
「デジタル化・AI導入補助金」は、中小企業・小規模事業者等が行うIT導入・DXによる生産性向上を支援する制度です。
これまでの「IT導入補助金」から名称を変更し、制度内容も見直したうえで、令和8年3月30日から公募を開始しました。
そこでこの記事では、「デジタル化・AI導入補助金」の主な変更点と制度概要について解説します。
※記事内容は、令和8年3月30日時点の情報です。最新の情報は、必ず公式HPをご確認ください。
デジタル化・AI導入補助金とは
「デジタル化・AI導入補助金」は、中小企業・小規模事業者等が業務効率化やDX等に向けて行うITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
これまでの「IT導入補助金」から名称や一部内容を変更して、公募を行います。
補助対象となるITツールは、事前に事務局の審査を受け、補助金ホームページに公開しているものに限ります。
また、相談対応等のサポート費用やクラウドサービス利用料等も補助対象に含みます。
申請にあたり、補助金申請者(中小企業・小規模事業者等)は、デジタル化・AI導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要です。
補助金交付後において導入したITツールを一部でも解約、利用停止した場合は、後年(こうねん)手続きが必要です。
後年手続きとは、補助金交付後において、導入したITツールを一部でも解約・利用停止した場合や、廃業・倒産・事業廃止・事業譲渡・吸収合併等により、補助事業を取りやめた場合に必要な手続きを指します。
後年手続きは、まず、事務局宛に辞退届を提出することで開始します。
過去公募(IT導入補助金)からの主な変更点
ここでは、「IT導入補助金」からの主な変更点を3つ解説します。
補助金名称の変更について
補助金の名称を、これまでの「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」に変更しました。
この変更は、ITツールの導入に加えて、より踏み込んだデジタル化の推進やAIの活用が重要であることを広く周知することを目的としています。
2回目以降の申請に係る申請要件の追加について
IT導入補助金2022からIT導入補助金2025の間に交付決定を受けた事業者に対して、申請要件を追加しました。
具体的には、以下の要件をすべて満たす、交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画を策定し、実行することおよび事業実施効果の報告を行うことを求める内容としています。
1. 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の年平均成長率を日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.5パーセント以上向上させること
2. 交付申請時点で賃金引上げ計画を従業員に表明していること
なお、要件未達や効果報告未提出の場合は、補助金の全部または一部を返還する必要があります。
AI機能を有するツールの明確化について

出典:デジタル化・AI導入補助金 公式HP
補助対象となるITツールは、ホームページ上の「ITツール検索」で確認できます。

出典:デジタル化・AI導入補助金 公式HP
今回の制度変更により、この検索機能でAI機能を有するツールの絞り込みが可能となりました。また、AI機能を有するツールについては、AIツールであることを明記します。
なお、AI機能の有無は、IT導入支援事業者による申請をもって判断しています。
<補助対象となるAIツール(例)>
以下は、「ITツール検索」で検索できるAIツールの一例です。対応エリアで絞り込みもできるため、福岡県で活用できるツールの例として紹介します。
・顧客管理・営業支援などに活用できるクラウドサービス
顧客管理(CRM)を中心に、営業支援、マーケティング、顧客サポート、社内コミュニケーション、コラボレーション、業務効率化などに活用できるクラウドサービス
・会計・人事労務などのバックオフィス業務に対応するクラウドサービス
会計、請求管理、経費精算、給与計算、社会保険手続き、勤怠管理、年末調整、電子契約などの業務に対応するクラウドサービス
・業務の自動化・効率化に活用できるノーコードツール
業務フローの構築や業務の自動化などを、プログラミング不要で行える汎用的なソフトウェア
デジタル化・AI導入補助金の制度概要

