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イーサリアムとは?特徴や暗号資産の仕組み、ビットコインとの違いを初心者に向けて解説

By もろふし ゆうこ

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2023.05.08

世界のお金・サービス・モノの流通を大きく加速させるプラットホームとして、イーサリアムが注目されています。独自の暗号資産「イーサ」はビットコインとよく比較される、ニーズが高まっている仮想通貨の1つです。この記事では、イーサリアムとはどんな特徴を持つのか、ビットコインとの比較とともに解説します。

イーサリアムとは

イーサリアム(ETH)とは、ウェブ上で契約を自動実行したり、暗号資産として送金・決済できたりできるプラットフォームです。まずはイーサリアムとはどんな特徴を持つものなのか、取引方法、歴史とあわせて紹介します。

イーサリアムの特徴

イーサリアムは今、世界中のさまざまなシーンで使われ始めています。開発のしやすさや便利さなどから「ビットコインを超える流通量になるのではないか」と称されることもあるほどです。
イーサリアムとは、どんな特徴を持つプラットフォームなのでしょうか。

イーサリアムの定義とは

イーサリアムはプラットフォーム(動作環境)の名称です。イーサリアムプロジェクトと呼ばれる、プロックチェーン技術を元に開発されたプラットフォームを指します。
ただ、日本においてイーサリアムは、主に以下の2つの意味で使われることが多いです。

  • プラットフォーム

  • プラットフォーム内で流通している暗号資産「イーサ(ETH)」

イーサリアムでできること

システム開発者はイーサリアムのプラットフォームを利用し、目的・用途に応じてプログラミングします。その結果、独自のブロックチェーン上に取引履歴を記録したり、契約システムを自動化したりできます。
イーサリアムは開発時にあらかじめ取引内容を設定することで、取引の自動化が可能です。そのため、暗号資産のやりとりだけでなく、不動産取引や商品の売買などにも活用されています。新ビジネスや業務効率化も期待されます。

自動販売機にたとえられるイーサリアムのプラットフォーム

プラットフォームとしてのイーサリアムは、よく自動販売機に例えられます。
自動販売機に決められた額の通貨を入れると、売買契約が自動的に行われ、商品を受け取れます。イーサリアムもまさに同じような仕組みです。

イーサリアム(ETH)の取引方法

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イーサリアムでは、暗号資産「イーサ(ETH)」を使ってお金をやり取りします。イーサとは、プラットフォームの中で利用可能な独自の仮想通貨を指します。
イーサを介してイーサリアムでの取引をするための方法は次のとおりです。

仮想通貨取引所で売買

イーサは他の暗号資産と同様、仮想通貨取引所に流通しています。イーサを取引できる仮想通貨交換業者を通じて、取引所で売買します。
市場動向やニーズに応じて、イーサの価格は変動する仕組みです。買うタイミング・売るタイミングによって差益を得られます。逆に、損失が発生することもあるので注意しましょう。

口座に入金してイーサを購入

実際にイーサを購入するには、仮想通貨取引所の口座にお金を入金して手続きします。現物取引だけでなく、レバレッジを効かせた取引ができる業者もあります。

ウォレットで取引

イーサも他の仮想通貨と同様に、自分の「ウォレット」が必要です。ウォレットとは仮想通貨を保有・管理するサービスです。自分が持っているイーサで商品を購入したり、オンライン上のゲームやアプリなどを利用したりする際に使用します。
仮想通貨取引所の多くは、取引口座をウェブウォレットとして提供しています。それ以外にも、PCのソフトウェアウォレットや、スマートフォンのモバイルウォレットなどで取引が可能です。

>>あわせて読みたい:暗号通貨の取引に関する税金の基礎知識や確定申告の方法

イーサリアムの歴史

イーサリアムは2013年(平成25年)、ヴィタック・ブテリン氏により考案されました。彼が立ち上げたイーサリアム財団により開発され、2015年(平成27年)に一般公開までこぎつけます。
その当時は、取引がブロックチェーンに記録されない仕様になっていました。実証実験を6ヶ月ほど重ね、「ホームステッド」と呼ばれるアップデートが実施されます。2016年(平成28年)、ここからイーサリアムの本格始動です。

