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注意すべき【ハラスメント一覧表】16種類の内容と気をつける点をわかりやすく掲載

By 澤田 真里奈

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2022.12.29

ハラスメントは社内での問題に収まらず、社会問題にまで発展する行為です。この記事ではハラスメントについて解説し、企業が気を付けるべきポイントをまとめました。ハラスメントは多くの種類がありますが、分かりやすいよう一覧にしたので参考にしてみてください。

ハラスメントとは?意味と種類

ハラスメントとは、相手が嫌がることや迷惑に感じる行為のことです。性的に不快な言動をするセクシャルハラスメントや、権力を利用して威圧するパワーハラスメントなどがあります。 ハラスメントはひとつの労働問題として、国による注意喚起や法整備などが行われています。

まずは基本を理解するために、ハラスメントの主な種類や法律によるハラスメント対策を見ていきましょう。

ハラスメントの主な種類と傾向

多様な状況・環境によってハラスメントの種類は変わりますが、ハラスメントに該当する言動は主に6つに分けられます。

どのような言動がハラスメントに当たるのか、分類を紹介します。

身体的な攻撃

以下は、身体的な攻撃の例です。

  • 殴る

  • 蹴る

  • 物を投げつける

相手の身体を攻撃したり、暴力を振るう行為はハラスメントです。直接的に殴ったり蹴ったりしなくても、周囲の物に当たるなど、恐怖を与える行為も該当します。

精神的な攻撃

精神的な攻撃の例は、以下のとおりです。

  • 怒鳴る

  • 脅す・脅迫する

  • 侮辱する

  • 暴言を吐く

  • 人格を否定する

言葉や態度による攻撃は、ハラスメント被害者を精神的に追い詰めます。一対一での侮辱行為に限らず、大勢の社員の前で晒しあげたり、笑いものにしたりすることも問題です。

人間関係からの切り離し

以下は、人間関係からの切り離しの例です。

  • 無視する

  • 孤立させる

  • 仲間外れにする

  • 仕事に必要な情報を伝えない

まともに人間関係を築けない環境を、意図的に作る行為が該当します。人間関係は円滑な業務進行にも影響するため、ハラスメント被害者は多大な不利益を被ります。

過大な要求

過大な要求の例は、以下になります。

  • 到底達成不可能な業務目標を課す

  • 膨大な業務量を押し付ける

  • 明らかに不要な業務を命令する

現実的ではないノルマを与えることや、遂行不可能な業務を強制する行為を指します。また、必要な教育をしないまま、業務責任を負わせることも過大な要求の一種です。

過小な要求

以下は、過小な要求の例になります。

  • 明らかに程度の低い仕事をさせる

  • まともな業務を与えない

  • 役職・立場に見合わない仕事をさせる

過小な要求では、仕事を振らずに執務室の掃除やシュレッダーの処理など、本来の業務と無関係のことをさせます。 被害者は「何も期待されていない」「仕事の話に入れない」と感じ、精神的な負担を感じます。

個の侵害

以下が、個の侵害の例です。

  • 病歴や性自認などの個人情報を他の社員へ暴露する

  • 個人の私物を勝手に見る

  • プライベートを把握・監視しようとする

  • 個人に委ねられる価値観に口を出す

業務に直接関係ない個人の趣向について、過度に侵害する行為が該当します。持ち物やスマートフォンのロック画面を見て「そんな趣味があるから仕事ができない」など、理不尽なことを言うのもハラスメントです。

