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事業承継・M&A補助金をまとめて解説!概要・活用事例・申請方法

By 佐藤 淳 |
公開日 2025.06.19

中小企業等にとって経営の大きな転換点となる事業承継やM&Aを支援するため、「事業承継・M&A補助金」があります。

事業承継やM&Aに伴う専門家の活用費用や設備投資費用などを補助する制度で、前身となる「事業承継・引継ぎ補助金」の内容を踏襲しています。

そこでこの記事では、事業承継・M&A補助金の概要や活用事例、申請方法などを解説します。

※記事内容は、令和7年6月3日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。

事業承継・M&A補助金とは

事業承継・M&A補助金とは、中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、事業承継に際しての設備投資や、M&A・PMIの専門家活用費用等を支援する制度です。

「事業承継・引継ぎ補助金」との違い

事業承継・M&A補助金は、令和6年度補正予算に基づいて実施しており、前身となる「事業承継・引継ぎ補助金」から一部の内容を変更しています。
主な変更点は、以下のとおりです。

「PMI推進枠」の新設

「PMI推進枠」は、M&A後の経営統合(PMI)を重点的に支援する枠組みです。

この新設により、申請枠は従来の3枠から4枠となりました。

申請枠の名称変更

これまでの「経営革新枠」から「事業承継促進枠」に名称を変更しました。

補助上限額の引き上げ

基本的な補助上限額の引き上げに加えて、賃上げなど一定の要件を満たす場合には、さらに補助上限を引き上げます。

要件の追加

専門家活用枠に「100億円企業要件」を追加し、これを満たす場合、補助率の変更・補助上限額の引き上げ対象となります。

【申請枠別】事業承継・M&A補助金の制度概要

事業承継・M&A補助金では、4つの申請枠を設けています。
各枠の補助上限額や補助率、対象経費は次のとおりです。

事業承継促進枠

事業承継促進枠では、5年以内に行う親族内承継や従業員承継にかかる必要な経費を補助します。

要件

5年以内に親族内承継・従業員承継を予定している者

補助上限

800~1,000万円

※一定の賃上げを実施する場合は補助上限を1,000万円に引き上げ

補助率

1/2・2/3

※中小企業者等のうち小規模事業者に該当する場合は2/3

対象経費

設備費・産業財産権等関連経費・謝金・旅費・外注費・委託費 等

専門家活用枠

専門家活用枠では、M&A時におけるフィナンシャル・アドバイザー(FA)や仲介業者、弁護士といった専門家の活用に係る費用を補助します。

要件

補助事業期間に経営資源を譲り渡す、又は譲り受ける者

補助上限

・買い手支援類型:600~800万円※

(100億企業要件を満たす場合は2,000万円)

・売り手支援類型:600~800万円※

※DD費用を申請する場合は800万円を上限に200万円を加算

補助率

・買い手支援類型:1/3・1/2、2/3※1

・売り手支援類型:1/2・2/3※2

※1:100億企業要件を満たす場合:1,000万円以下の部分は1/2、1,000万円超の部分は1/3

※2:①赤字②営業利益率の低下(物価高影響等)のいずれかに該当する場合

対象経費

謝金・旅費・外注費・委託費・システム利用料・保険料

上表内のDDとは、Due Diligence・デュー ディリジェンスの略で、売り手側企業についてリスク等を精査するため、主に買い手側がFAや士業等の専門家に依頼して実施する調査を指します。

PMI推進枠

PMI推進枠では、M&A後の経営統合(PMI)に必要な費用を補助します。

要件

M&Aに伴い経営資源を譲り受ける予定の中小企業等に係るPMIの取り組みを行う者

補助上限

・PMI専門家活用類型:150万円

・事業統合投資類型:800~1,000万円※

※一定の賃上げを実施する場合、補助上限を1,000万円に引き上げ

補助率

・PMI専門家活用類型:1/2

・事業統合投資類型1/2・2/3※

※中小企業者等のうち小規模事業者に該当する場合は2/3

対象経費

設備費・外注費・委託費等

廃業・再チャレンジ枠

廃業・再チャレンジ枠では、事業承継・M&Aに伴う廃業等に係る費用(原状回復費・在庫処分費等)を補助します。

※事業承継促進枠・専門家活用枠・事業統合投資類型との併用可能

要件

事業承継やM&Aの検討・実施等に伴って廃業等を行う者

補助上限

150万円

※事業承継促進枠・専門家活用枠・事業統合投資類型と併用申請する場合はそれぞれの補助上限に加算

補助率

1/2・2/3

※事業承継促進枠・専門家活用枠・事業統合投資類型と併用申請する場合は各事業における事業費の補助率に従う

対象経費

廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リースの解約費・移転や移設の費用(併用申請の場合のみ)

