インタビュー

看板づくりの、その一歩手前で。つながりを力に、製作現場を支える|株式会社 T connections 棚木祐一郎さん

By 山本 佳世 |
公開日 2026.07.10
株式会社T connections、キービジュアル

街を歩けば、商業施設や飲食店、病院など、様々な場所で目にする看板。その一つひとつには、デザイナーや施工会社だけではなく、多くの人や企業が関わっています。その一端を担う株式会社 T connectionsは、看板製作会社に向けて、金属文字やLEDサイン、各種資材などの卸販売や仕様提案をする会社。いわば、"看板づくりの橋渡し役"ともいえる存在です。代表を務める棚木祐一郎さんは、看板資材商社や金属サインメーカーで経験を積んだ後、2023年6月に独立されました。今回は独立までの歩みや仕事への思い、そして同社ならではの強みについて話を伺いました。

株式会社 T connections 代表取締役 棚木祐一郎(たなき ゆういちろう)さん

1979年、大阪府生まれ。20歳で福岡へ移り、看板資材商社へ入社。その後、金属サインメーカーに転職して約13年半にわたり営業で実績を積み、全国の看板製作を担当。豊富な業界知識と人脈を築き、2023年6月に株式会社 T connectionsを創業。現在は全国の看板製作会社に向けて、金属文字やLEDサイン、各種資材の卸販売や提案を行う。

複雑な看板業界で独自のポジションを確立

――まずは貴社の事業内容について教えてください。「看板の卸売」と聞くと少し珍しい仕事ですが、どのような役割を担っているのでしょうか?

棚木:一般の方には少しイメージしにくい仕事かもしれませんが、一言で言うと、看板製作会社に向けて金属文字やLEDなど資材や関連商品の卸販売をしながら、最適な仕様を提案する仕事です。

例えば、お店の入口にある立体文字や、商業施設の壁面に付いているロゴサインなどがありますよね。そうした看板を製作する会社から、「こういう仕様で作りたい」という相談を受け、製造会社や資材メーカーと連携しながら必要な製品を手配し、最適な取り付け方法の提案をします。

看板は「文字が付けば終わり」ではありません。光らせ方一つとっても、前面を光らせるのか、背面を光らせるのか。雨水や汚れを防ぐためには壁との隙間をどれくらい空けるのか。素材はステンレスがいいのか、アクリルがいいのかなど、見え方や耐久性、施工性まで考えながら、一つずつ仕様を決めていきます。

私は実際に製造する職人ではありませんが、クライアントと看板製作会社との間に入り、「この方法ならきれいに仕上がりますよ」「こちらの素材の方が条件に合いますよ」と提案しながら、看板の取り付け全体をサポートしています。

現在は関東方面まで、ほぼご紹介を通じて案件をいただいており、全国規模のチェーン店の看板製作にも携わっています。

現場で培った経験が、独立の原動力に

――看板業界へ進むことにしたのはなぜでしょう?

株式会社T connections、棚木さん
▲代表取締役、棚木祐一郎さん

棚木:最初から看板業界に就職したいとは考えていませんでした。20歳の時に地元の大阪から福岡へ来て、就職したのが看板資材を扱う商社でした。そこで資材や流通について学び、その後、金属サインメーカーへ転職したことが大きな転機になりましたね。そこでは約13年半、営業として全国のお客さまを担当していました。

数々の新規開拓にも成功し、多くのお客さまとの接点を築く機会に恵まれたことも自信につながったと思います。

――長年勤められた会社を離れ、福岡で起業しようと思われた理由は何だったのでしょうか。

棚木:実は、「福岡で起業したい」という特別な理由があったわけではありません。家庭の事情で20歳の時に福岡へ来てからずっとこの土地で仕事をしてきましたし、お客さまや取引先とのご縁もここで築いてきました。自然と「独立するなら福岡で」という気持ちでしたね。

そして昔から独立したいと強く考えていたわけではありません。前職で経験を重ねる中で、自分の仕事の進め方と組織の進め方に少しずつ違いを感じるようになりました。

私は「まずやってみよう」と考えるタイプですが、組織では慎重に確認を重ねながら進めることも多い。その考え方自体は間違っていませんし、会社として必要なことでもあります。ただ自分としては、もっと早く動きたい、新しいことにも挑戦したいという思いが強くなっていったんです。