法律によるハラスメント対策

ハラスメントが横行しないよう、法律による整備が進んでいます。以下の法律はハラスメント対策に繋がっており、パワハラ防止関連法とも呼ばれます。

  • 労働施策総合推進法

  • 男女雇用機会均等法

  • 育児・介護休業法

ハラスメントは身近に潜む問題ですが、度を超えると刑罰が科せられます。例えばパワハラやセクハラによって、侮辱罪や傷害罪などに問われる可能性があるでしょう。

ビジネスマン必修!ハラスメントの種類一覧表

ここでは、どのようなハラスメントがあるのか紹介します。職場に関係するハラスメントの種類を一覧表にしました。

ハラスメントの種類

内容

パワー・ハラスメント

上下関係や地位を利用したハラスメント

モラル・ハラスメント

精神的苦痛を与えるハラスメント

セクシャル・ハラスメント

性的な言動をするハラスメント

マタニティ・ハラスメント

妊婦に対するハラスメント

リストラ・ハラスメント

自主退職に追い込むハラスメント

ジェンダー・ハラスメント

性別による決めつけや差別をするハラスメント

アルコール・ハラスメント

飲酒を強要するハラスメント

スモーク・ハラスメント

タバコの受動喫煙や臭いによるハラスメント

スメル・ハラスメント

キツイ臭いによるハラスメント

リモート・ハラスメント

リモートワークを通じて起こるハラスメント

テクノロジー・ハラスメント

デジタル機器の知識不足を嘲笑するハラスメント

カスタマー・ハラスメント

顧客が企業に対して嫌がらせするハラスメント

時短・ハラスメント

暗にサービス残業をさせるハラスメント

エンジョイ・ハラスメント

仕事に楽しさを強要するハラスメント

パーソナル・ハラスメント

個人の特性を揶揄するハラスメント

レイシャル・ハラスメント

人種・国籍に関する差別をするハラスメント

それぞれのハラスメントについて、特徴を紹介します。

パワー・ハラスメント

パワハラは上司から部下、先輩から後輩など上下関係を利用し、立場の弱い人を攻撃する行為です。暴言・暴力を浴びせたり、相手が断れないのをいいことに物事を強制したりすることが当てはまります。

モラル・ハラスメント

モラハラは、精神的な苦痛を与えるさまざまな嫌がらせです。陰口や無視、プライベートへの過干渉などが該当します。

パワハラは上下関係を盾にした威圧的な言動である一方、モラハラは同僚・上司に関係なく精神的に追い詰めます。

セクシャル・ハラスメント

セクハラは不必要に接触したり、性的な話をして相手の反応を楽しんだりする言動です。女性だけでなく男性が被害者になるケースもあり、性別は関係ありません。

セクハラされた人が拒否すると、職場で無視をする、自意識過剰と罵るなど二次被害が起こることがあります。このようなハラスメントによる二次被害は、セカンドハラスメントとも呼ばれます。

マタニティ・ハラスメント

妊娠した社員に対し、小言を言ったり働きにくい環境にしたりする嫌がらせ行為です。

例えば「健診やつわりで何度も休まれて迷惑」「妊娠したなら辞めればいいのに」などの言動です。このような言動により、妊娠したことで職場に居づらさを感じてしまいます。

リストラ・ハラスメント

急な配置転換や降格、まともな仕事をさせないなどの方法により、自主退職に追い込む行為です。

日本ではよほどの理由がない限り、従業員をリストラできません。そのため、嫌がらせすることで該当社員が自分から辞めたくなる環境を作ります。

ジェンダー・ハラスメント

「男なんだから」「女なんだから」といったように、性別によって決めつける言動が当てはまります。例えば「男なんだから女性に興味がないのはおかしい」「女性なんだからお茶くみするのは当たり前」といった言動はNGです。

アルコール・ハラスメント

お酒が飲めない人や弱い人に無理やり飲ませることを、アルハラといいます。

上司にお酒をお酌され飲まざるを得ない、イッキ飲みを促されるなどがよくあるケースです。また、お酒に酔って絡む行為もアルハラとされる場合があります。

スモーク・ハラスメント

スモハラは、喫煙者によって非喫煙者が不快な思いや健康被害を受けることです。

飲み会や車内など、近い距離でタバコを吸われると受動喫煙が起きます。非喫煙者の中にはタバコの煙や喫煙後の匂いにより、気分が悪くなる人もいます。

スメル・ハラスメント

体臭や香水、柔軟剤などのキツイ匂いによるハラスメントです。スメハラにより、頭痛や吐き気など体調不良を引き起こす場合があります。

リモート・ハラスメント

リモートワーク中に起こるパワハラ・セクハラ・モラハラなどのハラスメント全体を指します。

例えば、リモート会議中に映った室内の様子に対し、過度に詮索する行為はリモハラです。また、チャットやWebカメラで常に監視されている状態を、ハラスメントに感じる人もいます。

テクノロジー・ハラスメント

パソコンやスマホの操作が苦手な人に対し「そんなことも分からないのか」と馬鹿にする行為が該当します。

テクハラはデジタルネイティブの若い世代から、高齢社員に対して行われることが多いです。その一方で、「操作が分からないからやっておいて」と丸投げする行為は、逆テクハラと呼ばれます。

カスタマー・ハラスメント

顧客が企業の従業員に対し、嫌がらせや迷惑行為を行うハラスメントです。数時間にわたってクレームを言い続けたり、頻繁に電話して業務を妨害したりすることが当てはまります。

