インタビュー

中堅・中小企業のデータ活用をサポートし、人材も創出|株式会社Srush 樋口海さん

By 佐々木 恵美 |
公開日 2026.06.25
株式会社Srushインタビュー記事

日本の企業の99.7%を占める中小企業は、資金や人材不足のため、「データ活用」に課題を抱えています。この現状を打破するため、2019年に創業したのが株式会社Srushです。人とAIの両輪でデータ活用を支援する独自のモデルで、現場に寄り添う姿勢を貫き、西日本エリアを中心に急拡大。2026年2月には「第6回 西日本FHビジネスコンテスト」で最優秀賞を受賞しました。代表の樋口海さんに、創業の原点から「データドリブンジャパン」の実現に向けた戦略と展望を聞きました。

株式会社Srush 代表取締役CEO 樋口海(ひぐち かい)さん

1988年、福岡生まれ、大阪育ち。早稲田大学を卒業後、NTTコミュニケーションズに入社。法人営業部門で大手自動車メーカーなどのデータ基盤の構築を担当。退職後、一橋大学大学院商学研究科修了(MBA)。製造業向けSaaS企業の立ち上げを経て、2019年に株式会社Srushを創業。

中小企業におけるデータ活用の壁に挑むため創業

――まずは創業されるまでの経緯を教えてください。

樋口:私のキャリアの原点は、新卒で入社したNTTグループで、データ基盤を構築した経験にあります。法人営業の部門で、静岡では中堅・中小から大手メーカーまで、東京ではグローバル展開する大手自動車メーカーを担当しました。当時はクラウドがなく、サーバーを購入してデータセンターに設置し、ネットワークを構築して社内データを集約するプロジェクトを数多く手がけました。

代表取締役、樋口海さん
▲代表取締役 樋口海さん

しかし、莫大な手間とコストをかけてデータを1か所に集めても、多くの企業が「データを活用できない」という課題に直面しました。部門ごとに分断されたデータ、整理されていないExcel、現場に合わないダッシュボード……仕様変更ごとに追加費用が発生し、それでも活用が進まない状況に問題意識を持ちました。

――中堅・中小企業も同じような状況だったのでしょうか。

樋口:地方の中堅・中小企業には、大企業のような潤沢な資金がなくIT人材もいないので、さらに深刻です。市場を分析すると、日本のデータ活用企業の割合は8%にとどまり、それは資金のある大企業にすぎませんでした。つまり、残り92%の大半を占める中小企業ではデータを活用できていない。この92%の企業にローコストで簡単なデータ活用サービスを届けられたら、日本はガラリと変わるはず。現場の人たちをデータの突き合わせなどのノンコア業務から解放し、本来の業務に向かう時間を創出したいという思いから、2019年にSrushを立ち上げました。

――ひとりで創業されたのですか?

樋口:いえ、ビジネスマッチングアプリで出会った現CTOの山崎康久と意気投合し、東京・五反田で共同創業しました。彼はNTTやYahoo、ANAなどでシステム開発やマネジメントを経験し、高い技術力を持っています。アイデアを次々と形にしてくれる、非常に心強い存在です。

現場で活用できるように「人」「ツール」の2軸で支援

――現在の事業内容について教えてください。

データ活用まるなげくん
▲データ活用まるなげくんについては画像をタップ

樋口:私たちは「データドリブンジャパン」をビジョンに掲げ、誰もがデータを活用できる社会を目指して、2つの事業を展開しています。

1つはDPO(データ・プロセス・アウトソーシング)で、サービス名を「データ活用まるなげくん」といいます。データ活用に必要な工程を一括で引き受けるサービスとして、紙や既存システムからのデータ収集・整理、基盤構築、分析、レポート作成、社内共有まで一括で担います。もう1つは、社内のデータを投入するだけで、AIが分析・レポート化するツール「Srush AI」です。

――2つのソリューションがあるのですね。

樋口:はい、「人」と「AI」という両方のソリューションを持っていることが強みです。中堅・中小企業では、ツールを導入するだけでは活用が進みません。そもそも使い方が分からないというお客さまには、DPOで人が伴走してデータ基盤を整えます。データ活用で最も重要なのはデータ整備で、不完全なデータでは良い分析ができません。まるなげくんでデータをきれいにして、その上でSrush AIによる診断や分析、自動化へと進めていく。この一連のステップをトータルで支援しています。

Srush AI
▲Srush AIの無料トライアルは画像をタップ

――なぜ今、データ活用が必要なのでしょうか。

樋口:最大の理由はAIの進化です。AIは強力ですが、質の高いデータの存在が前提になります。多くの企業ではデータが分散し形式もバラバラで、この状態でAIやBIツールを導入しても成果が出ません。まずデータを整備し、使える状態にすることが不可欠です。

データ活用の市場は20年以上前からありますが、普及率はほとんど変わっていません。ツールが進化しても、現場の整備が追いついていないからです。今こそ基盤づくりの重要性が高まっています。