もちろん独立には不安もありましたが、前職の上司ともきちんと話し合いをした上で退職し、一定数のお客さまを引き継いで独立できたことも大きかったですね。

創業時には、西日本シティ銀行さんにも創業融資で支えていただきました。きっかけは知人からの紹介でしたが、紹介というのは、信頼があるからこそつながるものです。紹介してくださった方と銀行の担当者との信頼関係があったからこそ、ご縁が生まれたと感じています。

情報力と提案力で、お客さまの期待に応える

――同業他社と比べて、「ここは負けない」と思う部分を教えてください。

棚木:一番は、情報量と相談のしやすさだと思っています。

看板に使う資材や加工方法は日々進化していますし、メーカーごとに得意分野も違います。だからこそ、「どこに相談すれば一番いいか」という情報を持っていることが大切です。

私は九州外の展示会にも積極的に足を運び、新しい素材や技術、業界の動きをできるだけ早く知るようにしています。福岡ではまだあまり知られていない情報でも、東京などではすでに広がっているケースも少なくありません。そうした情報を持ち帰って、お客さまへお伝えすることも私の役割だと考えています。

また、「これはうちではできません」で終わらせないことも大切にしています。

例えば、私が扱っていない商品であっても、「それならこのメーカーが得意ですよ」「こちらに相談するといいですよ」とお伝えすることがあります。結果として私の仕事にならなくても、お客さまにとって最善の選択肢をご案内する。その積み重ねが、「困った時には棚木さんに聞いてみよう」と思っていただける信頼につながっているのかもしれません。

――お客さまからはどういった声をかけてもらうことが多いですか?

棚木:「最後まで安心して任せられる」と言っていただくことが多いですね。

看板製造や取り付けの現場では、仕様の調整や急な変更が必要になることも珍しくありません。そういう時こそ、最後まで責任を持って対応することを心がけています。

また、看板製作会社の方々は、長年現場で経験を積まれた職人さんや経営者の方も多くいらっしゃいます。だからこそ、一方的に自分の考えを押し付けるのではなく、まずは相手の話をしっかり聞くことを大切にしています。

人とのつながりを何より大切に

――長年、多くのお客さまから選ばれ続ける理由は何だと思いますか。

株式会社T connections、棚木さん

棚木:やはり、コミュニケーションだと思います。営業というと商品を売る仕事と思われがちですが、それ以上に「話しやすい」「相談しやすい」と思っていただけることの方が大きいと感じています。

そこで私は初対面の相手に対しても、仕事の話だけでは終わらせません。「ランチは何を食べられるんですか?」「おすすめの飲食店を教えてください」など、食べ物や地域の話題など、何気ない会話を通して相手を知ることも大切にしています。

もちろん、無理に距離を縮めようということではありません。

「あの人との会話、楽しかったな」「棚木さんなら分かるかもしれない」。そう、ふとした時や困った時に思い出していただける存在でありたい。そのためにも、人とのつながりを大切にし続けるように心がけています。

――今後の業界や会社の将来については、どのように考えていますか?

棚木:看板製造という仕事自体は、これからもなくならないと思っています。お店ができれば看板は必要ですし、特に医療関係や歯科医院など、新しく開業されるお客さまの需要は今後も続いていくでしょう。

一方で、競争は年々激しくなっています。建築需要の影響も受けますし、価格だけでは選ばれない時代です。だからこそ、新しい情報を集め続け、お客さまに新しい提案ができることが、これからますます大切になると思っています。

そのためにも、自分自身が学び続けることはもちろん、いずれは若い世代の育成にも取り組んでいきたいですね。ありがたいことに多くのお客さまとのご縁に恵まれていますが、一方で、自分自身の体が資本の仕事でもあります。これからは健康にも気を配りながら、長く信頼に応えられる体制をつくっていきたいと考えています。

株式会社T connectionsについて

■会社概要

会社名:株式会社T connections
所在地:福岡市博多区榎田2-8-35
設立:2023年6月
代表取締役:棚木祐一郎

■事業内容

看板・デジタルサイネージ等の卸売業

■問い合わせ先

電話 :092-284-0575
携帯 :090-9405-2290
メール:tconnections2023☆gmail.com(☆を@に変更してアドレス記載)

お知らせ

Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。

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[NCB創業応援サロン福岡]
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平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
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