理不尽な要求や過度に謝罪を要求することは、行き過ぎたクレームとして問題視されています。

時短・ハラスメント

働き方改革やノー残業デーを掲げ、残業申請を認めないことが時短・ハラスメントです。業務量は変わらずに、業務時間のみ短くしろというのがハラスメントに当たります。

エンジョイ・ハラスメント

仕事のやりがいや楽しさといった価値観を、他人にも押し付ける行為を指します。

仕事に楽しさを求める人もいれば、給料をもらうために最低限の働きをしたい人もいます。価値観はそれぞれのため「仕事って楽しいよね」という押し付けがハラスメントに感じる人もいるでしょう。

パーソナル・ハラスメント

人の言動や癖をからかったり、個人の性格に対して否定的な態度を取ることです。例えば身体的な特徴をあだ名にする、癖を真似して笑いものにすることが当てはまります。

レイシャル・ハラスメント

外国籍やハーフ・クォーターなどの従業員がいる職場で起こりやすいハラスメントです。

「◯◯人だからマナーがなっていない」という決めつけ発言や、ハーフという理由だけで通訳業務をさせることが該当します。

職場ハラスメントの実態

ここでは、厚生労働省による職場で起きたハラスメントの実態調査を紹介します。

職場でどのようなハラスメントが起こるのか、企業でどのような対策・取り組みがあるのかを確認していきましょう。

実態調査報告書の結果

実態調査において、相談件数が多かったハラスメントは以下の3つです。カッコ内は相談があった企業の割合を示しています。

  1. パワハラ(48.2%)

  2. セクハラ(29.8%)

  3. カスハラ(19.5%)

調査時から過去3年間において、セクハラの件数は若干の減少傾向にあります。その一方でカスハラは増加している傾向にあり、企業が顧客へとるべき対応策が求められています。

企業におけるハラスメント対策の取り組み一覧

以下は、企業がハラスメントの予防・解決のために実施している取り組み一覧です。

出典:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)

8割以上の企業において、パワハラまたはセクハラに関して以下のいずれかの対策を講じています。

  • ハラスメントに対する方針の明確化や周知、啓発

  • 相談窓口の設置および周知

  • 事実関係の迅速かつ正確な確認

また同調査では、ハラスメント対策によって生まれた副次的効果にも言及しています。

「職場のコミュニケーションが活性化する」「管理職の意識改革で職場環境が変わる」といった回答が多くありました。

企業のハラスメント対策で気をつけたいポイント

ハラスメントは、加害者となる従業員に大きな責任があります。しかし、すべてを従業員の意識に任せるのではなく、企業が責任をもってハラスメントを防止することが重要です。企業がハラスメント対策への取り組みを強化すれば、従業員の意識を高く保つことに繋がります。

ここでは、企業でできるハラスメント対策について見ていきましょう。

ハラスメント対策研修を実施する

ハラスメント対策研修を、定期的に実施しましょう。研修では、次のような内容を共有します。

  • ハラスメントの種類

  • ハラスメントに当たる言動

  • 実際にあったハラスメントの事例

研修は、社歴や役職ごとに分けて開催するのがおすすめです。それぞれに合わせた研修内容にすることで、年代によって変わるハラスメントの意識を均一化しやすくなります。

厚生労働省でも企業向けにハラスメント研修会を実施しているので、そちらを利用するのもいいでしょう。

相談窓口の設置と周知を徹底する

パワハラ防止法により、企業には相談窓口の設置が義務づけられています。大企業は2020年(令和2年)6月から、中小企業は2022年(令和4年)4月から義務化されました。

相談窓口は社内で対応する方法と、外部に委託する方法があります。

社内で対応する場合は、総務部やコンプライアンス部が引き受けるケースが一般的です。外部委託の場合は、有料で法律事務所や社会保険労務士と契約することを検討しましょう。

また、厚生労働省が設置する「ハラスメント悩み相談室」や、各都道府県労働局の相談コーナーもあります。

適切に対応できる体制を強化する

窓口を用意するだけでなく、受けた相談をどのように解決していくかの体制も整えなければなりません。

内部相談窓口の場合、そもそも相談しにくい可能性が考えられます。窓口担当者は相談しやすい立場の人物か、相談したことを知られない体制を整えているか検討が必要です。

また、社内規則にハラスメントに対する項目を追加し、会社の姿勢をしっかりと示すことも行いましょう。

まとめ

ハラスメントは多様な種類があり、いずれも個人の尊厳や心身を傷つける行為です。どの職場でも起こりうる可能性があるため、企業が責任をもって対策を講じることが欠かせません。ハラスメントのない職場になれば、企業イメージの向上や離職率の低下にも繋がるでしょう。

>>円滑な表現方法「アサーティブコミュニケーション」とは?意味や実践のコツも紹介

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