大手証券会社から異業種起業。福岡で好調を維持する理由とは | シンス 越水大輔さん

人は「十人十色」と言われるように、起業のかたちも人それぞれ。「MY FOUNDING STORY」シリーズでは、さまざまな企業の創業ストーリーを紐解き、これから起業しようとしている方々の参考や励みにしてもらいたいと考えています。
移住というキーワードが世に浸透する前の2012年に、慣れ親しんだ土地を離れ福岡に移住。同時に、独自で勉強した知識をもとにフリーランスのWebデザイナーとしての活動をスタートさせた。
当時のことを「毎日ただただ必死だった」と振り返る越水大輔さんだが、移住から4年後の2016年に法人化。大手証券会社勤務という華々しい肩書を手放してまで「起業」にこだわったのはなぜなのか?起業から現在まで好調を維持し続けている理由に迫ります。

■プロフィール
シンス株式会社 代表取締役
越水大輔(こしみずだいすけ)さん
1981年、神奈川県川崎市生まれ。2012年より福岡市在住。大学卒業後、国内最大手の野村証券へ入社。2011年、まったくの未経験からWeb制作を独学しフリーランスとして独立。2016年に法人化。福岡で中小企業向けにホームページ制作とWebマーケティングの事業を行っている。
「起業」という夢に向かって
――まずはシンス株式会社の事業内容についてお聞かせください。
越水:私たちはお客さまの会社や商品・サービスの魅力をホームページという形にして伝える、ということを念頭に九州の企業を中心に、ホームページ制作やショッピングサイト制作などを行っている会社です。
――シンスを立ち上げる前はどのような道を歩んでこられたのでしょうか?
越水:大学在学中からビジネス書や自己啓発本を読み漁っていた影響から(笑)、当時すでに起業願望を抱いていました。ただ、卒業後すぐに起業するのは無理だとわかっていたので、まずは営業の経験を積もうと野村證券に入社。そして、27歳の時にビジネスの立ち上げを現場で体感したくてベンチャー企業に転職しました。しかし、想像以上のスピード感についていけず、半年ほどで退職。次はどうしようか…と考えていた時、自分の興味の赴くままにショッピングサイトをつくってみたんです。立ち上げから3ヶ月経ってもほとんど売れず、考えの甘さを知りました。当時すでに結婚もしていたので、不動産会社の営業職に転職しました。
――大手証券会社からベンチャーそして不動産会社と…それは珍しいご経歴ですね。
越水:そうですね。当時は自分の中で「起業」がゴールだったので、就職や転職はすべて「起業」に必要なスキルを身につけるためのものでした。結局、不動産会社も数ヶ月で退職しました。それがちょうど2011年の2月末でしたね。
――すごく濃厚な20代ですね。証券会社退職後に、様々な挫折を経験されていますが、心は折れなかったですか?
越水:正直少し折れました…。自分は働くということに向いていないんじゃないかとまで考えましたね。ただ、失敗や挫折をしたからこそ「これから何をして稼いでいけばいいのか」を真剣に考えました。自分の人生を物心がついたころまで振り返り「小学生のころ、絵を描いたり、マンガを描いたりして友達を笑わせるのが何よりも楽しかった」ということを思い出して。そして、当時独学で少しだけ勉強していたWebやIT業界を掛け合わせて「Webデザイナー」という答えを見出したんです。
独学でWebデザインのスキルを習得
――それからどう行動に移されたのですか?
越水:2月末で退職し、Webデザイナーの勉強をする中、3月11日に東日本大震災が起こりました。もともと、妻の実家の福岡県大牟田市に帰省しようと、3月13日に飛行機のチケットを取っていたので、しばらくは妻の実家で勉強をしながら過ごすことに。そしたらその期間中に妻の知り合いからホームページ制作の相談を受けて。勢いで「やります」と手を挙げて、旅館のホームページを作ることになったんです。わからないことだらけでしたが、本を見たりしながら1ヶ月ちょっとでサイトを完成させました。それから、本格的にフリーランスのWebデザイナーとしての活動を開始しました。
――ひょんなことから実績がつくれたわけですね。
越水:でも、当時制作したサイトは、市販の本を読み漁れば誰にでもつくれるようなものでした。そこからは高みを目指し、自分で勉強しながらも、勉強会に参加して知識と知り合いを増やしたり営業活動をしたり…様々なことを同時進行で進めました。
法人化を目指して人材を確保
――Webデザイナーとして決意を決めた後すぐに法人化されたのでしょうか?
越水:いえ、その時はまだ法人化なんてまったく考えられなかったです。とにかく目の前のことで精一杯でしたから。余裕を持って先のことを考えられるようになったのは移住して3年が経ったころ。そろそろ法人化した方がいいかなと思い、1年後を目標にしました。そこから徐々にスタッフを増やし、2016年に法人化しました。

