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九州の経営動向調査(2026年4〜6月期)を読み解く|中東情勢と原材料高の逆風下でも、設備投資は底堅い

By renew編集部 |
公開日 2026.08.04
九州の経営動向記事

新年度が始まってから4か月ほどがたち、企業の現場では景気の実感や先行きへの不安が少しずつ表れやすい時期です。

西日本シティ銀行がグループ会社の株式会社NCBリサーチ&コンサルティングと連携して実施した「第139回九州の経営動向調査(2026年7月23日発行)」では、九州企業の景況感はやや悪化する一方、売り上げは持ち直し、設備投資は増加という、少し複雑な姿が見えてきました。

さらに、中東情勢の緊迫化が原材料価格や調達面に影響を及ぼし始めており、企業は価格転嫁や調達先の見直しなどで対応を進めています。
本記事では、第139回九州の経営動向調査を元に詳細をご紹介します。

※ 当調査は情報提供を目的として作成されたものであり、その正確性・確実性を保証するものではありません。

\今回の調査の注目ポイント/

項目

ポイント

景況感(BSI)

製造業・非製造業とも悪化

売上高(BSI)

全産業で前回比4.1ポイント改善

収益(BSI)

全産業で前回比▲2.9ポイント悪化

経営課題

原材料値上がりが7期連続の従業員対策を上回る

◾️今回の参照元はこちらから 第139回 九州の経営動向調査
◾️過去の経営動向調査はこちらから 「調査レポート 九州の経営動向調査」

まず押さえたい「BSI」とは?
この調査では、景況感を「BSI」という指標で見ています。BSIは、企業の回答のうち「好転」「増加」「不足」の割合から、「悪化」「減少」「過大」の割合を引いたもの。プラスなら前向き、マイナスなら慎重な見方が多いと考えるとわかりやすいでしょう。

景況感は悪化、背景にあるのは原材料高と人件費上昇

項目別BSIの概要(製造業・非製造業・全産業)について

景況感

売上高

収益

前回

今回

前回比

前回

今回

前回比

前回

今回

前回比

製造業

0.0

▲10.6

▲10.6

1.4

3.0

+1.6

1.5

▲13.7

▲15.2

非製造業

▲12.4

▲13.0

▲0.6

▲1.6

3.4

+5.0

▲10.2

▲8.5

+1.7

全産業

▲9.0

▲12.4

▲3.4

▲0.8

3.3

+4.1

▲7.0

▲9.9

▲2.9

(単位:%ポイント)

製造業・非製造業ともに慎重な見方

今回の調査では、製造業・非製造業ともに景況感が悪化しました。

近年続いていた人件費上昇に加え、中東情勢の影響による原材料価格の高騰が、企業心理を重くしているとみられます。

売り上げは持ち直し、でも利益は重い

売上高BSIは全産業で前回比4.1ポイント改善しています。

原材料価格高騰に対する価格転嫁が進んでいるという声がある一方で、今後は中東情勢の影響が広がることで、原材料供給の停滞や消費マインドの低下を心配する見方も出ています。

一方、収益BSIは全産業で前回比▲2.9ポイント悪化しました。製造業では中東情勢の影響などもあり大幅に悪化し、非製造業は改善しているものの、全体としては原材料価格の上昇が利益を圧迫している状況です。

経営課題は「原材料値上がり」が最多に

当面の経営上の問題点(複数回答)

