株式会社Andalucia(アンダルシア)代表の長谷川朱理さんは、東京でWebマーケティングの中でも特にSEOの分野で経験を積み、2021年に30歳で会社を設立。2023年に福岡県北九州市へ移住すると、福岡をはじめ九州の観光ポテンシャルの高さに感動して、九州の魅力を世界へ届けたいという大きな夢を描くようになりました。24歳からフリーランスで働き、活躍の場を広げてきた長谷川さんのストーリーや思いを紐解きましょう。
■プロフィール
株式会社Andalucia
代表取締役社長 長谷川朱理(はせがわ
あかり)さん
兵庫県神戸市出身。バスケットボールの推薦で高校に進学して実業団を目指していたが、ケガを機に将来を考え直す。21歳で東京に引っ越して働き始め、フリーランスのライターとして独立。さらにWebマーケティングにおけるSEOやメディア運営のスキルを身につけて、2021年30歳で会社を設立。2023年、北九州市に移住した。
フリーランスでスキルを身につけて会社を設立
――長谷川さんが会社を設立するまでの経緯を教えてください。
長谷川:振り返ってみると、高校生の頃から起業に興味がありました。友人の父親が経営者として成功していて、その友人の影響で高校2年生から経営や自己啓発に関する本を読むように。私の父親が経営者だったことも大きいかもしれません。そのため、21歳でビジネスの中心でクリエイティブな東京に引っ越し働き始めました。
――思い切った決断ですね。東京でどんな仕事から始められたのでしょうか。
長谷川:寮がある会社で働きながら、副業でSEO系のライターを始めました。副業の稼ぎが本業を上回った24歳のタイミングで、フリーライターとして独立しました。それから2年ほど経った頃、IT企業の社長さんからSEOのディレクション業務をしないかと声をかけてもらい、そこでSEOのマーケティングについて一からみっちり教えてもらいました。
それまでは個人相手の仕事が多かったのですが、法人との取引が増えてきたので、2021年に会社を設立しました。30歳になり、もっとチャレンジしたい、事業を伸ばしていきたいという思いもありました。
――主にどんな分野が多かったのですか。
フリーライターのときからSEO対策をメインにしていて、特に多かったジャンルは旅行や不動産ですが、ほかにも幅広くやっていました。SEO分析や運用業務が中心になってからは、ジャンルを問わずGoogle
search
consoleを使った現状分析や、改善点の洗い出し、具体的なコンテンツの企画立案、ライターの採用・ディレクションなどを行っていました。
他に、企業からオファーを受けてセミナー講師をしたり、ライターやSEOを勉強したい人に対して無料で勉強会を開催したりもしていました。
――20代でさまざまな経験を積まれたのですね。2023年6月に北九州に移住された理由を教えてください。
長谷川:東京で結婚したのですが、東京本社の夫の会社がリモートワークをできるようになったので、生活環境を変えてみようと夫の地元である北九州に引っ越しました。福岡は自然が豊かで、衣食住の全てが充実していて、それでいて東京に比べて生活コストが割安なのも魅力でした。
SEOコンサルや自社メディアなどの事業を展開
――御社の事業内容を教えてください。
長谷川:大きく2つの軸があります。収益のメインとなっているのは、マーケティング支援事業です。これまでの経験を生かして、WebメディアにおけるSEO対策の分析、コンサルティングからコンテンツ制作まで手掛けています。SEOだけでなく、ソーシャルメディアなどを含めて、戦略設計し、運用することも得意です。また、運用自体を全て代行するケースもあります。
――ほかにはどんな事業がありますか。
長谷川:
2023年秋に旅行メディア「知らない福岡」を立ち上げました。きっかけは、福岡に移住してきて、食や観光スポットなどの魅力がすごく豊富なことに感動したからです。同時に、私を含め県外の人が知っている福岡の魅力や観光資源はものすごく限定的なことに気づきました。
自分の得意領域であるWebマーケティングやメディア運用の経験を活かして、「まだ知られていない福岡の魅力」を発信することで、
「福岡の観光経済拡大、地域経済の活性化につながるのではないか」という想いから、知らない福岡を立ち上げました。
