インタビュー

社内起業制度から生まれたスタートアップが、地域の人材課題に挑む|株式会社ソコナラ 三宅庸介さん

By 山本 佳世 |
公開日 2026.06.30
株式会社ソコナラKV

関西電力グループの社内起業制度から生まれたスタートアップ「ソコナラ」。
福岡出身の三宅庸介さんは大企業でキャリアを築きながらも、「いつか地元に貢献したい」という思いを抱き続けていました。そして2024年、その思いを形にするために福岡で起業。地域企業の経営層と人材をつなぐ、新たなキャリア共創プラットフォームの構築に挑んでいます。
なぜ社内起業という道を選んだのか。そしてなぜ福岡だったのか。その原点と未来像を聞きました。

株式会社ソコナラ 代表取締役CEO 三宅庸介(みやけ ようすけ)さん

1982年生まれ、福岡市出身。九州大学大学院・工学府を修了後、技術営業として関西電力に入社。18年勤めた後、社内起業制度に合格して2024年7月に福岡で関西電力のグループ会社として「株式会社ソコナラ」を設立。

地域企業と人材をつなぐ、新たなマッチングサービス

――まず、ソコナラはどのような事業を展開しているのでしょうか?

三宅:ソコナラは地域企業の経営層と新たなキャリアを模索する個人をつなぐ、キャリア共創プラットフォームです。

一般的な転職サービスのように勤務地や年収、職種などの条件から企業を探すのではなく、経営層の考え方や事業への思いに触れながら、利用者が「誰と働くか」「どんな未来をつくりたいか」を考えることを大切にしています。

そのために現在展開しているのが、地域企業の経営層と求職者が直接対話できるマッチングイベントです。

イベントでは、まず経営層が自社のビジョンや事業の展望、自身のキャリアについてプレゼンテーションを行います。その後、参加者は少人数のグループに分かれ、複数の経営層と対話するというのが基本的な流れです。

――経営層との対話を通じて、求職者が新たなキャリアの可能性を見つけていくのですね。

三宅:はい。ただ今後はリアルイベントだけでなく、より幅広い方が利用できるように、オンライン上でも経営層との出会いが生まれる仕組みづくりを進めていく予定です。

現在開発を進めているアプリでは、経営層のインタビュー記事や企業の未来構想に触れながら、自分がどの言葉に共感したのかを可視化し、自己分析にもつなげられる仕組みを構想しています。

イベントに参加しなくても、地域企業や経営層との接点が生まれるプラットフォームへ発展させていきたいと考えています。

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ソコナラ

関西電力の社内起業制度を利用し、福岡で起業

――起業される前も、キャリアコンサルに関わる仕事をされていたのでしょうか?

三宅:いえ、私はもともと大阪に本社がある関西電力で技術営業をしていました。

株式会社ソコナラ
▲代表取締役CEOの三宅庸介さん

電力自由化に関わるプロジェクトやゼネコンへの出向、国際学会への参加など、仕事そのものには非常にやりがいを感じていました。ただ、キャリアを重ねるにつれて、「自分のエネルギーをどこに還元したいのか」を考えるようになったのです。

加えて福岡出身なので、いつか地元に貢献したいという思いもずっと抱いていました。

やがて仕事を続ける中で、自分の関心が技術そのものから、人や組織、キャリアへと移っていることに気づきました。「どうすれば人がもっと前向きに働けるのか」「組織をより良くできるのか」といったことばかり考えるようになったのです。

その後、国家資格のキャリアコンサルタントを取得し、社内でキャリアに関する講義を担当するようになりました。そこで、人が自分の仕事や人生を見つめ直す時間には大きな価値があると実感したのです。

――起業への挑戦を後押ししたものは何だったのでしょうか。

三宅:大きかったのは、関西電力の社内起業制度に応募したことです。一般的には大企業というと保守的なイメージを持たれるかもしれませんが、関西電力には社員の挑戦を応援する文化がありました。

実は最初に応募した事業が、そのままソコナラになったわけではありません。試行錯誤を重ねながら事業案を磨き上げる過程も前向きに受け止めてもらえたことで、挑戦を続けることができました。

その柔軟な社風が、ソコナラ誕生の後押しになったと感じています。

――キャリア創生の事業はどのようにして生まれたのでしょう?

三宅:社内起業制度への応募に向けて事業を考える中で、これまで取り組んできたキャリア形成と、地元に還元したいという地方創生への思いを掛け合わせられないかと考えるようになりました。

そこで実証実験として始めたのが、地域企業の経営層と参加者をつなぐイベント「ソコナラMEET」です。最初はご縁があった糸島の企業と連携し、参加者が経営層と対話しながら自分のキャリアについて考えるワークショップを開催しました。

実際に開催してみると、経営層と直接出会うことには大きな価値があると感じました。さらに、参加者の中から実際に転職や内定につながる人も現れたんです。そうした実績が生まれたことで事業としての可能性を示すことができ、社内起業制度の採択につながりました。