アップデートを重ねて現在の仕様に

しかし、ホームステッドの約3ヶ月後、The DAOという投資ファンドのイーサがおよそ360ETH(当時の時価で52億円ほど)盗まれる事件がありました。これを機に、イーサリアムは分裂や改善などを繰り返します。
現在はイーサリアム2.0が実装されていますが、継続的にアップデートを行い機能向上を図っています。

イーサリアムの仕組み

イーサリアムが支持されている理由は、ユーザー同士が第三者の介入を経ずとも安全に直接取引できる仕組みにあります。

ブロックチェーンプラットフォーム

ブロックチェーンとは「ブロック(取引履歴)」が1本のチェーン(鎖)のように、過去からつながっている状態で記録される技術です。データ破壊や改ざんをしにくく、システム障害などによる稼働停止のリスクが低いという特徴があります。
ブロックチェーンが持つメリットについては「ブロックチェーンとは?初心者にもわかりやすく解説」にてご紹介しています。

DApps(ダップス)

DAppsは、日本語で分散型アプリケーションと呼ばれています。特に注目すべき特徴は、ブロックチェーンによる取引記録を暗号化・分散管理できる点です。
DAppsを利用することにより、操作ログも含めた過去の取引を全てブロックチェーン上に記録できるメリットを得られます。ユーザー全てがコードを見れる分、不正・改ざんすることが困難になっているのです。

スマートコントラクト

さらに、スマートコントラクトにより、イーサリアムでの取引がスムーズになっていることも大きな特徴です。

契約実行の自動化が可能

スマートコントラクトとは、契約内容をプログラムに落とし込み、一定条件を満たした場合に自動で決められた動作を実行する仕組みです。支払いや契約手続きなどを自動化できます。
たとえば「1イーサを支払ったらAというデータをダウンロードできる」というプログラムを、あらかじめ組んでおきます。実際にユーザーが1イーサを支払うと、システムが稼働して自動でデータ取得をできる契約が実行されるのです。

DeFi(分散型金融)の起爆剤になるか

スマートコントラクトでは、あらかじめプログラミングしておけば、管理者がいなくても設定した契約が自動実行されます。この仕組みは、今注目されているDeFi(ディーファイ)と大いに関わりがあります。
DeFiとは分散型金融の略称です。従来、金融サービスには必ず金融機関による管理が必要となりました。しかし、DeFiの場合、スマートコントラクトのような機能を使えば管理者なしで金融サービスを提供できます。

独自の暗号資産・トークンを発行できる

イーサリアムのプラットフォームでは独自の暗号資産「イーサ」の他、NFTなどのトークンが流通しています。そのため、仮想通貨を利用した資金調達にイーサリアムを応用できます。

NFTも作成可能

NFTとは、非代替性トークンと訳されるデジタルデータのことです。ブロックチェーンを元にして作成されます。NFTを活用すれば、データの購入履歴や所有権、作品が本物である証明などが可能になるのです。デジタルアートやゲームアイテムなど、有形のものから無形のものまで多彩なジャンルで活用されています。
イーサリアムでも、NFTを発行可能です。NFTマーケットプレイスでは、イーサリアムが圧倒的なシェアを誇るとされています。
NFTとは?という方に向けて基礎知識の解説記事もご用意していますのであわせてご覧ください。

イーサリアムとビットコインの違い

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暗号資産といえば、代表的なのがビットコインです。ここでビットコインの概要や歴史、イーサリアムとはどんな違いがあるのか確認しておきましょう。

ビットコインとは

ビットコインとは、世界で初めてブロックチェーン技術を用いて開発された暗号資産です。ビットコインの歴史はイーサリアムより古く、2008年(平成20年)発表の論文がはじまりといわれています。
この論文を元に作られたソフトウェアが2009年(平成21年)に公開され、ビットコインの取引が本格的に開始されました。リアルタイムでビットコインをやりとりでき、価格変動による差益を狙えるなどの特徴が支持されています。

イーサリアムとビットコインの仕組みを比較

イーサリアム(ETH)とビットコインは、ブロックチェーン技術を用いた暗号資産という点では同じです。一方、銘柄の単位や送金時間など、いくつかの違いもあります。
ここでは、特に知っておきたいイーサリアムとビットコインの違いをピックアップします。