25年/1〜3月期

25年/4〜6月期

25年/7〜9月期

25年/10〜12月期

26年/1〜3月期

26年/4〜6月期

原材料値上がり

53 ②

49 ②

53 ②

50 ②

46 ③

65 ①

従業員対策

57 ①

57 ①

59 ①

60 ①

60 ①

52 ②

人件費上昇

41 ③

45 ③

51 ③

50 ②

52 ②

47 ③

売り上げ不振

16 ④

22 ④

22 ④

23 ④

24 ④

21 ④

他企業との競争激化

15 ⑤

17 ⑤

17 ⑤

14 ⑤

16 ⑥

15 ⑤

金利負担増

11 ⑥

12 ⑥

7 ⑥

10 ⑥

17 ⑤

15 ⑤

資金繰り悪化

3 ⑨

3 ⑨

3 ⑨

3 ⑨

3 ⑨

5 ⑦

為替相場

7 ⑦

7 ⑦

4 ⑧

6 ⑦

5 ⑧

5 ⑦

設備能力不足

5 ⑧

5 ⑧

5 ⑦

5 ⑧

6 ⑦

4 ⑨

その他

2 ⑩

1 ⑪

2 ⑪

2 ⑩

1 ⑪

3 ⑩

製品価格低下

1 ⑬

2 ⑩

1 ⑭

2 ⑩

1 ⑪

2 ⑪

商品在庫過剰

2 ⑩

1 ⑪

3 ⑨

1 ⑫

1 ⑪

2 ⑪

技術水準遅れ

1 ⑬

0 ⑬

2 ⑪

1 ⑫

2 ⑩

1 ⑬

海外企業との競争激化

2 ⑩

0 ⑬

2 ⑪

1 ⑫

1 ⑪

1 ⑬

(単位:%)丸つき数字は順位を示しています

当面の経営上の問題点では、7期連続で1位だった「従業員対策」を上回り、「原材料値上がり」が最多となりました。

次いで「従業員対策」「人件費上昇」が続いており、企業が“コスト”と“人”の両方に悩まされていることがはっきり表れています。

設備投資は増加、守りだけでなく次を見据える動きも

26年度の設備投資は前年度比5.6%増

設備投資額

設備投資

25年度実績

26年度見通し

25年度比

製造業

食料品

2,222

3,210

+44.5%

家具

30

15

▲50.0%

窯業・土石

87,823

87,808

▲0.0%

金属・機械器具

5,818

8,198

+40.9%

その他製造

4,317

2,852

▲33.9%

製造業全体

100,210

102,083

+1.9%

非製造業

建設

5,054

4,961

▲1.8%

卸小売

食料飲料

6,409

9,087

+41.8%

機械器具

116

2,096

+1706.9%

建材

757

3,688

+387.2%

総合スーパー

4,171

4,338

+4.0%

その他

7,010

5,291

▲24.5%

卸小売合計

18,463

24,500

+32.7%

不動産

4,707

2,675

▲43.2%

運輸通信

5,182

10,018

+93.3%

サービス

37,512

36,456

▲2.8%

非製造業全体

70,918

78,610

+10.8%

全産業

171,128

180,693

+5.6%

(単位:百万円)

景況感が弱いなかでも、設備投資は底堅く推移しています。

26年度の設備投資見通しは、製造業・非製造業ともに増加し、全体では前年度比5.6%増の180,693百万円となる見通しです。

「売上高増加のための出店や、設備増強」「生産性向上のための自動化」など前向きなコメントが見られる一方、中東情勢や物価上昇を鑑みた抑制を基調とするコメントも見られ、来年度以降の方向性は不透明と感じられます。

