
感染症対策やインバウンド対策等の一環としてキャッシュレス決済への需要が高まるなか、キャッシュレス決済の導入を検討しているものの、コストが気になるという事業者様は少なくないでしょう。
そこでこの記事では、キャッシュレス決済端末を導入する際に活用できる主な補助金や助成金を紹介します。
※記事内容は、2025年3月3日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
1:IT導入補助金
IT導入補助金は中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
複数ある申請枠のうち、インボイス枠(インボイス対応類型)では、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトに加えてPC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入関連費用も支援します。
この導入関連費用に関して、これまでの保守運用やマニュアル作成等のサポート費用のほか、IT導入補助金2025ではIT活用の定着を促す導入後の"活用支援"も対象となります。
なお、IT導入補助金2025の変更点については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>IT導入補助金2025の変更点とは? 拡充ポイントや制度概要を解説

参照:中小企業庁 IT導入補助金2025 リーフレット
参照:経済産業省 キャッシュレス導入に利用できる主な支援策
2:ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する制度です。
新たなサービスの提供に必要なキャッシュレス対応機器等を導入する場合、補助対象となる可能性があります。
なお、令和7年(2025年)以降は基本要件の見直しに加えて、最低賃金引上げ特例の創設、補助金額に係る従業員規模区分を見直したうえで補助金上限額の一部拡充を行っています。

※申請枠・要件による
※大幅な賃上げに取り組む事業者には、補助上限額を100~1,000万円上乗せ
※最低賃金の引き上げに取り組む事業者は、補助率を2/3に引き上げ
参照:中小企業庁 ものづくり補助金 リーフレット
参照:経済産業省 キャッシュレス導入に利用できる主な支援策
3:中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、IoTやロボットなどの付加価値額向上や生産性向上に効果的な汎用製品を「製品カタログ」から選択・導入することで、中小企業等の付加価値や生産性の向上、さらには賃上げにつなげることを目的とした補助金です。
キャッシュレス決済導入の想定事例として、飲食店や小売店、サービス業におけるキャッシュレス決済に対応した自動精算機や自動券売機の導入が挙げられます。
参照:中小企業省力化投資補助金 公式HP 製品カテゴリ
なお、中小企業省力化投資補助金ではこれまで行ってきた公募内容を「カタログ注文型」として、新たに「一般型」を創設しました。
「カタログ注文型」では、中小企業等が「カタログ」に掲載された省力化製品から自社の課題に合う製品を選択して導入することを支援します。
一方、「一般型」では、中小企業等の個別の現場の設備や事業内容等に合わせた設備導入・システム構築等を支援します。「一般型」の内容は、これまで行われていたものづくり補助金の「省力化(オーダーメイド)枠」とほぼ同様です。
参照:中小企業省力化投資補助事業(PR資料)

参照:中小企業庁 中小企業省力化投資補助金 リーフレット
4:小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助する制度です。
令和6年度(2024年度)補正予算による公募から申請枠が再編されますが、このうち、一般型と創業型において対象経費に「機械装置費等」が含まれています。
これに関して、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化に必要なキャッシュレス決済端末の導入であれば、補助対象となる可能性があります。

参照:中小企業庁 小規模事業者持続化補助金の概要
5:業務改善助成金
業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資等を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。
厚生労働省が挙げている業務改善助成金の活用事例として、パソコンやスマートフォン、タブレット端末、POSレジシステム等の導入が挙げられていて、キャッシュレス決済端末の導入も補助対象となる可能性があります。
令和6年度(2024年度)の公募は令和7年(2025年)1月31日(金)までで終了しましたが、令和7年度(2025年度)概算要求にも予算が盛り込まれていることから、今後も継続して公募を行う可能性が高いと考えられます。

参照:厚生労働省 業務改善助成金
参照:厚生労働省 令和7年度概算要求資料
参照:経済産業省 キャッシュレス導入に利用できる主な支援策
まとめ
キャッシュレス決済の導入に対する需要は、今後さらに加速すると考えられます。
クレジットカード、ORコード決済、バーコード決済、スマホ決済、タッチ型カード決済などの導入を検討されている場合は、ぜひ、補助金の活用もあわせてご検討ください。
株式会社Stayway 代表取締役CEO 公認会計士
東京大学経済学部卒業 / 公認会計士及び経営革新等支援機関デロイト トウシュ トーマツ出身。東京及びシアトルにおいて、IPO支援に従事したのち、香港本社のPEファンド・経営コンサルティングファームに勤務。「中小企業や地域のポテンシャルを開放」するため、2017年株式会社Staywayを創業。
※本記事の監修者です。