目的の違い

ビットコインの目的は「価格の移転」です。言い換えると、暗号資産による決済・取引が主な役割となります。
イーサリアムは暗号資産そのものというよりは、多彩な目的でブロックチェーンを活用できるよう設計・開発されたプラットフォームが本来の姿です。そのプラットフォーム内で、独自の暗号資産「イーサ」を用いた決済・取引が行われています。

スマートコントラクトの有無

ビットコインでは信頼性を確保するため、通貨の取引履歴が記載されている台帳を管理しています。使用している台帳は、スマートコントラクトの機能を有していません。
イーサリアムは台帳に、契約条件などの情報も記載し管理できる機能「スマートコントラクト」を備えています。契約取引を記録できる分、活用シーンの幅が広がっている点で大きな違いがあるといえます。

発行上限の有無

ビットコインには発行上限数2,100万BTCという決まりがあります。しかし、イーサリアムには発行上限数がありません。

ビットコインでは、発行数に上限を定めることで希少性を担保しています。イーサリアムの希少性は発行上限の設定ではなく、イーサリアム運営者が供給量に制限をかける「バーン」により保たれているのです。

イーサリアムの将来性

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イーサリアムはお金やサービス、モノの取引や契約方法を大きく変えた、歴史的なプラットフォームの1つです。その将来性と今後の課題とは、どのようなものがあるのでしょうか。

イーサリアム(ETH)に投資するメリット

まずは、イーサリアムへの投資で得られるメリットから確認していきましょう。

半減期が存在しない

イーサリアムには発行上限数が設定されておらず、半減期も存在しません。半減期とは、仮想通貨に希少性を出すため、仮想通貨の発行数が増えるほど供給量が減らされていくことです。流通する仮想通貨を年々減少させて市場での流通量を減らすことで、その仮想通貨の価値を高める狙いがあります。
現時点で、イーサリアムにはこの半減期がありません。流通量が安定するというメリットを得られるのです。

金融資産の管理をしやすくなる

暗号資産の取引における承認作業「マイニング」スピードが速いのも、イーサリアムの魅力です。マイニングが十数秒に1回行われるため、決済を迅速に完了できます。
また、ブロックチェーンの強固なシステムにより、イーサリアムがハッキングされるリスクをかなり抑えています。
先ほど紹介したDeFi(分散型金融)としての役割も加味すると、イーサリアムの活用で金融資産の管理がよりしやすくなるといえます。

イーサリアムが抱える課題と現在の取り組み

イーサリアムには他のプラットフォーム・暗号資産とは異なる魅力的なメリットがある一方、理解しておきたい課題も存在します。

処理が追いつかなくなるリスク

イーサリアムの需要が高まれば、取引量も増加します。そのため、場合によっては処理が間に合わなくなる恐れがあります。たとえば、取引情報の送付遅延や取引の承認不可などの事態です。これは「スケーラビリティ問題」と呼ばれています。
ただ、今後さらに開発・改善が進めば、このリスクを抑えることが可能になるといわれています。

ガス代(手数料)の上昇

さらにスケーラビリティ問題に数えられる課題として、ガス代上昇があります。ガス代とは、イーサリアム取引で発生する手数料です。イーサを送金する際、現在は数百円から数千円のガス代がかかります。
ガス代の改善案が現在検討されており、手数料引き下げに向けたアップデートも想定されます。とはいえ、将来的にガス代が上昇しないとは言い切れません。

環境への配慮

従来、イーサリアムにおける承認方法は、Proof of Work方式でした。ただ、報酬を得るためのコンピュータ計算による消費電力の増加が、環境にも影響するという指摘も多かったのです。
そこで現在、承認方法をPoS(Proof of Stake)方式へ移行しました。PoSの場合、イーサの保有により報酬を得られるシステムです。これまでのコンピュータの高速計算が不要になり、消費電力削減を実現しています。

まとめ

金融の世界においても、イーサリアムはこれまでとは異なる取引手段として注目されています。特に新たな金融サービスの仕組みであるDeFi(分散型金融)を支えるプラットフォームとして、イーサリアムの存在感がさらに増しそうです。スピーディで改ざんしにくい金融取引の選択肢として、今後もイーサリアムの動向から目が離せません。

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