投資の中身は「建物」と「能力拡大」

26年度の設備投資の内容・目的

設備投資の内容

設備投資の目的

土地

建物

機械装置

車両等

その他

合計

能力拡大

省力化

機械更新

新規事業

研究開発

その他

合計

製造業

食料品

3.1

13.6

81.3

0.0

2.0

100.0

42.6

1.8

46.3

0.0

0.0

9.3

100.0

家具

0.0

0.0

0.0

0.0

100.0

100.0

0.0

0.0

0.0

0.0

100.0

0.0

100.0

窯業・土石

0.0

59.8

40.1

0.1

0.0

100.0

0.0

0.0

0.3

0.0

39.9

59.8

100.0

金属・機械器具

5.0

41.8

46.1

0.9

6.2

100.0

23.8

9.6

60.9

0.2

1.4

4.1

100.0

その他製造

0.0

42.2

53.2

0.4

4.2

100.0

12.3

26.9

58.9

0.0

1.9

0.0

100.0

製造業全体

0.5

56.4

42.2

0.2

0.7

100.0

3.6

1.6

8.2

0.0

34.5

52.1

100.0

非製造業

建設

26.2

48.9

7.7

6.4

10.8

100.0

27.2

3.2

44.0

0.6

1.4

23.6

100.0

卸小売

食料飲料

0.0

87.3

2.6

0.4

9.7

100.0

87.2

9.7

2.5

0.6

0.0

0.0

100.0

機械器具

93.9

2.3

0.6

0.6

2.6

100.0

0.0

0.0

5.8

0.0

0.0

94.2

100.0

建材

85.2

1.3

5.0

5.5

3.0

100.0

85.2

0.1

11.7

1.1

0.0

1.9

100.0

総合スーパー

0.0

25.6

64.6

0.0

9.8

100.0

24.4

9.8

56.0

0.0

0.0

9.8

100.0

その他

10.2

56.4

21.7

0.6

11.1

100.0

46.4

12.4

32.5

3.9

0.0

4.8

100.0

卸小売合計

23.0

49.5

17.9

1.2

8.4

100.0

59.6

8.0

20.1

1.2

0.0

11.1

100.0

不動産

23.5

32.3

24.8

0.7

18.7

100.0

61.8

0.0

33.4

4.1

0.0

0.7

100.0

運輸通信

2.4

41.5

5.3

46.0

4.8

100.0

65.7

2.3

31.0

1.0

0.0

0.0

100.0

サービス

2.8

25.4

35.2

16.0

20.6

100.0

24.7

3.4

46.9

2.8

0.0

22.2

100.0

非製造業全体

11.2

36.7

23.9

14.1

14.1

100.0

42.2

4.5

35.9

2.0

0.1

15.3

100.0

全産業

5.2

47.8

34.3

6.2

6.5

100.0

20.4

2.9

20.3

0.9

19.5

36.0

100.0

(単位:%)

設備投資の内容は、製造業・非製造業ともに「建物」の割合が高く、目的では製造業が「研究開発」、非製造業が「能力拡大」を重視しています。

採用は大幅減の見通し、人手不足とコストが重荷に

採用状況

25年度実績

26年度

27年度

見通し

25年度比

計画

26年度比

製造業

食料品

171

202

+18.1%

195

▲3.5%

家具

35

32

▲8.6%

29

▲9.4%

窯業・土石

327

5

▲98.5%

5

0.0%

金属・機械器具

252

181

▲28.2%

184

+1.7%

その他製造

102

86

▲15.7%

60

▲30.2%

製造業全体

887

506

▲43.0%

473

▲6.5%

非製造業

建設

230

195

▲15.2%

269

+37.9%

卸小売

食料・飲料

145

143

▲1.4%

136

▲4.9%

機械器具

30

21

▲30.0%

21

0.0%

建材

61

45

▲26.2%

32

▲28.9%

総合スーパー

35

38

+8.6%

68

+78.9%

その他

343

355

+3.5%

387

+9.0%

卸小売合計

614

602

▲2.0%

644

+7.0%

不動産

91

35

▲61.5%

12

▲65.7%

運輸通信

636

664

+4.4%

638

▲3.9%

サービス

3,044

1,482

▲51.3%

2,987

+101.6%

非製造業全体

4,615

2,978

▲35.5%

4,550

+52.8%

全産業

5,502

3,484

▲36.7%

5,023

+44.2%

(単位:人)

雇用動向では、26年度の採用見通しが製造業で前年度比▲43.0%、非製造業で▲35.5%と大きく落ち込みました。特に不動産やサービス業で採用に苦戦している様子がうかがえます。

27年度は26年度と比べて製造業で減少、非製造業では増加の計画です。

個人消費は足元も先行きも慎重

現在の個人消費について

前回(26年3月)

今回(26年6月)

前回比(ポイント)

良い

どちらとも
言えない

悪い

良い

どちらとも
言えない

悪い

良い

どちらとも
言えない

悪い

製造業

10%

47%

43%

11%

55%

34%

+1

+8

▲9

非製造業

13%

51%

36%

7%

47%

46%

▲6

▲4

+10

全産業

12%

50%

38%

8%

49%

43%

▲4

▲1

+5

現在の個人消費について、全産業で「悪い」と答えた割合は43%で、前回より5ポイント悪化しました。

「良い」との回答は前回・今回ともに1割程度にとどまっており、消費の勢いはまだ強いとはいえません。

先行き3か月後の個人消費について

前回(26年3月)

今回(26年6月)

前回比(ポイント)

好転

変わらず

悪化

好転

変わらず

悪化

好転

変わらず

悪化

製造業

14%

56%

30%

2%

50%

48%

▲12

▲6

+18

非製造業

20%

54%

26%

5%

37%

58%

▲15

▲17

+32

全産業

18%

55%

27%

4%

41%

55%

▲14

▲14

+28

先行き3か月後の個人消費については、全産業で「悪化」が55%と、前回比で28ポイント増えました。

昨今の物価上昇に加え、中東情勢に起因する影響は個人消費の見通しにも及んでいるようです。

中東情勢の影響は「すでに始まっている」

中東情勢の影響

回答数

甚大なマイナス影響

一部でマイナス影響

3か月以内に影響懸念

3か月以降に影響懸念

影響なし/軽微

プラスの影響

製造業

64

6%

55%

24%

9%

6%

0%

非製造業

174

7%

45%

17%

15%

15%

1%

全産業

238

7%

47%

19%

14%

13%

0%

今回の調査で特に注目したいのが、中東情勢の緊迫化による影響です。

すでに(甚大および一部)マイナスの影響が出ている企業は54%、「現在は影響がないが、マイナスの影響が出ると懸念している」と回答した企業を含めると、87%の企業にマイナスの懸念が生じています。