条件検索だけでは見つからない出会いをつくる

――ソコナラはどのような価値を提供しているのでしょうか。

三宅:私が目指しているのは、条件ではなく「人」から始まるキャリア支援です。

「ソコナラMEET」を通じて気づいたのは、地域には魅力的な企業や経営層がたくさん存在するにも関わらず、その魅力が十分に届いていないということでした。

条件検索だけでは企業の本当の姿に触れることは簡単ではなく、熱い想いやビジョンを描いている企業であっても、WebサイトやSNSがないという理由で埋もれてしまうケースも少なくありません。

株式会社ソコナラ
▲ソコナラMEETの様子

だからこそ私たちは、経営層との対話やインタビュー記事を通じて、「この人と働きたい」と思える出会いを生み出したいと考えています。勤務地だけで見れば候補に入らなかった企業でも、経営層の考え方やビジョンに共感し、新たなキャリアに踏み出すケースもあります。私たちはそれを「偶発的な出会い」ではなく、「意図的につくる偶然の出会い」だと捉えています。

特に注目しているのが、都市部で経験を積みながらも、次のキャリアでは地元や地域に関わりたいと考える方々です。私たちはそうした人たちを「ネオローカルキャリア層」と呼んでいます。そうした方々が条件検索だけでは出会いにくい地域企業と出会い、キャリアの転機を見つけられる場を作りたいと思っています。

――なぜ大阪ではなく福岡で起業したのでしょう?

三宅:一番大きな理由は、出身地である福岡に貢献したいという思いです。一方で、自分自身も転職やUターンについて調べる中で、仕事の選択肢が見えないことを実感していました。

地方には魅力的な企業や経営層がたくさんいるにもかかわらず、検索だけでは出会えない。その課題は福岡だけでなく、地域全体に共通していると思います。

だからこそ、関西電力グループの事業を、地域を超えてあえて福岡で立ち上げることに意味があると考えました。

――Zero-Ten Park*を入居先に選んだ理由を教えてください。

三宅:いくつかの施設を比較しましたが、Zero-Ten Parkは単なる作業場所ではなく、挑戦する人たちとの自然なつながりが生まれる環境だと感じました。ソコナラも偶然の出会いを大切にする事業なので、自分自身もそうした出会いが生まれる場所に身を置きたいと思ったんです。他拠点を利用できる利便性やコスト面も後押しになりました。

*Zero-Ten Park DAIMYO:西日本シティ銀行・大名支店ビルの5階、6階にあるコワーキング施設

――現在の手応えについて教えてください。

三宅:これまで開催したイベントには累計400名以上の申し込みがあり、約100名が地域企業の経営層と直接対話してきました。その中から10名以上の内定も生まれています。

企業側からは「これまで出会えなかった熱量の高い人材と出会えた」、参加者側からは「有名企業以外の地域企業を知ることができた」といった声をいただいています。

印象的だったのは、県外から福岡へIターンした方や、転職をきっかけに通勤や転居を含めて人生設計を見直した方がいたことです。

人は条件だけで仕事を選ぶわけではない。そのことを実感しています。

\熱量の高い仲間と出会う!/

地域企業の経営層の方は  こちら

イベントからオンラインへ。出会いの場と可能性を広げる

――今後の展望を教えてください。

三宅:先ほども少し触れましたが、現在はリアルイベントが中心ですが、今後はアプリやオンラインプラットフォームを強化していく予定です。

最終的に目指しているのは、単なる転職サービスではありません。

地域企業にとっては未来を共につくる仲間と出会える場所に、個人にとっては自分らしいキャリアを見つける場所にすること。

そして福岡から九州へと広げながら、一人でも多くの方が新しいキャリアの可能性に出会える場をつくっていきたいです。

株式会社ソコナラ
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――最後に、起業を考えている人へのアドバイスをお願いします!

三宅:キャリアも起業も、最初から正解が見えていることは少ないと思います。私自身、まずはイベントを開催してみるなど、小さな行動を積み重ねる中で事業の方向性が見えてきました。大切なのは、偶然の出会いが生まれる場所に自分から飛び込むこと。その一歩が、思いもよらない未来につながることがあります。

株式会社ソコナラについて

■会社概要

会社名:株式会社ソコナラ
URL:https://sokonara.co.jp/
所在地:福岡市中央区天神2-5-28 天神西通りセンタービル6F
設立:2024年7月1日
代表取締役:三宅庸介

■事業内容

転職支援・採用支援サービス『ソコナラ』の企画・開発、運営、及び研修事業

■問い合わせ先

お問い合わせフォーム

お知らせ

Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。

▷福岡市と北九州市には創業期のお客さまをサポートする専門拠点『NCB創業応援サロン』を設置していますので、こちらにもお気軽にお越しください。

[NCB創業応援サロン福岡]
福岡市中央区天神2-5-28 大名支店ビル7階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
[NCB創業応援サロン北九州]
北九州市小倉北区鍛冶町1-5-1 西日本FH北九州ビル5階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-055-817

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西日本シティ銀行・大名支店ビルの5階、6階にコワーキング施設「Zero-Ten Park DAIMYO」ご利用受付中!
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