車です。同様に、ハイブリッドワークとは2つ以上の働き方を組み合わせたワークスタイルをいいます。

まずはハイブリッドワークとはどんな働き方の組み合わせなのか、確認しておきましょう。

ハイブリッドワークの定義

ハイブリッドワークとは、主にオフィスワークとテレワーク(リモートワーク)を組み合わせて働くスタイルをいいます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テレワークを導入する企業が増えました。オフィスワークとテレワークの両方を組み合わせた働き方が浸透し、ハイブリッドワークと呼ばれるようになったのです。

自分で働き方を選べる

ハイブリッドワークでは働き方を会社側で指示するのではなく、従業員自らが選べます。たとえば「週3日は在宅、週2日は出勤」など、個人の事情に合わせてワークスタイルを自由に設計可能です。

これまでの会社勤務では、始業時間と終業時間が決まっていました。在宅勤務なら勤務時間の調整もできます。ハイブリッドワークは、個人のライフスタイルに合わせた新しい働き方です。

働く場所も多様化

ハイブリッドワークは、働く場所も選べます。テレワークをする場合には、シェアオフィスやコワーキングスペースで仕事をすることもできるでしょう。企業が本社以外のサテライトオフィスを設ければ、従業員は自宅近くのサテライトオフィスで働けます。働く環境について多様な選択肢がある点も、ハイブリッドワークの魅力です。

ハイブリッドワークが注目されている理由

コロナ禍でやむを得ず従業員の在宅勤務を推進した企業も多いでしょう。しかし、テレワークをとり入れたワークスタイルには、さまざまなメリットがあることが明らかになりました。

テレワークは、もはや一時しのぎの働き方ではありません。最近では、テレワークを組み合わせた働き方を、新しいワークスタイルの1つとして推奨する企業が増えています。

オフィスワークとテレワークの両方のメリットが得られる

在宅でテレワークをすれば、毎日会社に通勤する必要がありません。子育てや介護をしている人でも働きやすくなります。

一方で、対面での打ち合わせや顧客対応のため、出社が必要になる業務もあります。従業員をフルリモートにするのは困難な会社が多いでしょう。オフィスワーク、テレワーク双方のメリットを享受できるハイブリッドワークなら、比較的実現しやすいはずです。

ハイブリッドワークのメリット

オフィスワークとテレワークを組み合わせたワークスタイルは、アフターコロナのスタンダードとなりつつあります。ここからは、ハイブリッドワークにはどのようなメリットがあるのか確認してみましょう。

柔軟な働き方の実現

ハイブリッドワークなら、個人の事情に合わせて働き方を選べます。長時間オフィスに滞在するのが難しい人でも、働くことをあきらめずにすむでしょう。従業員は仕事とプライベートの両立がしやすくなり、ワークライフバランスを実現できます。

従業員のモチベーションが上がる

ハイブリッドワークを導入すれば、従業員は自分の都合に合わせて働き方や働く場所を選べます。働きやすさが上がれば、会社のために貢献しようという意識も高まるでしょう。従業員のモチベーション向上により、業績アップも期待できます。

通勤の負担を軽減できる

会社員にとって、毎日の通勤は負担になるものです。ハイブリッドワークにすれば、通勤の負担を減らせます。通勤に使っていた時間を有効活用できるため、家事や子育てとの両立も楽になるでしょう。

転勤や単身赴任をなくせるかも

オフィスワークのみの場合、転勤により家族と離れて単身赴任しなければならないケースもあります。ハイブリッドワークにすれば、転勤や単身赴任をなくすことも可能です。従業員のワークライフバランス向上と、転勤にかかわる会社のコスト削減の両方が実現します。

優秀な人材を確保できる

ハイブリッドワークを推進すれば、広い範囲から人材を募れます。優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

出社が難しい人も雇用できる

オフィスワークのみの体制だと、家庭の事情で長時間勤務が難しくなった従業員は退職せざるを得ません。遠方に引越ししなければならなくなった人も、勤務が続けられないことが多いでしょう。ハイブリッドワークを導入すれば、こうした人材の流出を防げます。

採用時にもアピールできる

ライフスタイルの多様化に伴い、誰もが働きやすい環境を求めています。就職先を選ぶ際にも、柔軟な働き方を重視する人が増えました。ワークライフバランスに向けた取り組みは、求職者から評価されます。ハイブリッドワークをアピールすれば、優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。

生産性の向上につながる

ハイブリッドワークでは、業務に応じてワークスタイルを使い分けできます。結果として生産性が向上するでしょう。

状況に応じた使い分けが可能

商品や試作品の現物を見ながら打ち合わせしたい場合、ビデオ会議ではやりにくいでしょう。このような場合には、オフィスで仕事をした方が効率的です。一方、データ入力などの作業の場合、オフィスだと周りが気になって集中できないことがあります。この場合には、一人で黙々と作業した方がはかどるでしょう。ハイブリッドワークなら、状況に応じて勤務スタイルを変えられます。

オフィススペース活用の効率化

ハイブリッドワークを導入すれば、同時に出社する従業員が少なくなります。限られたオフィス空間を、有効に活用できるでしょう。打ち合わせスペースを広くしたり、休憩室を設けたりもできます。仕事がはかどる快適なオフィススペースが実現します。

固定費の削減も可能

出社しない従業員が増えれば、広いオフィススペースは不要になります。賃借しているフロアの一部を解約したり、小規模なオフィスに移転したりもできるでしょう。

オフィスをコンパクト化すれば、賃料などのコスト削減が可能です。固定費を削減できるのは、会社にとって大きなメリットになります。

ハイブリッドワークのデメリット

メリットの多いハイブリッドワークですが、デメリットがないわけではありません。どんな点が問題になりがちかを確認しておくのがおすすめです。

従業員の勤怠管理が困難

会社は従業員の労働時間などの勤務状況を記録し、管理しなければなりません。ハイブリッドワークの場合、出社しない従業員の労働時間を正確に把握するのが困難です。従来どおりの勤怠管理では対応できないため、対策を考える必要があります。

