事業の再生をサポートし、"食"に関わる企業の未来を切り拓く|株式会社RB 大野隆広さん
By 山本 佳世
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今回ご紹介するのは厨房機器の大手メーカーに約20年勤め、その知識や経験を生かして独立起業した厨房機器販売会社「株式会社RB」の大野隆広さん。コロナ禍によって非常に厳しい状況に立たされた飲食業界をサポートするために、お客さまに寄り添う丁寧な対応と斬新な提案で事業を展開されています。
■プロフィール
株式会社RB
代表 大野 隆広さん
福岡県北九州市出身。久留米工業大学卒業後、自動車ディーラーに就職。厨房機器の製造販売を行う業務用厨房機器メーカーのホシザキ株式会社に転職して22年勤務し、2023年11月に退職。同年12月に独立して株式会社RBを設立。
目次
お客さまの希望や課題解決に寄り添う厨房機器を提案
――まずは、御社の詳しい事業内容について教えてください。
大野:当社は飲食業に向けて厨房機器を販売する会社です。厨房機器というのは冷蔵庫やオーブン、ガスコンロなど実にさまざまなものがあり、メーカーも国内外に多種多様に存在します。当社はそういった厨房器具をメーカーから仕入れて、お客さまに販売するというのが大まかな流れとなります。

【改装前】【改装後】
――お客さまはどのような業種になりますか?
大野:こちらも実に多種多様で、レストランや居酒屋などの飲食業やスーパー、病院、保育園、給食センター、食品加工場など、"食"に関係するあらゆる業種が対象となります。
そうしたお客さまの業務をサポートする、コンサル業を行うことも当社の特徴です。
――コンサルとは、具体的にどんなことをされるのでしょうか?
大野:例えば最近の例を挙げますと、農家の加工品製造をサポートさせていただきました。農業では生産過程で傷がついたり規格外のサイズになったりして出荷できない農作物が出てしまうので、それらを何かに活用できる方法はないかと言うご相談を受けたんです。そこで加工品を製造する機器や製造する商品についてアドバイスさせていただきました。
その他にも、「飲食店を開業したいが、どんな厨房機器を導入すればいいか」「配膳ロボットや券売機を導入したい」といったお客さまの相談に対応しています。ただ販売するだけなく、お客さまの課題解決ができる厨房機器の提案も当社の強みですね。SNSの運用やホームページ制作のお手伝いをすることもありますし、補助金の活用についてアドバイスすることもできます。
――補助金のアドバイスとは、どういったことでしょうか?
大野:厨房機器の購入にはさまざまな補助金による支援制度があるのですが、意外に知らない方が多いんですよ。
そうした補助金のことは税理士や社労士さんに任せればいいと思われるかもしれませんが、申請に当たって厨房機器や飲食業界のことを詳しく知っておく必要があるので、なかなか活用できていないことが多いんです。
コロナ禍をきっかけに、飲食業界のサポートを目指して一念発起