参照:事業承継・M&A補助金 チラシ
掲載ページ:中小企業庁 支援策チラシ一覧

事業承継・M&A補助金の活用事例

事業承継・M&A補助金は、多様な企業の承継や統合に活用されています。
ここでは、補助金を効果的に活用した成功例を紹介します。

【事業承継促進枠】M&A型

食料品製造業を営む企業において、老舗食品メーカーから株式の取得により事業を引き継いだ結果、製造ノウハウの獲得と事業拡大を実現しました。

また、これにより製品ラインの拡充・新たな販路開拓を図ることとなりました。

事業承継を通じた製品開発力の強化と、地域企業との連携による持続可能な成長の好例と言えます。

参照:事業承継・M&A補助金事務局 事業承継・M&A補助金 令和5年度 補正予算7次公募 事業承継・引継ぎ補助金事例集

【専門家活用枠】買い手支援型

建設業を営む企業において、同じ地域に拠点を持つ企業の事業を承継しました。

地域経済における技術継承や雇用継続の必要性を強く感じ、使命感を持って株式譲渡による引継ぎを実行したものです。

地域密着型のM&Aにおいて、専門家の支援を活用することで、技術継承と組織強化を同時に実現した成功例となります。

参照:事業承継・M&A補助金事務局 事業承継・M&A補助金 令和5年度 補正予算7次公募 事業承継・引継ぎ補助金事例集

【専門家活用枠】売り手支援型

建設業を営む企業では、後継者不在の中、事業の継続と従業員の雇用維持を目的に、第三者への事業承継を決断しました。

M&Aの実施にあたり専門家の支援を受けながら、譲渡価格の適正化や契約条件の調整を行い、スムーズな譲渡を実現しました。

後継者不在の中小企業が、専門家の支援と補助金制度を活用することで、円滑な事業承継と従業員の雇用維持を実現した事例と言えます。

参照:事業承継・M&A補助金事務局 事業承継・M&A補助金 令和5年度 補正予算7次公募 事業承継・引継ぎ補助金事例集

事業承継・M&A補助金の申請

事業承継・M&A補助金を活用するには、事前準備や申請手続きが不可欠です。
ここでは申請方法、申請スケジュールについて解説します。

申請方法

申請方法は、電子申請システム「jGrants」を通じた電子申請のみとなります。申請には、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要で、発行に一定期間を要するため、早めに取得しましょう。

申請スケジュール

専門家活用枠の今後の公募、その他申請枠の公募日程については、令和7年6月3日時点未公表ですので、申請検討の際、必ず最新情報をご確認ください。

事業承継・M&A補助金の採択結果

直近の10次公募は、「専門家活用枠」のみの実施で、採択結果は次のとおりでした。

  • 申請 518件
  • 採択 321件 (うち、専門家活用枠 318件、廃業・再チャレンジ枠(併用)3件)
  • 採択率 約62.0%

また、9次公募は全枠実施されており、採択結果は、次のとおりでした。

・総計:申請 853件、採択 522件、採択率 約61.2%

内訳:

  • 経営革新枠:申請 388件、採択 233件、採択率 約60.1%
  • 専門家活用枠:申請 440件、採択 275件、採択率 約62.5%
  • 廃業・再チャレンジ枠:併用申請 25件、採択 14件、採択率 56.0%

まとめ

この記事では、事業承継・M&A補助金の概要や活用事例、申請方法などを解説しました。

事業承継・M&A補助金は、後継者不在や事業継続に課題を抱える中小企業にとって、専門家の活用や再構築にかかる費用の一部を補助する実践的な支援制度です。

活用事例や採択傾向を踏まえて要件を正確に把握したうえで、計画的に申請準備を行い、採択を目指しましょう!

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