社内コミュニケーションの不足

テレワークが多くなると、従業員同士のコミュニケーションが希薄になります。打ち合わせはビデオ会議でできますが、雑談する機会は減ってしまうでしょう。従業員の一体感が生まれにくくなることもあります。

セキュリティ面が脆弱になる

テレワークをする場合、従業員は仕事を持ち帰ることになります。企業の機密情報や個人情報が漏えいする可能性もあり、セキュリティ面が不安です。パソコンからインターネット経由で情報漏えいが発生するリスクもあるでしょう。ハイブリッドワーク導入にあたっては、セキュリティ対策を考えなければなりません。

評価に格差が生じる可能性がある

ハイブリッドワーク導入後、オフィスワーク中心の従業員とテレワーク中心の従業員が二極化する可能性があります。オフィスにいる従業員は働きぶりが目につきやすいため、人事評価に不公平感が生じるかもしれません。従業員が評価に不満を持つようになれば、社内の雰囲気が悪くなってしまいます。

緊急時の対応ができないことも

事業内容によっては、緊急の顧客対応が発生するケースもあるでしょう。オフィスに担当者がいなければ、緊急時の対応が困難になってしまいます。重大な機会損失につながることもあるため、対策を考えておかなければなりません。

ハイブリッドワーク導入時の課題や留意点

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ここからは、ハイブリッドワークのデメリットを解消するために、留意しておきたいことを説明します。ハイブリッドワーク導入時には計画を立てて進めましょう。

勤怠状況を可視化する

勤怠状況を自己申告に頼っていれば、適切な管理ができません。目に見える形で管理できる仕組みをとり入れることが重要です。始業時、終業時にメールや電話で連絡する、ビデオ会議ツールで朝礼や終礼を行うなどの方法を考えてみましょう。

デジタルツールで管理

ハイブリッドワーク向けの勤怠管理ツールを利用すれば、各自のパソコンから始業、終業時の打刻ができます。労働時間の集計等の作業も楽になるでしょう。常時従業員全員が接続するバーチャルオフィスツールもあり、勤怠管理にも使えます。

コミュニケーションツールの活用

ハイブリッドワークには、社内コミュニケーションが希薄になるデメリットがあります。離れた場所にいる従業員同士が円滑にコミュニケーションするためのツールは必須でしょう。

デジタルツールの種類は豊富

今はビデオ会議システムやチャットツール、グループウェアなど、スムーズなコミュニケーションに役立つデジタルツールが豊富にあります。また、インターネット上の仮想のオフィスにアバターを使って出勤する、バーチャルオフィスツールも開発されています。従業員同士がオフィスにいるときと同じように雑談できるものもあるため、活用を検討してみましょう。Miroなどを使えば、オンラインでのブレストもはかどりますよ。

オフィス環境を整える

ハイブリッドワーク導入には、オフィス空間をゆったりと使えるメリットもあります。出社した従業員が働きやすいよう、オフィス環境を整えておきましょう。

フリーアドレスにするならレイアウトも工夫

従業員が席を自由に選べるフリーアドレス制は、ハイブリッドワークと相性の良いスタイルです。ただし、オフィスのレイアウトを変えずにフリーアドレスにすれば、空席が発生してコミュニケーションがとりづらくなります。ワークスペースを限定するなど、フリーアドレスのメリットを活かせるレイアウトを考えましょう。

セキュリティ対策をする

ハイブリッドワークのセキュリティ強化のために、まず従業員のITリテラシーを高める必要があります。社内研修を実施し、従業員自らがデータへのアクセス可否を判断できるよう教育しましょう。ウイルス対策ソフトの導入、複数の手段を組み合わせたログイン認証の設定など、セキュリティ対策のためにやっておきたいことはたくさんあります。

情報漏えいの場面を想定した対策が必要

テレワークの場合、自宅以外のシェアオフィスやカフェで仕事をすることも考えられます。パソコンの画面が人目に入ることにより、情報が漏れる可能性もあるでしょう。情報漏えいに対する従業員の意識を高めると同時に、仕事内容と仕事場所のルールづくりをしておくことが重要です。

評価制度を見直す

ハイブリッドワークでは、上司から働きぶりが見えにくくなることがあります。人事評価が不公平にならないよう、評価制度の仕組みの見直しが必要です。

「360度評価」などで工夫を

ハイブリッドワークに向いている評価制度として「360度評価」があります。360度評価とは、上司、同僚、部下など異なる立場の人が評価を行う仕組みです。さまざまな視点からの評価材料が集まるため、公平な評価につながります。

緊急時に備えられる体制づくり

緊急時に担当者が不在という状態を避けるための工夫が必要です。1つの業務に1人しか対応できなければ、困ったことになります。緊急事態が発生したときに対応できるよう、各分野の知識や技術をもった従業員を常にオフィスに配置しておきましょう。

業務の属人化を防ぐ

ハイブリッドワークでは従業員がオフィスに集まる機会が減るため、業務が属人化しやすくなります。業務内容や進捗状況を共有できる仕組みの構築も重要です。テレワークをしたくてもできない従業員が出てこないよう、業務の平準化を目指しましょう。

まとめ

ハイブリッドワークは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方です。ハイブリッドワークを導入することで、従業員が働きやすい環境を選択することができます。従業員の満足度が上がることで、会社の業績アップにもつながるでしょう。ハイブリッドワークの留意点も知ったうえで、導入を進めることが重要です。

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