インタビュー

店舗型モビリティのプラットフォーム「SHOP STOP」 で地域課題を解決する|株式会社Mellow

By renew編集部

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公開日 2022.03.08

業界・業種の垣根を越えたスタートアップ企業と地場企業の「価値共創」を目的とした、オープンイノベーション型のビジネスコンテスト「西日本FHビジネスコンテスト OPEN INNOVATION HUB」。2021年秋から第2回目のエントリーと選考が始まり、いよいよ2022年3月11日に最終選考会を迎えます。今回は最終選考に残った10社の皆さんに、応募したビジネスモデルやそのビジネスにかける想いを伺いました。

※最終選考会の結果、株式会社Mellowさんが最優秀賞に選ばれました!

■提案者プロフィール
株式会社Mellow 九州事業責任者 横田達哉さん

大阪府出身。神戸市外国語大学を卒業後商社に入社し、アパレル関係商品の貿易に携わる。コンサルティングファームへの転職を経て独立、アパレル系のECショップ運営を手掛ける。2019年に株式会社Mellowの森口拓也代表取締役社長と出会い、ジョインに至る。

店舗型モビリティで地域課題を解決

――「株式会社Mellow」の事業内容について教えてください。

横田:店舗型モビリティが出店できるプラットフォーム「SHOP STOP」を展開しています。首都圏では都心のオフィスビルや住宅街、大学、市役所などにフードトラックを出店する事業者に活用いただいております。東京のオフィス街ではいわゆる「ランチ難民」が問題になっていたこともあり、多くのお客さまにご利用いただいています。

さらに首都圏では、フードトラックだけではなく、パン販売、マッサージ、自転車修理など、幅広い業種の店舗型モビリティが出店し、お客さまに喜ばれています。現在、全国で約1,500の店舗型モビリティ事業者さんが登録しています。

外食やお買い物に出かけるときは、「お店に会いに行く」と言えると思います。私たちが「SHOP STOP」で実現しようとしているのは、「会いたいお店がやってくる」という未来です。

――今回、ビジネスコンテストにご応募いただいた事業についてお聞かせください。

横田:先ほどご紹介した「SHOP STOP」は福岡では2年前に事業をスタートし、現在100を超える事業者さんに登録していただいています。そこで学んだのは、福岡には東京とは違うニーズがある、ということです。

私たちが今回応募した事業は、「フードトラックを中心とした店舗型モビリティで地域課題を解決したい」というものです。都市部への人口集中と生産年齢人口の減少で、地域の生活を担う働き手が減少し、地域経済の縮小と街の機能低下が進み、生活サービスの維持が難しくなっている地域が増えています。この社会課題を、私たちのショップモビリティを活用して解決したいと思っています。

街には、公園・市役所などの庁舎・団地の共有スペースなど、まだ十分活用されていない公共空間がたくさんあります。この公共空間に店舗型モビリティを出店し、その収益の一部を還元する。公園や市有地であれば地方自治体に、企業や個人が所有している建物や場所であればオーナー様に還元します。それによって、遊休不動産の利活用や新しい財源の獲得につながります。
また、新型コロナウイルスの影響で、飲食店は非常に苦しい状況に立たされています。そんな飲食店さんに新しい活躍の場を提供することで、事業の継続や雇用の創出につなげていきたい。
さらに、利用されるお客さまにとっても生活する上での利便性の向上につながります。大都市ではランチ難民が問題になっていますが、地方では生活必需品を買いに行くお店が近くにない「買い物難民」が課題です。子育て世帯で夫婦共働きの場合、お子さんに夕食を食べさせる時間に食事の準備ができない、ということはよくあります。フードトラックなら、都市部のランチ需要と住宅地の夕食需要に同時に応えることができます。

公共空間への展開でさらなる拡大を

――これまで事業を展開されてきたなかで、利用者からの声はどのようなものがありましたか。

横田:現在、宗像市さんと連携協定を結んで事業を行っています。開発から50年ほど経つ「日の里団地」という、総戸数1,000戸を超える大きな団地なのですが、周囲には買い物できるようなお店があまりないんですね。この団地内の公園に、曜日替わりでフードトラックの出店をしています。住民の方からは″便利”と喜びの声をたくさんいただいていますよ。

▲日の里団地での様子

――今後ご一緒したい企業があればお聞かせください。

横田:一番は、やはり地方自治体様ですね。公園や庁舎の一部など、活用できていない公共空間はまだたくさんあると思います。そこで我々の店舗型モビリティを営業させていただいて、収益の一部を還元することで自治体側にも新たな財源になる。お互いにとってプラスなことだと思うので、どんどん広げていきたいと思っています。また、現在九州では飲食のみの出店なので、今後は飲食以外の店舗型モビリティの展開を増やしていきたいと思っています。

――ビジネスプラン実現に向けて、現在お困りのことがあればお聞かせください。またその解決策案もあればお聞かせください。

横田:一番の課題は、店舗型モビリティを利用してくださるお客さまに対する情報提供ですね。どんなお店がいつ、どこに来ているか。私たちもスマートフォンのアプリを作っていて、そのなかで情報提供はしているんですが、高齢の方だとなかなかアプリをダウンロードして活用する、というところまでは至らない。自治体様とうまく連携して、回覧板にチラシを入れていただくとか、必要な方に情報を届ける仕組みを作っていきたいです。

これまでイメージしやすかったフードトラックなどの飲食以外にも、その地域の特性にあった業種への広がり、そして地方自治体との連携が広がれば生活者にとっては本当に便利なサービスになるかと思います。特に高齢の方は移動範囲も限られてくるため、地方こそ求められてくるサービスかもしれません。
(文:深水央)

お知らせ

「第2回西日本FHビジネスコンテスト OPEN INNOVATION HUB」最終選考会の様子は3月11日(金)13時より、以下YouTubeよりオンライン配信されます。
さらに詳しい株式会社Mellowのプレゼンの様子、ぜひご覧ください。

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