――社員の皆さまはどのような方でしょうか。

樋口:現在は30~50代まで約20人で、半数がIT出身です。優秀なメンバーに恵まれて、素晴らしいチームで仕事ができることをうれしく思っています。

新しいことに前向きな福岡を拠点にサービスを広げる

――2025年4月、福岡に新たな拠点を開設された理由を教えてください。

樋口:拠点を開設する約1年前、全国の中堅・中小企業を対象に大規模な調査をしたところ、九州からの反応が非常に良かったからです。九州の企業は新しい取り組みに前向きで意思決定も早い。アジアに近く、グローバルなマーケットが視野に入っている点にも魅力を感じました。

また、当社の株主であるマネーフォワードさんが福岡に進出されていて、いろいろな方をご紹介いただきました。実際に回ったところ、スタートアップに対する受け入れの熱量の高さを実感。相談から1か月でオフィス契約に至りました。

株式会社Srush、樋口海さん

――現在、どのようなお客さまがいらっしゃいますか。

樋口:福岡オフィスを開設してからは福岡を起点に中国や四国まで広がり、西日本は重要な成長市場になっています。インフラ企業をはじめ、製造、小売り、流通など幅広い業界で導入いただいています。

この1年は、西日本での展示会やイベントに積極的に出展するように心がけました。東京からオンラインで商談するのではなく、現地にオフィスを構えて泥臭くサポートする。この姿勢を示したことで、地元企業からの反応が高まり、現在はトライアルも含め約300社と取引しています。

――印象的な事例を教えてください。

樋口:西日本のある食品流通企業では、取扱品目が数万点あり、データがバラバラで、「昨日何がどれだけ売れたか」を把握できず、現場の勘に頼る仕入れで大量の廃棄や在庫に悩まされていました。そこで当社のサービスを導入し、1年かけてデータを整備したところ、前日の実績がすぐに可視化され、データに基づく仕入れ判断が可能になりました。結果として、廃棄や在庫の歩留まりが70〜80%改善し、大幅な利益率向上を実現しました。

また、福岡のあるエネルギー企業では、約1,400人の社員が当社のサービスIDを保有し、日常業務で活用されています。従来のデータ活用ツールは外資系のものが多く、日本の現場には難解で、サポートのレスポンスが遅いという問題がありました。その点、私たちは人とAIをセットで提供し、迅速にサポートできる点を高く評価をいただいています。

コンテスト優勝を契機に、地方からデータ人材を創出

――貴社は2026年2月に「第6回 西日本FHビジネスコンテスト」のグロース部門で最優秀賞を受賞されました。応募の理由を教えてください。

樋口:このコンテストは九州での認知拡大に影響力があると聞き、ぜひチャレンジしたいと思い応募しました。それに、地元の経済に絶大な影響力を持つ西日本シティ銀行さんのコンテストで認められれば、信頼の証になると考えました。全国からの応募262組の中から最優秀賞をいただき、大変光栄です。受賞を機に多くの企業との接点が生まれ、何より西日本シティ銀行さんから積極的に企業をご紹介いただけるようになり、事業拡大に大きく寄与しています。

ビジネスコンテスト
▲表彰式の様子

▲第6回 西日本FHビジネスコンテストのアーカイブ動画

――今後の展望について教えてください。

樋口:今の事業を拡大しつつ、次に見据えているのは「データ人材の創出」です。日本ではIT人材、とりわけデータを扱える人材が圧倒的に足りません。そこで、教育事業と人材紹介事業の立ち上げを進めており、地方でデータ人材を育成し、企業に送り出す仕組みを構築します。企業は生産性が向上し、個人は地方にいながら収入を上げられると考えています。

地方で収入が増えれば、結婚や出産といった人生の選択肢が広がり、少子化の解決にも貢献できるはずです。個人が学んで収入を上げ、地元企業に還元することで、地域経済の活性化にもつなげていきたいです。

日本経済の大部分を占める中堅・中小企業がデータを活用できるようになれば、日本が変わる。その先には、データドリブンな企業が当たり前の社会が実現します。その変革の担い手として、私たちSrushは挑戦を続けていきます。

株式会社Srushについて

■会社概要

会社名:株式会社Srush
URL:https://srush.biz/
所在地:本社/東京都品川区西五反田8丁目4-13 五反田JPビルディング2F co-lab 五反田 with JPRE
    九州支社 /福岡市中央区大名2-6-11 Fukuoka Growth Next
設立:2019年11月
代表取締役:樋口海

■事業内容

「Srush AI」を中心としたAIデータ分析基盤の提供に加え、データ活用人材の育成、およびデータ活用人材提供を行うデータ活用推進事業

■問い合わせ先

https://srush.biz/contact

お知らせ

Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。

▷福岡市と北九州市には創業期のお客さまをサポートする専門拠点『NCB創業応援サロン』を設置していますので、こちらにもお気軽にお越しください。

[NCB創業応援サロン福岡]
福岡市中央区天神2-5-28 大名支店ビル7階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
[NCB創業応援サロン北九州]
北九州市小倉北区鍛冶町1-5-1 西日本FH北九州ビル5階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-055-817

◎コワーキング施設「Zero-Ten Park DAIMYO」

西日本シティ銀行・大名支店ビルの5階、6階にコワーキング施設「Zero-Ten Park DAIMYO」ご利用受付中!
>>詳細はこちらをご確認ください

※renewのサイトポリシープライバシーポリシーはこちら。

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