出典:デジタル化・AI導入補助金チラシ
「デジタル化・AI導入補助金」は、次の5つの申請類型で公募を行います。
● 通常枠
● 複数者連携デジタル化・AI導入枠
● インボイス枠(インボイス対応類型)
● インボイス枠(電子取引類型)
● セキュリティ対策推進枠
ここでは、各類型の概要について、補助対象経費を中心に解説します。補助額や補助率については、上表にてご確認ください。
通常枠
「通常枠」では、生産性の向上につながるITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用を支援します。
また、クラウド利用料を最大2年分補助し、保守運用等の導入関連費用も補助対象とします。
複数者連携デジタル化・AI導入枠
「複数者連携デジタル化・AI導入枠」では、10者以上の中小企業・小規模事業者等が連携し、インボイス制度への対応やキャッシュレス決済の導入などに取り組む事業を支援します。
会計・受発注・決済機能を有するソフトウェアの基盤導入費に加えて、AI機能を備えたものも含め、ハードウェア購入費も補助対象となります。
具体的には、人流や消費動向のデータ取得を目的としたAIカメラ、ビーコン、デジタルサイネージ等の導入費用が含まれます。
これらを個店や街路に導入し、集客・需要予測ツール等で得られたデータを活用することで、効果的な情報発信や商品・単価・陳列の見直し、適正な発注や人員配置によるコスト削減につなげる取り組みを後押しします。
そのほか、事務費や専門家経費も補助対象となります。
インボイス枠(インボイス対応類型)
「インボイス枠」は、令和5年10月1日に開始されたインボイス制度への対応に特化した支援枠です。
「インボイス対応類型」では、会計・受発注・決済ソフトの導入を支援しており、AI機能を有するソフトも補助対象に含みます。
あわせて、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入費用も補助対象としています。
補助下限額を設けていないため、比較的安価なITツールの導入であっても申請できます。
インボイス枠(電子取引類型)
「電子取引類型」では、取引関係における発注者(大企業を含む)が費用を負担してインボイス対応済の受発注ソフトを導入し、受注者である中小企業・小規模事業者等が無償で利用できる仕組みを支援します。
補助対象となるのは、インボイス制度に対応した受発注機能を備えたクラウド型ソフトウェアです。
また、発注側事業者が当該ITツールを導入し、取引先である受注側事業者に対してアカウントを無償で発行し、利用させることができる機能を有する必要があります。
AI機能を有するソフトウェアも対象となります。
セキュリティ対策推進枠
「セキュリティ対策推進枠」では、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたセキュリティサービスの利用料を支援します。
本リストは、情報処理推進機構(IPA)が公表しています。
活用事例
ここでは、デジタル化・AI導入補助金のチラシをもとに、本補助金の活用イメージを2例紹介します。
通常枠
タイムカードによる勤怠管理では、出社後の現場移動や帰社後の退勤処理が必要でしたが、「勤怠・労務管理ツール」の導入により、出先からの打刻が可能となりました。
これにより、勤務状況のデータ化が進み、残業時間を3割削減でき、人事担当の業務効率も向上しました。
インボイス枠
インボイス発行業務の効率化を目的に「会計ツール」を導入しました。出納管理の自動化により、経理担当の手作業を削減し、バックオフィス業務の効率化につながりました。
採択状況
IT導入補助金の最終公募の採択状況は、次のとおりです。
| 申請数 | 採択数 | 採択率 |
|---|
通常枠(8次締切分) | 2,523件 | 905件 | 約35.9% |
複数者連携デジタル化・AI導入枠(4次締切分) | 2件 | 1件 | 50.0% |
インボイス枠(インボイス対応類型)(8次締切分) | 6,843件 | 3,076件 | 約45.0% |
インボイス枠(電子取引類型)(8次締切分) | 0件 | 0件 | 0.0% |
セキュリティ対策推進枠(8次締切分) | 87件 | 46件 | 約52.9% |
公募スケジュール
「デジタル化・AI導入補助金」は、年度を通して複数回の公募を実施しています。
令和8年3月30日時点では、4次締切分(複数者連携デジタル化・AI導入枠は2次締切分)までの日程を公表しています。今後、追加日程が決まり次第、順次公表します。
詳細は、公式ページをご確認ください。
▶デジタル化・AI導入補助金 公式HP(事業スケジュール)
まとめ
この記事では、「デジタル化・AI導入補助金」の主な変更点と制度概要について解説しました。
本補助金では、AIツールの導入も補助対象としています。今後、業務のデジタル化やAIツールの導入を予定している場合は、ぜひ、本補助金の活用もご検討ください。
参照:デジタル化・AI導入補助金 公式HP
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