――専門知識や経験があるからこそできるお仕事だと思いますが、永年勤めた前職から離れ、起業するに至った経緯を教えてください。
大野:前職で厨房機器大手の「ホシザキ」という会社に勤めており、営業や企画を担当した中で商品知識やノウハウを身につけ、ブロック長を務めていたこともありました。
そんな時に迎えたのが、2020年から始まったコロナ禍です。多くの飲食店が大きな打撃を受けたことはみなさんもよくご存知だと思います。飲食店は客足が遠のいて従業員を減らさざるを得なかったり、病院や介護施設の厨房に人が容易に入れなかったり、厳しい局面を何度も迎えました。
そこで自分に何ができるのだろうと考えた時に、人手不足や非接触を補うためには厨房機器や券売機などの機械が有効になるのではと思ったんです。ところがメーカーの中にいると、自社商品しか取り扱えないのでどうしても提案に限界がありました。そこでお客さまが抱える課題に対して柔軟に対応するため、また自分の長所を生かすために退職し、一念発起して起業したのです。
――コロナ禍が大きなきっかけとなったのですね。とはいえ、大手企業からの独立ということで不安はありませんでしたか?
大野:22年勤めていた中で飲食店や病院施設、そしてメーカーとの繋がりや人脈を築いてきたので、スムーズに事業できているのかなと思います。
それに自分の中で明確なビジョンを描いていたので、あとは突き進むだけと言いますか(笑)。
飲食業に限らず、「コロナ前の数字に戻したい」とおっしゃる方も多いのですが、私はコロナで一度全てが終わったと思っています。働く人も環境も何もかも変わってしまったので過去と現在を比較しても意味がないと考え、今のやり方や基準でお客さんに寄り添うことを目標にしています。
――起業するに当たって、まず取り組まれたことはなんですか?
大野:北九州市の特定創業支援事業による支援を受けに行きました。約1ヶ月半の間に4回のレクチャーを受け、起業準備に必要なものや事業計画書の作成方法などを教えていただきました。
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――昨年12月に起業されて間もないのですが、事業継続のために気をつけていることはなんですか?
大野:まだまだ右から左へと順調に仕事が入ってくる訳ではないので、今はいろいろなアクションを起こしている状態です。例えば今まで取引があったメーカーに案内を出したり、お客さまに対しては広告を打ったりDMを送付したりしています。これからは冷凍食品関係、病院関係施設など、毎月ターゲットやエリアを絞ってPRしていこうと考えているところです。
――事業はお1人でされているのでしょうか?大変に感じることはありますか?
大野:最近1人入社して2人体制にはなったのですが、以前のような大きな組織に属しているよりも、1人で動く方がやりやすいと私は感じています。
営業をかけるにしても上長に許可を得る必要はなく、私個人のジャッジで自由に動けるので。その点ではスムーズに自分のやりたいことができて良かったと思っています。
リアルな現場の声を元に、新しいサービスを展開
――その他に、起業して良かったと思えることはありますか?
大野:お客さまの声が直接聞けることですね。前職では管理職に就いていた時期が長く、お客さまと話すことはほぼなかったんです。
今はお客さまと1対1でお話しでき、お困りごとや要望をじっくりヒアリングできることにやりがいを感じています。
そうした会話の中で人手不足や電気代高騰など、現場のリアルな声を知ることができ、それらを解決できる新しいサービスの提案にも繋がっています。
――福岡で起業したことでメリットに感じることはありますか?
大野:福岡といっても、当社が拠点を置いているのは北九州~筑豊エリアや久留米エリアで、福岡市内はターゲットにしていないのです。
と言うのも、人手不足や高齢化が深刻化しているのは都市部ではなく地方なのですよね。当社としても地域密着で事業を展開していきたいので、ニーズが多いという点ではこのエリアで起業して良かったなと感じています。
――今後の展望や、新しく構想していることがあれば教えてください。
大野:今考えているのが、厨房機器だけでなく全ての設備整備に対応できるサービスです。例えば換気扇の修理や電源スイッチの増設、クロスの張り替えといった細かなところまでお手伝いができると、よりお客さまの要望や課題解決に寄り添えるのではないかと考えています。
もう一つ進めているのが、病院や介護施設内で提供する食事のメニュー開発です。今実際に病院のセントラルキッチンのコンサルをさせていただく予定があり、新しく入ったメンバーにはそこのメニュー開発等を担当してもらいます。
現状として、病院や施設は朝が早い・土日出勤がある等若い人に人気がなく、高齢化が進んで人手不足が問題になっているのです。その課題を解決できるように、厨房機器によってオートメーション化できるようなシステム等を考えています。
社名の「RB」には"RE BORN(再生)"と言う意味を込めています。この社名をモットーに、飲食業界等の再出発を目指して突き進んでいきたいと思います。

株式会社RB について
■会社概要
会社名:株式会社RB
URL:https://rb-corp.jp/
所在地:本社)北九州市門司区浜町10-7-303
久留米営業所)久留米市合川町2068-1-202
設立:2023年12月
代表取締役:大野 隆広
■事業内容?厨房機器販売、コンサルティング
■問い合わせ先:TEL:090-8297-1139mail: oono@rb-corp.jp
お知らせ
▷Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。
▷福岡市と北九州市には創業期のお客さまをサポートする専門拠点『NCB創業応援サロン』を設置していますので、こちらにもお気軽にお越しください。
[NCB創業応援サロン福岡]
福岡市中央区天神2-5-28 大名支店ビル7階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
[NCB創業応援サロン北九州]
北九州市小倉北区鍛冶町1-5-1 西日本FH北九州ビル5階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-055-817

◎コワーキング施設「The Company DAIMYO」
西日本シティ銀行・大名支店ビルの5階、6階にコワーキング施設「The Company DAIMYO」ご利用受付中!
↓↓詳細はこちらをご確認ください。
https://thecompany.jp/multi-location/daimyo/
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Writer

山本 佳世
フリーライター
福岡県福岡市出身・福岡市在住。地元の大学を卒業後、ペット雑誌「犬吉猫吉」や旅行情報誌「九州じゃらん」の編集に携わり、フリーライターとして独立。ペット雑誌の経験を活かし、ペット関連の取材や執筆をする"(自称)ペットライター"としても活動中。趣味はネコグッズ集め、ライブ鑑賞、プロ野球観戦。
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