――フリーランスから法人化されたのはどうしてでしょうか?
越水:おかげさまで仕事も増えて、報酬や節税メリットを考えた時にそろそろ法人化した方がいいと判断したこと。そして、これから40歳50歳と年を重ねた時に、1人で仕事している姿を思い描けなかったからです。会社というチームをつくり、フリーランスではできない組織としてさらに大きな仕事を受けていきたいと思ったんです。
――フリーランスで1人の時より組織となるとカバーできる範囲も広がりますしね。会社をつくるまで成長した今だからこそ言える、「起業前にやっておいてよかったこと」は何でしょうか?
越水:そうですね。まずは営業のスキルを身につけていたことですね。そして、その営業スキルを泥臭くても地道な営業活動として実行したということでしょうか。
Webデザイナーなどクリエイターの中で、しっかりした営業スキルまでを持ち合わせている人はなかなかいないと思いますので、そのあたりが現在に至る要因にもなっているかもしれません。
それから"人とのつながり"をつくったこと。特に福岡は勉強会などでの出会いから仕事につながったということも多かったように思います。私自身は福岡にゆかりがなかったのですが、SNSなども駆使して、自分を知ってもらう努力をしました。福岡は横のつながりが強いというか、コミュニティができているので県外からきたよそ者でも受け入れてくれる土壌があり、やりやすかったというのもあると思います。

――起業を考えて取り組んだ営業が今に活きていますね。順調に成長を続ける貴社の今後の展望についてお聞かせください。
越水:"Webサイトを作って終わり"ではなく、これからはマーケティングにももっと踏み込んでいって"成果にコミット"していければと考えています。そのための勉強も惜しまずやっています。まだまだこれからです。
――最後に、これから起業を考えている方にアドバイスをお願いいたします。
越水:これまでビジネス書を散々読みましたが、起業において「周りの反対意見に惑わされるな」って書いていることが多いんです。最初は「なるほど」なんて思っていたのですが、ぼくの経験からいうと、逆に身近な人ほど説得することが大切。その人たちを納得させられないような事業計画じゃ、どのみち成功しないと思うんです。
それから、これも自らの経験からですが"謙虚さ"は本当に大切です。起業した頃って当たり前ですが自分の仕事に自負心を持っている人が多いと思うんです。でも、チームでやってこその会社ですから、自分に関わる人たちに"感謝"し、それを伝えること。これを意識するだけで会社のムードも変わり、仕事の効率や、結束力にもつながるはずです。
大手証券会社に就職し、一見順風満帆のようにも見える越水さんの人生。しかし、「起業」という当時のゴールから逆算し、敢えて茨の道を選択した強さと謙虚さこそが、シンス株式会社を名の知られる企業にまで成長させた要因なのではないでしょうか。
シンス株式会社について
■会社概要
会社名:シンス株式会社
URL:https://since-inc.jp/
所在地:福岡県福岡市中央区大手門3-4-3 東ビル201
設立:2016年12月
代表取締役:越水大輔
■事業内容
ホームページ制作
Webコンサルティング
■問い合わせ先
Mail:info@since-inc.jp
お知らせ
▷Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。
▷福岡市と北九州市には創業期のお客さまをサポートする専門拠点『NCB創業応援サロン』を設置していますので、こちらにもお気軽にお越しください。
https://www.ncbank.co.jp/hojin/sogyo/sogyo_plaza/
[NCB創業応援サロン福岡]
福岡市中央区天神2-5-28 大名支店ビル7階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
[NCB創業応援サロン北九州]
北九州市小倉北区鍛冶町1-5-1 西日本FH北九州ビル5階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-055-817
- 創業
Writer
愛媛県四国中央市出身。大学卒業後に上京し、ファッション誌やライフスタイル誌の編集に携わる。2016年、東京から福岡への移住を機に、出版社を退社。フリーランスのエディター・ライターとしての活動をスタートさせる。現在は糸島市在住。博多人形師育成塾の6期生。
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