「見つけよう、新しい福岡の楽しみ方」をテーマに、まだ知られていない福岡の魅力を伝える多彩な記事を掲載しています。ユーザー数も着実に伸びているので、今後はさまざまな事業者とのタイアップコンテンツの制作や協業にも力を入れていきたいです。
https://www.shiranaifukuoka.com/
――起業にあたって苦労したことがあれば聞かせてください。
長谷川:財務・税務の知識がなかったことです。フリーランス時代から確定申告の経験はあったのですが、会社となれば全く別物と言えるくらい、財務・税務処理の種類が多いことを知りました。細かい手続きは税理士に依頼できても、自分自身で理解できていなければお金の流れを正しく把握できず、会社の成長や経営判断にも影響するなと感じました。
まだまだですが、税理士に質問したり夫に教えてもらったりしながら勉強を始め、決算書の内容は理解できるようになりました。
――ちなみに、Andaluciaという社名には、どんな思いが込められているのですか。
長谷川:スペインのアンダルシア地方を連想される方もいらっしゃいますが、このアンダルシアはカクテルの名前なんです。私の誕生日カクテルであるアンダルシアには「自分の才能を磨き続ける実践者」という酒言葉があります。まさに私の目指すところだと思い、社名にしました。
九州をブランド化して、海外につなげたい
――起業して良かったことや、移住してきたからこそ感じる福岡で事業をするメリットがあれば聞かせてください。
長谷川:起業して良かったのは、自分の意志で未来をつくっていけることですね。会社ではなく、自分自身にダイレクトに評価が返ってくるのはやりがいがあります。
福岡で仕事をしてみて、人と人との距離が近いことに驚きました。東京でのビジネスは良くも悪くもドライで、成果主義な環境でした。でも、福岡では仕事の成果だけでなく、人とのつながりも大事だと気づき、最近はいろいろな会合に出ていくようにしています。とても新鮮で面白いなと思っています。
――今後の展望について教えてください。
長谷川:昨年、福岡に移住してきて、福岡はもちろん九州の素晴らしさに強く惹かれました。しかし、海外に行くと福岡や九州は知られていません。日本人にもあまり知られていないので、まずは情報発信を通して福岡の魅力を知ってもらえる機会を作りたいです。まずは福岡を成功させて、九州全体を届けていくメディアへのステップアップを目標にしています。
――具体的にはどのようなことをするのでしょうか。
長谷川:「知らない福岡」と同様に、まずは九州全体のメディアを作って、ユーザー獲得を目指します。
ユーザーが集まってきた段階で、ECや体験予約などを盛り込んだプラットフォーム型のメディアにしたいです。メディアの多言語化やインフルエンサーの活用なども検討しています。
また、メディアによって国内外から観光客を呼ぶだけでなく、私たちも海外に出て行きたいと考えています。例えば、海外でお店を持ち、九州の素晴らしい食材や工芸品などを出していけるといいですね。福岡に移住して芽生えた新たな夢に向かって、これからも学びや経験を積み、果敢にチャレンジしていきます。
株式会社Andaluciaについて
お知らせ
▷Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。
▷福岡市と北九州市には創業期のお客さまをサポートする専門拠点『NCB創業応援サロン』を設置していますので、こちらにもお気軽にお越しください。
[NCB創業応援サロン福岡]
福岡市中央区天神2-5-28 大名支店ビル7階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
[NCB創業応援サロン北九州]
北九州市小倉北区鍛冶町1-5-1 西日本FH北九州ビル5階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-055-817
◎コワーキング施設「The Company DAIMYO」
フリーライター・エディター
福岡市出身。九州大学教育学部を卒業、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人をはじめ数千人を取材。2児の母。