
中小企業省力化投資補助金(以下、省力化投資補助金)には、「一般型」と「カタログ注文型」の2つの類型があります。
このうち「カタログ注文型」は、人手不足の解消につながる省力化製品のうち、あらかじめ登録された製品から選んで導入できる制度です。
カタログ注文型は制度内容を見直し、令和8年3月19日から新たな内容で公募を行います。
そこでこの記事では、省力化投資補助金(カタログ注文型)の変更点について解説します。
※記事内容は、令和8年3月4日時点の情報です。最新の情報は、必ず公式HPをご確認ください。
省力化投資補助金(カタログ注文型)とは

出典:中小企業省力化投資補助金 カタログ注文型ご案内チラシ
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP(広報ツール)
省力化投資補助金(カタログ注文型)は、人手不足に悩む中小企業等が、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果のある汎用製品を導入する際の経費を支援する制度です。
中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、省力化投資を促進し、付加価値額や労働生産性の向上を図るとともに、賃上げにつなげることを目的としています。
本制度では、補助対象となる汎用製品を掲載した製品カタログから選択して導入します。この仕組みにより、中小企業等の簡易かつ即効性のある省力化投資を促進します。
登録済みの省力化製品カタログは、次のページで確認できます。検索画面には、詳細情報を公開している製品のみを掲載しています。
▶製品カタログ
対象製品ごとに記載されている「販売事業者一覧」より販売事業者を選定し、掲載されているサポート窓口電話番号もしくはサポート窓口メールアドレス宛に連絡してください。
また、補助金を申請する場合は、販売事業者と共同で事業計画を策定し、共同事業実施者として公募期間内に申請受付システムから申請します。
補助対象経費
補助対象経費は、省力化製品の導入に伴う次の費用です。
(1)製品本体価格
(2)導入に要する費用
補助率・補助上限額
補助率:1/2以内
補助上限額:1,500万円
※補助上限額は、従業員数や賃上げ要件などにより異なります。
※今回の制度改定により、一部の区分で補助上限額を引き上げます。
令和8年3月19日以降の制度改定
ここでは、具体的な改定内容について、解説します。
1. 申請受付期間の延長
カタログ注文型は、年度を通じて随時申請を受け付けています。
今回の制度改定に伴い、申請受付期間を延長します。変更内容は次のとおりです。
改定前 | 改定後 |
令和8年9月末頃まで | 令和9年3月末頃まで |
2. 「大幅な賃上げ」の定義見直し
申請者が大幅な賃上げを行う場合、賃上げ特例として補助上限額を引き上げます。今回の改定では、この要件を見直しました。
改定後は、補助事業実施期間終了時点において、次の2つの要件をいずれも満たす計画を策定し、申請する必要があります。
(1)給与支給総額を、申請時と比較して6%以上増加させること
(2)事業場内最低賃金を、申請時と比較して3.0%以上増加させること
(※日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.0%)
なお、自己の責によらない正当な理由がなく目標を達成できなかった場合、補助額を減額しますのでご留意ください。
3. 収益納付の撤廃
収益納付とは、補助事業の完了によって収益が生じた場合や、補助事業の成果を活用して収益を得た場合に、経済産業省へ報告し、その収益の全部または一部を国に納付する仕組みです。
今回の制度改定により、省力化投資補助金(カタログ注文型)ではこの収益納付を撤廃しました。
4. 補助上限額の引き上げ
従業員20人以下の補助上限額を引き上げます。具体的な金額は、次のとおりです。
従業員数 | 改定前 | 改定後 |
5人以下 | 200万円(300万円) | 500万円(750万円) |
6~20人以下 | 500万円(750万円) | 750万円(1,000万円) |
21人以上 | 1,000万円(1,500万円) | 1,000万円(1,500万円) |
※カッコ内は、大幅な賃上げを行う場合の上限額
なお、補助上限額は、各交付申請時点での従業員数や大幅な賃上げによる補助上限額引き上げの有無により決定します。
5. 累計補助上限額見直し(2回目以降の交付申請において)

出典:カタログ注文型|制度改定のご案内(2026年3月19日)
掲載ページ:中小企業省力化投資補助金 公式HP(2026年3月19日制度改定)
省力化投資補助金(カタログ注文型)は、令和7年4月24日から複数回の応募・交付申請が可能となりました。
ただし、これまでは、各申請における補助額の合計が補助上限額に達するまでという制限がありました。
今回の改定により、2回目以降の交付申請では、当該申請時点の補助上限額の2倍を1事業者あたりの累計補助上限額とします。
そのうえで、前回までの累計交付額を差し引いた残額の範囲内で申請できます。なお、各回の申請額は、当該申請時点で定まる補助上限額を超えることはできません。
6. 2回目以降の申請における要件の追加
これまで、2回目以降の申請を行う場合は、主に次の要件を満たす必要がありました。
- それ以前の交付申請に係る補助金の支払いが完了していること
- 年平均成長率(CAGR)4.0%以上向上させる事業計画を策定し、採択後は当該計画に取り組むこと
- 本事業を活用して賃上げに取り組む旨を、交付申請時に宣誓すること
今回の制度改定により、次の要件を追加しました。
- 前回の補助事業により、省力化効果が得られていること(申請時に、その効果を報告すること)
- 前回の交付申請時と比較して、事業場内最低賃金を3.5%以上引き上げていること
※前回の交付申請時から2年以上経過している場合は7.0%以上、3年以上経過している場合は10.5%以上引き上げていること
交付決定状況

出典:中小企業省力化投資補助金 公式HP(公募結果)
カタログ注文型は公募期間を区切らず、随時申請を受け付けています。そのため、特定の公募回ごとの申請者数や採択者数は公表していません。
一方で、月ごとに集計した交付決定件数などを公表しており、その結果は上図のとおりです。
令和8年1月~2月は、交付申請数が700件超であるのに対し、交付決定数は700件弱となっています。このことから、同時期の交付決定率は高い水準にあると考えられます。

出典:交付決定概要(2026年2月末時点)
交付決定状況を都道府県別でみると、令和8年2月末時点の累計交付決定数は2,947件でした。
このうち福岡県は154件で、全体の約5.2%を占めており、愛知県(6.4%)と大阪府(5.5%)に次ぐ件数となっています。
公募スケジュール
改定前の制度による申請は、令和8年3月16日17時で締め切ります。
改定後の制度による申請は、令和8年3月19日から受け付けます。
カタログ注文型では公募期間を区切らず、令和9年3月末頃まで随時申請を受け付けます。
まとめ
この記事では、省力化投資補助金(カタログ注文型)の変更点について解説しました。
制度改定により、申請時期によって上限額や運用方法が異なります。申請を検討している場合は、最新の公募要領を確認し、申請要件やスケジュールを踏まえて準備を進めましょう。
株式会社Stayway 代表取締役CEO 公認会計士
東京大学経済学部卒業 / 公認会計士・経営革新等支援機関。デロイト トウシュ トーマツ出身。東京及びシアトルにおいて、IPO支援に従事したのち、香港本社のPEファンド・経営コンサルティングファームに勤務。「中小企業や地域のポテンシャルを開放」するため、2017年株式会社Staywayを創業。
※本記事の監修者です。
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