業界・業種の垣根を越えたスタートアップ企業と地場企業の「価値共創」を目的とした、オープンイノベーション型のビジネスコンテスト「西日本FHビジネスコンテスト OPEN INNOVATION HUB 」。2021年秋から第2回目のエントリーと選考が始まり、いよいよ2022年3月11日に最終選考会を迎えます。今回は最終選考に残った10社の皆さんに、応募したビジネスモデルやそのビジネスにかける想いを伺いました。
■提案者プロフィール Parkingbnb合同会社 高橋佳之 さん 北九州市出身。同志社大学卒業後、株式会社ゼンリンに入社。その後自動車関連の家業を継ぎ、さらには自身で海外にて事業を起こし、スタートアップにも従事。現在は福岡市中央区大名にあるスタートアップカフェ内グローバルスタートアップセンターの相談員としても活躍。福岡市スタートアップの海外展開や、海外スタートアップの福岡進出支援を行っている。2021年6月Parkingbnb(本社/香港)の日本でのビジネス立ち上げからジョイン。
香港から世界へ、日本進出の地に福岡を選ぶ ――香港に本社がある「Parkingbnb合同会社」とは、どんな会社なのでしょう。また、日本でのスタートアップの地に福岡を選んだ理由を教えてください。
高橋: Parkingbnb合同会社は、もともと香港ではじまった会社です。日系大手金融会社でも働いた経験のあるロシア人のビタリーが2019年に起業しました。きっかけは、ビタリー自身が香港で駐車場探しに苦労したことからでした。そこからタイムリーに駐車場の状況を把握できる、マッチングアプリ「Parkingbnb」を開発し、運営しています。
その後、世界展開を視野に入れ、日本法人は2021年6月に設立されました。スタートアップの地に福岡を選んだのにはいくつか理由があります。まず、アジアへのアクセスが良かったこと、ふたつ目に市場規模がちょうどよかったこと、最後に海外企業のスタートアップ支援が充実していたことにあります。私は、大名小学校跡のスタートアップカフェのグローバルスタートアップセンターで相談員として、外国企業の起業サポートを行なっている中で、Parkingbnbと出会いました。そこでご縁があって日本法人の立ち上げを担うこととなりました。
独自開発カメラで、駐車場の状況をリアルタイムに把握 ――――今回のビジネスコンテストに応募していただいた、「Parkingbnb」とは、具体的にどんなサービスになるのでしょうか。
高橋: Parkingbnbでは、AI搭載の車両番号認識スマートカメラを独自で開発、カメラからの情報をもとにリアルタイムでの駐車状況管理を可能にし、非接触自動決済が可能なスマートパーキング管理システムを構築しました。このシステムにより、走行距離や目的地までの所要時間、駐車料金、車体などに合わせて、ドライバーにとって最適な駐車場探しをアプリでサポートできるように。さらにアプリひとつで、決済まで完了するため、ストレスフリーでドライブが楽しめるんです。
また、駐車場オーナーにとっても大きなメリットが。スマートパーキング管理システムの導入により、曜日や時間帯、時期に合わせて価格をコントロールするダイナミックプライシングを取り入れることもできるんです。駐車場を無駄なく管理できることから、香港では収益率がおよそ40%も高くなったという実績があります。
――「Parkingbnb」の強みを教えてください。
高橋: これまでにも駐車場を紹介するアプリはありましたが、リアルタイムで細かな状況が把握できないものがほとんど。Parkingbnbが画期的なのは、独自開発のカメラによってリアルタイムの情報が手に入ることです。ドライバーには、まさに“今”の配車状況をお伝えするので、「到着したら空きがなかった」という事態が防げます。例えば、駐車場オーナーは、空きが多いと感じたら、その場ですぐに価格を下げて、利用しやすい工夫ができます。あるいは、近くでイベントがあり駐車場の需要が多い場合は、価格を上げて、売上機会を柔軟に活かすこともできます。
駐車場がハブになり、経済活動がスムーズに行われる社会に ――Parkingbnbによって、どのような社会を実現したいと考えていますか。
高橋: 駐車場って、普段は意識しない方が多いと思うのですが、多くの課題を抱えているんです。目的地が近くにあっても、駐車場探しに手間取って周辺をぐるぐる周っているうちに、渋滞ができたり、駐車場探しに熱中してしまって、よそ見して事故をしてしまったり…。環境にも良くないですよね。Parkingbnbならそんな課題を解決することができると考えています。また、今注目されているスマートシティ実現に向けて、自動車会社や地図情報会社と協力したいとも思っているんです。非接触決済を導入しているので、自動運転車もスムーズに駐車場を利用することができますから。
ほかにも、商業施設と提携しディスカウントできる仕組みや、駐車場に車を止めている間に利用できる洗車サービスを提供、さらにはガソリンスタンドやEVスタンドといった情報も充実させたいと考えています。駐車場を上手に使って、経済をまわすことができれば嬉しいですね。駐車場がハブとなって、人々の経済活動がスムーズになる。それが、私たちが目指す社会です。
おでかけや仕事の最中、ちょっとしたストレスになる駐車場探し。小さな課題から生まれた「Parkingbnb」は、2022年に実証実験を行うことを目指しています。近い将来、私たちが夢見るスマートシティには、欠かせない大きな存在となっているかもしれませんね。
お知らせ 「第2回西日本FHビジネスコンテスト OPEN INNOVATION HUB」最終選考会の様子は3月11日(金)13時より、以下YouTubeよりオンライン配信されます。さらに詳しいParkingbnb合同会社プレゼンの様子、ぜひご覧ください。
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愛媛県出身。出版社勤務ののちフリー編集ライターとして独立し、広島・東京でグルメや観光、町おこし関連の出版やWEBの制作に携わる。2018年夏、福岡市へ移住し、初めて食べたごまさばのおいしさに感動!地方の魅力を首都圏に発信すべく奮闘中。