中東情勢の具体的な影響

回答数

原材料・資材価格等の上昇

供給制限による原材料・資材等の不足

燃料費・エネルギーコストの上昇

物流コストの上昇

資金繰りの悪化

受注・販売の減少

製造業

60

90%

57%

63%

45%

5%

12%

非製造業

147

83%

58%

48%

29%

4%

17%

全産業

207

85%

57%

52%

33%

4%

15%

具体的には、原材料・資材価格の上昇が85%、供給制限による不足が57%、燃料費・エネルギーコスト上昇が52%と、コスト面の影響が中心です。

中東情勢の緊迫化に対して実施している対応策

回答数

値上げ(価格転嫁)

新たな調達先の模索

資金の確保

生産・販売の縮小/停止

新規投資の縮小/停止

設備投資計画の見直し

人件費・採用等の見直し

製造業

39

67%

67%

5%

8%

8%

8%

8%

非製造業

72

71%

64%

14%

1%

7%

8%

6%

全産業

111

69%

65%

11%

4%

7%

8%

6%

対応策としては、商品・サービス価格の値上げ(価格転嫁)、新たな調達先の模索、コスト上昇に備えた資金の確保が上位となっています。

中東情勢の緊迫化に対して必要と感じる支援やニーズなど

回答数

各種補助金や
助成金の情報提供

資金繰り・
金融支援

設備投資への
支援拡充

取引先のご紹介等
マッチング支援

特にない

その他

製造業

58

43%

17%

31%

24%

19%

5%

非製造業

162

46%

22%

10%

22%

27%

2%

全産業

220

45%

20%

15%

22%

25%

3%

必要と感じる支援では、「各種補助金や助成金の情報提供」が最多で、企業が外部支援への関心を高めていることもわかります。

まとめ

今回の調査から見えてきたのは、九州企業が景況感の悪化、原材料高、人手不足、消費の慎重さという逆風に直面しながらも、設備投資や価格転嫁などで次の一手を探っている姿です。

特に、売り上げは改善しているのに利益は圧迫されるという構図は、企業にとってかなり悩ましいところです。

とはいえ、設備投資は増加しており、守り一辺倒ではないことも今回の調査の特徴といえます。

地域経済を支える企業の現場では、いま何が起きているのか。「九州の経営動向調査」は、その空気感をつかむうえで、引き続き重要な手がかりになりそうです。

調査概要

◾️調査目的
地域経済の景気動向等を定期的に調査し、お客さまの現況やニーズの把握に努め、 タイムリーで良質なサービスの提供を目指す 。

◾️調査対象企業
西日本シティ銀行の主要取引先519社(回答企業数242社、回答率46.6%)

◾️回答企業
【地域別】 福岡県内企業85.1%、福岡県外九州各県企業14.9%
【業種別】 製造業27.3%、非製造業72.7%
【規模別】 大企業6.2%、中堅企業14.5%、中小企業79.3%

◾️調査対象期間
2026 年4~6月期(アンケート依頼日:2026年5月21日)
※前回調査:2026年1~3月期

◾️調査方法
アンケート方式(景況動向は、BSI方式で表示)
※調査結果の集計・分析等は、西日本フィナンシャルホールディングスのグループ企業 である、株式会社NCBリサーチ&コンサルティングと連携

◾️調査事項
① 景況動向
② 設備投資動向
③ 雇用動向(採用状況)
④ 経営上の問題点
⑤ 経営に関する調査 (「個人消費」、「中東情勢の緊迫化による影響」)

※景況動向は、BSI方式で表示。BSIとは、「好転・増加・不足」(前年同期比)の企業割合から「悪化・減少・過大」の企業割合を差し引いた指標。

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製造業の人たちが改善提案書をスピーディに作成できるアプリ「KaizenEX(カイゼンエクスプレス)」を開発した株式会社ゲンテイ代表取締役の元堤晴香さんに、プロダクト誕生の背景やビジネスの可能性について伺いました。

だしと見た目のインパクトにこだわるたこ焼きで起業|nancle 小林俊貴さん
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インタビュー2026.03.24

だしと見た目のインパクトにこだわるたこ焼きで起業|nancle 小林俊貴さん

福岡・大名にある人気のたこ焼き屋「nancle(なんくる)」。代表の小林俊貴さんに、起業のきっかけやわずか2か月で店の立ち上げに成功した理由など、色々なお話を聞かせてもらいました。